横島MAXな魔法科生 番外編!!   作:ローファイト

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真夜編
随分と遅くなりました。






真夜は静かに喜ぶ

「ご当主様、既にお耳にされているかもしれませんが、本日第一高校で事件が起こりました。吸血鬼……パラサイトが侵入し、戦闘行為となりました。さらにパラサイトについて有力な情報も得る事が出来ました。」

深雪さんから何時もよりも早い定期報告を受けましたが……

 

「深雪さん無事で何よりです。第一高校で何者かにより襲撃されたという話を聞いておりましたが、それがパラサイトでしたか。達也さんと深雪さんとでパラサイトの捕縛に成功されたのですか?」

今年初旬から何者かから魔法師が狙われる事件が頻発しておりました。

襲われ死亡した魔法師は血を奪われていたという不可解な事件から、吸血鬼事件と呼ばれ、その正体不明の犯人は吸血鬼と呼称されておりました。

その犯人、吸血鬼の正体は別次元生命体と噂されるパラサイトではないかと、わたくしは考えておりましたが、実証できるものがありません。

直接介入し、捕えて正体を知りたかったのですが、軍部は七草家と十文字家、さらに警察組織の千葉家や吉田家まで介入していたため、四葉家が入る隙間は既にどこにも……

達也さんと深雪さんにはそれとなしに、正体を突き止める様にだけは伝えてはいました。

 

そして、本日、第一高校で大規模な事故が起こったという表の情報が流れてきておりましたが、実際には何者かの襲撃を受けたという事は把握しておりました。

それが、パラサイトによるものだとは、流石に予想外ではありました。

 

 

「はい、今日第一高校に人間のふりをした吸血鬼、パラサイトが侵入してきた事を確認し、それの捕縛を試みましたが失敗いたしました」

 

「人間のふりをした吸血鬼?失敗?どういう事ですか?」

 

「はい、USNA軍スターズのアンジー・シリウス(リーナ)の関係者がパラサイトだったようです。アンジー・シリウス自身はその事を全く知らなかったようです。七草真由美、十文字克人、千葉エリカ、吉田幹比古、ガーディアン司波達也、私、そしてアンジー・シリウスが協力し、事にあたったのですが、パラサイトには魔法の効果が薄く、苦戦を強いられておりました」

 

「……達也さんや貴方がいて……いえ、達也さんは白日の下に分解魔法が使えない状態では致し方がないですね」

 

「パラサイトは強力でした。後で判明したことなのですが、パラサイトは人に憑依する存在だったようで、憑依した人間を変性させて強化する特性があるようです。実際に憑依された人間は、とても人とは思えない回復力を得て、さらに異形へと変貌したのです。さらに、分解魔法は効果を成さないでしょう。いえ、現代魔法自体が効果をもたらさない可能性が高いようです。憑依された人間は目にすることができましたが、私たちにはパラサイトの本体自体が見えていなかったのです。私達には、何もない空間から目に見えない攻撃を受けていたようにしか感じられませんでした。パラサイト本体とその攻撃が見えていたのは、古式魔法師の家系の吉田幹比古、柴田美月です。彼らのお陰で見えない本体と見えない攻撃を防ぐことができたのです」

 

「パラサイト本体と攻撃が見えないとは、どういうことですの?古式魔法の大家吉田家の次男……なるほど、柴田美月さんとは…達也さんと深雪さんの友人の霊子放射光過敏症の子ですわ。その特殊な目であれば、パラサイトを見る事が出来るということですわね」

 

「はい……それだけではなく。柴田美月は一時期、横島忠夫の薫陶を得て、霊気なるものを操る訓練を受けていました。それが大いに役に立ったと……」

 

「そう………有力な情報を得たというのに、捕縛を失敗とはどういうことでしょうか?」

横島さんの教えとは、いかような物かしら?霊気を……サイオンを操るとはどういうことでしょうか?

それに、捕縛失敗という事は逃げられたという事でしょう。有力な情報とはなんのことでしょうか?

 

「………横島忠夫が戻ってきました」

 

「!!………」

私は思わず言葉に詰まってしまいましたが、平静は装う事は出来ていたはずです。

深雪さんの前でなければ、顔はほころんでいたでしょう。

やはり、そうですか。彼が……

彼は友人の窮地を見過ごすわけがありません。

しかし……USNAに滞在しているはずの彼がどうやって?

 

「横島忠夫は、氷室秘術と思わしき魔法により、私達が苦戦を強いられていたパラサイトを、数秒もかからず消滅させました。憑依された人間も救っております」

 

「一人で……やはり救済の女神を引き継ぐだけの技量を持っているという事なのでしょう」

 

「はい、横島忠夫は陰陽師を名乗り、パラサイトの事を悪霊だと……そして、その悪霊の対処は陰陽師である自分の領分だと全て任せろと、いままでない真剣な表情で語っておりました」

 

「悪霊ですか……」

悪霊が存在する!……これで辻褄がすべてあいますわ!

あの夢では、横島さんは悪霊や悪魔や妖怪といった、現在ではありえないものと戦っておりました。

ふふふふふっ、もはや疑いようもありませんね。

わたくしは、逸る心を抑えるつつ、深雪さんの次の言葉を待つ。

 

「はい、その悪霊…パラサイトはUSNAから日本に上陸したようです。スターズの日本での任務も、悪霊に憑依された人間の捕縛又は抹殺だったと」

 

「なるほど、渡航の目的は『灼熱のハロウィン』を起こした人物(達也)の捜索だけではなかったのですね」

……USNAは軍は脱走者の追跡を行っているという情報はこれですわね。

パラサイトは人に憑依するということは……軍の人間がパラサイトに憑依され、逃亡したということですわね。軍の人間が憑依されるとはどういう状況なのでしょうか?USNA軍はパラサイトについて認識していることは確実ですわね。USNA軍はパラサイトについて何かを隠していると考えた方が妥当ですわ。それを隠匿するために憑依されたUSNA軍脱走者の捕縛、抹殺だったと。

USNA軍の動きについてもピースが集まりだしましたわ。

しかし、深雪さんの話によると、既に追ってる側のUSNA軍の中にも、既にパラサイトに憑依された人間が居たという事ですわね。

パラサイトに憑依している人間の判別は困難だという事と、さらにパラサイト自身、高度な知識を所有しているという事ですわね。

 

「はい、それと横島忠夫は、魔法師ではパラサイトに対処はできないと……陰陽師である自ら一人で解決すると頑なでした。私も実際にパラサイトと対峙し、魔法が効果が表さない敵であることを認識し、脅威にも感じました」

 

「魔法が効果を表さないとは厄介な存在ですわね。では、その横島さんに頼るのが妥当という事になりますわね」

 

「そうです。各陣営もそれを認識し、スターズのアンジーシリウス、軍部経由の十師族の七草真由美、警察組織経由、千葉家の千葉エリカは、横島忠夫がパラサイトの件を単独で解決することに納得せず、それどころか、横島忠夫を自分たちの組織に取り込もうとしておりました」

 

「そうですか、七草家も警察組織もパラサイトに随分と振り回されておりましたわ。今更手を引くことが出来ないでしょう。当事者がいるUSNA軍ならばなおさらでしょう。……達也さんは何と?」

 

「その後、話し合いを繰り返す中、ガーディアン司波達也はある提案をし、これを収めました」

 

「それはなんですの?」

 

「パラサイト討伐について、横島忠夫を中心とし、三陣営が協力体制を築く事です。そこに勿論、司波達也と私も入る事になりました。……ご当主様、あの三陣営が協力するとは私には困難に思えるのです。しかし司波達也、横島忠夫は自信があるようでした」

 

「流石は達也さんですわ。深雪さんが不安に思うのは致し方が無い事ですわ。三陣営協力体制なんてことは、普通はあり得ない事ですもの、USNA軍のスターズは特にですわ。達也さんには勝算があるのでしょう」

達也さんは流石ですわね。頭の固い方々ではまず出てこない発想ですわ。しかも達也さん自身が三陣営に認められる形で介入できるようにするとは……強か者ですわ。

これで、四葉もある程度動きやすくなりますわね。

 

「はい、ただ横島忠夫も一筋縄ではいかないようで、司波達也とも対等に交渉しておりました。司波達也は発案者としてオブザーバーの立場を手に入れようとしたのですが却下されました。横島忠夫に氷室家の後ろ盾と提案したのですが、横島忠夫が出した答えは……ドクター・カオスを後ろ盾としたのです」

 

「ふふふふふふっ、あの達也さんと対等に……面白い方ですね横島さんは。ドクター・カオスですか、USNA軍にとって氷室家よりもそちらの方が効果的でしょう。まず間違いなく従わなくてはならなくなります。……七草家は間違いなく受けるでしょう。二陣営が足並みをそろえると……警察陣営も最終的には受けざる負えない。……達也さんと横島さんはいいコンビですわね。仲がよろしいとは聞いてましたが」

皆さんが知らないかも知れませんが、横島さんがあの記憶の方通りであれば、交渉術も素晴らしい才能を持っていらっしゃるはずですもの。

 

「……その……はい、そのようです」

この深雪さんの反応……達也さんを横島さんに取られると思っているのでは?

深雪さんにも困りましたわね。兄離れができないようでは。……しかし、そうでなくてはこちらも困るのですが。

 

「しかし、一つ疑問があります。深雪さんは、スターズのアンジー・シリウスが横島さんを取り込もうとしたと言っておりましたが、スターズの総隊長である彼女が、安易に横島さんや達也さんの話を聞くとは思えませんが……何か理由が?」

 

「……その、スターズのアンジー・シリウス……アンジェリーナ・クドウ・シールズは、横島忠夫の事が好きなようで……恋人のような振舞をしているのです」

 

「……それはどういう事かしら?深雪さん」

なんですの、このもやもやとした気持ちは……

 

「アンジー・シリウスは交渉中も横島忠夫の横にぴたりとくっ付いておりまして……どうやらUSNAで記憶喪失中の横島忠夫の護衛を行っていたとの事で……その」

 

「……横島さんは……」

 

「横島さん、横島忠夫の反応は……どちらかというと、お兄様……いえ司波達也が私と接するような感じでした」

 

「そうですか……」

達也さんが深雪さんとという事は、異性としては見ていない。妹か年下のような扱いという事でしょうか?

なぜかもやもやが収まりましたわ。

 

「肝心な事をお伝えしてませんでした。横島忠夫は、協力体制を敷いた私達にパラサイトの対処方法を教えるとも言ってました。それと三陣営は、協力体制の件は一度持ち帰って検討すると……」

 

「……深雪さん。入用な事が有れば全てこちらで用意します。横島忠夫をこちらに引き込むように達也さんに伝えてください。それと達也さんに労いの言葉も伝えてください。協力体制については成功するでしょう。しかし、逐一進捗状況を報告願います」

 

「承りました」

 

 

 

 

 

……横島さんが日本に戻ってきましたか。

会いたいですわ。

また……あの声でお姉さんと、そして私の名前を呼んでいただきたいですわ。

 

 

それにしても、達也さん上手くやりましたわね。

流石というしかありません。私でもそのやり方は浮かびませんでした。

横島さん中心に三陣営協力体制とは、しかも達也さん自身が中に入る形で……

これで四葉も介入しやすく……いえ、ここは達也さんに任せた方が無難ですわ。

横島さんには……多分気づかれてしまう。

 

USNA軍とスターズの動きだけは把握しておかなければなりませんが……

USNA軍監視の任に派遣した貢(黒羽)さんには釘を刺しておいた方が良いかしら……横島さんには手出し無用と。

 

 

横島さんの話を聞いただけで、こんなにも心が浮かれる自分が、不思議で仕方がありません。

 




次こそはチョコに!!
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