蒼炎の勇者がダンジョンにいるのは間違っているだろうか   作:クッペ

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何か少し前の後書きでワユあんまり出てこなくなるみたいなこと言ったけど、そんなこと全く無いです

いや言い訳させてもらうと、本当は最初春姫編書く気なかったんですけど個人的に春姫意外と好きなので書こうと思ったら、アイクが一人歓楽街で春姫似合うのってすっごく不自然じゃないですか?物語に絡ませようとしたらどうしてもこうせざるを得なくなりますよね?と言うか俺の頭の不出来さではこうするしかなかったんです

それでベルたちに絡ませると一緒にいるワユ出てくるじゃないですか?つまりはそう言うことです


第三十七話

 命とワユはダンジョンで気を失った後、『イシュタル・ファミリア』の眷属によって捕えられてしまった。命は身じろぎをした際の鎖の音を聞き、意識を暗闇から浮上させていく。

 

「ここは……まさか私はダンジョンで捕えられて――ッ!」

 

 立ち上がろうとして、後ろ手に繋がれている鎖に引っ張られてしまいうまく立ち上がれなかった。

 何が自分を引っ張ったか確認するために、動き辛い身体を無理やり動かして後ろを振り返る。すると後ろにはいまだに目を覚まさないワユが繋がれていた。

 

「ワユ殿……ワユ殿!起きて下さい!」

 

 後ろ手に繋がれた腕を動かし、ガチャガチャと鎖がけたたましく音を鳴らす。ワユも何か異常を感じ、ゆっくりと目を見開いた。

 

「……あれ、ここどこ……?」

 

「目覚めましたか、ワユ殿」

 

「み、こと……?あれ、ここどこ?あたし確かダンジョンで……」

 

「とりあえずここから出ることに専念しましょう。ワユ殿、後ろ手に繋がれてる鎖、ワユ殿ならば何とかできませんか?」

 

 ワユと命が一緒に繋がれている鎖は『ミスリル』製でもなければ、幾重にも巻かれていない。

 ワユのレベル7の力を使えば問題なく引き千切れる範疇だ。

 ワユが繋がれている腕に力を込めると、鎖は千切られ二人は立ち上がり自分の体のどこかに異常がないかを確かめる。

 

「ワユ殿、とりあえずここから脱出しましょう。ヴェルフ殿やリリ殿、ベル殿も心配ですが」

 

「うん、分かった」

 

「それと恐れながら、自分現在武器を持っていないのでもし先頭になった場合はお任せしてしまうことになりますが……」

 

「大丈夫、それよりも急ごう」

 

 ワユは出口の数センチ開き、隙間から辺りを見回す。近くに人影は見当たらないためそのまま扉を開き外に出る。

 

「命、確か命のスキルって味方がどこにいるか分かるスキルあったよね?」

 

「はい、同じ『恩恵』を刻まれているという条件付きですが」

 

「それを常時発動してもらっていい?大将……は『ロキ・ファミリア』か……ベルかリリかヴェルフの誰かが反応に引っ掛かったらすぐに知らせて」

 

 首を縦に振り、命は意識を集中させる。周りの知覚することに集中している命の前を歩き、辺りの気配を探りながらゆっくりと進んでいくワユと命。

 突き当りを曲がろうとした所で廊下の光に人影が写り、命に向けて手で止まるように制する。その人影がいなくなるまで息をひそめ、やがていなくなったところで再び歩き出す。

 

「――!ワユ殿、あちらの方からベル殿の反応が、向かいますか?」

 

「うん、案内して」

 

 命と並びながら歩き、命が止まった部屋の扉を押す。しかし鍵が掛かっているのか開く気配はない。命を下がらせエタルドを抜いて扉に向けて一閃、扉を破壊して中に侵入する。

 

「これは……ベル殿のナイフ……?それとワユ殿の刀ですか?」

 

「……うん、これはあたしの倭刀だ。エタルドは回収できなかったみたいだけど、あたしの方もこの剣を使えないとでも思ったのかな?」

 

「とりあえずこの武器は回収しておきましょう。それとこの部屋にある回復薬もいくつか強奪していきましょう。この先何があるか分かりませんから」

 

 そう言いながら命は棚に置いてあった回復薬などを持てるだけ強奪していく。その様子はまるでこそ泥そのものだった。

 そしてその一室にあった一冊の本を手に取り、命はおもむろに本を開いた。

 そしてそのまま読み進めていくと、命の表情は驚愕と怒気に包まれていった。

 

「『殺生石』……これが春姫殿を捕えていた理由か……!」

 

「命?」

 

「あ、すいませんワユ殿。急いでここから出ましょう」

 

「結局ここがどこかは分からないままだったね」

 

「いえ、恐らくは『イシュタル・ファミリア』の拠点の一つかと。ダンジョンでで『怪物進呈』してきた冒険者は『イシュタル・ファミリア』の者でした。そしてそのあと違うファミリアの誰かが私たちを拘束する理由は有りませんから」

 

「ふーん……まあいいや。とりあえずここから出よう。一旦ホームに帰るか、『イシュタル・ファミリア』の拠点の一つだっていうんなら、恐らく歓楽街のどこかに誰かが捕えられてるはずだから、回収していこう」

 

 命は首を縦に振り、部屋を後にする。屋内を適当に歩いていると、出口だと思わしき扉を発見し、そこを開けるとやはり歓楽街だった。

 

「命、スキルの発動できそう?」

 

「問題ありません、同じファミリアの者の探索に入りましょう」

 

 命がスキルを発動するが早いか、早速命のスキルに反応があったようだ。

 

「ワユ殿、あちらの方に誰かの反応がありました。少々遠いので誰かまでは判別できませんが」

 

「了解、じゃあ反応があったほうに向かおうか」

 

 再びワユと命は歩き出す。夕方とあって人影はまだまばらだが、今まで捕えられていた事実を知っているものにあったら即捕縛できるように心がけながら行動をする。

 やがて命の反応が鋭敏になって来たとき、命が足を止めた。扉の方に視線を向けるとガチャリと扉が開いた。

 そして中から出てきたのは青い髪をした青年、白い髪をした少年、金髪の狐人だった。

* * * * * * * * * *

 

「……あれ?大将?」「アイク殿、ベル殿!……春姫殿も、よくぞご無事で……!」

 

 フリュネの巣窟から外に出ると、偶然ワユと命と合流できた。命は春姫の方へと駆け寄り何やら話している。

 アイクとベルはワユに向き、これまでに何があったか聞きだしている。

 

「大将今までどこにいたのさ?ついでにベルも」

 

「つ、次いでって……」

 

「お前こそどうしていた?ダンジョンではお前も眠らされたはずだが?」

 

「んー、なんか命と一緒にあっちの方の娼館?ってところの一室に閉じ込められてたんだけど、命と一緒に脱出してきたんだ。あ、そうだ!ベルの武器、なんか没収されてたから回収してたよ、命が」

 

「ワユ、お前は『殺生石』ってやつを知ってるか?」

 

「せっしょうせき……?そう言えば命がさっきなんか言ってた気が……」

 

 命の方を振り返り、アイクは命に問う。

 

「命、『殺生石』を知っているか?」

 

「アイク殿?ええ、ついさっき娼婦の館でその文献を読みました」

 

「『イシュタル・ファミリア』の目的も分かっているな?」

 

「ええ、勿論です。彼女たちの目的は、私が何をしてでも阻みます」

 

 拳を握り、高らかと宣言する命。その命の宣言を聞いて、アイクは再びワユの方へと振り返る。

 

「ワユ、仕事だ」

 

 アイクの一言に、目をぱちくりとさせた後ににやりと微笑む。アイクからしたら見慣れた光景でしかない。

 

「傭兵として?」

 

「そうだ」

 

「内容は?」

 

「そこにいる狐人の保護、護衛、及び救出。『殺生石』を破壊して『イシュタル・ファミリア』の目的をここで潰す」

 

「あたしは何をしたらいいの?」

 

 ワユに指示を出す前に確認しておくことがあるため、命と春姫の方を振り返り彼女らに問う。

 

「命、殺生石がどんなものか分かっているか?」

 

「え、ええ。『殺生石』に狐人の魂を封じ込めるのは満月の夜、とある儀式をする必要があります」

 

「春姫、儀式をやる場所は『イシュタル・ファミリア』の本拠で良いのか?」

 

「は、はい」

 

「狐人の面倒は俺が見よう。お前はベルと命と共に『イシュタル・ファミリア』の本拠に乗り込んで『イシュタル・ファミリア』の眷属の足止めだ。それと、『イシュタル・ファミリア』の眷属は生かしておけ。抗争の種は少ないほうがいいだろう」

 

 ベルと命の方にも振り返り、団員に命令を出すときと同じようにアイクは二人に指示を出す。

 

「ベルと命も『イシュタル・ファミリア』の本拠に乗り込んで二人で何とかして『殺生石』を破壊して来い。細かい判断はその場で各自が行え、どうやら悠長にしている場合ではなさそうだ」

 

「春姫えええぇぇーーー!!!!」

 

 カエルの鳴き声のような不愉快な絶叫が響き渡る。大斧を担いだアマゾネスがこちらに向けて走ってくる。

 

「行くぞ、『グレイル傭兵団』出動だ!」

 

 ワユが命とベルを引き連れその場を後にし、アイクが春姫を庇う様にラグネルを抜きながら前へ立つ。

 

「フ、フリュネさん……」

 

「春姫ぇ!お前ぇ、よくもアタイの獲物を逃してくれたねぇ!?」

 

「す、すいません……」

 

 フリュネに委縮してしまっている春姫、その前に立っているアイクはフリュネに向けてラグネルの切っ先を向ける。

 

「どきなぁ!貧弱なガキに用はないよぉ!」

 

「試してみるか?」

 

「……何ぃ?」

 

「言っておくが、お前に春姫の魔法が追加されたとしても、お前は俺には勝てん」

 

「へぇ……言うじゃないかぁ、貧弱なガキが」

 

「春姫」

 

「は、はいぃ!」

 

「しっかり捕まっておけ」

 

「な、何を……ひゃあ!」

 

 後ろにかばっていた春姫を肩に担ぎ、フリュネに相対するアイク。フリュネはそんなアイクを見てさも不愉快そうに眉を顰める。

 

「ガキ一人背負いながらアタイに勝とうってか?アタイも嘗められたものだねぇ……!」

 

「庇いながら戦うよりも、一緒に戦った方が守りやすい。それだけだ。春姫、お前は何もしなくてもいい、お前はただ俺にしっかり捕まってろ」

 

「は、はひぃ……」

 

「何だい春姫ぇ、そんな貧弱なガキに絆されたのかい?」

 

「御託は要らん、来るなら来い」

 

「……少し教育してやる必要が、あるようだねぇ!」

 

 その言葉を切っ掛けに、フリュネは担いでいた大斧を振りかぶり、全力でアイクに向けて振り下ろした。

 

* * * * * * * * * *

 

 ワユと命とベルは現在『イシュタル・ファミリア』の本拠へと向かっていた。命は何か気になることがあるのか、一緒に走っているワユに向けて疑問に思っていたことを問う。

 

「ワユ殿、一つ聞きたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」

 

「うん?どうしたの?」

 

「アイク殿の腕を疑うわけではないのですが、春姫殿を守りながらあの『男殺し』に勝てるのでしょうか?いくらアイク殿でも、人一人担ぎながら戦うことはかなりの負担になると思うのですが……」

 

「命、ついでにベルも。あたしと大将の戦績って知ってる?」

 

「いいえ、存じておりません」「僕も分かりません……」

 

「今までに確実に100回以上大将と戦ってる、でもあたしが大将に勝ったことは一回も無いんだ」

 

「「…………」」

 

「あのカエルみたいな人がどれくらい強いかは知らないけど、人一人背負ってるくらいじゃハンデにもならないんじゃないかな」

 

 話しながらも移動を続ける。そして彼女らは『イシュタル・ファミリア』の本拠へと到着した。

 

「止まれ!貴様等、何者だ?」

 

「ねぇ命、ここって普段門番なんて配置してるの?」

 

「いえ、基本的に『イシュタル・ファミリア』の本拠は男の冒険者が連れていかれることが多いので、門番は基本的に居ない筈ですが」

 

「ってことはやっぱり今日なんか重要なことが有るって言ってるようなものか……」

 

 ワユは腰に差している刀、『倭刀』を抜いて門番に向けて剣を向ける。

 

「止まれ、痛い目を見たくなければ来た道を大人しく引き――」

 

 最後まで言わせずにワユは倭刀の峰で門番を一人気絶させる。もう一人の門番が付きだしてきた槍を身を翻して躱し、再び峰打ち。二人の門番を気絶させた。

 二人の門番を気絶させたワユは本拠の扉に手をかけ扉を押すが、扉は開かない。試しに引いてみるがそれでも開かない。

 鍵がかかっていることを確認し、倭刀を腰に差し直しエタルドを抜くと扉に向けて一閃。木製の扉は木っ端みじんになった。

 

「二人とも、準備は良い?」

 

 ベルはナイフを構え、命は刀を抜いて戦闘態勢は整えられている。二人が首を縦に振り、三人は『イシュタル・ファミリア』の本拠へと乗り込んだ。




最後まで書いて投稿しようとした直前に前回の後書きでワユたちの方の話書くとか言ってたことを思い出して急いで書きましたww
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