蒼炎の勇者がダンジョンにいるのは間違っているだろうか 作:クッペ
お騒がせして申し訳ございませんでした。投稿してすぐ消したのであまり影響がないと信じたいです
~ワユside~
結局ヘスティアとベルに言われるがまま『アポロン・ファミリア』主催の神々の宴?ってやつに連れてこられてしまった。
グレイル傭兵団は基本的に貧乏傭兵団だったから、こういう宴は全くなかったけどオスカーさんの料理は最高だったから別に気にしたことが無い。
何が言いたいかというと、あたしはこういった宴っていうやつがどういうものなのか全く知らない。クリミアをデインから取り戻したときにしたのが宴っていうなら一応は知ってる。ただあの時は料理のほとんどを大将とイレースが二人で食い尽くしていた記憶しかない。
「ねぇヘスティア、ここに居る人たちが皆神様なの?」
「君僕の話聞いていなかったのかい?今回の神々の宴は特例として自分のファミリアの眷属を一人連れてくることになってるんだ。だからここに居る半分以上は下界の子供たち、ファミリアの眷属だよ」
そう言えばそうだった。数時間前に話したことを既に忘れていた。あんまり興味がないことは覚えられないでしょ?
「すまんなヘスティア、今回は殆ど用意してもらって」
「誘ってくれてありがとう……」
隣にいるのは『ミアハ・ファミリア』の主神のミアハとその眷属、犬人っていう種族のナァーザだ。今回の宴に際して彼らの衣装をあたしがダンジョンで稼いできたお金から出した。ミノタウロスの一件の時にはベルがお世話になったから、そのお返しだ。
あたしは一回ダンジョンに潜ると一週間くらい潜りっぱなしだ。ダンジョンのモンスターもそこそこに強いのは多いけど、やっぱりあんまりワクワクはしないなあ。
「あら、来たわね」「ミアハもいるとは意外だな」
「ヘファイストス!タケ!」
また新しい人?神?が来た。正直言って神か人かなんて見わけがつかない。下界っていうのがこっちの世界らしいけど、下界にいる間は神は神の力を使えない普通のベオクと変わらないらしい。
「あら?あなたの連れてきた眷属はベル・クラネルじゃないの?」
「ふむ、初めて見る顔だな。あれからまた眷属が増えたのか?」
「まあ成り行きというかなんというか……」
「やぁやぁ集まっているようだね!オレも混ぜてくれよ!」
この人も神?なんか飄々としているというか、底が見えないというか。相手に回したら一番厄介なタイプだ。
傍に控えている眼鏡をかけた女性の方は疲れた表情を浮かべながらもそのことを既に諦めている様子だ。つまりこれが彼のいつも通りということなのだろう。
「ヘルメス、なぜお前がこっちに来るんだ。私とお前はそこまで関わりが無いだろう」
「おいおいタケミカヅチ、ともに団結してことに当たったばかりじゃないか!俺だけ仲間外れにしないでくれよ!」
片方がタケミカヅチと呼ばれ、飄々とした方がヘルメスと呼ばれている。彼らの名前だ。
「始めまして、私はヘファイストス。『ヘファイストス・ファミリア』の主神よ。あなた、ヘスティアの眷属なのよね?大変じゃない?」
眼帯をした赤髪の女性、ヘファイストスがあたしに話しかけてきた。手持ち無沙汰なところを気を利かせたのか、或いは単純に話し相手が欲しかったのかは知らないけど。
「始めまして神ヘファイストス。ワユでいいよ。で、大変かどうかだっけ?そうでもないよ、少し前の方が金銭面では辛かったくらい」
「あら、言っては悪いのだけれど零細ファミリアなのに金銭面は楽なのかしら?」
「傭兵は依頼が無いとお金が入らないからね。少し前に大きい仕事を片付けたから今は楽してるだろうけど、そのうちまた辛くなってくるんじゃないかな?」
今はグレイル傭兵団どうしてるんだろう?でも出費のほとんどが大将の食費だったから少しは楽できてるのかな?
「諸君!今宵はよくぞ集まってくれた!」
前の方で壇上に上がった人が声を張り上げていた。
「ヘファイストス、あの人だれ?」
「あれは人じゃ無くて神。今回の宴の主催者のアポロンよ」
「今回は私の一存で趣向を変えてみたが、気に入ってもらえただろうか?日々可愛がっている者たちを着飾り、こうして我々の宴に連れ出すのもまた一興だろう」
アポロンの話もそこそこに集まってる神とその眷属はお喋りを続けている。
すると当然会場が騒然とし始め、殆どの男がある一点を見つめている。何事かと思いあたしもその視線の先を見つめると、そこには美しい女性が後ろに男性を侍らせこちらへと向かってきた。
「ヘスティア、誰あれ?」
「彼女はフレイヤ、美の女神フレイヤだよ。気に入った子をあの美貌で魅了させて、自分のファミリアに入れさせてる性悪女さ」
「なんかえらく嫌ってない?」
「別に嫌ってはいないんだけど……」
「あら、ヘスティアにヘファイストスじゃない。来ていたのね?」
「や、やあフレイヤ、前回の神会以来かしら?」
突然フレイヤがこちらを向き、にこりと微笑みかけて来た。
「貴女は初めて見る顔ね?神ではないし……あなた、どこの眷属かしら?」
「あたしはヘスティアの眷属?ってやつ」
「ヘスティア、貴女の所の眷属は『彼』だけじゃなかったの?」
「あはは……ついこの間ね、少々訳有りなんだ」
「ふーん……面白い子ね。自分よりも強いものに、必死に抗おうとしているのね。ねえ、うちに来ない?」
「行かせない!」
フレイヤが差し出してきた手をヘスティアがはたき落とし、フレイヤを睨みつけている。
「そう言うわけ何であたしからもお断りするね。なんだかんだで、ヘスティアには拾ってもらった恩もあるし」
「うふふ、残念だわ。貴女、名前は?」
「ワユ」
「そう。ワユ、覚えておくわ。また会いましょう?」
「機会があったら。後ろのお兄さんも今度は戦おうね」
その一言に会場が一斉に静まり返る。数瞬が経ち、フレイヤが声を高らかに笑い出した。
「貴女やっぱりとっても面白いわね。オッタルはオラリオ一の冒険者よ?まあ最近は『彼』が一番強いのだけれど……」
「へー、お兄さんやっぱり強かったんだ。あたしの目に狂いはなかったね。それでも、大将の方が強いだろうけど」
そのままくすくすと笑いながらフレイヤは会場を後にした。フレイヤが居なくなってすぐに、近くにいた神たちが一斉に詰め寄ってくる。
「ワユ君、君馬鹿なのかい!?どうして寄りにもよってフレイヤの所に喧嘩を売る様な真似をするのさ!?」
「彼を誰だか知らないの?彼は『猛者』、この都市、いいえ、世界に唯一のレベル7なのよ?」
「あいつに喧嘩を売るなんてよっぽどの無知か馬鹿だ」
「今からでも謝ってきたほうがいい」
「やる前から諦めるのは性に合わないんだ。それにあたしだって負けるつもりはないよ?あたしだってレベルはムグッ!?」
後ろからヘスティアが口を押さえて来た。何事かと思ってヘスティアの表情を窺うと耳元に顔を近づけて来た。
(君のレベルはここで公表するべきじゃない。ばれたらばれたで面倒だけど、自分でそんな面倒なことするべきじゃない。分かっているのかい?君もレベル7だけど、そのレベル7はここには一人しかいないことになっているんだ!)
そう言えばそうだった、ギルドの人からも注意されてたっけ?ギルドの人はただひたすら厳しかった記憶しかないや……
「あの色ボケ女にちょっかい出されてたようやな」
誰もが先ほどのあたしの発言で黙っている中、こちらに一人の赤髪の男性?女性?とその後ろに金髪の女性を従えた人がこちらに歩み寄って来た。
「ロキ!?」
「よぉードチビ。ドレス着れるようになったんやな。背伸びしてる感じがあって笑えるわ!」
「いつの間に来ていたんだよ君は!?音も無く現れるんじゃない!」
「うっさいわボケ!意気揚々と会場入りしたらあのおっぱいに全部持って行かれたんや!」
赤髪の人は血涙を流しながら絶叫している。発言からして女性なんだろうけど……
後ろの金髪の人がこちらに向かって会釈をしてきた。一応こちらも会釈程度は返しておく。
「ドチビ、後ろの子誰や?めっちゃ可愛いやん!ま、アイズたんには劣るけどな」
「僕の眷属だよ。新しい眷属」
「はあ?ドチビに新しい眷属?眷属はあのベル・クラネルっちゅう兎だけやなかったんか?」
グフフと笑いながら、指をワキワキとさせながらこちらに近づいてくるその女性らしき人が近付いてくる。
「うちはロキっちゅうんや。あんさん名前は?」
「ワユ」
「ワユたん言うんか。所でワユたん、その豊満な胸揉ませてもらうで!」
「だーめ」
訳の分からないこと言いながらこちらに飛びかかってくるロキ。半歩身を翻すだけでその突撃を難なく回避し、床に激突しそうになったロキを左腕で受け止める。
床に激突しなかった自分に疑問を覚えたのか、あたしの顔を見て目をぱちくりとさせるロキ。周りの人たちは今の一瞬の動きを見て少々驚いているようだ。
中途半端ですがここまで
若干体調不良で若干執筆速度が遅くなってる