D.C.ⅡS.C. 〔1〕   作:消雪

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〔25〕 -終ー

~家~

 

 

 

『そろそろ、支度するか』

 

 

 

俺は運動会の打ち上げで、クラスメンバーを全員喫茶店に呼んだ。

今は懐が暖かいから、こういう金の使い方も悪くはないだろう。

 

俺たちにとって運動会は、いい思い出として残るだろう。

それなら、もっといい思い出としておきたい。

 

 

結局、クイズ大会は既に生徒会に知られており、杉並がクラスメイトに配当金を配る前にすぐに捕まってしまった。

 

前回と同じく、全て没収されると思っていた。

俺は運動会に大きな結果を残す事が出来たので、以前の様な感情のくすぶりはなかったが……

 

 

……

 

 

 

~学校~

~生徒会室~

 

 

 

『はい、これ。私たちは見なかった事にしておくから』

 

『……これ、配当金の?いいんですか?』

 

『弟君を怒らせたらすごく怖いからね。でも変な事には使わないで』

 

『……これ』

 

 

 

俺は高坂先輩に封筒を受け取ると、妙な厚みを感じて慌てて金を数えた。

6万円も入っている……

 

俺だけいいのだろうか。

頭に買いたい物が色々と浮かんだが、俺だけ一人で使うのは罪悪感を感じる。

 

 

 

『自由に使っていいんですよね?』

 

『……何に使うの?』

 

『この金を使ってクラス全員で打ち上げをしようかと』

 

『ま、妥当ね。でも、お金の出どころは言わないでね』

 

 

『良かったら、一緒に飲み食いしませんか?音姉も由夢も呼ぶつもりだし』

 

『太っ腹ね。早速お金が無くなるわよ』

 

『クラス全員が頑張ってくれたし。何だかお金の使い方が前回と変わらない気もする』

 

『ホントね。使い方は前回と変わらないのに、なんで弟君はあんなに怒ったのだか』

 

 

……

 

 

 

~家~

 

 

『………』

 

 

 

ふと、洗濯されたジャージやTシャツに目が止まった。

少し前は、自分がいつもトレーニングに使い酷していたものだ。

 

いつも汗まみれにしていた運動着だが、こうやって静かに置かれていると何だかしんみりしてしまう。

……自分が走っていた時の記憶が鮮明になり、切なくなる。

 

 

 

『いかん、いかん』

 

 

 

今日の主役は俺なんだし、辛気臭いのは止めておこう。

あまり気になるなら、また走って汗まみれにしてやればいい。

 

俺は玄関へと向かうと、今度は運動靴に目が止まる。

 

 

 

『………』

 

 

 

トレーニングしていたあの時の思い出が、あちこちに散らばっている。

500mlの空っぽのペットボトルも、汗拭きの専用に使っていたタオルも。

 

 

 

『そうか、お前らも来たいんだな』

 

 

 

俺はカバンを取り出しTシャツ、タオル、シューズと片っ端からカバンに詰め込んでいった。

一緒に祝ってやろう。トレーニング中に世話になったのだから。

 

よし、気持ちも全て切り替わった。

忘れ物は何もないはずだから。

 

 

 

END

 

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