蒼炎の勇者がダンジョンにいるのは間違っているだろうか   作:クッペ

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すいません、閑話一旦終わりといましたがもう一話だけ書かせてもらいます

本編の方のネタが思いつかないからでもあるんだけどね


閑話~ワユ編~③

 冒険者登録をしてから数日、あたしはまだあれからダンジョンに潜っていない。というのもダンジョンについての知識をある程度覚えさせてからじゃないとダンジョンに潜らせては貰えないらしい。

 ギルドの講義室っていうところであたしはエイナさんから講義を受けさせられていた。

 

「……じゃあワユさん、ゴブリンと戦うときの注意点は?」

 

「敵に攻撃をさせないようにズバッと切り捨てる、先手を取られたら躱してズバッと切り捨てる!」

 

「違います!何度言ったらその脳筋思考を直してくれるんですか!?」

 

「そうはいっても大将と戦ってた時とか向こうで戦ってた時なんかはそんな感じだったし」

 

「そんな戦い方を覚えさせた大将っていう人に説教しないといけませんね」

 

「ねー、エイナ、もういいじゃん!あたし誰にも負けないし。今なら大将にだって勝てる気がする!」

 

「だからその大将って誰なんですか!?それに、そう言って油断して帰ってこなかった冒険者は大勢いるんです。私達はそう言った人たちを少しでも減らさなくては行けませんから」

 

 ダンジョンで戦ったモンスターよりも導きの塔で戦った竜鱗族の方が間違いなく強いんだけど……あの禿げ黒竜王なんかはダンジョン吹き飛ばせるんじゃないかな?

 

「ではもう一度、コボルトと戦うときの注意点は?」

 

「敵に反撃する隙を与えずに切り捨てる」

 

「もーーーー!ちっがうーーー!」

 

* * * * * * * * * *

 

「ただいま……」

 

 ヘスティア・ファミリアのホームに帰るころにはすでに日が暮れていた。あの後何とかダンジョンに潜る許可は貰えた、その時のことは思い出したくない……もう一生勉強しなくてもいいんじゃないかっていうくらい頭使ったなあ……

 ホームに着くと誰もいなかった。ヘスティアは恐らくバイト。神様がバイトしている世界って何なんだろう……

 ベルはダンジョンに潜ってるんだろう。最近手合わせどころか誰とも戦ってないから、そろそろ欲求不満になって来た。

 

「ただいま帰りました」

 

「ベル、お帰り」

 

「ただいま帰りました、ワユさん。神様はまだ帰ってないんですか?」

 

「まだバイトだって。もうベルでもいいかな……ねぇベル、今暇?」

 

「え?まあこの後は特に予定はありませんけど」

 

「じゃあさ、あたしと戦ってみない?鍛えてあげよっか?明日からあたしもダンジョンに潜れるんだけど、最近戦ってないから身体が訛っちゃっててさ」

 

「え?今からですか?」

 

「そ、今から!」

 

「はあ……確かにレベル7の人に鍛えてもらえるなら願ったり叶ったりですから。よろしくお願いします!」

 

「じゃあ暴れても問題なさそうなところに行こうか……案内よろしく!」

 

* * * * * * * * * *

 

 ホームから少し歩いてオラリオを一望できる時計塔の広場に到着した。ここならある程度暴れても問題なさそうだし、それなりのスペースがあってちょうどいい。

 

「じゃあ始めよっか。言っておくけど、手加減は無しだからね!手合わせでも手加減なんかしてたら強くなれないって言うのが、あたしと大将の自論だから」

 

「はい、よろしくお願いします!」

 

 腰にさしている剣、『倭刀』を抜いて峰をベルに向ける。手加減しないと言ってもキルロイさんがいないんじゃ万が一ということもあり得る。この世界って回復の杖とかないのかな?

 ベルは黒いナイフと普通の鉄のナイフを抜いて構える。

 

「どこからでもおいで!」

 

 黒いナイフで切り付けてくる。それを難なく回避し、がら空きの懐に刀を打ち据える。

 

「うわっ!」

 

 恐らく我流なのだろう。それに短剣はその名の通りリーチが短い。

 自らの速さを以って敵に多くの攻撃を叩きこまなくてはならず、隙を上手く突かないと一方的にあしらわれてしまう。

 ベルは今の一撃をもろに受けあまりの攻撃力に一撃で気を失ってしまう。

 

「……あれ?おーい、ベルー?」

 

 ワユは気を失ったベルの頬を何度か叩くが全く反応が無い。

 ベルが気を失っていることを確かめながらワユは今までの講習でエイナに言われたことを思い出していた。

 ワユはレベル7。オラリオのみならず世界最高峰のレベル7だ。レベルは一つ違うだけでも明確な実力差が生まれてしまう。

 レベル7のワユがレベル1のベルに峰打ちとはいえ全力で攻撃したらどうなるか。下手したら死んでいてもおかしくはないのだ。

 暫くして、ベルは目を覚ました。

 

「痛たたた……すいません、早々に気を失ってしまったみたいで」

 

「ううん、手加減しないで攻撃しちゃったあたしも悪いよ。そう言えば講習で言ってたな。レベルは一つ違うだけでも全然実力差が有るんだったね」

 

 そしてワユはベルが気絶している間に考えていたことをベルに伝える。

 

「ねぇベル、短剣だけじゃなくて普通の剣も使ってみない?」

 

「へ?普通の剣、ですか?」

 

「そう、短剣だけだとどうしても火力が足りなくなっちゃうし、相当自分が早くないと十全に扱えないんだ。それにベルは体が小さいでしょ?」

 

「うぐ!」

 

 気にしていることをズバリと言われて返答に詰まる。それに構わずにワユは続ける。

 

「メインの武器は短剣でも大丈夫。ただ普通の剣だって便利だよ?自分の速さを生かして戦うところは短剣とそう大差はないし、短剣よりも相手から距離を取って戦えるから攻撃を外した際のカウンターのリスクも減る。それに……」

 

「それに……?なんですか」

 

「あたしの剣術、あたしの奥義、それを普通の剣なら全部教えてあげられる」

 

「奥義……ですか?」

 

「うん、ちょっと見ててね」

 

 腰からエタルドを抜き剣を構える。

 右袈裟切り、そのまま切り上げ、切り上げた勢いを使って半回転しながら薙ぎ払い、バク中をしながらの切り上げ、着地した勢いを殺さずに突き、これを目にも止まらぬ速さで繰り出す。

 

「うわぁ……!すごい!すごいですね!」

 

「奥義『流星』。高速で敵に五連撃をぶつけるっていう単純な技だけど、この速さなら敵に防御も反撃の隙も与えずに、一方的に攻撃を浴びせることができる。短剣でもできるかもしれないけど、敵との距離感を考えると普通の剣の方がベストだね」

 

「ワユさん……僕にもその奥義、使えるようになりますかね……?」

 

「あたしが全部教える。強くなりたいんでしょ?憧れの勇者様に近づきたいんでしょ?」

 

 あたしはヘスティアからベルのスキルについて聞いていた。早熟することよりも憧れが続く限りということに注目している。

 そしてベルの話を聞く限り、その憧れの相手は間違いなく大将だ。

 

「はい!僕はアイクさんみたいになりたいです!誰にも負けない、仲間を守るために戦うあの勇者に!」

 

「決まりだね。じゃあ武器は暫くこれを使ってよ。じゃあ明日から特訓開始だよ!」




ベル君流星フラグ

使う場面は考えてあります。ただその時点では劣化流星でしょうけど……


そしてごめんなさい、ポケモンサンやってました
先週初めて今日UB全部捕獲し終えました。自分はガチ勢ではないので厳選まではやるつもりはないです

ガチでやるのはFEのスマホ以外で充分です

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