蒼炎の勇者がダンジョンにいるのは間違っているだろうか 作:クッペ
旅が終わったから一段落したと思ったら友達が対戦しようぜとか行って来てその友達それなりにやり込んでる人だからこっちも準備しないと行けなくてですね……
何が言いたいかというとプテラが可愛過ぎて死にそうでした
少女に道を聞きながらベルがミノタウロスに襲われている場所へと到着した。ベルは膝をつき少女と同様に頭から血を流している。
ミノタウロスは持っている大剣をとどめと言わんばかりにベルへと振り下ろそうとした。
アイクは少女を下ろし剣を抜きながらベルトミノタウロスの間に滑り込み、ラグネルで大剣を受け止める。
「大丈夫か?あとは俺がやろう、下がっていろ」
「手を……出さないでください……!これは、僕が倒さなくちゃいけないんだ!」
ベルは立ち上がりながらそう叫ぶ。守ってもらうことを断ると言わんばかりだ。
「……勝てるのか?」
剣を受け止めながらベルの方を向く。ベルは小さく頷いた。
「ならば戦え、戦って勝て」
再びベルは頷いた。アイクは鍔迫り合いをしていたミノタウロスを押し返し、自うんはその場から下がる。
ベルは黒いナイフと普通の鉄のナイフを抜いてミノタウロスへと対峙する。
ミノタウロスは大剣切りかかる。ベルはその敏捷を以って前へと踏み出し紙一重でそれを躱す。
鉄のナイフをミノタウロスの胸へと突きつける。しかしミノタウロスの熱い筋肉の前に、ベルのナイフは呆気なく砕け散る。
ミノタウロスは剣を持っていないほうの拳を振りかぶりベルを殴りつける。ベルは後ろへ転がることによってそれを回避し、立ち上がった瞬間背負っていた刀を抜いて半身に構える。
(あの回避と剣の構えは……!いや、有り得ないな……)
見覚えのある構えに回避術、しかしその可能性をアイクは切り捨てる。
ここにいるはずが無い人物の剣術を使えるからと言って、その人物がいるわけがないと考えた。
「アイクー!」
その呼び声に振り替える。見ると『ロキ・ファミリア』の幹部陣が次々とこちらへ向かってきた。
「来たのか?」
「今回の遠征で、お前を一人で行動させるわけにはいかないからな」
リヴェリアがムスッとした表情で答える。
「彼は……この間ミノタウロスに襲われた少年だよね?」
「ああ」
「こんな短期間で、ミノタウロスと戦えてる!?彼ってレベルいくつ?」
「分からん、ただレベルが上がっていたなら短期間でレベルアップの話題で持ちきりになるはずだと思うが」
「ということはレベル1?有り得ない!」
話している間もベルはミノタウロスへと勇敢にも切りかかる。
片手で持っている刀でミノタウロスの大剣を受け流し、ミノタウロスが大剣で切りかかって来たがら空きの懐に黒いナイフで切りかかる。
そしてとうとうミノタウロスが持っていた大剣をベルは刀で切断した。
「大剣を切った!?あの刀って一体……!」
大剣を切られたことで動揺したミノタウロス。その隙にベルはナイフを仕舞い刀一本でミノタウロスと対峙する。
刀を片手で持ち三度空を切る。右袈裟切り、そのまま切り上げ、切り上げた勢いを使って半回転しながら薙ぎ払い、バク中をしながらの切り上げ、着地した勢いを殺さずに突き、ベルの敏捷の限界ギリギリの速さでこれをミノタウロスに叩きこむ。
(あの剣術、『流星』か!?)
アイクは有り得ないものを見たような表情でそれを見ていた。
その攻撃ではミノタウロスを撃破するには至らなかった。しかしその刀傷に手を突っ込み、叫ぶ!
「ファイアボルト!」
雷を纏った蒼い炎、それがミノタウロスに叩きこまれる。
「ファイアボルト!!」「ファイアボルト!!!」
三度魔法をミノタウロスに叩きこむ。
ミノタウロスはその炎により蒼く輝き、身体は膨張する。そしてとうとう圧力に耐え切れずに爆散した。
その場所にはミノタウロスの角、そして精神枯渇により立ったまま気絶していたベルが佇んでいた。
* * * * * * * * * *
ベル・クラネルがミノタウロスを撃破した。ベル・クラネルは現在レベル1、ミノタウロスはレベル2。本来なら倒すどころか傷を負わせることすら困難を極めるが、彼は黒いナイフ、刀、魔法を以ってミノタウロスを撃破してしまった。
それを見ていた『ロキ・ファミリア』の面々は驚愕を隠せずにいた。
そしてアイクは別の意味で驚いていた。
(あの剣技は『流星』……偶然か?)
ベルが最後に放った剣技、高速の五回切り。アイクはこの剣技に見覚えがある。
グレイル傭兵団ならばワユが、他にはデイン王国軍にいたエディという少年、砂漠でミカヤ隊が出会ったソーンバルケなどがこの技を使っていた。
剣を極めたものが使える高速の五連撃。相手に反撃を許さず、こちらが一方的に攻撃を与え続ける奥義だ。
(あいつらの『流星』に比べたら速さも鋭さも全然足りない、だがあの動きは……)
「嘘でしょ……」
「彼、本当にミノタウロス倒しちゃった……」
立ったまま気絶していたベルはやがてその場に崩れ落ちる。背中に刻まれている『神の恩恵』も丸見えだ。
「おいババア、あいつのレベルを見ろ」
「私に他のファミリアのもののステータスを覗き見しろと?前回は非常事態だったからやむを得なかったが、今回はそうではないだろ?」
ベートがリヴェリアに命令しているがリヴェリアはそれを一蹴している。本来同じファミリアのもののステータスを見ることすらタブーとされているのに、違うファミリアのもののステータスを覗き見するなど論外だ。
「うっせえ、いいから見ろ!」
それでもベートは引き下がらなかった。
反論するのも億劫だと言うかのようにため息をついたリヴェリアはベルの傍らへと移動しステータスを読み上げる。
「『ベル・クラネル』、『ヘスティア・ファミリア』、『レベル1』『アビリティオールS』」
「本当にレベル1!?」
「それにアビリティオールS!?」
その事実に『ロキ・ファミリア』の面々は驚きを隠せない。ただ一人、アイクを除いて。
「アイク。考え事?」
「……」
「アイク?」
アイズはアイクの肩に手を置く。その行動によってようやくアイクはこちらに反応した。
「ん?アイズか、どうかしたか?」
「何か考えごとしてたみたいだったから……迷惑だった?」
「そんなことは無いが……アイズ、ベルが最後にはなったあの剣技、こちらの世界で見たことはあるか?」
「最後の剣技……?あの五回切り?見たことないけど……それがどうかしたの?」
「いや、何でもない。やはり偶然だろう」
「それで、彼らどうしようか?このままここに放置しておくのは論外だとしても、誰かが外まで運ばなくてはならないだろう」
気を失っているベルと満身創痍な小人族の少女、小人族の少女はいまにも気を失いそうだ。
「俺が二人とも運ぼう。皆は先に行っていてくれて構わない、あとで合流する」
「いいや、あなたを単独行動させるわけにはいかない……ベート、アイクと二人で彼らを外に運んでくれないか?」
「チッ……分ぁったよ!」
アイクがベルを背負い、ベートは少女を肩に担ぐ。そのままダンジョンの出口目指して足を進め出した。
* * * * * * * * * *
ダンジョンから出たアイクとベートは怪我人二人を担いで現在『ミアハ・ファミリア』のホームへと向かっていた。『ディアンケヒト・ファミリア』ではないのは神格者的な問題らしい。
アイクは『ミアハ・ファミリア』のホームの場所を知らないのでベートについて行っていた。
「ベート、と言ってたな」
「ああ?なんか用かよ?」
「いや、言い方は悪いが、こんな時でないと二人きりで話す機会はそうそうないと思ってな。折角の機会だから少し話してみたくてな」
「ハッ!物好きだなてめえも!」
「そうか?お前みたいな奴は、話してみると意外と良い奴だったりするもんだけどな」
「良い奴だ?笑わせんな!」
「ならば何故弱きものを貶してまで死地から遠ざけようとする?お前が雑魚というものを嫌っているのならば、構わなければ良いだけだと思うんだが」
「……」
ベートは思わず答えに詰まってしまう。ベートなりに考えあっての行動だが、それをここで口にするつもりはないらしい。
「まあそのことについて深くは聞かない。お前の考えがあっての行動なのだろう。それよりも他に聞きたいことがある」
「ああん?んだよ?」
「お前は化身できるのか?確か、狼人という種族なのだろう?俺の世界のハタリの民は狼に化身するラグズだったが、大昔の大洪水でほとんど滅んでしまったみたいでな。この世界の亜人、猫人だったり狼人だったりは化身できるのか?」
「化身しないと戦えなかった半獣風情と一緒にすんな。お前の世界がどうかは関係無え、こっちはこっちだ。出来る奴はできる、出来ないやつは一生掛かっても出来ねえだろうよ」
半獣という呼び方に眉を顰めるがここで折檻はしない。本来ならここで訂正させてもよかったが、今後の関係性を考えるとあまり強くは言えない。
「半獣という呼び方は止せ、あいつらだってそう呼ばれることは嫌がっている」
その一言を最後に『ミアハ・ファミリア』のホームへと到着した二人。主神であるミアハとの接触を極力避けるためにベルをベートに渡しアイクは外でベートが出てくるまで待っていた。
ソードオラトリアの方が全く分からないっていうのが大きすぎる……
明日図書館に行って借りてきます。近所の図書館に置いてあると思うので
ん?買わないのかって?他に買ってるシリーズものが多くてお金が足りないのですよ……
魔法科高校の劣等生、魔法使いの嫁、アサシンズプライド
これ以上増やしたら破産する