我、無限の欲望の蒐集家也   作:121.622km/h

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副題:戻ってきた契約の日


かなたリターン
001


なのはside

 

なんでなの!?

 

なんでこうなったの!?

 

全くわけがわからないまま私は、フェレット姿のユーノ君を抱えて夜の海鳴を走っていた。

 

私が走っている理由は、後ろから追ってくる黒い化け物の所為だった。私はそれにとても見覚えがあった。もしかして・・・否、もしかしなくてもこのシュチュエーションは・・・。ユーノ君と出会ったあの夜──魔法少女になったあの場面だよね!?

 

 

「どーしてジュエルシードの暴走体がいるのー!?」

 

「ぼ、僕も良く分からないんだけど、恐らくこれは」

 

「「如月さんの仕業だー!!」」

 

 

ユーノ君と一緒に叫ぶ。

 

叫んだとしても、なにも解決しない。追ってきている暴走体は、正直現状ではどうしようもない。レイジングハートを使わないと、このころの私の力量じゃどうしようもできないけど、契約を結ぶ余裕を暴走対がくれるとも思えない。

 

事実、逃げることに集中しちゃって何もできていない。

 

お兄さんを追いかけて走り回っていたから体力だけはあるけれど、技量がないから一つ一つの攻撃を全力で回避しちゃって体力も削られていく。

 

多少の怪我には目を瞑って、レイジングハートと契約しようと思った矢先。

 

 

「雑種が! 俺のなのはに手ェ出してんじゃねぇ!!」

 

「あっ!!」

 

 

思わずといった調子でユーノ君が叫ぶ。

 

いつの間にか関わりを持たなくなっていた──もしかしたら如月に消されたのかもしれない、元気だった頃の田中君が、ギルさんと同じ宝物庫の宝剣を投げつけて暴走体をやっつけたようだった。

 

・・・何度でも言わせて貰おう、私はお主のものではない。

 

・・・・・・なに言ってんだろうか私は。

 

ああ、身体中が痛い。息が切れる。

 

安堵から一気に襲いかかってきた疲労によって、私の意識は薄れていく。

 

どうして、こうなったんだっけ・・・・・・。

 

 

 

 

──それは、なのは達が思念体に追われる少し前。

 

如月邸を訪れていたプレシア達五人(陸と若菜は欠席)は、奏音の提案に乗ったことで、先へ先へと歩いて行く奏音に続いてどこか分からない目的地へと集っていた。

 

 

「それじゃあ、行ってみようか。今を変える旅に」

 

「未来じゃなくて、ですか?」

 

「ああ。変えるのは今で、未来は変わるものさ」

 

「哲学ですか?」

 

「捉えようによってはね」

 

 

それこそ哲学的ですね。と、ユーノは締める。

 

 

「・・・・・・この部屋に何があるというの?」

 

「手段さ」

 

 

今を変えるためのね。

 

奏音はそう言うと、部屋の壁際にある装置に触れて起動させる。

 

 

「この部屋は個人の持つ能力を体験できる装置が着いていてね。あくまで擬似的な体験が主な目的なんだけど、単体スキルを全体化するなんて裏技を使える可能性が僕にはあるんだよ」

 

「へぇー・・・」

 

「・・・・・・い、嫌な予感が」

 

「じゃあ行こうか」

 

 

奏音はそう言って、部屋全体の機能を稼働させるレバーを叩き降ろした。

 

 

「では! 独立時間遡行唯一思考追体験(The way of death was last saved last.)で過去のあなたの元へ、PLAYBACK!」

 

 

 

なのはside

 

思い出したの。

 

如月さんの訳の分からない力を、あの装置を使ってわたし達にも使うことで、あの場にいた全員の記憶がそれぞれの過去に飛ばされたんだと思う。人為的に逆行状態を作り出すなんて、如月さんは普段からこの力を使っているんだろうか・・・。

 

・・・・・・うん。

 

 

「なんでさ!」

 

 

なんで、なんでわたしは過去に戻ってたの!?

 

今を変えるってそういうこと!? 未来()を変えるために現在(過去)に戻る!?

 

あの人は相変わらず無茶苦茶なの!

 

叫ぶようにして目を覚ます。

 

一通り頭の中で叫んだおかげで頭の中はスッキリしたので、落ち着いて近くを見回すと頭の近くにユーノ君がいた。頭の下の柔らかい感触は・・・・・・あ、若菜ちゃんに膝枕されてるんだ。

 

近くでは陸君と田中君が喧嘩してる。

 

どうやら近くの公園のベンチで寝ていたようだった。

 

 

「(なんでさ?)・・・えっと、なのは。何が起こったか覚えてる?」

 

「う、うん。えっと・・・、お化けみたいなのに襲われたんだっけ?」

 

「そう。覚えてるようね。で、そんなあんたを一応助けたのが、あの田中なんだけど」

 

「えっ」

 

 

どうしよう。お礼を言った方が良いのかな。でも、全く嬉しくないし・・・。

 

やっぱり、私は黄金より白銀の方が好きなんだなぁ。

 

 

「そこをどけ、雑種。なのはの膝枕は我がする」

 

「止めろって言ってるだろ! 女の子同士の方がなのはも気が楽だって!」

 

「ええい邪魔をするな雑種! 我にされた方がなのはも喜ぶと言うに!」

 

お前にされても全然嬉しくないの。というか、出来れば私はしてあげたい。あぁ、あの時ベンチで如月さんに膝枕したんだっけ・・・・・・。

 

 

「ちょっと、アンタ達・・・。なのはのことも考えなさいよ」

 

「それもそうだな。なのは、我の方が良いだろう?」

 

「嫌なら嫌って言ってやれ。そっちの方が良い」

 

「ごめんなさい。私、好きな人が居るの」

 

「「え」」

 

「フハハ。そうか、この我が「お前じゃない座ってろ」・・・・・・は?」

 

 

おっと。思わず冷たい声が出た。

 

ギルさんは嫌いじゃないけど苦手な部類に入っているのに、劣化版のお前なんか絶対に好きになるわけないでしょって言いたい。でも、言ったら後が怖いの。タイムパラドックス的なあれが。

 

 

「なのは、大丈夫?」

 

「大丈夫なの。色々あって疲れてるだけで・・・。そーだユーノ君。結局あれは何だったの?」

 

「えっ・・・とですね。あれはジュエルシードの暴走体でして・・・」

 

 

ユーノ君が言葉を選びながら私達に説明をする。未来を知っていることがバレないように、最小限最低限の必要なことを話してくれた。私以外に説明するように。

 

もしかしたら陸君達は、最初から何もかも知っていたのかもしれないけれど。

 

 

「つまり、コイツが倒して今も持ってるあの宝石が、そのジュエルシードって危険物なんだな?」

 

「これがか」

 

「! それは」

 

「やらんぞ」

 

「いや、ユーノの話だとジュエルシードは危険なモノで、その管理局とか言う組織に渡すべきものなんだろ? お前が持っててどうするんだよ」

 

 

・・・違う。

 

如月さんが地球に害をなすかもしれないジュエルシードを、回収しないはずがない。あの場で介入してこなかったのはおそらく、する必要がなかったからだ。あれは、如月さんが任意で操ることが可能なジュエルシードなんだと思う。

 

ジュエルシードの危険性よりも、あの時あの場所にいた人達が私達と同じように戻ってきているのならば、フェイトちゃんとプレシアさんは既に味方だと言ってもいい。明日辺りに如月さんの家を訪ねてみよう。

 

それよりも、今はまだ何も知らない女の子の演技をしておかないと。

 

 

「あの・・・。私は、どうしたら・・・・・・?」

 

「じゃあなのはとはここでお別れだ。彼等がジュエルシードの回収はしてくれるそうだから」

 

「そう・・・なの? じゃあ、そうしようかな。怖かったし」

 

((なのはが魔法に関わらない世界!?))

 

(ん? 何かおかしい気がするが・・・、大した事じゃあないだろ)

 

(なのはを引き留めたいが、魔法を知らないなのはが積極的に関わる可能性は極めて低い!)

 

(契約もしてないのに助けたコイツが悪い気もするけど・・・・・・。助けなかったら、なのはは酷い怪我を負っていたかもしれないのよね・・・・・・)

 

 

あ。

 

でも、魔法に関わらないっていうのも、それはそれで寂しいかも。そうだ! 今の若菜ちゃん達の格好に興味を持ったことにするの!

 

 

「・・・・・・ところで、若菜ちゃん達のその姿って・・・コスプレ?」

 

「なっ!? ち、違うぞ!」

 

「そ、そうよ。これはね、バリアジャケットって言って」

 

「彼等が着ているのは魔力で編まれた戦闘服のようなものですよ」

 

「まりょく・・・魔法があるの!? 私もやりたい!」

 

「だ、駄目よなのは! さっきみたいな危ない目に遭うのよ!?」

 

「そうですよ! 戦闘慣れしている彼等に任せた方が・・・・・・」

 

「うぅ・・・。じゃあそうする。で・・・、でもっ、ユーノ君は私が預かるからね?! お母さん達にも飼って良いかって確認取ったもん!」

 

 

ちょっと幼くなりすぎた気がしないでもないけど、まあそれくらいならと、若菜ちゃん達も許してくれた。元々、私が預かる予定だったしね。って、そう言えばあの時近くで如月さんが見てたはずだけど・・・。結局、姿を見せなかったの。どうしてだろう・・・。

 

その後、解散してユーノ君を連れてお家に帰る。途中で如月さんの家に寄ろうかとも思ったけど、如月さん以外私達のことを覚えてない状態で行っても、相手にされないかもしれないからやめようというユーノ君のアドバイスに従って、まっすぐ家に帰った。

 

家を抜け出していた私は、お母さん達に見つからないようにコソコソとお部屋に戻る。

 

誰にも見つからずにお部屋に入って一安心。さぁ、ユーノ君とお話だ。

 

と、思っていたのだが、思いっきり見つかってしまってお叱りがあった。

 

気分的には這うようにして自室に帰還し、簡易的な遮音結界を張ってユーノ君と話すことにする。これ以上起きていたら今度こそお母さんの雷が落ちる。もうすでに一回落ちたけど。

 

 

「えっと、なのは」

 

「なに、ユーノ君」

 

「これからどうするのかを聞きたいんだけど」

 

「とにかく明日。如月さんを訪ねなきゃ」

 

「カルデアを?」

 

「ううん。喫茶アーネンエルベをだよ!」

 

 

如月さんと、魔法に出会った次の日にあった場所。カルデアにすら通じるあの喫茶店を訪ねれば、きっとお話が出来るはず。

 

 

 

次の日の朝。

 

この時期は出来ていなかったはずの、特訓の影響で出来るようになった早起きをして、いざ練習と思って道場に向かえば、そういえば過去に戻っていて、魔法すら知らない設定の私が、早起きするのはやはりおかしく、昨日夜更かしするからだと、昨晩のお出かけを怒られた。

 

そんな理不尽とも呼べるお叱りを受けた後、普段通りに学校へと通った。変わったことと言えば、放課後にジュエルシードの反応があったけど、今の私には魔法の力がないから陸君と若菜ちゃんが解決に向かった事くらいだろうか。

 

以前、「事件の中心に関わっていた私」を置いて動いていく世界を横目に、私はユーノ君を迎えにお家に向かった。

 

ジュエルシードは明日渡して貰うことも出来るけど、如月さんと会うのは早い方が良いもん。

 

 

「ユーノ君! 行くよ!」

 

「キュイ!《うん、行こう!》」

 

「あれ、なのはどこ行くの?」

 

「喫茶店!」

 

「翠屋じゃなくて!?」

 

「敵情視察ー!!」

 

「・・・・・・ああ、あのアーネンエルベとかいう・・・」

 

 

それ以上の美由希お姉ちゃんの声を無視して、家を飛び出す。

 

海鳴の商店街を走り抜けて、まっすぐアーネンエルベに向かう。

 

 

「あった! アーネンエルベ」

 

「キュ《よし、入ろうなのは》」

 

「うん」

 

 

喫茶店の扉に手をかけ、そのまま力一杯引っ張る。

 

そこまで重たい扉ではないけれど、小学生女子である私が片手で開けられるほど軽くはなかった。

 

カランコロン。と、扉の上につけられたベルが鳴って、お客──この場合は私の来訪を知らせる。その音を聞いて、店員さんがいらっしゃいませと定型文を口にする。席は見たところ色んな場所が空いているようだから、案内するまでもないのだろう。

 

戻ってくる前にも何度か立ち寄ったけれど、流石"如月"の系列と関心したほどに料理の幅は広く、そしてそのどれもが美味しいお店だったから、お客が少ないことが唯一の不思議な点。もし口コミなんかで広まれば、確実にかなりの人が訪れる喫茶店になると思う。

 

・・・・・・でも、そうなると翠屋の収益が減っちゃうかもなぁ。

 

さて、如月さんは居るだろうかと、店内の奥の方を覗いてみて、

 

 

「おお、なのはちゃん。やっときたのか」

 

 

待ちわびたよ、と。

 

如月さんは、至って当たり前のようにそこにいた。

 

四人掛けのテーブルに腰かけて、火の点かない煙草を口の端に咥えてこちらを向いていた。

 

まるで、私がこうして来ることが分かりきっていたという風に。

 

私は待ち合わせをしていた訳ではないけれど、待っていたと言う如月さんの目の前に腰かける。

 

 

「なんだいなのはちゃん。ユーノ君を連れて。デートかい?」

 

「違います。ユーノ君はフェレットです。いくら男の子だって言っても私とお付き合いすることは出来ません」

 

「ああ、そうかそうか。それで、二人して僕を訪ねてきて、どうしたんだい?」

 

「分かってるんでしょう? 今、如月さんが僕達に起こしたこの現象の話です」

 

独立時間遡行唯一思考追体験(The way of death was last saved last.)のことだな?」

 

 

難しい話をするの? 私ついていけるかなぁ。

 

 

「そうです。こんなことをした目的を教えてください」

 

「言っただろう。これは今を変える旅だ。君達には過去(今日)を変えることで未来(明日)を変えてもらう」

 

「未来を・・・!? そんな、どうやって!」

 

「君達は知っているだろう? 僕が関わったことで起こった一つの結末(未来)を」

 

「うん。そこから過去に戻ってきたから・・・」

 

 

みんなで力を合わせたし、如月さんの能力もフルに使われて、勝ち取った一つの結末。というか、如月さんがチート過ぎて、あまり大変だったような気がしない・・・・・・。

 

 

未来(昨日)を変えるために過去(今日)に来た。だったら変わるのは未来(明日)だろう?」

 

「何が変わるって言うんですか! ジュエルシードは散らばっているんでしょう!?」

 

「安心してくれよ。今この星に散らばっているのは、全て任意的に操作できるジュエルシードだ。そして、その上で前回と違う事をする必要があったからな。全て回収したことを全員に認知させた上で過去は変える。だったらもう、未来も変わるだろう?」

 

「変えてしまったら、悪い結果になるかもしれない!」

 

「変えてほしいと願ったのは敵役さ。一緒に連れてきただろう?」

 

「あっ・・・・・・」

 

 

敵役。

 

今起きているジュエルシードにまつわる事件の、根本的原因をつくった張本人。

 

娘を助けたいがために悪に手を染めた悲しい犯罪者。

 

フェイトちゃんとアリシアちゃんのお母さん──プレシア・テスタロッサさん。

 

 

「少し抜けている部分もありそうだがそれでも名の知れた魔導師なんだ。ある程度事情を察して、それなりの悪役を演じてくれると信じてる。

 

「それに、母親の愛情が目覚めたあのプレシアにフェイトを虐待できるわけがないから、ある程度安心して良いと思うぜ」

 

「フェイトちゃんは無事・・・・・・?」

 

「それに記憶も持ってるからな。無問題だ」

 

「そう、でしょうか・・・・・・」

 

「ああ、それに、お客さんだ」

 

「「客?」」

 

 

ここは喫茶店だから、お客さんなんて沢山来るはず・・・。

 

あ、内緒の話をしてたから、声を小さくしようとかそういう話かな?

 

 

「なのは、初めましてかな・・・?」

 

「え!? フェイトちゃん!?」

 

「やっほー」

 

「アリシアまで?!」

 

 

「やぁ、プレシア。遅かったね。待ちわびたよ」

 

「準備に時間がかかったのよ。で? これからの予定を聞かせてほしいのだけれど」

 

 

如月さんの言うお客さんはフェイトちゃん達だったの!?

 

 

「うん。ゆっくりしていくと良い。中と外じゃあ時間の流れが違うから。長話にはもってこいだ」

 

「そのまえに一つ良いかしら」

 

「ん? 何かあったのかい?」

 

「ええ、ちょっと違い(問題)があってね?」

 

「「問題?」」

 

「違い?」

 

 

問題と言えばすでにこの状況が問題だし、それに違ってると言えば大きな違いが目の前に・・・。

 

 

「平行世界・・・というんだったかしら」

 

「・・・・・・うん。そうか。マジかぁ・・・。その可能性は考慮してなかったな」

 

「え? え? 何かマズいの?!」

 

「ああ、ちょっと予定が狂うかもしれないんだ。・・・何があった?」

 

 

如月さんはそう言ってプレシアさんに問いを投げかける。

 

なにも伝えられていないし、知識の少ない私はとりあえず大人しく座っておくしかない。

 

 

「フェイトと同じ立場の私の娘がもう一人」

 

「えぇ!?」

 

「あと、今の段階でアリシアを生き返らせた怪しい女もいるの」

 

「・・・そうか。こっちも変なやつを確認してる」

 

 

変な奴・・・って、もしかして。

 

 

「神宮寺君のことですか?」

 

「ああ、ソイツ。エミヤシロウの固有結界“無限の剣製(unlimited Blade Works)”を持つ男だ」

 

 

私のクラスに、前回は居なかった田中君と似たような男の子。神宮寺巧君。白髪に鋼のような瞳を持つエミヤさんのようなクラスメイトだ。

 

エミヤさんとは違うのに、同じような能力を持っているのはすごい疑問なんだけど、仕組みの解明なんてやってる時間もないし、いつか教えてくれるかもしれない。

 

 

「仮に彼等を特異者(リインカーネーション)と呼ぶことにしよう。僕が確認した限りその資格を持つのは全部で七人」

 

「七人? 私の増えた娘のレイシアと・・・あのシャルロット・ホームズと・・・」

 

「田中太一君と、神宮寺巧君」

 

「神名陸と、鏡橋若菜」

 

「え!? 陸君と若菜ちゃんも?!」

 

「いや、なのは。その可能性は大きいよ。二人とも、管理局と面識がなかったのに、初めて会ったときには既にインテリジェントデバイスを持ってたんだから」

 

「あ・・・確かに。でも、一人余っちゃったよ?」

 

「最後の一人はこの僕、如月奏音だ」

 

「えぇ!?」

 

 

お、おにおに・・・如月さんも!? あ、でも、何か納得かも。

 

 

「だけど僕の場合は彼等特異者(リインカーネーション)とは少し違うんだよ。・・・何故かって?

 

「神名陸は、兄の神名空が別世界線。リリカルなのは(この世界)とは大きく違う異世界の人間だ。

 

「鏡橋若菜は、父親が別世界線の人間だ。そして、その頭脳と身体能力は親譲りの規格外。

 

「田中太一は、身内は普通だが容姿が異常である。そして王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)を持っている。

 

「神宮寺巧は、容姿も異常だが、他人の心である“無限の剣製”を持っている」

 

「レイシアは、体内にナノマシンを有していたわ。使うところを見せてもらったのだけど、あれは肉体変化に近かった。異能と言えば異能ね。

 

「ホームズはその名の通り、この世界の小説で有名な探偵並の頭脳と、原理は分からないけど人を生き返らせるほどの何かを持ってたわ」

 

「・・・そうか。レイシア・テスタロッサは変身能力(トランス)の持ち主か・・・」

 

「トランスって、イヴさんやヤミさんが持ってるあれ?」

 

「そう、それ。体内にあるナノマシンが体の組織を作り替えて武器化させる事のできる力だな」

 

「ということは、特異者の共通点はそれぞれ異なる世界の誰かと同じ力を有している?」

 

「ああ。僕以外はね。僕が持っているのはこれ、無制限の蒐集書(unlimited-correction)ただ一つだけだよ」

 

 

そう言って如月さんが机の上に置いたのは、見慣れた一冊の本。キラキラ光る白銀の魔法陣を出す私の憧れ。

 

 

「でも、如月さんは沢山武器を持っているじゃないですか」

 

「うんうん。ズドドドーって」

 

「それは違うのよ、フェイト。アリシア」

 

「え?」

 

「何が違うの、ママ」

 

「如月さんは、最初は本当に本だけしか持っていなかったんでしょう?」

 

「その通りだ」

 

「「「え、えぇ!?」」」

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