蒼炎の勇者がダンジョンにいるのは間違っているだろうか   作:クッペ

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アイズたちの24階層すっ飛ばせていただきます

理由としては書いてもアイクの今後のストーリーに関わることが無いということが一番なのですが、正直あれよく分からないんですよね


第十六話

 現在フィン達『ロキ・ファミリア』の首脳陣はフィンの執務室で次回の遠征についての会議をしていた。

 

「次回の遠征のメンバーだけど、レベル6の僕たちとアイズ、レベル5のティオナ、ティオネ、ベート、レベル4のラウル達。これは確定なんだけどね」

 

「あいつはどうするんじゃ?戦力だけなら連れて行かない理由は無いんじゃが」

 

「それは悩みどころだね……確かに彼の戦闘力と対人戦に偏ってはいても彼の戦闘経験は『ロキ・ファミリア』で随一だ。ただこの前の探索での報告、漆黒の騎士のことを考えると……ね?」

 

「確かにあいつ一人で戦わせるのは論外と言いたいが、私の魔法も通じなければ女神の加護とやらが付いた武器を持っているのはあいつだけだ」

 

「それほどなのか?あの漆黒の騎士というのは?リヴェリアの魔法が通じなかったというのは俄かに信じがたいのじゃが……」

 

「事実だ。私の魔法は鎧に傷一つどころか、マントを塵一つ燃やすことは叶わなかった。が、あいつの剣だけはあいつの鎧の腕を切り裂いた」

 

「本当に悩ましい限りだ……もう一本の神剣があれば誰かが使えるかもしれないけど、お伽噺の中の剣なんて有るはずが無いからね……」

 

「無いものねだりをしても仕方がないからのう。それに、あの剣を使える奴は選ばれた奴のみだと言っていなかったか?」

 

「アイクのスキルにもあったな。【神剣に選ばれしもの】、あれが無ければ持ち上げることすら敵わないのだろう。椿が持ち上げようとして持ち上がらなかったからな」

 

「レベル5の力をもってしても不可能か……もう一本が仮にあったとしても、うちに使えるのはいないだろうね」

 

 余談だが、現在オラリオにはもう一本の神剣、『神剣エタルド』を扱える剣士がいるのだが、それを知るのは『ヘスティア・ファミリア』のみであり、彼らがそれを知る術は有りはしない。

 

「それにアイズたちのこの間の報告もある。59階層に行けば分かる、だったかな?」

 

「今回の遠征、簡単にはいかないじゃろうな」

 

「これで漆黒の騎士と遭遇しようものなら、またあいつ一人に無茶を押し付けることになってしまう」

 

「どうしたリヴェリア?最近あの小僧の心配を無性にしているようじゃが?」

 

「別にそういうわけではない、同じファミリアのメンバーを心配するのは当然だろう。あいつが一人で無茶をしようものならファミリア総出で以って止めるしかあるまい」

 

「戦力としては彼は最高だからね。誰よりも前に立って戦う、僕よりもよっぽど『勇者』だよ」

 

「連れて行かない理由は、無いじゃろうな」

 

「彼に無茶はさせないこと、一人で戦わせないこと。これが彼を連れて行くに当たって僕たちがしなければならない最低限の条件だ」

 

 しかし彼らは知らない。今回の遠征先の到達階層の59階層で『ロキ・ファミリア』を待っている障害を、そしてそこにいるもう一人の強敵が居合わせていることを。

 

* * * * * * * * * *

 

 ダンジョン遠征当日、遠征メンバーはダンジョン前に集まっていた。

 その中には『ロキ・ファミリア』のメンバー、幹部だけではなく他ファミリアのメンバーの姿があった。

 今回の遠征に当たっての武器の整備、回復薬などの補充をするにあたって彼らの存在は必要不可欠だ。

 

「フィンよ、今回はよろしく頼むぞ。それと、頼まれていた『不懐属性』の武器だ。注文通り、人数分揃っているぞ」

 

「ありがとう椿、助かったよ」

 

「礼は良い。手前にとっても今回の遠征はとても利益があるものだ。普段潜れない深層の鉱石やモンスターのドロップアイテムなどが貰えるとあっては、参加しない道理はあるまい?して、彼の武器は準備しなくても良かったのか?」

 

「彼とは?」

 

「アイクだよ。あいつの剣は確かに神剣、手前等がどうこうできる武器の枠を超えているし、事実壊れない。だがあれ一本だけで良かったのか?」

 

「彼がそう言っていたからね、無理に渡す必要も無い。ああ、勘違いしないでくれ。別に彼が憎いからそういうことを言っているのではなく、本人が要らないと言っていたからね」

 

「ならば良いのだが」

 

 当の本人はその会話を知る由もない。そしてアイクは他のメンバーと積極的に話していた。

 

「ラウル。緊張しているようだが大丈夫か?」

 

「ア、アイクさん!?だ、大丈夫っす!恐縮っす!」

 

「別にかしこまる必要は無い。今からそんなに緊張していては、最後まで体力が持たんだろう」

 

「そ、そうっすね……アイクさんは緊張とかしないんすか?初めての遠征っすよね……?」

 

「ああ、確かに敵は人かモンスターかの違いはあるが、かなりの死線を潜り抜けて来たつもりだ。戦いになる前から緊張していると、自分の実力の全ては発揮できないからな。だからこうして戦う前なんかは、他の仲間と積極的に話して少しでも緊張を和らげようとしていたんだが、逆効果だったか?」

 

「い、いえ!そんなことは無いっす!」

 

「ふっ、そうか。ならお互い頑張ろう。必ず生きて帰るぞ」

 

 アイクはラウルとの会話を終え辺りを見回す。すると一人で佇んでいるアイズが目に入った。

 アイクはこの間の24階層での戦闘の報告を受けていた。そしてそこで言われた言葉も知っている。そのことについて考えているのだろうと推測することは、そう難しくはない。

 

「気になるか?」

 

「あ、アイク……うん、『59階層に来い、知りたいことが知れる』。どういう意味かな?」

 

「さてな、俺はお前の事情に通じているわけではない。何やらファミリアの上層部とロキだけは知っていることで、俺たちが知らない秘密があるんだろう?」

 

「え!?どうしてそれを……」

 

「秘密の内容までは知らん、ただお前が知りたいことが知れるといいな」

 

「知りたいとは思わないの?」

 

「聞いたところで答えられないのだろう?ならば、話してくれる時を待つだけさ。多分、その秘密の存在を知らないやつが知っても、皆同じことを言うと思うがな。ここはそう言う連中の集まりだ」

 

「それを隠している私を、アイクは信用できるの?」

 

「お前はそう言うので裏切るような奴ではないだろう。それを言うなら、ここに来て日が浅い俺の方が信用はされていないんじゃないのか?」

 

「そんなことない!」

 

 アイクが自分を貶すようなことを言った瞬間、アイズは思わず声を荒げてしまう。しかしアイズもなぜ声を荒げてしまったか分かっていないような表情をしていた。

 

「そんなことは無い!アイクはこの世界に来たばっかりの時、何も知らなかった筈なのに私たちを助けてくれた!そんな人がそんな簡単に信用できてないなんて言わないで!」

 

 アイズのがここまではっきりと自分の意見を言うことは珍しい。彼女は普段あまり言葉を発さず、一言二言で話を済ませてしまっていた。

 今のアイズを見て目を白黒させてしまったのはアイクのみならず、ここに居る遠征メンバー全員がこちらを珍しいものを見るようにいていた。

 

「悪かったな、俺は俺が正しいと思うことをしよう。そうしてゆっくりでも信頼を集めていくさ」

 

 頭を叩くようにポンと撫でる。

 先ほどのことが恥ずかしかったのか、はたまた別の理由からかアイズの顔は真っ赤に染まっていた。

 

「皆!準備は良いかい?これより『ロキ・ファミリア』の遠征に出発する!」

 

* * * * * * * * * *

 

 今はまだ浅層、浅層に苦戦するはずもなく遠征は現在滞りなく進んでいる。まだ面々にも余裕があるためダンジョンについて話しているものもいる。

 先頭を歩いているフィン、リヴェリアなどの幹部もまだまだ余裕がある。

 

「助けて下さい!」

 

 突然、前方から小人族の少女が助けを求めて走って来た。見ると頭からは血を流しており、満身創痍と言って差し支えないほどだ。

 

「どうかしたか?」

 

 アイクはただ事ではないと判断し、小人族の少女へと話しかけた。

 

「助けて下さい!向こうでミノタウロスが……!今ベル様、一人の冒険者が対峙していますが長くは持ちません!助けて下さい!」

 

「ダンジョンでは他の冒険者には基本的に不干渉が不文律だ。それを分かってて言っているのか?」

 

 アイクが了承しようとしたところでリヴェリアが少女に訊ねた。確かにダンジョンでは他の冒険者には極力関わらないことが推奨されている。

 それは他ファミリアの場合モンスターのドロップアイテムだったり、魔石そのものの取り合いになることが珍しくないためだ。

 

「ならば俺が個人で行こう。お前たちは先に進んでくれて構わない、あとで合流しよう」

 

 それだけを告げてアイクは少女を担ぎ上げ単身ダンジョンを駆ける。

 暫く進んでいると、ダンジョンの道の真ん中に一人の猪人が大剣を携えて立っていた。

 

「『猛者』オッタル……」

 

 肩に担いだ少女が呟く。道の真ん中に立っていたのは『フレイヤ・ファミリア』所属のレベル7、『猛者』オッタルだった。

 

「オッタル、そこを退け。俺たちはその先に用がある」

 

「そう言うわけにはいかない。これはあの方の意志だ」

 

「ということは、ミノタウロスはフレイヤの差し金か。なぜそこまで無茶をする?」

 

「お前が知る必要があるか?」

 

「まさか、以前言っていたもう一人というのがベルか?」

 

「……」

 

 アイクの問いかけにオッタルは答えない。

 

「もう一度言う、そこを退け。俺はベルを助けなければならん」

 

「ここを通りたければ、実力で押し通るんだな」

 

 携えていた大剣を構えるオッタル。

 肩に担いだ少女を下ろし、巻き込まれないように下がっていろと一言、背負ったラグネルを抜きオッタルと対峙する。

 

「以前と違って今回は戦わなければならない理由がある。手加減できんぞ」

 

「臨むところだ。それでこそ、我が好敵手だ」

 

 その一言を切っ掛けに、アイクはラグネルで斬撃を飛ばす。

 オッタルは紙一重でそれを躱し、こちらへと特攻してくる。構えていた大剣を上段で切りかかってくる。

 アイクはそれを片手で受け止める。オッタルは全力で切りかかっているが、地面が陥没するばかりでアイクはびくともしない。

 

「やはりお前は強い。流石は世界を救った勇者だな!」

 

 アイクは薙ぎ払いもう一度オッタルはその衝撃を空中で逃がし着地する。

 着地した瞬間を狙って再び斬撃を飛ばす。避けられないと判断したオッタルは剣で受け止める。

 地面からズザザザと煙を上げながら吹き飛ばされる。

 アイクはその間に距離を詰め上段からオッタルを切る。オッタルは大剣でそれを受け止める。足元には巨大なクレーターが生成されその衝撃の大きさが物語られている。

 アイクは鍔迫り合いをせずに剣を引き、もう一度上段、袈裟、逆袈裟と次々と切り付けていく。

 アイクとオッタルの剣戟の度にダンジョンはグラグラと揺れる。

 防戦一方だったオッタルが一か八か、身体を回転させながら薙ぎ払ってくる。

 アイクはそれをラグネルで受け、自ら後方へ飛びダンジョンの天井に着地。その勢いを利用しオッタルへと剣を振り下ろす。

 地面を転がり何とか躱す。オッタルが起き上がった瞬間をアイクは逃さずに再び切り付ける。

 再び鍔迫り合いになる。

 

 鍔迫り合いの最中、アイクは持っていたもう一本の剣を左手で抜き逆手に持つ。その剣の柄でオッタルの腹を殴りつける。

 

「まだやるか?」

 

「当然だ!俺はまだ負けてはいない!」

 

「ならばこれで終わりにする……!」

 

 アイクはリガルソードを収め、ラグネ真上に放る。

 

「馬鹿め!戦闘中に武器を投げ捨てるなど万死に値する!」

 

 千載一遇のチャンスを得たとばかりにオッタルは特攻してくる。

 しかしアイクはそれを意に介さず、自らもまた跳び空中で回転している剣を拾う。

 

「……天空」

 

 空中に身を躍らせたアイクをオッタルは見つめている。そしてアイクがその場から落下する勢いを利用してオッタルに切りかかる。

 その一撃をオッタルは大剣で受け流した。

 

「これで終わり――」

 

 だが着地したアイクはバク転をしながらオッタルを攻撃する。

 咄嗟に剣で受け止めようとするが受け止めることは叶わず、為す術もなくその一撃を食らった。

 

「ば、かな……」

 

 アイクの一撃をもろに受けたオッタルはその崩れ落ちる。

 アイクは剣を振るい剣についた血液を払う。

 

「待たせたな、急ぐぞ」

 

 後ろに待たせていた小人族の少女を再び肩に担ぎアイクは移動を再開した。

 その場に倒れているオッタルに目を向けることも無く。




ワユは基本一人でダンジョンの深くまで潜っています。

そしてごめんなさい。めっちゃ大掛かりな編集させてもらいます
理由といたしましては、単純に自分のミスです。原作知らなくてオッタルとの戦闘シーン丸々カットしてたんですよね、それを付け加えて、ベルVS身の合うロスを次回に回させていただきます。それと前書きおかしいですね、59→24です(2018,2/16)
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