我、無限の欲望の蒐集家也   作:141.622km/h
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陸side

衛宮士郎が殺された。原作よりも数十段強化され、並の魔術師では相手にすらならないほど強くなっている衛宮士郎が、英雄王ロールプレイをして遊んでいるように見えた如月奏音に心臓を一突きにされたのだ。


「・・・どうみる?」

「やっぱり、俺達じゃ無理だ。あの人は、絶対に敵に回しちゃいけない人だ」

「え? でも、中田は如月さんに喧嘩を売ってたじゃない」

「若菜、お前は自分の血を吸う蚊に本気になった事はあるか?」

「はぁ? あるわけ無いでしょ」


そうだ。その通り。如月奏音にとって俺達・・・いや、如月家の人間以外は取るに足らない。興味を向ける事すらない存在なんだ。喧嘩をふっかけた中田が生きて帰ってきたのもその証拠。あの人はこの星の管理人。星の人間だから無闇に殺す事をしないだけであって、もしアイツがミッドチルダ出身の魔導師であの人に喧嘩を売った場合。・・・無残に殺されていた可能性がとてつもなく高かったんだから。


「・・・・・・転生者。だと思う?」

「今更な質問だな。まず間違いなく転生者だと思う。でも、良くある傍観者気取りの馬鹿じゃない。本当に原作に関わる気なんて無く、ただ向こうが関わってくるから、事が起きているのが地球だから、何となく関わってくれているだけだと思う」

「・・・・・・じゃあ、Strikersからは」

「会う事はなくなるとは思うけど・・・。この戦闘能力だ。如月家ひいては地球が、管理局に目を付けられる可能性がある」

「ミッドチルダ終わったわね」

「管理局だけかもしれないけどな」


本当に、管理局の馬鹿共は余計な事だけはしないでほしい。切実にそれだけを願う。


リリカル魔法少女VSプリズマ魔法少女

主人公side

 

仮想空間が崩れ、俺達四人は揃って現実世界へ帰ってきた。あの場で、士郎だけではなく射出した宝具で白野や立香もキチンと仕留めていたのだから、俺の一人勝ちで戦闘シミュレーションは終了だ。

流石に場数が違うっつーの。こちとら普通の人間が一回の戦闘訓練で身に付ける技能を一回で何百と身に付けてるんだからな。

 

 

「ゲホッゲホッ」

 

「大丈夫?」

 

「ああ・・・。流石に心臓ゲイ・ボルクは過去の虎馬(タイガーホース)を掘り返されたよ・・・」

 

「大変だねぇ・・・」

 

「他人事止めろ」

 

「やぁ、お帰り。奏音君、君にお客さんだよ」

 

「・・・は? お客? ・・・・・・あー、そいつ等は客じゃねーな」

 

 

そう、客じゃない。どちらかと言えば敵だ。争うべき相手だ。

 

 

「・・・約束通り来ました」

 

「あまり時間が経ってねェが、本当にそれで大丈夫なんだろうな?」

 

「はい。あまりのんびりもしていられませんので」

 

「そうかい」

 

 

大変だね。フェレット社会も(皮肉)

さて、誰が戦いを挑んでくるになっても良いようにメンバーの選出は既に終わらせてある。とりあえず呼ぼうか。

 

 

「・・・イ───」

 

「なに!? お兄ちゃん!」

 

「───ヤ・・・」

 

 

まだ呼んでねーよ。いや呼ぼうとしたけど、リに被せてくるなよ。ビックリするだろ。

 

 

「・・・あー。イリヤ、こいつ等の中の一人と戦って───」

 

「・・・」

 

「───勝て」

 

「分かった」

 

「そっちは誰がでるんだ?」

 

「私です!」

 

「ダ・ヴィンチちゃん。シミュレータをコロシアムモードに変えといて」

 

「うん? その場合死んだときは保証しないよ?」

 

「ハハハ。魔法少女同士の戦いで死人が出るかよ」

 

 

魔法少女アニメで死人の描写は御法度だぜ。あれ? これじゃあ描写されてない所では人が死んでるみたいじゃねーか? まあ大丈夫だろ。

 

 

 

 

───暫くして先ほどまで奏音達が向かい合っていた仮想現実空間(フルダイブワールド)ではなく、時空を歪めただけの広範囲戦闘区域(バトルフィールド)にて、転身しプリズマなイリヤと。変身してリリカルになった高町なのはが地面に立って向かい合っていた。

変身シーンはカットである。強制ではないが、どのようなものか知りたい場合それぞれの原作円盤もしくは動画投稿サイトなどで確認してもらいたい。

そんな中、イリヤの持つステッキ。“ルビー”が持ち手である胴体をくねくねと揺らしながらイリヤに激励の言葉を掛ける。

 

 

『いつか共闘したときはMS力で負けてましたけど、今はイリヤさんも負けてませんよ!』

 

「お兄ちゃんのためだもん。負けらんない・・・!」

 

『いきますよ~!』

 

 

自身を鼓舞するイリヤは、くねくねと相変わらず動き続けるルビーを強く握る。

 

 

「いくよ。レイジングハート!」

 

『All right.』

 

 

一方のなのはも相棒である“レイジングハート”に声をかけ、準備を整えた。

 

 

『さあ、号令をかけて上げて。マスター』

 

『は? 俺?』

 

『君しかいないだろう?』

 

『何がだよ・・・。あー、ゴホン。それでは・・・・・・始めっ!』

 

 

何故か開始の合図を任された奏音のGOと同時、二人の魔法少女の全開の魔法が衝突した。

 

 

「アクセルシューター! シュート!!」

 

砲撃(フォイア)

 

『相殺か・・・。良い手だ』

 

 

なのはの高速弾にイリヤがとったのは、面制圧の応用で壁を作りあげコントロールが不十分なその弾を全弾消してしまう事だった。

さらにその面制圧の弾を防御魔法で防いだなのはに、遠距離から速く正確に作り上げた魔法弾がイリヤから撃ち出される。

 

 

「瞬速の・・・追尾弾!」

 

「にゃ!?」

 

『protection.』

 

 

かわしたはずの魔力弾が自らを追跡した事に驚き、とっさの対処をレイジングハート任せで防御したなのは。その背後に、ルビーからムチのようにしなる刃を生やしたイリヤが特攻してきた。

 

 

「しなる、斬撃(シュナイデン)!!」

 

「きゃあ! レイジングハート!」

 

『Divine』

 

「遅い! 砲撃(フォイア)!!」

 

「ッあっ!!」

 

(やっぱり、そもそもの戦闘経験が違いすぎるな・・・)

 

 

奏音から見ても、なのはがイリヤに勝てる可能性はゼロだった。しかし、なのなのイリヤを見つめる諦めのない目。敵わないと知りながら、どうにかしようと策を巡らすその目は奏音にとって、とても見覚えのあるものだった。

 

 

(イリヤの攻撃を防ぎ、反撃しながら思考するその意地。いつもみている目だ)

 

 

奏音がいつもみている景色を、高町なのはは自らの目を通して見ている。それは生まれながらにして奏音と同じ不屈の魂を持っている事に他ならない。

 

 

砲撃(フォイア)!!」

 

『デコイです! イリヤさん!!』

 

「なっ!?」(この短時間で? 私から逃れるために!?)

 

 

驚愕し慌てて魔力反応を探し、後方斜め上方を振り返ったイリヤが見たのは桜色の魔力光。

 

 

「ディバイーン・・・」

 

『Divine』

 

「ルビー!」

 

『保護全開です!』

 

「バスター!!」

 

『Buster』

 

 

避けきれないと察し、とっさに保護障壁を展開。その身を守る事にしたイリヤを、桜色の魔力光線が呑み込みその姿が見えなくなったところで、コロシアムの床が莫大なエネルギーを緩和しきれずに崩壊した。要するに爆発したのだった。

 

 

「やってくれるじゃない・・・! 私もギアを一個あげていこうかしら?」

 

『やってやりましょう!』

 

夢幻召喚(インストール)

 

 

桜色の魔力光線も、それによって生まれた噴煙も落ち着いた頃。煙の晴れた場所に立っていたイリヤは、額に青筋を浮かべてクラスカードを持っていた。そしてそれを使い、赤い弓兵へと転身した。

 

 

「───投影(トレース)開始(オン)

 

───憑依経験、共感終了。

                

───工程完了(ロールアウト)全投影(バレット)待機(クリア)

   

───停止解凍(フリーズアウト)全投影連続層写(ソードバレルフルオープン)・・・・・・!!!」

 

「剣がいっぱい出てきた?!」

 

「特大の・・・散弾! 追撃弾(ソードショット)!」

 

『protection.』

 

『は、はは・・・。防御魔法を貫く剣だって・・・?』

 

『そんなオカルトあり得ません! ってか? 残念、これは全部魔術(オカルト)だろう?』

 

 

と、なのは達の使うデバイス魔法(仮称)をよく知るユーノが、その効果を知るだけに出現した質量兵器が易々と防御魔法を貫いたことでイリヤ達、如月家が使う魔術体系がどのようなものかは把握したようだ。

その把握した現状にプルプルと震えるユーノをからかいながら戦闘を眺める奏音は、イリヤがクラスカードを使う事は予想していたが、()()()()本気を出していないのは一目で見て取れた。いや、アーチャー“エミヤ”のカードでの戦い方としては本気も本気なのだろうが、イリヤ達プリズマ魔法少女が戦闘をする場合において“本気”とは、クラスカード「コレクター」の夢幻召喚(インストール)であるからだ。

 

 

「レイジングハート!」

 

「ルビー!」

 

「アクセル!」

 

投影(トレース)開始(オン)

 

「シュート!」

 

I am the bone of my sword.(我が骨子は捻れ狂う)・・・偽・螺旋剣(カラドボルグ)!」

 

『イリヤさんの肢体は私が守りますよ! 障壁展開!』

 

『protection.』

 

壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)!」

 

「きゃあっ!」

 

 

なのはの展開した防御魔法を易々と貫いた英霊の持つ宝具(カラドボルグ)が、その中に眠る莫大な魔力を爆発させて生み出された爆炎が、容赦なく無防備ななのはを包み込んだ。

爆発の威力で気を失ったなのはは、ゆっくりと地面に向かって落ちていく。人工知能に近いものを持つレイジングハートが、主を傷付けないように考慮した結果なのだろう。

 

だが、そんな気を失ったなのはに向かってイリヤは容赦なく弓に矢を番えた。

 

 

投影(トレース)重層(フラクタル)

 

愛しのお兄さんに付きまとう虫は駆除しちゃいましょう!

 

「うん。I am the bone of my sword.(我が骨子は捻れ狂う)

 

(うーん・・・? イリヤの奴、あの少女を殺す気かな?)

 

螺線剣・改(カラドボルグ)ッ!」

 

「レイジングハート・・・!」

 

『Standby,・・・protection.』

 

「無駄よ! 壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)!」

 

 

詠唱をした上で放たれた螺線剣は、先ほどと同様防御魔法をいとも簡単に突き破って先ほどとは比べものにならない爆発を引き起こした。

 

が、爆発を間一髪でかわしたなのはは、拘束魔法をイリヤに掛けその上方でとある魔法を放つ準備に入った。

 

 

「レイジング・・・ハート・・・!!」

 

『Lock on.shooting mode.』

 

「くっ・・・動けな・・・へ? 何その魔力の塊・・・!」

 

「使い切れずに散らばっちゃってる魔力を、もう一度一つに集めて・・・。貴女にぶつける!」

 

『Starlight Breaker.』

 

「スターライト・・・」

 

「ルビーッ?!」

 

『障壁全力展開します!』

 

「ブレイカー!!」

 

 

桜色の超大型魔力玉から絞り出すように放たれた極太の魔力光線は、防御したイリヤを呑み込み地面を吹き飛ばしてもなお止まらず、周りの建築物も根こそぎ破壊し尽した。

 

 

『うわっ。何と言う馬鹿魔力・・・』

 

『イリヤは無事か!?』

 

『生体反応は通常。いたって健康だぜ』

 

『安心してみてなさい。お父さん』

 

 

その瞬間。噴煙を切り裂いて、イリヤが飛び出した。その手に持ったカードがインストールされ、現れたのは白百合の騎士。

 

 

夢幻召喚(インストール)・・・セイバー・・・!」

 

「これでもダメッ!?」

 

約束された(エクス)・・・勝利の剣(カリバー)ァァァアアアアアア!!!」

 

「にゃっ、にゃああああああああああああ!!」

 

 

振り下ろされた聖剣の一撃が、無情にもなのはに直撃。ゲーム風にいうとその体力を全て削りきり、強制的に戦闘終了となった。

 

 

 

主人公side

 

空間を形成していた装置が停止し、殺風景な戦闘訓練所に戻った室内で、床に寝転がり完全に伸びている高町なのはを見下ろすイリヤ。ルビーが何やら声をかけているが、何と言っているかは聞き取れない。耳まで赤くしている事から、何かしら彼女の羞恥心を煽るような事を言っているのは察する事が出来る。

 

会話抜粋。(奏音には聞こえていない)

 

 

『いやー、イリヤさん。お兄さんへのラブパワー全開でしたね!』

 

「ふえ!? い、いやそれは・・・」

 

『わかりますわかります。士郎お兄さんのタオルをチラッとしたとき以上のラブパワーでした!』

 

「あの時は・・・!」

 

『えぇ、えぇ。分かっていますとも。現在の慰め時の妄想はお兄さんが相手であるのは重々承知ですとも!』

 

「ルビーッ!!」

 

(奏音には聞こえていない)

 

 

そんな彼女達から目を離し、近くの管制室に座るスタッフに目を向ければ、嬉しそうな顔をしたロマニや、ダ・ヴィンチちゃんがいる。

 

 

「戦闘終了! いやー、予想通りの結果で終わったね」

 

「当たり前だ。イリヤに俺は勝てと言った。イリヤが勝たないわけがない」

 

「すごいなぁ。君の命令はアレかい? ギアス的な何かかい?」

 

「あー。だったら良かったんだけどなー」

 

「良かったって?」

 

「残念ながら、そこまでの強制力は無い」

 

 

そんな強制力があれば何でも出来てしまう。集めたい物も集めほうだい。そんなのはゴメンだね。泥臭くなりながら集めるのが楽しいんじゃないか。・・・こんな事を言っているから人間として壊れているって言われるのかな? 効率化と楽を目指す社会で俺は異端だったしな・・・。

 

 

「イリヤ君に何か声でもかけてあげたらどうだい?」

 

「あー、そうするか。・・・イリヤ、お疲れ様」

 

『ひゃ、お兄ちゃん!?』

 

「相手は戦闘初心者の素人だったが、発想力はピカイチだった。とっさの機転を利かせて良く戦った。何かごほうびをあげようじゃねーか。何がいい?」

 

『ふぇ・・・? じ、じゃあデー・・・じゃない。お出かけ! 二人っきりでお出かけしてほしい!!』

 

「でかけ・・・んな事で良いのか?」

 

 

もうちょっとアクセサリー、とか。バッグとか、そういった形に残り尚且つ手元に残るような物の方が良いんじゃ(コレクター脳)ないか? そういうのを小学生って欲しがるんじゃなかったっけ・・・? あー、如月の人間は総じて精神年齢がクソ高いし、出かける事自体に何かしらの意味は持っているのかもしれないな。

 

 

『そ、そう! お買い物とか、映画見たりするの!』

 

「映画か・・・。何か昔、そういうのアニメとかで見た気がするな・・・」

 

彼はデートを知らないのかい?

 

蒐集以外まるで興味がない奴だからな。仕方が無い

 

聞いた事があっても覚えてないんだろうね

 

「いいぜ。今度一緒に出かければ良いんだな?」

 

『二人だよ!? 私のお兄ちゃんの二人だけで、だよ!?』

 

「分かってる分かってる。俺は約束は違えないから安心しな」

 

 

そんなこんなでイリヤにご褒美的な約束を取り付けたところで、同様に戦闘を見ていた彼等に振り返った。

 

 

「さて、じゃあ約束通り。そちらが所有している残るジュエルシード二つをこちらへ譲渡してもらおうか?」

 

「えぇ・・・。わかりました」

 

 

少年のデバイス(恐らく転生特典だろう)からJSが取り出される。ソレを危機と受け取った技術班の面々が、研究室へ高速で運んでいった。

 

 

『も、もう一回・・・。もう一回やらせてください!』

 

「・・・・・・人生にもう一度はないよ。これ以上戦っても何の利益にもならない。それなのにやるっていうのか?」

 

『・・・それでも、勝つまでやる』

 

「「・・・なのは」」

 

「なのはちゃん・・・」

 

 

勝つまで・・・? 勝つまでやるっていったのか? この子。イリヤ相手に? 勝てるまで挑戦し続けるっていいやがったのか? マジか・・・。マジか!

 

 

「・・・ククク。フハハ。ハーッハッハッハッハッハッ!!」

 

『お、お兄ちゃん・・・?』

 

「どうした? ついに壊れたか?」

 

「そうか、そうか。これから挑む事が何の利益も生まないと分かってなお、それに挑戦するのか。それも自分が望んだ結果を得るまで!」

 

『・・・そう、ですけど』

 

「フフフ・・・。良いぜ、気に入った。ナノハ、お前を徹底的に鍛えてやる」

 

『にゃっ///』

 

(なのは呼び!?)

 

(気に入った・・・? なのはのあの言葉の何かがあの人の琴線に触れたのか。でも気に入られて良かった、な)

 

『お兄ちゃん!? この子を鍛えるって』

 

「全力のイリヤに善戦出来る程度までには鍛え上げてやる。その為には・・・・・・英霊達の力を借りるしかねーか」

 

「あ、あの・・・っ。俺達も鍛えてもらえませんか!?」

 

 

ん・・・? こいつ等、転生者だろ? それなりに良い特典もらっておいて、これ以上何を望む。欲張りな人間は何も手に入れる事は出来ないんだぞ。

 

 

「俺達、強くなって。強くなって・・・大切なものを守りたいんです!」

 

「・・・・・・!」

 

 

********

 

 

「・・・何が、何が無限の欲望だ!」

 

「・・・・・・」

 

「集めたい物は集めたくせに・・・。一番! 一番大事なものは集められなかった!!」

 

「・・・・・・お前様」

 

「忍・・・。()は・・・・・・、()は強くなってやる。この本の名に恥じない古今東西森羅万象ありとあらゆるものを蒐集し尽くせる、なにものにも負けない強さを手に入れてみせる! もう二度と・・・大切なものを失ってたまるか・・・・・・!!」

 

「・・・そうじゃな・・・。失う辛さは儂も良くわかっとるつもりじゃ・・・・・・」

 

 

********

 

 

「・・・・・・守る? その細腕で? その体躯でか!? 何を守れるっていうんだ!」

 

「だから強くなりたいんだ! なのは達を、俺の友達を守れる力がほしい! だから、俺を。俺達を鍛えてほしい・・・!」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・私達の方を見られてもな」

 

「決定権はマスターにある。俺達が口を出す事じゃない」

 

「・・・ハッ。ハハ。良いぜ。その戯れ言が、どこまで本気か確かめてやる。エミヤ、こういうの得意なヤツらに頼んで、あの二人とナノハ。鍛えてやってくれ」

 

「了解した」

 

 

未熟者(ボク)に出来なかった事をあんなガキがやるって・・・? 出来るわけがない。何も失わず、そこそこ充実した人生を送った上で、転生特典もらって転生を果したような何もかもを恵まれた奴が、失う事の恐れを知らない大馬鹿者が、何かを失わないように行動できるわけがないだろう!

他ならぬ僕がそうだったんだ。高性能の外付けソフトウェアをもらって最強になった気になって、多くを失った。僕は・・・、いや。俺は二度と失わないために集めてるんだ。強くなるためのものを、強くなるために使う道具を。

 

 

───もう二度と、あんな思いをしないために。

 

 

「マスター、少しいいだろうか」

 

「どうした?」

 

「彼らを鍛える場合、本気のイリヤ善戦できる程、と言っていたが。別に勝ってしまっても構わんのだろう?」

 

「勝てるならな」

 

「なーに、そこまで育てて見せるさ。マスターの予想を大きく上回る結果を残してな」

 

「はっ。なら楽しみにさせてもらおう。俺の家族(サーヴァント)がどれだけ教導員に向いているかをな」

 

 

実際、英霊たちは我が強いが教えることに不向きなわけじゃない。それぞれ一点集中であったりするが秀でているものがあり、教師としてあれほど向いている人材はそういない。一見戦闘能力の向上には関わりのなさそうなルルーシュの頭脳も、戦略を立てる上ではとてつもなく役に立つ。場面場面での行動の仕方の例を教えてもらえるだけで、状況にあった戦略を何となくは立ち上げることができるだろう。

そういえば、いわゆる原作と呼ばれる世界でルルーシュは奇策ばかりを使う革命家ではあったが、如月家の人間になってからは動かす(仲間)が強く有能になったことでルルーシュの足場崩し戦法は徐々に使われなくなっていった。

結局何が言いたいかというと、普段そこまで好戦的ではない家族(サーヴァント)達も今回の高町なのは+α強化計画を利用して間接的に俺に挑戦してくると推測される。自らの技術や力を習得させた弟子が相手の弟子を打ち破って私の勝ちだなんていう展開はよくありがちだ。流石にコレクターのクラスカードを使ったイリヤが負けるとは思えないが、一応。イリヤも鍛えておいたほうがいいだろう。

 

 

「ほえ? ・・・・・・そっ、そんなにみられると照れるよ、お兄ちゃん・・・」

 

「・・・・・・イリヤ。もしかしたら買い物以外にも二人っきりになってもらわなきゃいけないかもしれん」

 

「ふぇえぇえええ!? うぉっ、お兄ちゃん! そそれは、どっ、どういうこと?!」

 

「こっちの事情だ。巻き込んだことは謝るが、ちょっくら今度、俺と二人で戦闘訓練しような?」

 

「う、うんうん! するする!!」

 

 

うーん? イリヤのやつ、戦闘訓練がそんなに好きだったか? どちらかと言えば嫌いで、避けていた気がしたんだが・・・。

 

・・・・・・うん、まあなんにせよ。勝たせなきゃいけないもんな。ちょっぴり厳しくやるぐらいで十分だろ。俺のちょっぴりはヤヴァイってそれよく言われてるから。

とりあえず、また忙しい毎日になりそうだな。


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