横島MAXな魔法科生 番外編!!   作:ローファイト

27 / 37
深雪編⑭(最新)

2月5日

その日事件が起こりました。

十師族が一同にそろう師族会議が行われた箱根ホテルが自爆テロにさらされました。

反魔法団体によるテロ行為だったことは、犯行声明で分かっております。

幸いご当主様を含め、十師族の方々は無事でしたが、多くの方がお亡くなりになられました。

ただ、お亡くなりになられたり、負傷された方々は一般人の方で、魔法師には怪我人すら出ませんでした。

その事が、反魔法団体に利用され、魔法師が一般人を盾にして自分たちだけ逃げて、難を逃れたと大々的に噂を流されたのです。

実際そのような事はないというのに。

 

それからこの事件について連日報道され、魔法師を危険視するような報道ばかりが目立つようになり、反魔法の機運が高まり始めました。

 

そして、顧傑(ジード・ヘイグ)という人物がこの事件の黒幕であることを掴み。

魔法協会は顧傑の確保へと国と連携し動き出しました。

お兄様にも四葉家本家から捕縛命令が下されました。

 

 

そんな中でしたが、私は横島さんの映像の後編を見ていました。

いえ、見てしまったのです。

 

100年もの間、囚われの身であった横島さんが天界から下界へと降り、向かった先は、おキヌちゃんの実家である氷室家。

おキヌちゃんの遺言であったからです。

そこで家族として受けいられ……再び学校に通うのですが……。

 

その学校は、魔法科高校第一高校だったのです。

そこには私が知る横島さんが映し出されておりました。

でも、お話の中では私が知っている破天荒な横島さんの性格は、過去の横島さんの性格を元に作り出された横島さんだと……その………

 

しかも、そのお話の中には私もお兄様も出演しているのです。

最初はそう言う脚色なのだと思っていたのです。

ですが、私が記憶している事柄がそのまま映像として流れるシーンもあり、横島さんと私が最初に出会った時の映像など、私の記憶そのものでした。

そうかといって、私の知らない事柄もありました。

決定的なのは、第一高校の襲撃事件の後、お兄様と横島さんは九重先生の立ち合いの元、決闘を行っていた事です。

 

私はお兄様にそのような事があった事を聞いておりませんし、九重先生も仰ってませんでした。だからこれはやはり、こういう演出で作られたものと……

でも、魔法科高校で過ごす横島さんを、私の記憶と寸分も違わずこの映像で再現できるものなのでしょうか?

 

私は意を決して、お兄様にこう切り出し尋ねました。

「お兄様。横島さんが留学されて1年が経ちますね。そう言えばお兄様、横島さんの事を最初は随分警戒されておられました。……その横島さんとお兄様は決闘までされて……」

 

「深雪…なぜそれを……九重先生に聞いたのか?」

 

「え?………いえ、その、そんな気がしただけで特には……その」

私から尋ねた事なのに、本当に事実だったことに動揺してしまいました。

 

「ふう、深雪。俺にかまをかけたのか?それともどこからかそんな噂があったのか?」

 

「お兄様は夏休みの離島でも、横島さんとケンカされて、そのたびに仲良くなっておられたので……なんとなく」

 

「まあいい。今となっては特に隠す事でもない。当時の俺は第一高校襲撃時の事件検証を行ったが、テロリストの武器を無効化した何者かが居た事に気が付いた。その何者かが横島と俺は判断した。奴は普段はふざけた奴だが端々に見せる妙な勘の良さが気になっていた。ほのかを助けた時の動きもだ……。もしかすると俺達兄妹を監視する勢力の人間かと疑っていた。氷室の一員とは知っていたが……腑に落ちなかった。ただ、今思えばあいつの実力を完全に見間違えていた。戦略級魔法師と同等、いやそれ以上の実力を持った奴だという事をだ。当時の俺はそこまでの実力だとは思いもよらず、不用意に決闘を申し込んだ。……結果は惨敗だ。まさかサイオンやプシオンを自由自在に操れる人間がいるとは思っていなかった」

 

「お兄様……」

 

「今思えば、馬鹿な事をしたものだと」

そうおっしゃるお兄様はどこか寂しそうな顔をしておられました。

 

「横島さんはもう少しで戻られます。4月には戻るとおっしゃってましたので」

 

「そうだな。だが、奴に俺と深雪が婚約者となったと知れた時に何を言われるやら」

 

「きっと、なんだかんだと言って、祝福してくれます」

私はそうお兄様に返答をしたのですが、何故か胸のあたりがチクリと。

 

 

 

その晩、改めて横島さんの映像について考えたのですが、考えがまとまりません。

横島さんの後編映像は、私たちが入学してから6月末までの分を見ました。

その頃の私は横島さんをそこまで関心を寄せる人物ではなく、お兄様の友達の一人程度しか思っておりませんでした。

ですから、横島さんについてはあやふやなのですが、お兄様と横島さんが風紀委員やクラスで一緒に行動している様は、そのもののように思えてなりません。

 

この映像は一体何なのでしょうか?

 

これはドクター・カオスが作った横島さんを題材にしたフィクションではないのでしょうか?

 

あの前編と中編の荒唐無稽なお話はとても現実には思えません。

そしてこの後編に繋がるストーリーからの第一高校での横島さんのお話は……現実そのもの。

 

私はいくら考えても答えが見つかりません。

この鍵を握っているのはきっとピクシー。

私にこの映像を見せたアンドロイド……明日、ピクシーに聞かなくては……

 




いよいよ次ですかね。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。