彼女に出会った高校生活   作:ビタミンB

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な、な、なんと!日刊ランキングに載りました!
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到着、そして

 

 

 

 

「ん〜っ! やっぱり森って空気おいしいよね〜!」

 

 そう言って大きく伸びをする。胸いっぱいに吸い込んだ呼吸は本当においしくて、澄み切っている感じがした。

 

「そうね」

「森っていうか山でしょー?」

「あははー、確かに」

 

 多くのクラスが入り乱れている中、現在アタシは友希那や他の友達と他愛もない会話をしながら山道を登っている。

 とは言っても傾斜は比較的緩やかなため疲労はなく、会話やコミュニケーションが主な学校の遠足らしい登山になっていた。

 

 今頃修哉はどうしてるのかな? 

 一度友希那に聞いてみたことがあるけど、クラスで人と話しているのを見た事が無いらしい。

 ……友達いないのかな……? これだけ仲良しが集まって山登りしてる中で1人黙々と歩く修哉……。

 だ、大丈夫だよ! うん! もし修哉に友達がいなくてもアタシは友達だから! それにRoseliaのみんなもいるし、友希那だっているんだ。

 

 1人でいる修哉の姿が簡単に想像できてしまった事への罪悪感でとっさに心の中で言い訳をする。

 そう言えば修哉はクラスで友希那にアタックしてるんだろうか。学校でもっと話しかけてみることを最初に勧めてはみたけど、実のところアドバイスが的確だったのか自信が持てないでいた。

 

「ねぇ友希那。修哉のことなんだけどさ」

「……? なにかしら」

 

 

「えぇー! 嘘ー! だって今もリサちーのこと見てたじゃん!」

 

 

 

 友希那にさり気なく聞いてみようとしたその時、後ろから突然そんな声が聞こえて来る。かなり声が大きかったため、つい反射的に振り返る。自分の名前が聞こえたから余計に気になった。

 

 声の方向に視線を振ると、友希那や周りにいた人もみんなある一点に注目している。

 そこにはぎこちない動きで辺りを見回す修哉と、アタシのクラスメイトの日菜がいた。

 そこで、修哉とふと目が合う。が、それも一瞬で、周囲の視線から逃げるように2人は後ろの方へ逃げて行ってしまった。

 

 

 それにしてもさっきの日菜のセリフだ。

 

『今もリサちーのこと見てたじゃん!』

 

 そのままの意味で捉えると修哉はアタシを見ていた事になる。けど、何か違う気がするんだよねー……。

 

「あっ……。はは〜ん、友希那のこと見てたな〜♪」

 

 多分、それを日菜がアタシを見ていたと勘違いしたんだろう。ふふーん、と自分の推理力に感嘆していると、隣で友希那が首を傾げているのが見えた。

 

「リサ……? 私がどうかしたのかしら」

「あ、いやいや! なんでもない! あははー……」

「……そう?」

 

『怪しい……』と目で訴えて来る友希那に苦笑いを返す。危ない危ない。

 

 だんだん興味も薄れて来たのか、周囲はさっきと同じようにそれぞれの会話に戻っていった。アタシも再び前を向いて足を進める。

 

 これは後でからかっちゃお〜っと♪ 

 楽しみが1つ増えた事で自然の悪い笑みが漏れてしまう顔を抑えて、アタシはまた友達との会話に花を咲かせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ○ ● ○ ●

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一定のリズムを刻みながら足を前に出す。

 朝から斜面を登り続けているが不思議とその疲れはなく、どちらかと言うと先ほど突然現れて台風のように去っていった氷川に体力を持ってかれていた。

 リサの事を親しげに呼んでいたからリサのクラスメイトか? それともバンド繋がり? どちらにせよ俺の苦手なタイプの人間である事に変わりはなかった。

 山の神がいたらさっきみたいな接触を防ぐように願おう。じゃないと俺のメンタルが持たない。

 

「ふぅー。空気うまっ」

 

 ため息ついでに大きく息を吸い込む。

 こう言う場所の空気って美味しいよね。植物が生成した酸素で満たされてるからだろうか? 詳しくは知らないけどそんな所だろう。あとこの湿度の高い感じもポイント高い。梅雨は嫌だけどこう言うタイプの湿気っていいよね。キノコと友達になれそう。

 

 登り始めは見渡す限りの緑でほぼ景色なんて無かったが、今はそれなりに高度が上がっている。時折、木々の隙間から見える景色は少しづつだが確実にこの登山の終わりを告げていた。

 

「スト〜〜ップ! 一旦全員止まれ〜。先頭の方に集合しろ〜!」

 

 前方から声が聞こえる。多分先頭にいる教師の声だろう。距離が開いているせいで小さくしか聞こえなかったが、みんな一度足を止めて小さく歩き出した。

 ストップなのか集合なのかどっちだよ。

 

 人の流れに身を任せて歩き続けると、小さく開けた場所に出た。そこから少し進んだ所には木製の階段が続いていた。200……いや、300段くらいあるか。

 

「何となくわかると思うがこの階段を登りきったら到着だ。そこでだ。ただ歩いてただけだから刺激が欲しいだろ? なぁ男子!」

「うぉぉぉぉぉぉぉぉおおお!」

「うるさっ」

 

 何でこう、うちの男子はノリがいいんだろうか。常時スーパーハイテンション過ぎるだろ。急すぎて話にもテンションにも付いていけないわ……。

 

「いい返事だ。じゃあ男子、お前らは階段ダッシュで先に行け! 登りきったら各自休んで待つように。はいGO!」

「うらぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!」

「えぇ……」

 

 おいやめろよお前ら。それもう奇声の域だろ。女子も若干引いてるし。同じ男子の俺もドン引きだよ。

 冷静なやつは居ないのか、全員狂ったように階段に向かって走り出す。

 ……耐えろ、階段。

 

 さーて、俺だけでも冷静沈着に落ち着いて行こうじゃないか。周りに流されずに我を貫く俺、かなり印象いいんじゃね? 

 発想の逆転でノリが悪いと言われてしまえばそれまでなんだけど。

 ゆっくり歩いていると、肩に手を置かれる。振り返ると担任がいい笑顔で俺を見ていた。……嫌な予感。

 

「おい本街、なんで歩いてんだ?」

「いや先生、よく見てください、あの光景を。学年の男子全員があのテンションで階段を登ってるんですよ? 同調して突撃して誰かケガでもしたらどうするんですか。つまり俺は一歩引いた所から全体を見て、安全かつ理性的な行動をしてるだけなんです。日本人特有の譲り合いの精神ですよ」

 

 いやー、悔しいなー。俺も早く登りたいなー。でも安全の為だ、仕方ない。と、わざとらしく小声で呟く。

 これにより意欲はある事を示す。さて、どう出る……! 

 

「屁理屈はいいからお前も走れ」

「でも安全が」

「い い か ら」

「イエス!」

 

 ライオンに遭遇したシマウマのようにその場から急いで駆け出す。階段に視線を振ってみても、男子集団の最後尾でさえ既に階段の中腹を通過している。

 

「くっそぉぉぉぉぉおおおお!!」

 

 もう戻れないと判断し、先程の男子どものように声を上げる。これで俺も仲間入り。仲良くしようぜお前ら! 

 冷静な思考は何処へやら、その場の勢いに任せて俺は全力で階段の一段目を踏みしめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ○ ● ○ ●

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ゛ぁぁぁぁー……。まだ気持ち悪い」

 

 普段からほとんど運動をしない体が悲鳴をあげる。全力ダッシュの直後よりも幾分かマシにはなったが、それでもまだ気分が重い。

 

 

 あの後、遅れて登ってきた女子と合流すると、再びクラスごとに整列し、点呼をとった。ただ、そんな中でも気の迷いでさっきの戦争に参加してしまった文科系男子の群れがグロッキーな事になっていた。

 

「ひとまずお疲れ。これから各自昼食をとって自由時間だ。集合は今から2時間後とする。それじゃあ解散!」

 

 教師の一言により一斉に人が散り始める。

 もちろん友達などカケラもいない俺は当然のようにぼっち飯。人が少ない方に行き、日陰になっている木の根に腰掛けて今朝作った弁当を食べた。

 

 

 そして今に至る。

 

 さて、この残り約1時間半の自由時間をどう使おうか。体調が回復するまで休むのもいいが、それではあまりに時間が勿体無い。

 

 よし、ここは動きまわろう。集団だと気を遣って出来ないような事も出来てしまう1人の利便性を舐めるなよ……! 

 そうと決まれば早速移動しようか。決めてから行動に移すまでのスピードの早さが俺の美点だと思うんだ。

 

「さて、とりあえず奥まで行ってみるか」

 

 登ってきた階段とは反対側、まだ木が生い茂っている方向へと足を進める。何をするかとかは歩きながら決めればいいよな。今はまずここから離れよう。

 

 湊さん達ももう自由行動してるのかなぁ。森に入るのかここで遊ぶのかは分からないが、どこかで偶然会えたらいいなと思う。クラスの関係に割り込むつもりは無いが遭遇するくらいならいいだろう。

 

 

 一抹の期待を抱きながら、俺はわずかに聞こえる喧騒に背を向けて歩き始めた。

 

 

 

 

 





もうちょい続くぜ遠足編。

新たに評価してくださったシロアリさん、メックKUROさん、鳥、、、さん、ふーカさん、Phalaenopsisさん、ありがとうございます!


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