モンスターハンター 健啖少女とハンターさん   作:ストスト

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健啖少女、ハンター試験を受ける。

ハンターギルドにて。

 

「なぁ、まだ私の番は来ないのか?

もう腹が減ってしょうがないぞ」

 

「お前はいつも腹減ってんだろうが」

 

そう言いながら俺の横にいるルイは、

先程俺が買ってきたタンジアチップスを

頰張っていた。

 

今日は、ルイのハンター試験の日だ。

先日何故俺がルイを誘ったのかと言えば、

彼女のおかげで食費が跳ね上がり、

家計が火の車に陥ったのをなんとかする為と、

もう一つ、ルイにはハンターが合っているのでは

という俺の考えからだ。

いままで彼女は自分で獲物を狩り、食って

生き延びてきた。そんな彼女なら

刹那の判断が要求されるこの仕事も容易に

やっていけるはずだ。

 

「おーそーいー‼︎ええい、こうなれば

この私が直々にどのような力を持っているか」

 

「待て待て待て。落ち着け、もう少しだから」

 

もう待っていられぬとばかりに受付嬢の

所まで行こうとするルイを羽交い締めにして

なんとか妨害する。

 

「ぬう、離せザント‼︎」

 

「くおっ……こいつ意外に馬鹿力を‼︎

あと少しだから、お願いだから静かに……‼︎」

 

俺に羽交い締めされたままの状態でルイは

俺を引きずりながら向かってゆく。

と、その時だった。

 

「ルイ様ー。ルイ・エルシード様は

いらっしゃいますかー?」

 

受付嬢が声を張り上げてルイの名を呼んだ。

 

「ここだ‼︎私はここにいるぞ受付嬢よ‼︎」

 

ああ、やっと呼んでくれた、と思い手の力を

緩めた瞬間、俺はルイの奴に

腹を蹴り飛ばされていた。

 

「ぐふぅ⁉︎」

 

「ルイ・エルシード様ですね。

適正テストの準備が整いましたので、こちらへ

どうぞ」

 

「うむ、苦しゅうない」

 

俺の事など気にも止めることもなく、

ルイは受付嬢の人に連れられてゆくのだった。

解せぬ。

 

 

 

 

 

 

 

 

蹴りの痛みが収まってから数分後。

俺はギルドの闘技場の観客席に座っていた。

ルイの戦いを見る為だ。

 

闘技場の真ん中のステージにはルイは

まだおらず……一頭のドスジャギィが

ウロウロしていた。

 

「グルルルルルル……」

 

おそらくはまだ若い個体だろう。

黒い首環がかけられている。

おそらくギルドの適正テストの内容とは

このドスジャギィを狩り、首環を

手に入れることなのだろう。

 

「さて、と……ルイは何の武器で来るんだ?」

 

と、ドスジャギィから反対の入り口から、

ルイが現れた。

 

背中には……大剣を背負っている。

初心者向けの≪アイアンソード≫だ。

 

まあ、彼女の性格的に遠距離はないだろうと

思ってはいたが、大剣は意外だった。

せいぜいハンマーぐらいだと思っていた。

 

ルイは身長が大体160cmぐらいなので、

ルイが大剣を背負っているというより

大剣がルイを背負っているように見えてしまう。

 

ドスジャギィがルイの存在に気付く。

 

「ウオオオオオ‼︎」

 

聞きようによっては狼のそれに酷似した

唸り声を上げながら、ドスジャギィが

ゆっくりとルイへと近付いてゆく。

 

それと共にルイも、ぱっちりとした双眸に

ドスジャギィの姿を収め、大剣を抜いた。

 

 

 

 

 

 

 

……片手(・・)で、だ。

 

 

 

「は、ああああああああ⁉︎」

 

その俺の叫びと同時にドスジャギィが

ルイへと駆け出した。

 

「オオオオッ‼︎」

 

繰り出すはルイの体を噛み砕かんとする

噛みつき。

しかしそれがルイへと到達する前に。

 

「よっと」

 

ルイの大剣の横っ腹に顔を張り倒され、

思い切り吹っ飛ばされた。

 

宙を舞い、地面に強かに叩きつけられる

ドスジャギィ。

 

「ふむう……人間とやらは非力よの。

このようなものを両手でないと持てないとは」

 

ぶぉん、ぶぉんと大剣を片手で振り回しながら

ルイは気怠げに呟いて、ドスジャギィへと

歩いてゆく。

 

「ル、オオオオ……」

 

なんとか起き上がろうとしているドスジャギィ。

だがダメージが大きいらしく、

中々立てないでいる。

 

そうこうしているうちにルイはドスジャギィの

近くまで来て。

 

「……ふっ」

 

軽い声と共に、片手でドスジャギィの

首へと大剣を振り落とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ふん、肩慣らしにもならんな」

 

生首となったドスジャギィから首輪を

奪い取るルイ。

 

と、そこで俺の存在に気づいた。

 

「おーい、ザントー。私の力を見たかー?」

 

「あ、ああー。ちゃんと見たぞー」

 

それを聞いてにぱっ、とルイは笑った。

ああ、だけど。大剣を持ったままで

ぶんぶん降らないで……。

すっぽ抜けたらどうしようってヒヤヒヤするから。

 

 

 

 

 

 

「うむ、やはり体を動かした後の飯は

格別だな‼︎」

 

もっきゅもっきゅと咀嚼しながら

ルイは唐揚げを一つ俺から奪っていった。

 

「そうだ。ルイ、ハンターカードを見せてくれよ」

 

「今の私は機嫌が良い。いくらでも見せてやろう」

 

そう言ってルイのハンターカードに書かれた

ハンターランクは、俺と同じ。

 

「……嘘やん……」

 

「む?どうしたザントよ。食べる気が

ないのなら、私が全部食べてしまうぞ?」

 

俺ががっくりしている理由など露知らず、

ルイは俺のランチを食べ始めるのであった。

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