「は?新曲がラブソングになりそう?」
「そうなんよ……」
「それで、どうしてその報告を昼休みに?」
「実はね……」
*******
「決勝の曲はどうしよっか?」
「そうですね……残りの日数を考えると、これまでの楽曲からパフォーマンスを磨いたもののほうがいい気がします」
「そうかもね」
「A-RISEや他のスクールアイドルはどうするのかな?」
「にゃ~。悩むにゃ~」
「審査員がいるんだから、パフォーマンスのクオリティを優先するべきよ」
「私もそう思うわ。決勝だし」
「ちょっと待って。皆、それでいいの?」
「エリチ?」
満場一致で決勝には、これまでの楽曲で挑もうという流れになっていたけれど、急にエリチが反対を表明した。何やろ?嫌な予感しかしない。
すると、エリチはこれ以上ないくらいのドヤ顔で告げた。
「ラブソングにするべきだと思うのよ!!」
「「「「「「「「ラブソング……」」」」」」」」
つい皆の声が重なる。
まさかの提案だったからだろうか。にしても、何故このタイミングで?
首を傾げていると、まず海未ちゃんが真っ先に口を開いた。
「あの、ラ、ラブソングとはつまり……恋愛の歌、ということですよね」
「ええ。そういうことになるわね」
「わあ……絵里ちゃん、大胆です」
「そうかしら?でも、アイドルが恋愛ソングを歌うのは普通じゃない?」
「ま、確かにそーね。むしろ歌わないほうが珍しいわ」
「私達が歌わなかった理由は……ねえ」
「どうせ誰も経験がなかったからでしょ」
「真姫ちゃんもにゃ」
「う、うるさいわね!」
ラブソングという単語だけで、ここまでざわつくとは、さすが女子高生やね。うんうん。
そのざわざわを納めるように、エリチが手をぱんぱんと叩く。
そして、再び不敵な笑みを見せた。
「確かにこれまでは経験者はいなかったわ。こ・れ・ま・で・は。でも、今は違うでしょ?」
「「「「「「「…………」」」」」」」
「な、なんで皆してこっちを見るん?」
皆が見たことのないような目つきでこちらを見ている。
軽いホラーやね、これは……。
「希。μ'sのために一肌脱いでもらえないかしら。赤裸々にあなたの体験を語ってくれるだけでいいから」
「ええぇ……」
*******
「というわけなんよ。あはは」
「というわけなんですか」
「それでね。ウチは考えたんよ。この状況を打破する策を」
「はあ……」
「八幡君。明日、こっち来てくれない?」
「はい?いや、あの……もしかして巻き添えにしようとしてます?」
「うん♪」
うわあ、こんな可愛い声音で人を巻き添えにする人初めて見た。
だが断る!!
「いや、何と言いますか……俺があれこれするよりも、希さんが説明したほうが効率いいと思うんですが……」
「八幡君はウチが皆から一肌脱がされても……いいの?」
「いや、一肌脱ぐって言葉まんまの意味じゃ……」
「ウチが八幡君のあれこれを全て話しても……いいの?」
「あ、やっぱり行きます」
即決即断。
そりゃそうだろう。そんなの怖すぎる。
μ's内とはいえ、あれこれバラされたら恥ずかしいに決まってる。性癖とか。いや、さすがにそんな話はしないだろうけど。
「ごめんねぇ、休日に」
「……まあ、これもデートの代わりだと思っときますよ」
「ふふっ、八幡君もそういう事言えるようになったんやね。お姉さんは嬉しいよ」
「そりゃどうも。じゃあ、集合時間とか決めときますか」
「そうやね。あ、八幡君」
「?」
「決勝戦終わったら、どこか行こうね。二人だけで」
「は、はい……どうかしたんですか、いきなり?」
「うん。君に会ってみたいって両親が言うから、それに向けて、親密度をさらに上げておきたいなって」
「ああ、なるほど……………………え?」
なんか急に重大イベント発生した気がするんだが……。