横島MAXな魔法科生 番外編!!   作:ローファイト

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深雪編は一度これで終了です。


深雪編⑯(最新)

 

 

 

ピクシーはとある映像を私の眼下に映し出しました。

それは私に関する記録。

 

昨年の2月後半の出来事が映し出されます。

パラサイト事件に関わり、横島さんから特殊な対悪霊用の霊具の扱いかたを習い、悪霊と戦った日々の記憶。

それは私の記憶と寸分も変わりませんでした。

ただ……その映像にはお兄様が私の横で横島さんの事で思い悩んでらっしゃる姿が映し出されておりました。

確かに、当時はお兄様は何かに悩んでらっしゃったことに気が付いていましたが、お兄様は私には余計な心配はかけさせまいと話してくださりませんでした。

 

そして悪霊との戦いに終止符をうった井之頭公園での攻防。

私にはあの日の井之頭公園が霧に包まれてからの記憶がありませんでした。

横島さんが井之頭公園で気を失ってる私達を助け、そこで悪霊と戦いすべて解決したと、後で知りました。

 

ですが……

ピクシーが映し出した映像は……

「いやっ……そんな……なぜ………ありえません!」

 

全世界図書館という場所の中で、悪魔との攻防……いえ、お兄様たちは捕まり……私は人質……いえ、恐ろしい悪魔に私の体を乗っ取られようとされていたのです。

 

そこに、横島さんが現れ、私の代わりに捕らえられ……悪魔は横島さんを精神的に追い詰めるために横島さんのあの凄惨な過去を捕まったお兄様たちに見せたのです。

 

……私はその映像で苦しみに叫ぶ横島さんの姿は、とても見るに堪えないものでした。

私は胸が苦しくなりその場に蹲り耳を塞ぐしかありませんでした。

 

これはこんなものは嘘だと理性が心の中で叫びをあげていますが、その一方で心の奥底ではこれは真実なのではないかと………私の感情は行ったり来たりと巡り、何が真実なのか何が偽物なのかが分からなくなり……

「嘘よ!!こんなものが本当であるはずが無いわ!!」

私は叫んでいました。

 

 

その時です。

私の腹部が光輝きだしたのです。

それはとても柔らかな心地よい温かみを帯び、私の心を落ち着かせてくれました。

『大丈夫だから……』

横島さんの声が聞こえたような気が……

唇にもほのかな温かみを感じ、指で確かめる。

 

そして、私は全て思い出したのです。

横島さんはあの時、私に口づけを……

 

全て真実だった。

横島さんのあの凄惨な過去も……

横島さんがあの目玉の悪魔ベリアルを倒し、私達を助けてくて、何時もの悪戯っぽい笑顔を向けてくれたことを……

横島さんのお師匠さんのお猿の神様、斉天大聖老師様に記憶を封印された事も……

 

あの時、横島さんは全てを語ってくれました。

自分が100年前の人間で、今のこの世界を形成した本人だと……

私が今迄、ピクシーから送られてきた映像を見たままに。

私はあの時横島さんのあの信じられないような過去とこの世界の真実を受けいれました。

いえ、皆もお兄様も受け入れてました。

 

「ピクシー……すべて真実だったのね」

100年前の世界には妖怪や幽霊、悪魔や神様が存在し……。

妖怪と人間が大きな戦争を起こし、人間が滅びかけました。

それを、横島さんがたった一人で禁忌を犯し、世界を人間とそれ以外とを分離させることで人間を救った。

その世界が今の私達が生きる世界。

 

「全世界図書館に保管されてるすべての記録は真実しかありません。ご理解いただき感謝します」

 

「私は何故……全世界図書館の横島さんの過去の記録にアクセスできたのかしら?」

私は新たな疑問をピクシーに聞く。

 

「私は貴方の性格形成をある程度コピーしております。それと貴方の中には横島忠夫の霊気が残っております。それがアクセスを可能にさせたと推測いたします」

ピクシーはそう言って、私の腹部を指さす。

 

今も残るお腹の中の温かみ……

あの時横島さんに口づたいに渡された文珠………今も私の中に。

 

 

私はその後、家に帰りました。

改めて考えると、私はこの世界の成り立ちと真実を知ってしまったのです。

まさに世界が転覆するような情報を得てしまったのです。

私には余りにも重い真実。

これは誰にも話すわけには行きません。お兄様にも………。

でも、お兄様も一度は真実に触れてます。

きっと、いつかは記憶を取り戻してくれます。

 

横島さんが命を懸けて救った人間が生きるこの世界……

でも、横島さんが思う平和な世界ではありません。

人々は戦争をし、人間同士がお互いを傷つけ合ってる。

真実を知った私だから言えることです。

人間同士の争い程むなしい物はありません。

皆は手を携え生きていけるはずです。

そうでならなくては、この世界は悲しいだけの世界です。

横島さんが成した意味がなくなってしまう。

 

私はそう思うと心に痛みが走りました。

 

私はふと唇に人差し指を添える。

するとその痛みは消えます。

 

横島さんに会いたい。

会って、私は全てを思い出した事を話したい……

このような大それた事実、私の心だけでは到底収まり切りません。

横島さんには私の話にとことん付き合って頂きます。

 

そして、横島さんに説教をするのです。

私に口付けをしたことに……私のファーストキスを奪った貴方に……。

 

そして、お礼を言いたい。

お兄様と私が生きる、人々が過ごす世界を救ってくれたことに。

 

横島さんが戻って来るまで、後1カ月ちょっと………

 

早く会いたい。

 

 

 

 




真夜編も終わらせないとですね。

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