あと、ガールズラブのタグは念のためです。まぁ、調ちゃんですから……
今回はGX一話アバン~一話A、Bパートの間の話です
響さん達がマムを運ぶシャトルを助けてから数週間か数か月。わたし自身、最近は色々と目まぐるしく日常が変化していたしあまりそこら辺は覚えてない。
けど、わたし達がリディアンに通うようになって、響さんやクリス先輩の後輩になって、それから幾日かはもう経っている。
わたしはマリアが部屋に居ない間は基本的に切ちゃんの分の家事もやっているから、人よりも少し忙しい生活を送っているっていう自覚はある。
だから、この日の休み時間はわたしの席が窓際で陽が当たるからって理由で少し船を漕いでいたのは決して悪いことじゃない。
こうしてお日様に当たってウトウトしていると、何だか幸せな気分になれてとっても人生を得している気分になる。
学校で寝るのは少し行儀も悪いし、素行も悪いんじゃないかって思われるかもしれないけど、お昼休みだしそれくらいはいいよね?
「でぇぇぇす……」
って自分に言い聞かせて、隣で宿題用のノートに顔を押し付けている切ちゃんに助けを出さないようにしていたけど、やっぱり出さないと駄目だよね……
今回の古文の宿題、凄く難しかったし。
切ちゃんだとちょっと提出期限の明日までにできる気がしない。だから未来さんに教えてもらったとき、一緒にやる? って聞いたのに。
まぁ、わたしも未来さんに教えてもらった身だしあまり人のこと言えないけどね。やっぱり持つべきものは先輩とお友達。
「……大丈夫?」
取り敢えず切ちゃんに助け舟を出してみる。確か、今回の古文の宿題はやらないと次の休みの日に補習があるから、次の休みに用事がある切ちゃんは宿題を忘れちゃうと大変なことになる。
具体的にはクリス先輩が寂しがる。
わたしもマリアと出かける用事があったしちょっと焦ってたけど。
だから、切ちゃんの休日のため、そしてクリス先輩がドタキャンされたって後々愚痴らないため、わたしは切ちゃんに助け舟を出した。助け舟を出された切ちゃんは涙目でこっちを見て「しらべぇ~……」って泣きそうな声でわたしの名前を呼んだ。可愛い。
「助けてほしいデスぅ~」
こっちに寄って来た切ちゃんから少し視線を外してノートを見てきたけど……これはひどい。
えっと……何この、何? あの文は確かによく分からないけど、ここまで難解な物だったっけ……? でも、切ちゃんの日本語力はお手紙でお察しレベルだから、平静を装って切ちゃんの助けに応える事にする。
わたしはクールな女。そして出来る女。
「あまり直接は教えられないけど、わたしのノートを参考にしていいよ」
そう言ってわたしは切ちゃんにノートを手渡す。ノートには未来さんと一緒に勉強した時のアドバイスとか、古文の読み方とか色々と書いてあるから、きっとこの文も解けるはず。
ただ、このノートに宿題もやってあるから切ちゃんが明日、自分の部屋にノートを忘れてきたりすると詰む。わたしも補習へ連れていかれちゃう。
目をキラキラさせてお礼を言ってくる切ちゃんは可愛いけど、これだけは釘を打っておかないと。
「ちゃんと明日返してね? じゃないとわたしも補習だから」
「分かってるデスよ~。恩を仇で返すような真似はしないのデス!」
胸を張る切ちゃん可愛い。
ひとまず、こうやって釘を刺しておけば大丈夫かな。切ちゃんがノートを開く音を聞きながら、わたしはもう一回机の上で頬杖を突いた。
外から入ってくる日差しが心地よくて、やっぱりすぐにウトウトしちゃって……このままお昼寝したら気持ちいいんだろうなぁ……あ、段々ねむくなってきて……あたたかくていいきもち……
このままねむっちゃってもいいかなぁ……きっとだれかおこしてくれるよね……おやすみ……
「調? ちょっと聞きたいことがあるんデスけど」
「ふぁっ? え、あ、うん。なにかな?」
ちょっと寝てたら切ちゃんに起こされた。うん、予想以上に熟睡出来ちゃいそうだから寝るのは止めて他の事やってよう。
****
次の日。
この日は朝から切ちゃんがドタバタしてた。何でも宿題に予想以上に時間がかかったらしくて、気が付いたら寝落ちしていたとかで今日の準備をしていなかったとか。
それと、実は朝からちょっとSONGから招集がかかって、適合係数を測ったり色々とやってたっていうのもあった。
学校の方は午前中は公欠したけど、午後からは何時も通りに学校へ来た。
「いやー、疲れたデスなぁ……」
「仕方ないよ」
こっちは色々と助けてもらった上に、こうやって普通の生活を送れるようにまでしてもらったんだから。大人の人達は「学校の方を優先してくれてもいいんだぞ」って言ってくれたけど、学業も装者としての生活もどっちも大事。
わたしもその内、LiNKER無しでちゃんとギアを纏えるようになりたいし。この歳でお薬にズブズブとか嫌だからね。
で、今日の午後は古文があって課題提出の時間。だから切ちゃんからノート返してもらわないと。昨日は切ちゃん、結構遅くまで課題やってたからノートまだ返してもらってない。
「切ちゃん、ノート」
「およ? あ、そうデス。ちょっと待つデス」
切ちゃんがいつもの様な笑顔でカバンを膝の上に乗せて中に手を突っ込んだ。
「いやー、ホントに調のノートには助けられたデス。これが無かったら今でも終わって……!?」
「切ちゃん?」
なんかいきなり切ちゃんの表情が変わった。
なんだろう、この表情。言葉にするなら……「やべぇ」かな?
しかも何度もカバンに手を突っ込んで弄って顔まで突っ込んで……どうしたのかな? ノートがかなり奥のほうに入っちゃったとか、少し折れちゃったとかかな? それくらいなら気にすることないのに……
「調、少しいいデスか?」
切ちゃんの顔はまだやべぇって顔のまま。何でそんな顔をしているんだろう。
「この問題は、冷静に対処する必要があるデス」
「うん?」
「決して、パニックになってはいけないデス」
「パニックって、たかがノートをかえ」
「ノートを、忘れたデス」
……
…………
………………
……………………え?
「………………ちょっとクリス先輩とか響さんにヘルプを」
「ちょっとおおぉぉぉぉおぉおぉぉおぉお!!?」
思わず声を荒げて切ちゃんに掴みかかった。
え、どういうこと? 昨日ちゃんとやってたよね? なんで忘れ……まさか、単純にカバンの中に入れ忘れていた? え、ちょ、それマズいってあの先生課題を忘れたら容赦ないんだよ!?
「おおおおおお落ち着くですしらべべべべべべ」
「どうするの!? わたし補習の日はマリアと出かける予定があるんだよ!? 久々にマリアと出かけられるからマリアも笑顔だったのに捕習でドタキャンってマリアが悲しんじゃうじゃん!?」
「あばばばばばばばばば」
「わたし嫌だよ!?」
切ちゃんのせいで何だかテンションが可笑しい方向へと向かったわたしは、切ちゃんの両肩に置いた手を動かして切ちゃんの体を回転させると、そのまま切ちゃんの両手を掴んで交差させて切ちゃんの体をガッチリホールド。
「受けなくてもいい補習受けるなんて真似ぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
後はそのまま切ちゃんの股の間に顔を突っ込んで肩車の要領で体を持ち上げ、情けも容赦もなくジャパニーズオーシャンサイクロンスープレックスホールドを決める。周りからは歓声が上がる。
「うごぉ!!?」
切ちゃんが変な声を出しているけどこれはお仕置き。
「ちょ、ちょっと調、流石にこれはキャラ崩壊のし過ぎ……」
「そりゃ崩壊もするよ!?」
ど、どうにかしないと。また一からやる? いや、まずノートを持ってきていない時点でそれも無理!
この補習をどうやって切り抜けるかを……わたしなら出来る。大丈夫。装者の中で一番の常識人であっておさんどんであって潜入美人捜査官メガネのわたしなら!
「な、ならあたしが先生に交渉してくるデス!」
「ゴー! 早く、全速力で!」
「ラジャーデス!」
わたしのジャパニーズオーシャンサイクロンスープレックスホールドから抜け出した切ちゃんが教室の外へ向かって走っていった。
足音が聞こえなくなって数秒。また戻ってくるまでに大体十秒か二十秒。わたしはドキドキしながら切ちゃんが結果を口にするのを待った。
そして切ちゃんが戻ってきた。
「聞いてきたデス!」
「結果は!?」
「駄目デス!」
思わず切ちゃんのカバンから教科書を一つ取り出して思いっきり頭を叩いたことは悪くないと思う。
ど、どうしたら……なんか切ちゃんが言ってるけどそれは一旦無視。今はどうしたらこの状況を脱出できるかだけを考える。今からまたやるんじゃ駄目。先輩たちに頼るのは……未来さんくらいにしか頼りになる人がいない!! いや、でも未来さんなら……未来さんなら何とかしてくれるハズ!!
ケータイ取り出しポパピプペ。未来さんお願いだから出て!
『もしもし、調ちゃん?』
「未来さん、色々あってこの間の宿題のノート忘れちゃったんですけど、何か案はあります?」
『えっと……うん、諦めたほうが。響が一回それでダメだったし』
「オワタ」
こ、これじゃあマリアに顔向け出来ない……折角今度の休みに海外から帰ってきてくれるのに……
『え、響? えっと……今から走って取りに行けば問題ない? いや、でもあと二十分しか……』
「それ! ありがとう響さん!」
『え? でも調ちゃんの住んでるアパートって往復三十分位じゃ』
未来さんが何か言ってたけどこれで光明が見えた。確か今日はカバンのなかにローラースケートが……あった。
「切ちゃん、ランニングの時間」
「へ? もしかしてここから走るつもりじゃ……」
「オフコース」
最近切ちゃんはお腹回り気にしてたしランニングしたらいいと思うの。
と、いう訳で切ちゃんの首根っこを掴んで窓を開けて、そのままローラースケートと切ちゃん片手に地面へダイブ。
「デェェェェェェェス!!?」
途中で切ちゃんから手を放して二人一緒に五点着地。切ちゃんにはそのまま走ってもらって、わたしは十秒程度で上履きからローラースケートに履き替えて上履き片手に全力でダッシュ。
シュルシャガナで走るよりも滑るほうに慣れてるからこっちの方が断然速い。すごく疲れるけど。
学校のほうから視線を浴びながらも部屋に向かってダッシュ。途中で走っている切ちゃんに追いついて、そのまま二人で一緒に部屋へ向かって走る。
「これ間に合うデスか!?」
「間に合わなかったらどっちにしろ終わりだよ、切ちゃん」
「デスよね!」
それに、わたし達の部屋には歩いて十五分。なら、走って十分以内に縮める程度なら出来るはず! わたし達は毎朝これ以上の距離を走っているんだからこの程度、余裕なはず!!
そのまま八分くらい走って歩くよりも半分くらい時間を短縮してそのままゴール! わたしは靴がローラーだから階段は上がれないから切ちゃんに階段を走ってもらって待つこと一分くらい。切ちゃんは手に二冊のノートを持って階段を下りてきた。やった、これで確実に補習は免れる!!
「行こう切ちゃん!」
「デス!」
これでわたし達は補習を免れ……?
「あれ、電話……?」
「あ、あたしもデス」
いきなり電話がかかってきた。誰がかけてきたのかを見ると……え、SONGの本部? 切ちゃんの方も……っていうことは、もしかして何かあった?
切ちゃんと顔を合わせてから、わたしが代表して電話に出ることにした。電話に出ると聞こえてきたのは、風鳴指令の声だった。
『あぁ、調君か!』
「はい、そうですけど……何かあったんですか?」
『実はだな。君達の現在地点から走って十分程の所で謎のガス爆発と火災が発生した。しかも、人が取り残されている』
「そ、それって」
『救急隊も消防隊も火の勢いが近すぎて近寄れずにいる。だが、シンフォギアなら別だ』
どんな災害でも、わたし達のシンフォギアならすぐに駆け付けて人命救助ができる。それに、今のわたし達は訓練のために自分に打った訓練用の、薄めたLiNKERの効果がまだ残ってる。全力で戦うのは無理だけど、救助活動をする程度なら造作もない。
でも、救助活動をしていたら古文の時間に間に合わない。提出は授業始まってから最初の数分だし、シンフォギアの事は秘密だからどうやっても騙せる気がしない。つまり、行けば補習は確定……っ!
補習は確定だけど……わたし達の時間が削れる程度で罪もない人が死ぬのを防げるのなら!
「切ちゃん」
「二人一緒に補習デス」
笑いながら切ちゃんが言った。
もうこれで、怖いものなんてない。
「分かりました。すぐに急行します」
『そうか、助かる! 今、座標を転送する。すぐに向かってくれ!』
通知を切って画面を見れば、そこには今のわたし達の場所と火災が起こった場所が表示されていた。これなら、シンフォギアを纏ったら十分も経たずに着けそう。
「行こう、切ちゃん」
「ぱぱっと助けてぱぱっと怒られるデス!」
ギアのペンダントを取り出して握りこむ。胸の内に浮かんでくるのはギアを纏うための歌。
「Various shul shagana tron」
「Zeios igalima raizen tron」
****
結局、救出には移動時間を含めずに三十分くらいの時間がかかった。フロンティア事変の後、わたし達のギアは適合係数がちょっと上がったから、黒が主体じゃなくてパーソナルカラーが主体の色合いに変わったけど、今日はもうLiNKERの効果が切れかけていた事。
使ったLiNKERが普段のLiNKERを薄めた物だったって事があってか、フロンティア事変の最中の出力が低いギアになっちゃった事もあってあまりスムーズに救助活動を進められなかった。
でも、わたし達が救助に向かってから死人は一人も出なかったし、途中で響さんやクリス先輩もミサイルに乗って来てくれたから、三十分程度で終わらせる事ができた。ミサイルは乗り物だって事も今日学んだ。
そんな訳で学校から飛び出してから戻ってくるまでに約五十分。もう授業はとっくに始まってた。
「うぅ……確実に怒られるデス……」
「でも、ノートはちゃんと持ってきたから少しは許してくれるハズ……」
救助活動ですごく疲れたから二人でゾンビみたいに後者の中を歩く。響さんとクリス先輩とはもう別れたけど……あぁ、憂鬱。
教室の前で少し尻込みをしちゃったけど、二人で勇気を出して教室の中に入る。
「ん? あぁ、月読さんに暁さん」
「す、すみません……」
「色々と訳あって遅れたデス……」
あぁ、視線が痛い……
「大丈夫ですよ。他の先生から校舎の外まで行く用事を受けたんですよね?」
「へ?」
「およ?」
それって、どういう……あっ。
もしかして、SONGの方でそういう情報操作が?
な、なら! 今ノートを出せば補習は抜きにしてもらえるかも!!
「あ、あの!」
「はい」
「宿題のノート、今出しても大丈夫ですか?」
そう言いながらそっと古文のノートを出す。ど、どうだろう。許してくれるかな?
「……ふふっ。月読さん?」
「は、はい……」
「ノートの提出は今日じゃありませんよ?」
…………
………………
……………………へ?
「ほら、そこの時間割が書いてある黒板の所、ノートの提出は明日に変更するってちゃんと書いてありますよ?」
え、ちょ、そんなハズ……あった。
もしかして、クラスの人達は皆知ってた? 油が切れたロボットみたいに首を動かして、視線をクラスの人達のほうへ向けると、みんな視線を逸らした。
「そ、その、気づいてるかなって思って……」
「口を挟む前に飛び出して行っちゃったし……」
「切ちゃん……? 何で飛び出していったとき駄目って言ったのかな……?」
「えっと……先生居なかっただけデス!」
えぇ……それって、つまり……
「む、無駄足……がくっ」
わたしはそのまま訓練の疲れや救助の疲れやらでそのままぶっ倒れた。
切ちゃん……せめてそういう肝心な所は喋ってよ……
ばたんきゅー……
この時期には既に二課じゃなくてSONGだっけ? なんて思いながらお送りしました
パロディ元はフルメタル・パニック? ふもっふのアニメ二話Bパート、空回りのランチタイム。ただ調ちゃんにジャパニーズオーシャンサイクロンスープレックスホールドさせたかっただけな話。というかジャパニーズオーシャンサイクロンスープレックスホールドする調ちゃんが書きたかったから書いたとも
あと、きりしら宅がリディアンから何分とか分からなかった(忘れた)ので適当に徒歩十五分程度にしました。色々とツッコミどころはあるかと思いますが十割ギャグで構成されているのでご容赦を
それでは次回、「月読調の華麗なる声優デビュー」にご期待ください。なお、次回の内容は告知したものと別になる可能性がありますのでご容赦を