誤字脱字報告ありがとうございます。
依頼を終えて事務所に戻る面々。
「お兄様、気を落とされぬように、きっと他に経験値を上げる方法があるはずです」
「そうです。経験値が上がらないなんて、RPGゲームとして成立しません。きっと何かあるはずです」
深雪は達也を元気づけるために、美月は何か見落しが無いか考えに更けながら、達也を励ます。
「そう言えば、戦闘以外にも経験値を貰えるような事を、チュートリアルで言ってたような」
「うん、チュートリアルで言ってた。ちゃんと聞いてなかったけど」
ほのかはチュートリアルを受けた際の経験値について、戦闘以外でも経験値が得られるという説明を思い出し、雫もそれに同意する。
「チュートリアルを確認してみますね。メニュー画面を開いて……」
美月は右手を軽く縦に振ると、目の前の空間にメニューウインドウが開く。
そして、メニューからチュートリアルという項目を選び、調べる。
「………」
女性陣が達也の為にあれやこれやと、解決策を模索してくれている最中、赤のバンダナに青のジージャン、ジーパン姿の達也は沈黙を守ったままだ。
「ありました。えーっと、戦闘以外での経験値の会得方法……スキルや個別スキルの特性によっては経験値が得られる場合があるとあります。方法はさまざまと……。商人系のスキルを持っていると、取引や商品売買により経験値が得られると。……私の固有スキルの『鋼鉄女神』のスキルウインドウを開き、右下に角をスライドさせると……あ、ありました。私の固有スキルは経験値が得られるタイプですね。経験値の獲得方法は……パーティーメンバーを庇ってダメージを受けると、敵のレベルに応じて若干の経験値とスキルレベルポイントが得られるとありますね。このスキルのお陰で攻撃が苦手な私でも、ちゃんとレベルが上がっているみたいですね」
美月は目次だけで膨大な数があるチュートリアルから、戦闘以外の経験値獲得方法の項目を見つけたようだ。
「達也さんは5つも固有スキルがあるから、きっと経験値が上がるスキルがありますよ」
ほのかは達也に微笑みかける。
「………いや…そのだ」
達也は珍しく何か言い淀む。
「お兄様?どうなされました」
深雪はそんな達也の顔を心配そうに見上げる。
「もしかして達也さん、固有スキルの特性を既に調べられて、経験値が上がるようなスキルがなかったんですか?」
美月は自分たちが考えるまでもなく、達也なら既にそのあたりの事も調べているだろう事に思い当たる。
「……あるにはあったが、俺には不可能だ」
「あの達也君が無理ってどんな条件よ」
「達也が不可能とか、マジでか……」
エリカとレオは達也が不可能だと言った事に、少々驚いている。
達也ならどんな困難な事でも、常識にとらわれない方法でサラッとやってしまうだろうと思っていたからだ。
実際、今までの達也はそうだった。
「達也、どんな条件だった?」
幹比古は達也に聞く。
「いや……それがだ」
達也はまたしても言い淀む。
「お兄様、大丈夫です。きっと皆で考えればいい方法が浮かびます」
深雪は達也に微笑みかける。
「こればかりは……無理だ」
達也の答えから、相当厳しい条件なようだ。
この後も皆が達也に条件を聞き出そうとするが、達也は無理だ、不可能の一点張りで固有スキルの経験値上げ方法を話そうとしない。
「わかったわ達也君。でもこれじゃ、達也君はレベルが上がらないし、このゲームをクリアするまで、皆が戦ってる間ずっと荷物持ちだけのサポート要員となるけわね。それでもいいならね」
エリカはワザとらしく、達也に挑発するかのような言い方をする。
「達也さん、皆で考えればきっといい考えが出るかもしれないです……考えてもわからなかったら、いい方法を手分けして探しに行けるかもしれない。ここにみんながいるのだから」
ほのかは、達也を尚も説得する。
「守られてるお兄様も捨てがたいですが、やっぱりお兄様は最前線で戦う凛々しいお姿が好きです」
深雪もダメ押しで説得に掛かる。
「まあ、スキルの経験値上げは無理だとしてよー。その変なスキルでもやりようによっては戦えるかもしれないだろ?お前、そういうの得意だろ」
レオが珍しく正論を達也に告げた。
「………わかった」
達也は皆の説得にようやく首を縦に振り、自分のメニューウインドウを皆に見せる。
そして、スキルウインドウを開く。
固有スキル『荷物持ち』
アイテムボックスのキャパが通常の10倍となる。
但し、体力の消耗が激しくなる。
レベルアップ時に体力上昇ボーナスが付与される。
「体力の消耗が激しいって……便利だけど、これ大変だよね」
「『荷物持ち』には経験値付与のボーナスは無いようですね」
幹比古と美月はこのスキルの説明文を見て、それぞれが感想を漏らす。
固有スキル『無様に逃走』
敵前逃亡を行う場合、通常の3倍の速度が出る。
但し、不格好な走法でのみ、このスキルは発動する。
スキルレベルが上がると、様々な関連スキルが習得可能。
『無様に逃走』スキルレベル3に上昇すると、固有スキル『四つん這い逃走』が習得可能。
「3倍ってほぼ逃走確実じゃないこれ」
「………いや、まんま横島だなこれ」
「横島は普通に走っても速いわよ。わけが分からない走り方だけど」
「これって、達也が不格好な走りをしないと、発動しないのかな?」
「だったらよう、横島の走り方を真似ればいいんじゃないか?達也」
「ぷっ、達也君が横島の?ぷぷっ!」
「え、エリカ、笑いが漏れてるよ。でも……横島のあの走りを達也が……ぷふっ」
「幹だって笑ってるじゃない。だってあの走り方を達也君がよ」
エリカとレオ、幹比古は口々にこのスキルについて考察するが、達也が横島の走り方を真似れば発動可能だろうという結論に至る。
笑いながらだが……。
「…………」
達也はムスっとしたまま沈黙を守る。
固有スキル『一発ギャグ(その1)』
一発ギャグ『のっぴょっぴょーーーん!!」を敵にかまし、敵に効果が現れるとほぼ確実に一時的にスタン状態となる。
但し、発動にはタイミングと本人の素質が問われる。
レベルが上がる事によりその効果は上がり、様々な関連スキルが習得可能。
『一発ギャグ(その1)』スキルレベル3に上昇すると固有スキル『一発ギャグ(その2:こうなったらもーーーーっ)』が習得可能。
「ぷふーーーっ!ぷははははははっ、なんだこれ!?」
「ぷふふふっ、達也君が一発ギャグって想像できないわーーーっ」
「ぷっ、でもこれが出来たらかなり強くないかな?ほぼ確実にスタンする攻撃なんて、使い方によったら最強かも……、ぷふっ!」
「でもよ、これ本人の素質が問われるってあるぜ。達也にギャグの素質があると思うか?」
「ぷふふふっ、ふふはふははははっ、お、お腹痛いわ!で、でも、横島だったら100%成功するスキルね」
「た、たた、達也、練習すればなんとかなるんじゃないかな。ぷふふふふっ!」
レオとエリカ、幹比古は腹を抱えながら、このスキルについて考察する。
結果、これを物にすれば、最強スキルの部類に入る事が判明。
その為には、達也がギャグを練習する必要がある……らしい。
「…………」
達也のムスっとした仏頂面がさらに酷くなる。
次なる固有スキルは……
次は、ギャグ補正と煩悩……
どうなることやら。
固有スキル『煩悩』はどんなスキル?
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痴漢・セクハラを働くと全ての能力がアップ
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結論、最強スキル