月読調の華麗なる日常   作:黄金馬鹿

105 / 113
今回はなのはコラボ回です。
文字数迫真の二万四千文字。長すぎィ!!

やりたい事詰め込みたかったけど詰め込み切れなかった。普通に装者七人+なのは側からも結構主要人物だしたのでそりゃあやりたい事やりきれないよねって。

調ちゃんがコラボに混ざってたら人数もうちょっと減らせたんですけどね……

そんな各キャラの出番を考えながら書いたなのはコラボ回です。ちょっと今回から歌の部分を分かりやすいように色分けしてみましたが、不評なら戻します。

という事でどうぞ。


月読調の華麗なる魔法バトル

 わたし達が海外に出張している間に片付いた魔導士という魔法を使える、言っちゃえばマジモンの魔法少女達と一緒に響さん達が異変を解決してから暫く。

 響さん達のギアに搭載されたフォーミュラって言うのはギアの改修を手伝った姉妹の方々に回収されたらしいんだけど、あの時確かに魔法を一時的に借りる形で使えていた響さん達のテンションは、その後も結構高かった。何せ錬金術じゃなくて本物の魔法だからね。そりゃあテンションも上がるよ。

 にしても、小学五年生の子達が魔法を使って世界を懸けた戦いをしてるって……世の中分からないよね。

 わたし達も比較的世界の危機とは対峙してきた方だし、なんだったらウルトラマンやゴジラみたいなヒーローや怪獣とも戦ってきた身ではあるけど、小学生の魔法少女、なんていうのは流石に驚いた。しかもそれが世界を救っているんだから驚き。

 確か……八神はやてって子の夜天の魔導書っていうのがバグって起こした事件がそれに繋がったんだっけ? 聖遺物も危ないけど、魔法も魔法で結構危ないんだね……未来さんから特別に教えてもらって、色んな物も使いよう一つで世界の危機を引き起こすんだなって、改めて分かった。

 で、どうしてこんな話をしているか、というと。

 いつも通り本部でストレス解消だったり運動だったりダイエットがてらだったりで訓練をしていたわたし達の元に、司令の方からとあるお知らせが来た。

 

「先日共闘した時空管理局の魔導士達から迷惑をかけたお詫びにと、つい先ほど招待を貰った。本来なら装者七人を留守にするのはあまり得策ではないが……」

「その間はベヒモスの他にもあちらの世界から持ち込まれた危険物が無いかどうか、時空管理局の方が調査しがてら問題が発生した場合は緊急の連絡と対応を手伝ってくれるらしいので、皆さんは是非とも息抜きがてら遊びに行ってはどうでしょうか? 折角のお誘いですし」

「そうだな。平行世界に全員で遊びに行くなど、ギャラルホルンを使うと中々に面倒だしな。あちら側の技術で遊びに行くのなら手続きなんて必要ない。七人での平行世界旅行とでも洒落こんできてくれ」

 

 というお知らせがあったので、それならと司令とエルフナインの言葉に甘えて時空管理局とやらの本部があって、先日の魔法少女達が現在本拠点っぽくしているミッドチルダって世界に遊びに行く事になった。

 ちなみに時空管理局っていうのは、魔法文化を持ったいくつもの世界を管理する、警察と軍と裁判所が一緒になったような組織なんだって。

 きな臭いって思ったわたしって心が穢れてるんだと思う。

 で、この世界はどうやらあちら側的には魔法技術を持っていないから管理外世界って扱いなんだって。第九十七管理外世界にもう一つ地球があるらしいんだけど、そっちが魔法少女の子達の故郷とか。だからこの世界に来た時は心底驚いたらしいよ。地球なのに知ってる人が居ないって。

 

「そっかぁ、なのはちゃん達とまた会えるんだ!」

「随分と嬉しそうだな、立花。まぁ、私もフェイトと会えるのは楽しみではあるがな。あそこまで私の事をシンプルに先輩として見てくれる存在は貴重でな……」

「あ、あはは……あの子達は翼さんの奇麗な部分しか見てませんからね……」

「小日向??」

「まぁ、翼さんの日常を見たらフェイトちゃんの態度もわたし達と似たような物になると思いますよ?」

「立花???」

「だろうな。だってセンパイだし」

「雪音????」

 

 だって翼さんだし、としか言いようがありません。

 そりゃ最初はまるで切れたナイフというか、斬れる刀というか……なんかすっごい怖そうな人ってイメージだったけど、色々と話したら結構ポンコツな面が多いって分かったし……一応先輩として尊敬してはいるよ? いるけど、それとは別にこう、この人も人間なんだなって思う点が多いと言うか多すぎると言うか……

 完璧超人なんてこの世にはいないんだなって。

 ……マリアとか特にそれだし。

 

「なんでかしら。急に調の頭に拳骨を落としたくなったわ」

 

 ひぇっ。

 拳を構えるマリアから距離を取ってとりあえず翼さんの後ろに隠れて、ちょっと呆れたようなこいつらは……と言いたいのか、多分後者であろう笑顔を浮かべる弦十郎さんが遊びに行くのが決定したのなら、とあちら側から指定された事の説明をしてくれた。

 まず、あちらの指定した場所に行く事。そしたら連絡する事。そうしたら迎えが来るとの事。

 わー簡単。

 という事で、わたし達はあちら側が指定した場所に移動した。ちょっと遠かったけど、歩いていける距離だったよ。で、ついてみるとそこには謎の機械があるくらいで、それ以外は特に何もない。

 まさかその機械を弄る訳にもいかないし、暫く待機していると、目の前の機械が急に光始めた。うわまぶしっ。

 

「よし、ゲートはしっかりと正常に作動しているな」

 

 と言いながら出てきたのは、男の子だった。

 男の子……なんだろうけど、わたしよりも背が高い。というかもしかしたら翼さんよりも高いかも……男の人の方がいいかな……?

 

「君達が件のシンフォギア装者だな。話には聞いているよ。僕は時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ」

「クロノさん、ですか? なんかどこかで聞いたような……」

「あの事件の時に丁度援軍要請を受け取っていたから、恐らく母さんが僕の名前を言ったんじゃないかな。一応言っておくと、僕はリンディ・ハラオウン艦長の息子だ。それと、フェイトの義理の兄という事にもなる」

「そう言えば、フェイトは義理の兄がいると話している時に言っていたな。なるほど、あなたの事だったか。私は風鳴翼だ。フェイトには世話になった」

 

 フェイトって子関連で先に知っていたらしい翼さんが一歩前に出て手を差し出すと、クロノさんはその手を取って普通に握手。

 てっきり魔法少女が出てくるのかと思ったけど、普通に魔法使いの人が出てきた。

 魔法少女魔法少女って言ってたから、魔法少女みたいな女の人で構成されたところなのかな、とか勝手に思ってたけど、普通に男の人もいるみたい。

 ……じゃなきゃ時空管理局なんて大層な名前付けないかな。わたしが魔法少女で魔法少女だけの組織を作るんなら、もっとメルヘンチックな名前を付けると思う。

 

「なるほど、君がフェイトと仲が良かったという。いや、こちらこそフェイトが迷惑をかけたみたいだね。それと、フェイトに構ってくれて感謝する。何分、フェイトは引っ込み思案でね。取っ付きにくくなかったかい?」

「いやいや、あなたの妹君はとてもいい子だった。むしろ私の方が普段は取っ付きにくいと言われていてな。フェイトの人懐っこさが無かったら会話なんて続かなかったさ」

 

 ……何と言うか、互いに謙遜しあっていると言うかなんというか。

 聞いててもどかしい会話だなぁ。でも、それぐらいにフェイトって子がいい子なんだって言うのは分かる。

 

「それと、敬語は使わなくても大丈夫だ。きっとこの中じゃ僕が一番年下か、年下の子と並ぶくらいだからね」

「そうなのか? にしては背が……」

「こう見えても十六だ。二年前まではなのは達と同じくらいだったんだがな……ここ最近で急に伸びてこれだ。おかげで年齢確認されなくなった」

 

 に、二年で……

 …………わたしなんて身長止まったのに。

 せめて翼さんくらいの身長があればスレンダーとか言えるのに、身長止まったせいで完全にロリだし。クリス先輩はまだロリ巨乳とか言われてるけど、わたしはロリのままだし……!!

 羨ましい……!! 魔法文化に何か身長を伸ばす秘訣とかあるのかな……是非とも知りたい……!! ついでに胸も……!!

 

「な、なんかあっちの子から睨まれてるが、僕が何かしたか……? したなら謝るが……」

「気にしないでいいわ。この子、ちょっとあなたの身長が羨ましいみたいで」

「マリア!」

 

 何で言うの!? というか何で分かったの!? 今日のマリアはなんでわたしの心を読めるの!?

 

「あ、あぁ、そうか……いや、ユーノからも時々言われるから一応慣れてはいるが……あまり伸びすぎてもいい点は少ないぞ? 狭い天井にはぶつかるし、小さい方が作戦時も何かと隠密がしやすいからな」

「みんな言う! 背がある人は! みんな言う!!」

「五、七、五。月読、迫真の俳句であった」

「季語無しだな」

 

 この赤青コンビ、後で処す……!!

 

「ま、まぁ、なんだ。ここで立ち話もなんだ。早速ミッドチルダに案内しよう。本来なら管理外世界の者をミッドには連れていけないのだが……ベヒモスの件で力を貸した現地協力者だ。観光ぐらいならこちらの権力で精一杯楽しめるように押し通すさ」

「えっ、そうするとクロノさん……さんでいいのかな?」

「好きに呼んでくれ。呼び捨てでもさん付けでも何でもいい」

「じゃあクロノさんで。身長高いし。クロノさんって、偉いんですか? 聞いてる感じだと凄い偉い人って感じが……」

「まだそこまでだな。だが、執務官っていうのは案外我儘が利いてな。ついでに闇の書の件もあって大体中堅位の地位には居る。将来は母さんと同等の地位に付くのが目標だが、今はその道半ばだ。あまり偉い訳じゃない」

「いや、時空管理局の規模を聞いた上だと相当だと思うんすけどぉ……」

 

 せ、世界を幾つも管理する警察組織みたいな組織の中堅だもんね……というかもしも謙遜が入ってるとなると更にその上だろうし……

 か、確実に偉い人だ。しかも十六歳でそれっていう事は、相当エリートだ。

 凄い……そんな絵に書いたようなエリートなんて初めて見たかも。

 ……後で魔法少女の子達にさり気なく聞いてみようかな。

 

「それじゃあ、ゲートを起動する。全員、ゲートの中に入ってくれ。入って一分もしない内にそのままミッドチルダだ」

 

 そう言われてゲートと呼ばれている機械の中に入ると、そのまま機械が作動して光に包まれた。

 で、暫く待っていると急に周りの風景がさっきまでの人のいない場所からSFチックな場所に変化した。

 うわっ……何この、SF映画にありそうな凄い目に悪そうな青色の光の部屋……

 呆然と周りを見ていたけど、クロノさんからこっちだ、と声をかけられてそのまま青色の部屋を出る。なんかSONG本部にしかないような空気が抜けるような音と共に開く自動ドアを抜けると、その先にあった窓から見えた光景は都会……なんて言葉じゃ生ぬるい程の建物がひしめいた、まるで近未来の都市が広がっていた。

 

「ようこそ。魔法と科学の世界、ミッドチルダへ」

 

 クロノさんの言葉を聞きながら、わたし達は思った以上に魔法じゃなくて科学な都市を見て呆然としていた。

 なんというか……

 …………魔法のイメージがまた崩れました、はい。

 

 

****

 

 

 その後は歩きながら魔法の簡単な説明とかを聞きつつ、魔法少女の子達が待つ場所へと向かったんだけど、そこで魔法って言うのは科学に近いものなんだっていうのを聞いた。

 まず、デバイスっていうわたし達でいうギアみたいなのを持って、リンカーコアっていう魔力の源的な期間から魔力を取り出して、デバイスが魔法のプログラムを実行して魔法の行使をサポートする事で魔法を発動するんだとか。デバイスを使わなくても魔法は使えるらしいんだけど、デバイスがあった方が効率も威力も段違いなんだって。

 だから、何と言うか……魔法の杖的なのはあるけど、それはかなりメカメカしくて、あくまでも魔法っていうプログラムを起動するための装置なんだとか。なんか携帯電話代わりにもできる万能小道具的なのではあるらしいんだけど……

 なんというか、想像していたほどメルヘンじゃなかった。というか、SFだった。

 本当にイメージを崩されたけど、リンカーコアというのがあれば地球人でも魔法が使える。というか、魔法少女の子達三人の内二人は地球人らしいから、わたし達にも魔法が使えるんじゃって張り切ったんだけど、結果は一人を残して全滅。

 唯一リンカーコアがあったのはなんと翼さんとマリア。本人達も驚いていたけど、魔力総量的にはリンカーコア持ち同士ができる念話がギリギリ使える程度。ミソッカス魔力らしいです。翼さんとマリアは折角新しい力を! とか張り切った矢先に落とされて膝から崩れ落ちていた。

 にしても、なんで翼さんとマリアだけなんだろう……クロノさんと響さん、未来さんは翼さんとさっきから話題に出ているフェイトって子の声が似ていたよねー、そう言えばマリアの声に似た人がこの間の事件でー、なんて話していたけど、まさかそこに秘密が……? 

 

「おっと。どうやら待ち人が待ちきれずにこっちまで来てしまったようだな」

 

 と、色々と話して……というか、ほぼわたし達がクロノさんに質問攻めをしていると、ふと前の方を向いた。そっちに思わず視線を向けると、そっちの方から茶髪のツインテールの子とショートの子。それから、金髪のツインテールの子が走ってきた。

 あれは……あっ、そうだ。確か魔法少女の。

 

「響さん!」

「なのはちゃん! この間ぶり!」

 

 そうだ。高町なのはちゃんと、フェイト・T・ハラオウンちゃん、八神はやてちゃんだ。

 早速響さんが走って、そのままなのはちゃんとハイタッチを決めたけど、何と言うか……やっぱりあの人元気だなぁ。なのはちゃん達もだけど。

 わたし達全員で苦笑して、とりあえずそのまま手をつないでピョンピョン跳ねてるお二人の元へ。フェイトちゃんとはやてちゃんもなんか苦笑してるし。

 

「先日はありがとうございました、翼さん」

「いや、こちらこそ助かった、フェイト。お前の力が無ければ、ベヒモスは止められなかった」

「未来さんも、この間はありがとうございます。今日は楽しんでいってくださいね」

「ありがと、はやてちゃん。平行世界に行くのってわたしは珍しい方だから、お言葉に甘えて楽しんじゃうね」

 

 こうやって見ると、この三人が響さん達並に強くて事件解決に貢献するほどの活躍をしたって言われてもあまり信じられないかな……だって見る限りはただの小学生の子供だから。

 だってこの中では最年少のわたしよりも四つ位年下なんだよ?

 そんな子達が装者と肩を並べて戦いましたって言われても、実際にその場を見てないわけなんだから、ちょっと信じられないと言うか。でも、この三人がこうやって笑顔で話してるって事は、本当に強かったんだろうね。

 空も飛べるって言うから、本気で喧嘩したら、エクスドライブか空中を浮遊できるギアじゃないと簡単にあしらわれるだけになるかも……

 

「それじゃあ、ミッドを案内しますね! とは言っても、特に観光名所とかはないんですけど……」

 

 で、早速このミッドチルダに観光を……ってなったんだけど、なのはちゃん曰く、観光名所とかは特にないみたい。そうなんですか? とクロノさんの方を向くと、残念ながら、と言って苦笑しながら頷いた。

 軽く話を聞いてみると、どうやらミッドチルダの近辺の殆どが近代化が進んだ結果、自然だったり建造物だったりと言った、昔ながらの観光名所っていうのが殆ど無くなっちゃったかどこかに移動させられたらしい。で、それに加えて、そう言う昔ながらの物は危険なロストロギア……えっと、聖遺物みたいなものみたい。で、そのロストロギアの可能性もあるから、基本的には管理局がそのまま押収して管理してるんだってさ。

 じゃあどこで娯楽を満たせるのかと聞いたら、そこら辺はやっぱり魔法関連の技術を盛大に使ったテーマパークとか、娯楽施設とかがそれに当たるらしい。でも、娯楽施設を観光名所とは言い張れないから、観光名所は特にないとの事。

 なんというか……魔法世界も色々とあるんだね。

 

「強いて言うなら、聖王教会やな。あそこは結構観光名所として有名って聞いたことがあるで。わたしのコネで中には入れるやろうし」

 

 ここで再びクロノさんにクエスチョン。聖王教会って?

 その答えは、本当に単純なんだけど、ミッドの中のベルカ自治領って所にある教会なんだってさ。一応このミッドの中では最大手の教会らしくって、そのトップは管理局に所属して共にロストロギアの回収や事件の解決に手を貸す感じで協力関係を結んでいるとの事。

 で、そこは結構他所の管理世界から来た人の観光名所になっていたり、結婚式を挙げる場所としても人気らしい。

 

「無限書庫とかもいいんじゃないかな。あそこは地球には絶対にないような場所だし、それに今はユーノもいるから書庫の中に入れてもらえると思うよ」

「あっ、それいいね! じゃあ最初に無限書庫に行きましょうか! で、その後に聖王教会に!」

「む、無限書庫……? それって、図書館みたいなところなの?」

「うーん……行ってみれば分かるんやけれど……あっ、この中に無重力が駄目な人とかいます? 居るんやったらちょっと厳しいんやけれど」

 

 む、無重力が駄目……?

 それは……大丈夫じゃないかな? なんやかんやでわたし達、未来さん以外はギアを纏ったまま真空の宇宙に放り出されてから大気圏突入した経験あるし……それに、響さん達もなんやかんやでスペースシャトルの上に相乗りしたまま大気圏突破してたし。

 でも、どうして無限書庫って図書館と無重力が関係してるんだろう……

 

「それじゃあ、僕は仕事があるからこれにて失礼させてもらう。なのは、フェイト、はやて。あんまり無茶苦茶言って装者の皆さんを困らせるなよ? 特になのは」

「そんな事しないよ、クロノくん!」

「どうだか。君達はその場の勢いでなんだかんだやらかす時があるからな。それじゃあ、装者の皆さん。帰りは僕じゃなくて彼女達が案内する手はずになっているから、今日は思う存分楽しんでいってくれ。とは言っても、観光名所はさっきも言った通り聖王教会程度なんだがな」

 

 と言ってクロノさんは苦笑しながらわたし達が来た道とは反対方向に向かって歩いていった。

 っていうか、あの人仕事中に抜け出してきたんだ……なんだかちょっと申し訳ない事したかな。クロノさんだって多分そんなに暇な立場じゃないだろうし。

 

「全くもう、クロノくんはなんでわたしを名指しで……」

「その件については全面的に同意かな……なのはって勢いでやらかす時があるし」

「闇の書然り、この間のエルトリアの件も然り。フェイトちゃんも人の事言えてへんけど、なのはちゃんのはその倍以上はヤバい事やってのけるしなぁ」

「二人とも!?」

「なるほど、そう聞いていると高町と立花の気が合ったのも納得がいくな」

「そうですね。なんというか、響の魔法使いバージョンというか、小さい響と言うか」

「うえっ!? わたし、そんなに勢い任せじゃないよ!? ねっ!?」

『………………』

「あっ、みんなからの視線が……」

 

 この人ほど勢いって言葉が似合う人、わたしは知らないんだけど。

 フロンティア事変から始まってこの間のシェム・ハまで、響さんは最後まで勢いたっぷりだったもん。トッポに負けないくらい勢いたっぷりだったもん。

 で、そんな事で笑いながら、なんとなーく翼さんとフェイトちゃんの声が似ているようなそうじゃないような……なんて思いながら結構歩くと、ようやくその無限書庫って所にたどり着いた。

 管理局の中ってこんなに広いんだ……ここで働いている人って迷わずに自分の行きたい場所に行けるのかな。絶対に毎年数人は遭難者が出ると思うんだけど。

 

「ユーノくん、来たよ!」

「あっ、なのは。全く、急に十人分の無限書庫への立ち入り許可を出してって、ちょっとはこっちの事も考えてよ。ちゃんと取っておいたけど」

「にゃはは……ごめんごめん」

「まぁ、いいけどね。こういう時は僕も一緒に入ってちょっとした休み時間に入れるし」

 

 で、無限書庫に入ると早速なのはちゃんが茶髪の男の子と話し始めた。

 えっと、ユーノって……そう言えば事件の記録でベヒモスの事を調べていた捜査協力者の中の一人に名前があったような……

 

「えっと、こうして顔を合わせる人も、話すのも初めてな人も、初めまして。僕はユーノ・スクライアです」

「あの時ベヒモスの情報を集めてくれた者だな。しかし、まだ子供なのにあれほど早く聖遺物の情報を集めてこれるとは……高町達もそうだが、魔法を扱う者達は特に外見で能力の強弱の判断などできないな」

「いえ、僕はこの無限書庫でベヒモスの情報を調べてきただけなので。それに、僕はそう言う事専門ですから」

 

 裏方専門って事なのかな。エルフナインみたいな。

 確かに、前に出て戦うってよりは後ろでみんなのサポートをするってイメージがするかも。

 

「あまりここで長話するのも他の司書の迷惑になるので、中に入っちゃいましょう。僕やなのは達がいるので問題は無いと思いますが、中で遭難しそうになったら大きな声を上げてください。すぐに助けに行きますから」

「えっ、そんなに広いの……?」

「広いと言うかなんというか……まぁ、入ってみると分かります」

 

 と、言われたので前を歩くユーノについて行ってその無限書庫の中とやらに案内してもらう。

 この部屋も普通に図書館っぽいのに、まだ奥に何かあるのかな……? まぁ、こんな風な図書館で無限書庫って言われると確かに違和感はあるけど。

 カウンターでの手続きとかは全部ユーノに任せること数分。細かい手続きが終わったらしいユーノが全員分の何かを差し出してきた。

 これは……な、何語……?

 

「これが無限書庫に入るための許可証です。無くさないようにしてくださいね」

 

 あっ、なるほど。

 っていうか、図書館一つに入るだけでこんなのがいるんだ……もしかして、色んな機密が入っていたりするのかな。だとするとわたし達が入っていいのかは甚だ謎ではあるけども……

 とりあえず許可証を首から下げて、ユーノ達が入っていった扉の中に一緒に入る。

 中は……ってうわっ!?

 

「な、なにこれ!? 浮いてる!?」

「なるほど、無重力とは言葉の通りであったか」

「す、すっごい……壁一面に本が……」

「こりゃすげぇな……って、最上部と最下層が見えねぇ……」

「なんか体を動かすたびにどっか行っちゃうデスぅ!?」

「ちょっ、切ちゃん!? ほら捕まって!」

「確かにこれは無限と言っても言葉負けしてないわね……」

 

 中は円柱型の空間だったんだけど、その円柱型の空間がバケモノ染みた広さを誇っている。

 まず上と下。円柱型と言うからには最上部と最下部が見えるのが普通かもしれないけど、なんかこう、霞がかった感じで最後まで肉眼で目視できない。そんな明らかに異常と言えるほどの空間なのに、出入り口は見た所一つだけ。

 もしかしたらあの迷宮よりも広いかもしれない。

 そんな場所が無重力空間。これは確かに調べものに夢中になっちゃったりした場合は出入り口から離れすぎて、しかも場所が分からなくて遭難なんて事は容易にあり得るかもしれない。

 これは確かに許可がいるね……

 

「ようこそ、無限書庫へ。ここは全次元世界のありとあらゆる本が現在進行形で追加され続けている、広がり続ける図書館です」

「ひ、広がり続ける図書館……!? それに全世界って……」

「漫画や小説から始めて、誰が書いたのか分からない日記や黒歴史ノートまで保管されています。多分、探せばなんでもありますね。探せれば」

 

 と、言いながらユーノがちょっと遠い目をした。

 

「……いや、ほんと、探せばあるんですよ。だからついつい探し物に夢中になって何度遭難しかけたか……」

 

 あっ……

 な、なるほど。確かにこういう所は本の虫にとっては天国みたいな場所だから……

 この中に本を好んで読む人はあまりいないけど……でも、漫画とかが置いてあるんならちょっと読んでみたいかも。

 

「えっと、探したい本はこっちの端末から。それか、僕に話しかけてくれれば検索魔法で取ってきますよ。あと、無重力空間が慣れない人はなのは達に頼んで運んでもらってください。飛行魔法ならここを自由に移動できるので」

 

 と、言う事で一旦ここで自由行動。みんなで思い思いの本を探して読む時間になった。

 うーん……じゃあ、ちょっと無茶苦茶かもしれないけど、あの本を……

 

 

****

 

 

 暫くして無限書庫で本探しの時間は終わった。

 いや、ホントにあるとは思わなかったよ。マリアが初めてインタビューを受けた雑誌とか、翼さんのツヴァイウイングデビュー時の特集雑誌とか。

 まさかそんなものまであるとは思っていなかった二人は思いっきり妨害してきたけど、こそっと読みました。

 あとは響さんや切ちゃんは漫画を探してたし、翼さんはなんかどこかの剣術の指南所みたいなのを読んでた。クリス先輩とマリアはなんか小説読んでたし、未来さんは料理本を読み込んでた。

 ただ、言っていいのか分からないから内緒にしているけど……ふと好奇心に負けてウェル博士の名前を調べてみたんだよね。そしたら、優しいLiNKERの作り方ってタイトルの本が……

 ……忘れよう。これ多分エルフナインが発狂するやつだから。あと論文で櫻井了子って調べたら櫻井理論の本まであったし……

 む、無限書庫の名前に偽りなし、だね!!

 

「しかしこれは……管理局という名を堂々と使うだけあるな」

「各平行世界の書籍を一か所に詰め込んだ場所なんて、それだけで最早兵器よ。これを守り抜き、そして正しい事に扱うための下地があるが故に、の名前なのかもしれないわね」

 

 そんな風にわたし達は呑気に無限書庫で自分達の読みたい本を探していたんだけど、幾つかの書籍を手に取っていた翼さんとマリアはこの無限書庫に関してわたし達よりもちょっと遠い所……戦略兵器としての使い道を見出したみたい。

 確かに、これだけの情報があればそれはただの兵器になる。多分、この無限書庫一つで数万数億の人の命を使ってでも、って人は沢山いると思う。

 もしもこれがわたし達の世界に聖遺物として存在していたら……って思うと、怖いよね。

 

「あはは……確かにこれ一つだけでも相当な脅威ですけど、勝手知ったる人が手を加えないとこの無限書庫はマトモに散策する事すら適わないゴミ箱になってしまいますから。僕が来るまではどうも無限書庫は本をしっかりと本棚に入れるだけで手いっぱいだったみたいですし」

「それを可能にしたのが魔法、という訳か?」

「はい。僕達……えっと、スクライアの一族は遺跡の探索やこういう書物を探る事に長けているんです。それを応用して魔法を組み上げて、それでようやく停滞から一歩進んだ、という形です」

「知識のごみ箱だった、とでも言えばいいのかしら。でも、それをどうにかする魔法を一人で作り上げるなんて。あなたは優秀な魔法使いなのね」

「いえ、別にそんな事は……ただ、趣味と仕事が偶々一致したってだけで……」

「いやいや、謙遜はそうするものではない。趣味と仕事が偶々一致したのだとしても、今まで停滞していたソレを進める程の案を出し、実際に実行に移し成功している。それは並の人間ではできない事だ。それは、十分に誇っていい事だ」

 

 マリアと翼さんに褒められてユーノが照れてる。

 あそこまで褒めちぎられたらそりゃ照れるよね。それに、ユーノってわたし達よりも一回りは下の年齢っぽいし、そんな子があの二人にああやって褒められたら、ね? 二人とも凄い美人だし。

 で、無限書庫についてはそれ以上はあまりイベントは無かったかな? 強いて言うなら異世界の料理について書かれた本を見て、色んな料理もあるしちょっとあり得ない感じの料理もあるのが分かったくらい。まさかあんなのを使って……ううん、これはあまり思い出さないようにしよう。結構ショック強かったし……

 ……でも試してみようかな? 響さん辺りならゲテモノ料理も味が美味しければ食べてくれるかも……いや、止めておこう。後で未来さんからの制裁が怖い……

 で、その後は無限書庫を出て聖王教会へ……なんだけど。

 

「移動方法、バスなんだね。案外普通と言うか……」

「みんながみんな魔法で空を飛んでるとかじゃないんだな」

「ミッドで飛行魔法は禁止されているんです。飛行した結果、空中で航空機との事故を起こしたり、落下してしまったりして大怪我をする可能性があって危険なんです。誰かが空を飛んでいる時は、それ相応の事件が起こっていると思った方が自然ですね」

「それと、大規模な魔法も使うと管理局側に連絡が行って漏れなく事情徴収からの連行コース……ですね」

「専用の訓練場とかを使えばなんも問題ないんやけど……そういう所って結構人気やから、全力で魔法を使える機会って実は案外少ないんです」

「魔法のための法整備もしっかりとされているのね……何と言うか、頭の中にあったファンタジーが徐々に現実味を帯びたものに侵食されて行く気がするわ……」

 

 わたしもマリアと同感。

 魔法ってもっとこう、キラキラしたモノかと思ってたんだけど、こうやって内情を聞いてみると魔法とは名ばかりの兵器と言うか、それに近しい物と言うか。

 一応非殺傷設定っていう設定があるらしいから兵器よりはマシなんだろうけど、それをみんながみんな解除したら、多分魔法は兵器よりも凶悪なものになるかもしれない。それをしっかりと抑え込む法があるのはいい事なんだけど……

 でも、やっぱりイメージが粉々に崩れていく……これじゃあリリカルなんて名ばかりのロジカルだよ……

 

「リリカルマジカルかと思っとったらロジカルフィジカルでちょっとがっくりするの、よくわかります」

「とは言うけど、この中で一番フィクションの魔法っぽい魔法を使うのってはやてだよね。わたしはほら、結構近距離型だし、なのははアレだし」

「アレ!? アレってなに!?」

「ほら、桜色が…………ごめん、ちょっと気分が」

「桜色がなんなの!? もしかしてスターライトブレイカーの事言ってる!? というかわたし、気分が悪くなるような事、一度でもした事あった!?」

「ねぇ、なのは。なのはは案外普通にぶちかましてるけど、拘束された状態で桜色が視界を覆うのって凄い怖いんだよ」

「あぁ……うん。フェイト、お前の気持ちは何となく分かるぞ。あれがこっちに来たらと思うと……」

「というか、なのはちゃんの魔法って撃つときにビームライフルみたいな音してるよね……」

「マジ……カル……?」

「マジカルです!!」

 

 び、ビームライフルみたいな音……? というか桜色が視界を覆うって何……?

 もしかしてわたし、魔法とは名ばかりの違う物に触れようとしている……? そう言えば響さんもフォーミュラっていうナノマシンで魔力を扱えるようにしたって言ってたし……

 よく考えればナノマシンってマジカルじゃないよね。ナノマシンって時点で魔法って言葉とはかけ離れた物だよね。

 

「えっ……? なのはちゃん、あんなエグいビーム撃っておいてまだマジカルとか言っとるん……?」

「はやてちゃんまで!? というかそれを言うんならはやてちゃんのミストルティンとかラグナロクとかディアボリックエミッションとか、そこら辺も十分フィジカルだよ!」

「石化魔法、魔力攻撃、範囲指定型魔力攻撃や。どこもフィジカルやあらへんで」

「だったらわたしだって!」

「ビームマシンガン、ビームライフル、ビームバズーカ、ビームジャベリン、サテライトキャノン。魔……法……?」

「普通の魔力攻撃!!」

「新機動戦記なのはガンダムX、はじまります」

「ガンダムじゃないからぁ!!」

 

 なのはちゃんとはやてちゃんが和気藹々と話していると思ったらキレたなのはちゃんが桜色の玉みたいなのを出してはやてちゃんに発射した。

 と、思ったらはやてちゃんの方はそれを壁みたいなのを出してガードしてドヤ顔。

 そのままもう一発とでも考えたのか思いっきり腕を振りかぶったなのはちゃんだったけど、横に居たフェイトちゃんに取り押さえられて二発目は放たれなかったけどじたばたしてる。

 周りにお客さんいなくてよかったかも。居たら多分ちょっと迷惑だったかも。

 

「だが、あれほどの力があるのなら、一つ手合わせでも願いたい所だな。私達の世界にもこの世界の魔法を使える者が攻撃に来た際、魔法と相対するためのいろはがあれば立ち回りも変わってくる」

「模擬戦って事ですか? それなら受けて立ちますよ!」

「あはは……なのはのちょっと悪い癖が……」

「なのはちゃん、人と本気で戦うのは結構嫌がる方なのに、模擬戦やと遠慮なく本気でぶつかってくるからなぁ……でも、フェイトちゃんも模擬戦大好きやろ?」

「ちょっと、ね? 確かにシンフォギアの本気とぶつかってみたいって気はするけど……」

 

 あっ、翼さんの一言からなんだかちょっとだけ血気盛んな方向に話が……

 でも、翼さんの言う通りではあるよね。

 この間のベヒモスが起こした事件、わたし達は関与していないし、アレには魔法が関与していた。だから魔法に対する対抗策を物にするために友好関係である管理局の魔法使いと模擬戦をして魔法への対応策を見つけようっていうのは。

 特にわたし達は魔法をこの目で見たことはないから、実際にぶつかってみるっていうのは全然ありだと思う。今度魔法使いが来たときにわたし達しかいなくて、勝手が知らなくて負けましたとかは洒落にはならないし。

 

「でも、そうなると人数の差があるよね。ほら、わたし達七人だし」

「それならわたしの家族を呼びますよ。丁度リィンを入れると五人ですけど、リィンはわたしとユニゾンするので、実質七対七です。多分、シグナム辺りなら喜んで模擬戦に来ると思いますし」

「あー……シグナムなら確かにレヴァンティン構えてニコニコしながら来そう」

「二人のシグナムさんへの評価って一体……」

 

 あっ、本当に模擬戦するって話になるんだ。

 ……LiNKER、持ってきてたっけ。確か持ってきていたような持ってきていなかったような……あっ、あった。

 

 

****

 

 

 あの後、聖王教会って所にみんなで一度行きました。

 うん、大きくて綺麗だった。流石に関係者以外立ち入り禁止の所は入れなかったけど、はやてちゃんが持ってるコネって言うので、機密とかではやてちゃんでも見れないって部分以外は殆ど見る事ができた。

 あんな立派な教会、地球で探しても見つからないんじゃないかな。それに、シスターさんもいっぱいいたし。ミッドチルダの最大手の教会って言うのは全然冗談じゃないみたい。

 信仰しているのが聖王って人らしいんだけど……その人はすっごい昔の古代ベルカって時代に戦乱をロストロギアっていう聖遺物みたいなもので止めた人なんだってさ。簡単に聞いただけだからそれ以上は分からないけど……でも、当時戦っていた王様とか民族の子孫はこの世界にいるらしいよ。覇王って人の子孫やエレミアって種族は見つかってるらしいし。

 古代の時代からの子孫が今もいるって凄いよね。

 で、聖王教会の方にもあんまり長い事滞在してお仕事の邪魔はできないからって事で、観光と写真を程々撮って、結婚式するならこういう所がいいよねー、なんて言いながら管理局の方まで戻ってきました。

 そこでやる事と言ったら。

 

「じゃあ模擬戦、やりましょうか!」

「うん! 全力でぶつかり合おう!」

 

 はい、模擬戦です。

 道中ではやてちゃんの御家族四人と合流して、管理局内にある模擬戦スペースまでやってきました。

 はやてちゃんが呼んだのは四人……というよりは、三人と一匹。

 

「お前達が主はやて達と共にベヒモスと戦ったというシンフォギア装者か。私はシグナム。夜天の書の守護騎士、ヴォルケンリッターの一人だ。烈火の将とも呼ばれている」

「同じく、守護騎士のヴィータだ」

「シャマルです。今日はよろしくお願いしますね」

「私はヴォルケンリッターの一人。守護獣のザフィーラだ」

 

 シグナムさん、ヴィータ、シャマルさん、ザフィーラさんの三人+一匹。

 それに加えて。

 

「リィンフォースⅡです! 今日はリィンも全力で戦います!」

 

 妖精さんみたいに小さな子、リィンフォースⅡ。

 普通に小さい人間にしか見えないんだけど、融合騎、またの名をユニゾンデバイスって言って、主人とユニゾンして戦う命を持ったデバイスなんだって。そんなデバイスもあるんだ、と思ったけど、どうやらユニゾンデバイスっていうのは凄い珍しいらしくて、なのはちゃん達もユニゾンデバイスはリィンしか知らないんだって。

 で、ヴォルケンリッターっていったい何? って話もしたんだけど。

 

「私達は人間ではなく、夜天の書に搭載されている主を守るための騎士だ。プログラムが本体、とでも言った方がいいか。故に、夜天の書の主である主はやてに仕える騎士、というわけだ」

「プログラム……っていう割には人間にしか見えないわね。どの辺がプログラムなのか分からないわ」

「まぁ、こうして表に出てきている以上は中身は人間だな。これ以上成長する事も老いる事も無いが」

「みーんな、わたしの自慢の家族なんです。なー、ヴィータ?」

「うわっ!? きゅ、急に抱き着くなよはやてぇ!」

 

 なんかサラッと魔法って凄いとしか言えない事を言われたけど、こうして見ている以上は普通の人間だよね。

 まぁ、要するにはやてちゃんの家族って事だよね。わたし達F.I.S組みたいな感じで。

 だからか、苗字も普通に八神って名乗ってるみたい。

 で、そんな八神家の方々だけど、ヴォルケンリッターっていうカッコいい名称に負けないくらい強いらしい。というか、普通に管理局の中でも各方面でトップを取るのも夢じゃないくらい強いのだとか。

 わたし達は基本的に脳筋七人衆だけど、ヴォルケンリッターの四人は前に出てはやてちゃんに攻撃が行かないように前線を維持するシグナムさんとヴィータ。後ろで二人の援護をしつつ、敵のサポートを妨害しながらサポートをする支援特化のシャマルさん、そんな四人を常に守りながら戦況を有利に進めるザフィーラさんって形でしっかりとバランスが取れてるみたい。

 で、ここに後方支援に加えて超広範囲爆撃ができるはやてちゃんが混ざる事で夜天の書の主と騎士は完結するそうで。

 ……えっ、これ脳筋でぶっ壊せる?

 わたし、マリア、クリス先輩が頭を抱えたけど、他の脳筋がレッツバトル、といった感じで魔法使い組と模擬戦室に入っていったのでわたし達も続きました。

 

「この模擬戦室はクラッシュエミュレートが実装されてるので、どれだけ攻撃をしても生身の体は傷一つないんです。代わりに、例えば骨が折れるレベルの攻撃が当たったら実際に腕は動かなくなりますし、無理に動かせば相応の痛みが走ります」

「後は、全員ヒットポイント制で、それを超過したダメージを貰ったらそのまま退場です。そうなる頃には大抵地面に転がってますけど……」

 

 で、肝心の模擬戦なんだけど、今説明してもらった通り、クラッシュエミュレートってやつで実際にはダメージを貰わないんだって。試しに翼さんと響さんが思いっきり殴り合ったけど、実際に怪我はなかったよ。代わりにARのホロウィンドウみたいな物にダメージを貰った箇所が赤く染まる形でダメージが表現されて、HPが減って、ついでに怪我の内容も書いてあった。

 顔を殴られた翼さんは頬骨粉砕って書いてあったし、思いっきり斬られた響さんは裂傷って書いてあったけどね……響さん、もう少し加減しましょう……? 思いっきり震脚しましたよねあなた……?

 まぁ、そんな事故は置いておくとしまして。

 

「模擬戦だけど手加減はしないよ、なのはちゃん!」

「こちらこそ! 全力全開でいきます!」

「空を飛べないからと侮るなよ? こちらとて空を飛ぶ敵の相手は何度もしてきからな」

「勿論です。全力でお相手します」

「えっと……わたし、あんまり実戦慣れしてないからお手柔らかにね?」

「わたしもあんまり頑丈な方じゃないので、お手柔らかにお願いします」

 

 あっちの方はなんかすっごい平和そうに会話してるけど……

 

「ふっ……新たな力との会合か。腕が鳴るな、レヴァンティンよ……!!」

 

 あのっ、こっちの方になんか人斬りみたいな雰囲気で怖い笑顔浮かべてるピンク色のお侍さんが居るんですけどぉ……!!

 

「あー……なんかその、ウチの馬鹿がすまんな。お前等今日休みだったんだろ? 模擬戦に呼び出しちまってなんか悪いな」

「いや、アタシの方は別にいいんだけどよ……とりあえず、シグナムに気をつけろよ。あいつ、こういう時は割とマジで斬りかかってくるから」

「お、おう……そっちも、ウチの馬鹿には気を付けておけよ。あいつ、生身が相手だろうと腹パンと顔パン決めてくるから」

 

 あとなんかあっちで赤色の二人が苦労人面しながら仲良くしてるのはどうしよう……!? わたし、色繋がりのせいかピンク色のお侍さんに思いっきり狙われるんですけどぉ!! ああいうの翼さんの相手でしょ!?

 あっ、ホロウィンドウのカウントダウンがゼロに……

 

「ディバインバスターッ!!」

「最速で最短で真っ直ぐに一直線にぃぃぃぃ!!」

「ハーケンセイバーッ!」

「受けて立つ! 蒼ノ一閃ッ!」

「小手調べに!」

「こっちだって!」

 

 うわっ、眩しっ!?

 えっと……なのはちゃんのビームと響さんの拳、フェイトちゃんの発射した鎌型の斬撃が蒼ノ一閃と相殺、はやてちゃんと未来さんのビームがそれぞれ相殺……?

 というかなのはちゃん、いつの間にあんなビームライフルみたいな武器を……? さっきまで普通の杖持っていたような気がしたんだけど……

 

「行くぞ、レヴァンティン!!」

「しゃーねぇ。やるからには全力だ! 潰すぞ、アイゼンッ!!」

「調の元には行かせないわ!」

「お前みたいな突撃してくるヤツの相手は慣れてるんだよ!!」

 

 と思ったら目の前でマリアとシグナムさん、ヴィータとクリス先輩がタイマンで交戦し始めた。

 どうやらシグナムさんは、やっぱりわたしを狙って来ていたらしいけど、マリアがなんとか庇ってくれた。シグナムさんも明らかにヨーヨーっていう切り結ぶには心許ない武器よりかはマリアの短剣と斬り合うことを選んだみたいだし。

 で、赤色のお二人に関しては、最初から互いに互いを潰そうと思っていたらしく、ヴィータの鉄槌をクリス先輩は響さんを相手する時のようにガンカタで捌きながら互いに攻撃が当たらないように動いている。

 あの二人、わたし達の中では普通に戦闘力でトップクラスのマリアとクリス先輩を相手に一歩も引かないなんて……やっぱり守護騎士の名は伊達じゃないって事かな。

 それじゃあ、わたしは!

 

「行こう、切ちゃん!」

「援護とタンクを先にやっちまうデス!」

「ザフィーラ、ちょっと私じゃ援護が心許ないかもしれないけど!」

「大丈夫だ、シャマル。お前には指一本触れさせん!!」

 

 わたし達のユニゾンなら、守護獣だって突き破れる!!

 

「恐れ戦くデスッ! 天真+、爛漫×! 重低音ブッパデェスッ!!

「歌い始めたか! だが、その程度の小手先でこの身を突き破る事はできんッ!!」

 

 切ちゃんがジュリエットを飛ばすけど、ザフィーラさんはそれを自分の体だけで弾き飛ばして見せた。

 う、うそ、流石に硬すぎじゃ……

 いや、でも、ユニゾンしたわたし達なら!!

 

高出力全開で、フィールドを駆けようッ!

「高速移動からの突撃か、悪くはない! だが、圧倒的に重さが足りんッ!!」

勝負も夢っ……!?」

 

 き、禁月輪が真正面から止められた!? そんな馬鹿な!!

 いや、だけど!

 

決戦のFight Song!! 重ね合う歌がっ!!

「やはりそう簡単には見逃されんか。いいコンビネーションだ!」

 

 わたしは一人で戦ってるんじゃない!

 最高のタイミングでの切ちゃんの突撃でわたしが解放されて、そのまま着地。けど、ザフィーラさん相手に切ちゃんもかなりやりにくそうで、今までみたいに力押しを重点に置いた攻撃じゃどうにもザフィーラさんを打ち砕けない。

 これが守護獣……! その名前は伊達じゃない……!

 だけど、こっちだってシンフォギア装者だ!

 

どんな高い壁も! 切り刻んで未来を創るッ!!

 

 くらえ、超巨円投断ッ!!

 

「させないっ!」

 

 これでザフィーラさんを押しつぶし……!?

 あ、あれっ、なんか超巨円投断が急に言う事を利かなく……

 って、なんか緑色の突風みたいなのが吹いて横から超巨円投断を見当違いの方向に!?

 

「助かる、シャマル!」

「相手にリンカーコアがない以上、これぐらいしかできないもの。当然よ」

 

 くっ……! この二人、凄くやりにくい……!!

 ザフィーラさんは硬すぎるし、シャマルさんの援護も侮っていた……!

 

「まだまだ行くわよ!」

 

 とうとうザフィーラさんだけじゃなくてシャマルさんの援護が本領を発揮してきた……!

 なんとか相手の手数をこっちの手数で押し退けるけど、切ちゃんの方がかなりやりにくそうにしている。幸いにも目立ったダメージはないみたいだけど、時折当たる攻撃で徐々にHPを減らされている。こっちも相手に有効打を与えられてないし……このままじゃ切ちゃんが押し切られてわたしまで……!!

 

「拳の距離は! わたしの距離だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「何ッ!!?」

 

 こ、この声は響さん!

 四人同時にそっちを見ると、響さんはなのはちゃんから距離を取ったついでにとでも言いたいのかこっちに突っ込んできている。

 確かに切ちゃんじゃ決定打を決める事ができなかったけど、拳と拳の響さんなら!

 

幾つの闇を! 乗り越えたならぁぁぁぁぁぁ!!

「なんという迫力……! だが、止めるッ!!」

 

 響さんが歌いながらザフィーラさんとぶつかり合う。

 その威力にザフィーラさんが地に足を着けながらも殴り飛ばされる。響さんの拳の威力は、その時に抉れた地面がどれほどの物だったのかを示してくれている。

 

胸に刻んだ、数多の想い! 痛みだけじゃない! 焼き付いたメモリアッ!

「くっ、重い上に速いか……! 良き師匠を持ったと見る。だが、私とて盾の守護獣としての誇りが、この拳で守り抜くだけの誇りがある!」

「うわっ! こ、この人、崩せない上に一撃の重さが尋常じゃ……! いや、だとしても! わたしにだってこの拳、この歌にぶん守るだけの誇りがあるっ!!」

「面白いッ!! お前の拳、誇り、歌ッ! その全てを賭してこのオレを越えて見せろ!! テォアアアアアアアアア!!」

 

 えっと……ここ、バトル漫画の世界でしたっけ。

 なんか急にあの二人が拳同士のタイマンをし始めた。というか響さんが簡単に突破できないって、そりゃあわたしと切ちゃんじゃ手をこまねく筈だよ。

 それじゃあザフィーラさんは響さんに任せて、こっちは!

 

「ザフィーラさん、避けてくださいね……! レイジングハートっ!」

『All right master. Hyperion Smasher stand by OK』

「一閃爆砕っ! ハイペリオンスマッシャーッ!!」

 

 あれを止めるッ!!

 

「調!」

「切ちゃんの思う所はお見通しっ!」

 

 切ちゃんが二本の鎌を組み合わせた物を受け取って、それをわたしの丸鋸と組み合わせて三重の盾を作り出して回転させながらなのはちゃんのビームを受け止める。

 だけどこれ……! いくらなんでも重すぎる……ッ!!

 いや、でもユニゾンで高めたフォニックゲインなら!!

 

「止められるっ!!」

 

 なんとかなのはちゃんのハイペリオンスマッシャーっていう技を受け止めきる。

 危なかった……ユニゾンしていなかったら確実に撃ち抜かれてた……

 

「う、うそっ、止められちゃうんだ……」

「そのビーム以上の攻撃は、何度だって受け止めてきた。体で」

「それ普通に死ねません……?」

「何度死ぬかと思ったか分からんデスよ」

「ライフで受ける事に慣れればこの程度!」

「慣れたくないんですけど……」

 

 むしろわたし達ってどっちかと言ったら紙装甲だから相手の攻撃は基本的にライフで受け止めるしね!

 ……いや、そのせいで何度死ぬかと思ったか分からないけど。

 よし、響さんはザフィーラさんの方に行ってもらっているし、今度はわたしか切ちゃんがなのはちゃんを足止めしてシャマルさんを。

 

「思い通りにはさせません」

「調、後ろデス!」

 

 えっ、後ろ?

 

「あなたの思い通りにも、ね!」

「っ、読まれていた!?」

 

 うわっ、後ろで鉄がぶつかり合う音が!?

 すぐに振り返ればそこにはフェイトちゃんの鎌とつばぜり合いをしているマリアが。ま、まさかあっという間に後ろに回られていた……? もしもマリアが居なかったらリタイアになっていたかも。

 でも、マリアが庇ってくれたんならよし。後はわたしは予定通りに……

 

「私との決着を放棄しどこへ行くつもりだ!」

「くっ、二体一は……!」

「加勢するぞ、マリア! フェイト、お前の相手は未だ私のままだ!」

「撒いたと思ったのに……!」

 

 なんか急にわたしの真ん前でシグナムさん&フェイトちゃんVSマリア&翼さんのタッグマッチが……!!

 

「行くぞ、レヴァンティンッ!」

『Schlangeform』

「蛇腹剣……! それならこっちにも分がある!!」

「わたしならこの中でも飛べる! 距離を取って……当たれ、フォトンランサー!」

「受けて立つ! 千ノ落涙ッ!」

 

 わたしが全力で後ろに下がると同時にシグナムさんの剣が蛇腹剣に変化してマリアに襲い掛かるけど、マリアも短剣を蛇腹剣にしてそれを迎え撃つ。

 そんな地獄みたいな刀身の結界の中をフェイトちゃんは飛び回って翼さんから距離を取りながら黄色の弾を放ってくるけど、翼さんがそれに対して千ノ落涙で迎え撃って蛇腹剣の結界の中で爆発が起きる。

 わたしはその間にシャマルさんの方へと向かうけど、シャマルさんもこっちをよく見ていて近づけないように糸を操ってくる。

 

「切ちゃん、ユニゾンの続きを!」

「合点デス!」

 

 でも、それならなのはちゃんは一旦放置してシャマルさんを仕留めるために切ちゃんと動く。

 まだユニゾンは続いている。だから、歌えば出力は!

 

二人じゃなきゃ出せない力になり、勇気に変わる!

「なるほど、二人の歌を合わせて出力倍増ってわけね……! これは流石にわたし一人じゃ……!!」

「だったら援護するで! とにかくばら撒いて妨害や!」

 

 っ、歌っている最中に横やりが!

 文字通りの大量の魔力の槍みたいなものを二人で防ぎながらわたしと切ちゃんで丸鋸と鎌を飛ばすけど、それは横の方から飛んできた赤い人のハンマーで破壊されて阻まれる。

 

「アタシが居る限りはやてに傷一つ付けさせねぇ!」

 

 ヴィータ……!

 いいタイミングで邪魔をしてきてからに。

 でも、それならこっちにだってフリーになった装者がいる! 

 

「だったら諸共ぶっ飛ばしてやりゃあいいだけだッ!! 合わせるぞ、後輩共!」

 

 クリス先輩の攻撃にわたし達の歌を重ねれば!

 

Ready Go!!

 

 わたし達がミラアルクに向かって放った電鋸発射装置を作り出して、更にクリス先輩がその後ろからミサイルを設置。それで更に推進力を増したこの電鋸をぶちかませば!!

 

「だったら真正面から迎え撃ってやる!! アイゼン、カートリッジロードッ!!」

「わたしも続くよ、ヴィータちゃん! レイジングハート、カートリッジ!」

「それならわたしもや!」

 

 か、カートリッジ?

 よく分からないけど、これで三人纏めて!!

 

歌う仲間と泣いて、笑える今日が!!

新たな仲間と泣いて、笑える今日が!!

 

 電鋸を発射して、更にミサイルによってその推進力を上乗せする事でミラアルクに向かって撃った時よりもはるかに強力なソレを三人に向ける。

 だけど、発射した直後、ヴィータのハンマーに変化があった。

 

「轟天、爆砕ッ!!」

 

 巨大化。

 そうとしか言いようがない程に巨大化したハンマーがヴィータの細い腕で思いっきり持ち上げられる。更になのはちゃんとはやてちゃんの魔法陣の光もそれに合わせてどんどん強くなる。

 も、もしかしてヤバい……?

 

「ギガントシュラークッ!!」

「ハイペリオンスマッシャーッ!!」

「クラウソラスッ!!」

 

 冷や汗を掻いて切ちゃんの肩から降りた直後、ヴィータのハンマーの一撃でわたし達の合体攻撃が粉砕され、更になのはちゃん達の砲撃が迫ってくる。

 ま、まずっ、防御が間に合わない――

 

「よし、直撃!!」

「これで三人撃破や!!」

「……いや、待て! クラッシュエミュレートが反応してねぇぞ! あいつら、どうやってか防ぎやがった!!」

 

 ……あ、危なかった。

 

「わたしの神獣鏡の力は、禍払い。だから魔法だってどうにかできる!」

 

 未来さんの滑り込みからの咄嗟の防御が無かったら危なかった。アマルガムを使わない限りあそこからの脱出は不可能だったかも。

 頭部のアームドギアをもう一度再生性してヨーヨーを構えてわたしはもう一度シャマルさんの方へ。それと同時にクリス先輩がはやてちゃんの方へ、未来さんがなのはちゃんの方へ、切ちゃんがヴィータの方へと向かう。

 

「うわっ、物騒なモンを……! 銃刀法違反ですよ!」

「はっ、そんなもんアタシ様が知るかってんだ! オラオラ行くぜ!!」

「このっ、はやてにそれを向けんじゃねぇ!」

「あたしの事を忘れてもらっちゃ困るデスよ!」

「二人とも! くっ、援護が……!」

「神獣鏡、どうやらなのはちゃんには凄い相性がいいみたいだね。あなたの魔法は強烈だから、わたしが封じる!」

 

 そのままはやてちゃんとヴィータ、クリス先輩と切ちゃんがツーマンセルする形で動いて、なのはちゃんは砲撃を撃つけどもその全てを未来さんの神獣鏡が防いでいるせいでマトモに援護ができていない。

 で、相手が重火器にビビり散らしているのをいいことに、クリス先輩が歌いながら両腕の装甲と大型拳銃を組み合わせてガトリングを両手に作り出し、いつもの弾幕を形成する。

 

鼻をくすぐるGunpowder & smork! ジャララ飛び交うEmpty gun cartridges!

「が、ガトリング!? シンフォギアって何でもありにも程があるやろ!」

「しかも防がねぇと結構体力持って行かれんのがタチわりぃ!!」

血を流したって、傷になったって! 時と云う名の風と、仲間と云う絆の場所があああああああ!!

 

 あっ、MEGA DETH PARTY。

 

「ミサイルまで……! でも、あんまり好き勝手にはさせへんで! 弾幕には弾幕や!」

「ついでにこいつをくらいやがれ! ラケーテンハンマーッ!!」

 

 ミサイルまで撒き始めてとうとうクリス先輩の一方的な展開になるかと思ったけど、それをはやてちゃんが力任せの魔法の弾丸の弾幕で全て迎撃して、更にヴィータがハンマーの先端からブーストを噴出して回転しながら加速して弾丸の中を突っ切ってクリス先輩へと突撃する。

 でも、クリス先輩もそれを見て何もせず、ただ横から乱入してきた切ちゃんに全てを任せている。

 

「力業は響さんの十八番デスけど……回転はあたしの十八番デスっ!」

 

 切ちゃんもその場で回転。そのまま走行を展開してコマみたいな形に変化すると、そのままヴィータと真正面からぶつかり合い始める。で、更にクリス先輩も巨大なミサイルを発射して気持ち良くなって、はやてちゃんの方もそれに合わせて魔法の弾丸の大きさを変えてくるから、あの一帯だけなんか戦争地帯みたいになっている。

 

疑問? 愚問だッ!! 挨拶無用ッ!!

「ええ加減諦めてほしいんやけどなぁ……!」

「こいつっ、いい加減こっちに譲りやがれ!」

「絶対に負けてなんかやらないデス!!」

「ひぃーん! 砲撃が通らないよぉ!!」

「えっと……なんかごめんね……?」

 

 気持ちよくなっているクリス先輩とその相手をさせられているはやてちゃん。回転勝負が未だに決着しないヴィータと切ちゃん。半泣きになりながら砲撃を撃つけど全部未来さんに封じられているなのはちゃん。

 なんというか、いつも通りカオスな戦場になってきたところでわたしもようやくシャマルさんを射程圏内に収める。

 これで仕留めさえすれば……!!

 

「翔けよ、隼ッ!!」

『Sturmfalken!!』

「ホーネットジャベリンッ!!」

「だったら! 翼さん!」

「あぁ! 双星ノ鉄槌ッ!!」

「DIASTER BLASTッ!!」

 

 な、なんか放っておいた方で切り札のぶつかり合いが!!?

 その余波のせいでわたしとシャマルさんが吹き飛ばされて一緒に壁に激突する。顔は痛くないんだけど、それのせいでダメージをくらって二人してHPを減らす事に。

 

「……なるほど、切り札でも互角か」

「まさか剣を弓とするとはな。だが、私達とて弓の相手は慣れている」

「フェイトちゃんがまさかビームまで撃てるなんて。すっごい驚いたよ!」

「わたしも、まさか響さんが合体技で範囲攻撃をしてくるなんて驚きました。でも、そうすると個々の技の威力はほぼ互角……なら!」

 

 響さんと話していたフェイトちゃんが急になのはちゃんとはやてちゃんの方へと視線を送ると、三人は頷いて急にそれぞれ相手にしていた装者から距離を取って空中で三人一緒に並んだ。

 もしかしてあれって、合体技……?

 だとしたら、放っておいたらマズいんじゃ!!

 

「アクセラレイターッ!! 戦局が拮抗してるなら!!」

「三人のブレイカーで!!」

「戦局を傾けたる!!」

 

 やっぱり、あれを放っておいたら確実にこっちの技をどれだけ重ねようとも関係なくぶん殴られる!!

 ど、どうしよう。何かいい方法は……

 

「そっちが切り札を切るって言うんなら!」

「こちらとて切り札を切るまでの事! 小日向、来い!!」

「は、はい!」

 

 えっと、響さん、翼さん、未来さん三人が並んだって事は……

 う、嘘。まさか模擬戦でやるつもり?

 いや、でもあっちもそれと並ぶくらいの技を使ってくるんなら、妨害はさせない!!

 

「させないわ!」

「こっちだって!」

「やらせるか!!」

「逃がさんデス!」

「何をするかは分からんが、止める!!」

「そりゃこっちのセリフだ! お前を止めてからあっちを止める!」

「いやいや待て待て待ちなさい!! そこの馬鹿三人、今すぐそれは止めなさい!!」

「主達の元へは行かせん!」

「退きなさい!! じゃないと多分ヤバい事になるわよ!!」

 

 シャマルさんの妨害をわたしが妨害して、ヴィータの妨害を切ちゃんが妨害。更にシグナムさんとクリス先輩が互いに妨害しあって、マリアの妨害をザフィーラさんが妨害する。

 そんな風に四人で妨害しあってる中、三人組の方は切り札の準備が進んでいく。

 

「これがわたしの全力全開っ!!」

「轟け、雷光一閃っ!!」

「響け終焉の笛っ!!」

Gatrandis babel ziggurat edenal――』

 

 ……って、これ、もしかして妨害とかしている場合じゃない?

 

「エクシード!!」

「プラズマザンバー!!」

「ラグナロク!!」

「スパープソング!!」

「コンビネーションアーツ!」

「セット、ハーモニクス!!」

 

 あっ。

 

「……なぁ、ふと思ったんだがよ」

「あぁ、多分アタシもそれ思った」

『……これ、逃げ場無くね?』

 

 クリス先輩とヴィータの察したような自分の死期を悟ったような声が聞こえた直後だった。

 

『ブレイカーッ!!』

『S2CA、トライバーストォッ!!』

 

 桜、金、銀の極太ビームと虹色の竜巻が空中で炸裂して、わたし達の視界は一瞬にして白に染まった。

 あぁ、光が逆流して――

 

 

****

 

 

 結果から言うと、魔法使い組の砲撃……エクシードブレイカー、プラズマザンバーブレイカー、ラグナロクブレイカーを組み合わせた切り札、トリプルブレイカーとこちらのS2CAトライバーストが炸裂した瞬間、どうやら管理局の建物で超局所的な地震が起きたらしい。で、その中心にいたわたし達は全員その衝撃で気を失いました。

 一応訓練室というかその周辺は無事だったらしいけど、内部はかなりの有様で、あの一撃を叩き込み合った六人は床か天井に埋まった状態で発見され、わたし達もほぼ全員が白目を剥いた状態で発見された。

 唯一ザフィーラさんが意識を保っていたらしいけど、救護班を呼んでからぶっ倒れたとか。

 で、それからという物。

 

「全く、室内でトリプルブレイカーを使えばどうなるかなんて分かり切っている事だろうが! あの余波のせいでテロ疑惑まで出たんだぞ!! 僕の仕事を無意味に増やすな!!」

『ごめんなさい……』

「どうしてあそこでS2CAを撃つのよ! あっちが怪我したらどうするの!? アマルガムにしておきなさいよ、アマルガムに!! 特に翼! あなたが止めなくてどうするの!!」

『申し訳ございません……』

 

 トリプルブレイカー組とS2CA組はこってりと絞られました。

 トリプルブレイカー組はクロノさんに。S2CA組はマリアに。

 まぁ、止めなかったわたし達も一応同罪ではあるんだけど……止められたかと言えば止められないし。

 

「はぁ……今回の事はすまなかった。君達は体が動くようになったら帰ってくれて構わない。僕はこの三人とヴォルケンリッターをこってりと絞る作業がある」

「そうね、そうさせてもらうわ。全くもう、この馬鹿共は……」

 

 クロノさんとマリアは溜め息を吐いているけど、トリプルブレイカー組とS2CA組は顔を合わせると笑顔を浮かべた。

 

「えっと……また今度会ったら続きしようか」

「はい! 今度は勝ってみせます!」

『特にお前たちは暫く模擬戦禁止だ!!』

『そんなっ!!?』

 

 で、結局最後にはクロノさんとマリアからなのはちゃんと響さんに模擬戦禁止令が出て、わたし達はちょっと離れた所で溜め息を吐いた。

 なんというか……魔法は暫くいいかなぁ。

 あぁ、白色の光が逆流する恐怖が……




最後はS2CAトライバーストVSトリプルブレイカーにして爆発オチと決めて書いたらこうなった。

この時代にクラッシュエミュレートってあったっけ? とかクラッシュエミュレートってこんなんだっけ? とか思いながらも書いたので結構なのは側があやふやだったり。まぁ、この作品なんてお祭り作品だし調ちゃんのキャラが常に崩壊してるし、大丈夫でしょ()

調ちゃんからの魔法少女組の呼び方に悩んだりもしつつも書きあがったなのはコラボ回、如何でしたでしょうか。模擬戦のメンツは最終的に魔法少女組+八神家でしたが、実は途中まで装者七人の内誰かを留守番させてマテ娘三人を、とか七人なら紫天一家を、とか考えてたのですが、あの四人をエルトリアから引っ張ってくる理由が思い浮かばなかったのでヴォルケンズが出てきました。

なのは組は暇なら普通に来れるぐらいの緩さで世界間移動できるかもなので、今後はパスパレ並みに出番があるゲスト枠になるかも。

実はなのデトの資料が無くてテレビ版の知識で半泣きになりながら書いていたりいなかったり。

次回は特に決めてませんが、ネタが思いついたら投稿します。それでは、また次回。

P.S
コロナてめぇぜってぇ許さねぇからなぁ!!?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。