モンスターハンター 健啖少女とハンターさん   作:ストスト

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健啖少女、名前を授かる。

少女の叫びから数分後。

2人はベースキャンプでネコタクを待っていた。

 

少女の方はベースキャンプにあった毛布に

くるまって、ザントが焼いてくれた肉を

ベットに座って頬張っている。

 

「……なぁ、さっきも確認したが、

本当にお前あのイビルジョーなのか?」

 

「何を言う。貴様がさっき私の口に投げ込んだ

キノコのせいで、こんな姿になったんだぞ」

 

「キノコ……?キノコって、どんな?」

 

少女は肉を食べ終わると、残った骨を

口に咥えながらキノコの特徴を話した。

 

「紫っぽい色をした、変な匂いのする

キノコだ。おまけに味も変だった」

 

「……ドキドキノコか……」

 

ドキドキノコ。それは食べると

時には元気になり、またはその逆になったり、

毒があったり。とにかく食べた者には

様々な効果をもたらす不思議なキノコなのだ。

 

「いやでも、ドキドキノコ食っただけで

イビルジョーがこうなるか?」

 

そう言いながら、ザントは少女の姿を

改めて確認した。

暗緑色の長い髪に、気の強そうな顔。

ぱっちりと開いた瞳は、紅いルビーのような

色をしている。

恐らく、歳の頃で言えば16〜18位か。

肌は白磁の如く白く、軽く触れただけで

壊してしまいそうな感じだった。

 

「だーかーらーぁ‼︎私はイビルジョーだと

何度も何度も言ったはずだぞ‼︎」

 

足をジタバタと振りながら、少女は

自分がイビルジョーだと言って聞かない。

 

「じゃあ、なにか証拠を見せてくれよ。

そうしたらイビルジョーだって認めてもいい」

 

「むう……仕方のない奴め。

良いだろう。この私の力の片鱗を、

貴様に見せてやる」

 

ふくれっ面になりながらも、少女は

ベットから立ち上がると、ベットのそばにある

木の元に立った。

木といっても大木とは言えるほどのものではなく

今の少女が丁度抱えられる太さの木で、

2〜3m位の長さがあった。

 

「よっと」

 

少女はそれを抱えるや否や。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メリィッ‼︎という音と共に木の根が

半分露出するまで引き抜いた。

 

「……はあああああッ⁉︎」

 

しかもそれだけでは終わらず、

少女は木の根を引き裂きながら、とうとう

完全に木を引っこ抜いてしまった。

 

「ふふふ、どうだ?これでこの私が

イビルジョーだって認めてくれるよな?」

 

木を抱えたまま、ドヤ顔でザントを見る少女。

 

「あ、……ああ。分かった。認めるよ。

お前、本当にあのイビルジョーなんだな……」

 

とりあえず木を下ろすように伝えると、

少女は素直にそれに従った。

と、いつのまにか少女が先程まで

咥えていた骨がどこにも見当たらない事に

ザントは気付く。

 

「あれ、お前咥えてた骨はどうした?」

 

「食ったに決まってるだろう。

……にしてもこの姿、色々と不便だな。

顎の力も何も、色々と弱くなった気がする」

 

両方の手を握ったり開いたりしながら、

少女はボヤいた。

と、ザントの方を向くと、とんでもないことを

言い放った。

 

「人間。私をこんな姿にしてくれたんだ。

……責任は必ず取れよ?」

 

「せ、責任って……どんな?」

 

まさか、と思いつつも、ザントは少女に

聞いた。

どのような責任の取り方なのかを。

 

「貴様、私とつがいになれ」

 

つがい。それは人間で言えばカップルに

あたる言葉だと理解した刹那、

「いやいやいやいやいや‼︎無理だって‼︎」と

ザントは思わず叫んでいた。

 

「何が無理だ‼︎男なら責任とれ‼︎」

 

「イビルジョーと人間だぞ⁉︎」

 

「今はどちらも人間だろうが‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、つがいになる、いやならないという

論争が30分程続いた頃。

ようやっと少女をザントの家に泊めるという

折衷案で決着が着いた。

 

「となると、名前が必要か……おい、

お前名前なんて言うんだ?」

 

「名前?何だそれ、美味しいのか?」

 

こてん、と首をかしげて頭に疑問符を

浮かべる少女。

今まで名前など必要のない環境で

暮らしていたのだ。

名前など必要なかったのだろう。

 

「しょうがないな……俺が考えるか。

イビルジョー……ジョー……イル……」

 

と、ザントは少女の名前を閃いた。

 

「ルイ……っていうのはどうだ?」

 

「ルイ……ルイか。いいな、それ」

 

「名前」を与えられた少女……ルイは

嬉しそうにザントに笑いかけた。

それと同時に、彼女の腹の虫が鳴った。

 

「名前とやらも決まったことだ。

腹が減った。何かくれ」

 

「はいはい」

 

ザントは先程こんがり肉を食べていたはずの

少女の食欲に苦笑いしながらも、

二本目の肉を焼き始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

……その後、ネコタクが到着してから、

ギルドに至るまでに五本ものこんがり肉を

要求されることになるとはザントには

知るよしもなかった。

 




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