蒼炎の勇者がダンジョンにいるのは間違っているだろうか   作:クッペ

27 / 48
色々大きな訂正をしましたごめんなさい


第十八話

 ベルと小人族の少女を『ミアハ・ファミリア』に預けた後、アイクとベートはダンジョンの18階層にて『ロキ・ファミリア』の遠征チームと無事合流を果たした。

 

「アイク」

 

「リヴェリアか、どうかしたか?」

 

「我々があの少年、ベル・クラネルの元へ向かう途中に一人、倒れている猪人がいたが。心当たりはあるか?」

 

「オッタルか?あれは俺がやった」

 

「はぁ、やはりか……死にかけていたが、一体何があった?」

 

「俺がベルの元へ向かう途中に妨害をしてきた。今回の一件、フレイヤが絡んでいるようだぞ」

 

「神フレイヤが?一体なぜ?」

 

「フレイヤのお気に入りとやらになったんだろう。あいつは自分の気に入った下界の子を魅了して自分のファミリアに入れるんだろう?」

 

『フレイヤ・ファミリア』には他のファミリアから改宗した眷属も多い。フレイヤのお眼鏡に適った眷属をそのファミリアの主神、その眷属をその美貌を以って魅了し引き抜く。

 そのため『フレイヤ・ファミリア』を憎んでいるものも少なくないという。

 

「ああ、確かにその手の話は稀に聞くが。なぜお前がそこまで『フレイヤ・ファミリア』の内情に詳しい」

 

「『怪物祭』の時オッタルと戦った後、フレイヤ直々に俺をスカウトしてきた。ご丁寧に、御自慢の美貌とやらを見せつけてきてな」

 

「何?それで、返事は」

 

「断った。というか、そこで了承していたら俺はここに居ないだろう」

 

「それもそうだが……神フレイヤの魅了は効かなかったのか?」

 

「特に何もなかったからきっと効かなかったのだろう」

 

「効かなかった理由に心当たりはないのか?言い方は悪いが、彼女の美貌を一目見たら大抵の男は彼女に落ちるぞ」

 

「さてな。心当たりはない」

 

「……まぁいい。くれぐれも無茶だけはしてくれるな。何かあったら私たちを頼ってくれ」

 

* * * * * * * * * *

 

 あれから数日が経ち、遠征チームは現在50階層で野営を行っている。

 現在は明日からの51階層以降の探索の会議中だ。

 

「では明日からの未到達階層への探索メンバーを改めて発表する」

 

 そのメンバーは全員レベル5以上、当然アイクもそのメンバーに入っている。

 サポーターはレベル4以上、それと数名のレベル3が呼ばれた。

 

「『ヘファイストス・ファミリア』の整備士として、椿に着いて来てもらう」

 

「うむ、心得た。では早速、渡すべきものを渡しておく。注文されていた『不懐属性』の武器だ」

 

 探索に行くメンバーたちに『不懐属性』の武器を渡していく。

 注文していないはずのアイクにもこっそりと一本の大剣が渡された。

 

「椿、俺は武器は何も頼んではいないが」

 

「金は要らん、余裕があったら使ってくれ。『不懐属性』銘は『アロンダイト』だ」

 

「……まあ使う余裕があったらな」

 

 アロンダイトはアイクがラグネルを一度ペグニオン帝国に返却した後、暫く使っていた剣と同じ名だ。偶然か意図してかは分からないが、見た目も長さも重さもそれにそっくりだ。

 

「これで会議は終了する。皆、明日の探索に向けてしっかりと休息をとるように。解散!」

 

 各々が割り振られたテントへと移動居ていく中、アイクはダンジョンの49階層に向かっていた。

 使う余裕があったら使ってくれと頼まれた『アロンダイト』。ぶっつけ本番で使うわけにはいかないため、49階層に一度行き、適当なモンスター相手に試し切りをしようと思った。

 49階層に入る直前、アイクは自分を付けている気配に気付いた。

 

「誰だ?」

 

 後ろを振り返らずに訪ねる。ビクッ!と驚いた気配が伝わって来たため仕方なく後ろを振り返る。

 申し訳なさそうに表情のアイズとレフィーヤが縮こまったように立っていた。

 

「何か用か?」

 

「いえ、大した用じゃないんですけど……」

 

「アイクはテントに行かないの?」

 

「さっき椿から剣を受け取ってな、明日ぶっつけ本番で使うわけにもいかないだろうから小一時間位試し切りをしようと思っていたんだが」

 

 手に持っていた剣を二人に見せる。アイズはその剣に興味津々らしく、その剣を凝視していた。

 

「持ってみるか?」

 

「持てるの?」

 

「この剣は普通の剣だ。誰でも使える」

 

 アイズに剣を手渡し、渡されたアイズはその場で何度か剣を振ってみる。

 

「ありがとう」

 

「ああ、お前らももう休めよ。明日は大事な日なんだろ?」

 

 他人事のように話すアイク。いまいちことの重要性を理解できているのかどうかが怪しくなってきたレフィーヤは、

 

「あの……未到達層に行くのって怖くないんですか?」

 

 思わずといった風に聞いてしまう。アイクの場合基本的にすべての階層が未到達階層のようなものなので、特にこれと言って新鮮味はない。

 そのような旨をレフィーヤに伝えると眉間を押さえため息をついた。その動作はリヴェリアにそっくりだ。

 

「ねぇアイク、私も着いて行って良い?迷惑はかけないから」

 

「何故だ?」

 

「今回の遠征、アイクの単独行動はできるだけ控えさせるように言われてて、それにアイクが戦ってるところが見たいから、かな……?」

 

「そう言うことなら別に構わん。俺の剣術をそう簡単に盗めると思うなよ?」

 

「ありがとう。レフィーヤはどうする?」

 

「私も着いて行ってもいいですか?並行詠唱のための戦い方の参考にできればと思いまして……」

 

 並行詠唱は戦いながら魔法の詠唱をする技術だ。

 通常魔法はその場に止まり詠唱をしなければならない。しかしそれでは一人の時に敵から狙われたらどうしようもなくなってしまう。

 そこで敵を倒しながら、或いは攻撃を防御・回避しながら詠唱をすることによって一人でも戦えるように並行詠唱という技術が編み出された。

 リヴェリアは白兵戦を行いながら並行詠唱を行えるらしいが、レフィーヤの場合は走りながらやるのがやっとらしい。

 

「構わん。俺が見えない範囲を移動するなよ?」

 

「はい!」

 

 それから小一時間、三人は49階層に出てくるモンスターを倒し、50階層の野営地に戻った。

 いなくなった三人を待っていたリヴェリアから説教を食らったのは言うまでもない。




短めですがここまで

ダンまちに二期と劇場版決まりましたね


早く戦争遊戯が書きたい!一つ言っておくとワユ大活躍の予定です

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。