D.C.ⅡS.C. 〔1〕   作:消雪

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〔14〕 3ヵ月後

~学校~

~昼休み~

 

 

『今回、うちのクラスは大穴という訳にいかない。前回は優勝したのだからな』

 

『ま、そうなるだろうな』

 

『もしトトで儲けるとするなら、更に厳しいのが、うちのクラスがまた優勝しないといけない事だ』

 

『本当にそれだな』

 

 

 

3か月後、トレーニングは順調に行っている。

次の運動会まで、それも3か月後だ。

 

現状において、一番大敵になるのは足を痛める事だ。休息も大事という事で、今は普段より長く足を休めている。

 

ここまで来たら、次の運動会も本気でやる。

だが、トトカルチョの方はよく解らないので、早めに杉並と打ち合わせしていた。

 

 

『だが、まだ手はある』

 

『どうするん?』

 

『ある種目を提案し、得点が高くすればいい。その種目を桜内、お前がやるんだ』

 

『……その種目が通ったとして、どうやって得点を高くするんだよ』

 

 

『駅伝の様な長距離走を提案すればいい。得点を高くせざるを得ないだろう』

 

『杉並……、それは通るとは思えない。何時間走らせる気だ』

 

『落ち着け。せいぜい5周だ。提案する価値はあると思うぞ』

 

『………』

 

 

 

確かに、杉並の言っている事は正しい。

うちのクラスは、運動系の部活をやっている生徒が少ない。

 

だから、全ての種目が全て均等なスコアになると、部活動をやっている生徒の多いクラスが断然有利になる。

それだけは覆しようがない。

 

 

『そっちの方は任せるよ。それと、ついでに提案してほしいものがある』

 

『ほう、なんだそれは?』

 

『運動会は学年別だ。全学年の種目を付けて、何とか高坂先輩と勝負したいんだが……』

 

『桜内、二兎追う者は一兎も得ずというぞ。その勝負は運動会以外でもできるであろう』

 

 

『そうだな。まずはトトだな。忘れてくれ』

 

『ま、面白いものが見れそうだから、一考はしてやろう。ただし、望み薄が前提だ』

 

 

 

~学校~

~放課後~

 

 

 

『………』

 

 

俺は靴箱で靴を履き替え、外に出ると意外な物が目に映った。

先生らが駐車場に使っている場所に、パトカーが止まっていた。

 

 

『!!!』

 

 

 

俺は戦慄して、すぐに生徒会室に走った。

いや、この場合は職員室の方かも知れない。

 

すぐにUターンして、職員室へと駆けた。

 

 

 

~職員室~

 

 

 

『先生、パトカーが止まっているが何かあったのですか!』

 

 

俺は近くに居た先生に声をかけた。

あまりの剣幕だったせいか、一瞬戸惑った様に見えた。

 

 

 

『今回の盗難の件だ。反省してもらう為に呼んだらしい』

 

『何だと。で、どこにいる!』

 

『いや、知らんが……』

 

『………』

 

 

 

こいつ、とぼけている。

だが、すぐに生徒会室だと直感した。

 

職員室を尻目に、一気に走って生徒会室へと向かう。

このままでは、一ツ橋に嘘をついた事になる。何とか止めないと。

 

 

~生徒会室~

 

 

 

ドアにはカギを掛けられている。室内は静まり返り、人気がない感じがした。

だが、感情が抑えきれず、俺は乱暴にドアをノックした。

 

 

『ここを開けてくれ。居るんだろ?』

 

 

 

だが、全く反応がない。

もはや反応は、何があったのかと俺を見ている周りの生徒たちの方だ。

 

ドアをバンバン鳴らして蹴りまくったが、硬すぎてどうにもならない。

 

業を煮やして、俺は窓ガラスを殴り割った。

 

ガラスの割る音と同時に、女子生徒が叫び声をあげる。

殴った右手は、ガラスの破片が刺さり、皮膚は所々破れて血だらけだ。

 

激痛に堪えながらも、窓ガラスのロックを丁寧に外して窓を開けた。

 

 

『………』

 

 

 

最初に目に入ったのは、警察二人が何事かと警棒を構えており、その机をまたいで一ツ橋が座っていた。

 

その奥の方に、生徒会がズラっと並んでいる。

生徒会が約束を破ったのは一目瞭然だ。

 

 

『騙したな!』

 

 

 

俺は逆上して、近くに居た生徒会を両手で突き飛ばすと、イスを持ち上げて周りの物を破壊していた。

警察や生徒会員に取り押さえられ、逆上したせいもあってか、その後の記憶は殆どない。

 

一つだけ記憶があるとすれば、1週間の停学処分にされた事だ。

 

 

~公園~

 

 

 

停学処分後、俺はいつものトレーニングを行っている。課題も教科書をそのまま書き写すという簡単なものだ。

 

だが、感情のコントロールはまだまだ出来そうにない。

 

小恋の話によると、一ツ橋も『警察は呼ばないはずだ』とまくし立てたらしい。

生徒会側の言い分は、一ツ橋はいつまでも事実を述べる事をせず、反省も見られないからお灸をすえる意味もあったとの事。

 

前言として、警官から逮捕ではないと怖がらせない様に明るく言われたそうだ。

だが、生徒会や先生が警察を呼ぶのは、俺と一ツ橋からすれば、話や約束から違えてしまっている。

 

その後、一ツ橋は不登校になってしまったようだ。

何の前触れもなく、相当驚いたのだろう。

 

 

警察を呼ばれたのだから、学校内に深刻性を広めてしまい、一ツ橋にとっては、一層生徒らの視線を強く感じざるを得なくなる。

 

生徒会の人間全員が口が固い訳でもない。

『これ、内緒な』と最初の決まり文句を言って、いくらでも広がる可能性の方がある。

 

 

マヌケな事に今、生徒会では一ツ橋の登校を全力で呼び掛けているようだ。

 

 

『……ったく』

 

 

 

俺にとってもトレーニングに集中できるものではなく、何とかコンタクトは取りたい。

俺は一ツ橋に嘘をついた事になるのだから。

 

だが携帯は、着信拒否にされて電話を繋がらない状態だ。

誰とも関わりたくないのなら、俺もどうする事もできない。

 

 

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