横島MAXな魔法科生 番外編!!   作:ローファイト

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とうとう横島の映像後編に……


深雪編⑬(最新)

2097年1月3日

私は少々舞い上がっております。

いえ、少々ではありませんね。随分と舞い上がっております。

 

四葉家で元旦に行われた慶春会にて、私は次期四葉家当主に指名されました。

その事で舞い上がってるわけではありません。

同時に私司波深雪は、お兄様……いえ、司波達也様の正式な婚約者となったのです。

私は夢でも見ている気分です。兄妹での結婚は絶対にかなわないのですから。私は将来についてある種の諦めに似た何かを感じていたのです。私はお兄様以外の人と結婚しなければならないと……。私はそれを思うだけで心が張り裂けそうだったのです。

それが……お兄様と現実に婚約者となり、将来の結婚の約定を果たしたのですから。

こんな夢みたいな話が現実になったのには、理由がありました。

実はお兄様は現当主の四葉真夜様のご子息だったというのです。

という事は、真夜様は亡くなった母の双子の妹。そのご子息という事は、私とは従兄の間柄。

法律的にも倫理的にも結婚が可能な間柄となったのです。

お兄様は困惑されたご様子でしたが、私は喜びをそのまま顔に表しておりました。

お兄様は今迄通りの間柄を希望されておりましたので、今まで通りお兄様とお呼びすることになりましたが、公けの対外的にはガーディアン司波達也ではなく、現当主のご子息という立場になり、達也様とお呼びするのが妥当となります。

私的の場でも達也様とお呼びしたいのですが……

 

でも、こんなにうれしいはずなのに、何故か胸のあたりがチクりとする瞬間があるのです。

その時は自然に唇に指で触れ、お腹の中が温かい何かを感じるのです。

 

 

でも……

私が四葉家次期当主。

お兄様が、四葉家当主の息子であること。

そして、私とお兄様が婚約者となった事が、正式に魔法師協会や有力師族に伝えられました。

学校でも、直ぐにその話は伝わりました。

私とお兄様は四葉であることを学校の皆に隠しておりましたので……その影響で友人達との溝が出来るのではないかと心配しておりました。

 

しかし、意外にも皆は納得した感じでした。

エリカは前から何となく気が付いていたようでした。

西城さんはあまり気にしていない感じでした。

吉田さんは「横島が氷室だったに比べればインパクト薄いかな」と。

美月も吉田さんと同じような感覚でした。

これは横島さんのお陰なのかもしれません。

雫は少々驚いておりましたが今までと変わらず、ほのかは私とお兄様が婚約者となった方がショックだったようで、その後、お兄様の事を諦めないと宣言されました。

 

 

2月上旬。

そんな日々を過ごし、浮ついた心がようやく落ち着きを取り戻した頃、横島さんの映像後編を見始めました。

 

横島さんは世界分離を行った罪で天界の魂の牢獄という場所で囚われの身でしたが、100年の時を経て、漸く解放される事になりました。

出迎えた小竜姫さんと横島さんのお師匠様の猿神斉天大聖さんの喜びように、私も少々涙が滲みました。

 

横島さんによって分離された世界は人間だけの世界となり、歴史を紡いでいるようです。

ただ、既に横島さんのお知り合いは、100年経ち、神様である小竜姫さんと斉天大聖さん以外はもうお亡くなりに……もちろん恋人だったおキヌちゃんも……

 

でも、奇跡が起こっておりました。

横島さんに記憶を消されたはずのおキヌちゃんは、生前に横島さんとの記憶を取り戻し、小竜姫さんを訪ね。何時か現世に戻るだろう横島さん宛てに手紙を残していたのです。

 

横島さんはその手紙を小竜姫さんから手渡され……涙を流しながら、繰り返し目を通しておりました。

 

愛のなせる奇跡なのでしょうか?

記憶を取り戻したのはこの100年でおキヌちゃんのみです。

通常ではありえない事なのです。

 

でも……おキヌちゃんと横島さんは決して会う事が出来ないのです。

横島さんは100年の天界で魂の牢獄という封印を受けていたのですから、おキヌちゃんと横島さんとの時間の流れには決定的な深い溝があったのです。

それでもおキヌちゃんの手紙には、横島さんが生きていると分かっただけで幸せですとつづっていたのです。

 

それにこの映像のおキヌちゃんは、モデルとなった現実の氷室絹さん同様に、『救済の女神』と呼ばれる英雄だったようです。

 

おキヌちゃんの手紙の最後には……

『自分の為の人生を楽しんでいいはずです。

私は貴方と過ごした時間は多くはありませんでしたが幸せでした。

次は貴方が幸せになってください。

私が唯一愛した貴方に幸せが来るように、来世から祈っております』

と……

 

横島さんの涙とおキヌちゃんの手紙に私はつい感情移入をしてしまい。

枕を涙で濡らしてしまいました。

 

お兄様が横島さんの立場であったのなら、私はおキヌちゃんのような、手紙を書くことが出来る自信はありません。

お兄様が生きているのが分かっていて二度と会えないのは、死に別れるのと同じです。

私は悲嘆に暮れ、どうにかなってしまうかもしれません。

会えないのなら一層記憶がないままの方が良かったと。

 

 

今回のお話は、私に色々と考えさせられる内容でした。

お兄様と私……、

横島さんとおキヌちゃんのような結末にはならないようにしないと……悲しすぎます。

 

お兄様も自分で何でも抱え込んでしまいます。

もっともっとお兄様の心の内を語って頂けるように努力し、私からも積極的にお兄様と行動を共にして行かないといけないと感じました。

 




次回からは、遂に横島が魔法科高校へ
その時深雪は………

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