月読調の華麗なる日常   作:黄金馬鹿

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いやー、結構長い間放置してしまい申し訳ございません。

別に仕事が忙しかったとかじゃないんですけど、なんか筆が進まなくてちょっと何も書かない時間が長かったです。

書いていない間にLOST SONG編が始まったりしましたが、個人的に凄く驚いたし嬉しかったのはテイルズオブシンフォニアとのコラボです。テイルズの中では一番シンフォニアが好きというか、最近やったテイルズがシンフォニアなので、グリッドマンやゴジラみたいに好きな作品×好きな作品とかいう完全な俺得状態でした。

で、今回の話ですが、fripsideの曲を聞いてた時に、ふととあるの超能力と装者を合わせたらいいのでは? という発想から生まれました。
なんでそうなったかって? fripsideのボーカルが調ちゃんの中の人だからです。

そんな突飛な発想で生まれた世界線です。どうぞ。

追記
簡単に書いたメモまでコピペで投稿してました……泣きたい


月読調の華麗なる超能力

 レイラインのエネルギーが尽きかけている世界から、燃え尽きそうになっていた建造物の破片を持って帰ってきた響さん達。それを触った時に、わたしの中に居るのか、それともわたしを通して外界に干渉しているのか分からないツクヨミがわたしに憑依したりと色々とあった。

 ……一瞬、わたしって霊的な物に憑かれやすい感じなのかなって思っちゃったのは秘密。フィーネ然りツクヨミ然り。

 で、超技術で作られたらしいソレの解析は現代の科学だけではどうにも時間がかかってしまうせいで解析は難航していたんだけど、そんな中でマリアがふと口を開いた。

 それなら、平行世界のわたしに一度頼ってみるのもいいんじゃないかって。

 今回ばかりはスクルドも何が起こっているのか分からない以上、少しでも手がかりを集めようという事で、切ちゃんがスクルドのユリウスさんと一緒にデュプリケーターで平行世界に向かい、平行世界のわたしを何とか説得して連れてきた。

 ちょっとした条件を加えて、だけど。

 

「……まぁ、大体事情は分かった。ただ、こっちにも話せる事と話せない事はある。だから、ブツを見てから全部決める。一応、恩はあるし」

 

 こっちに来てすぐに、わたしはかなり怠そうにしながらもサイズが合っていない白衣を着たまま建造物の破片を見に行った。

 わたしがあのわたしと会うのは初めてだけど……いや、なんだろう。あのわたしのようでわたしじゃないって独特な感覚。確かにわたしなんだけど、決定的にわたしと違う所があるせいで別人にも見えるし、ドッペルゲンガーにも見えるし。

 あっちのわたしはわたしを見てこんなに違うんだ、と言わんばかりに一回顔を掴まんでグニグニしたけど、特にそれ以外のアクションは起こさなかった。

 で、破片の方を確認しに行った平行世界のわたしが、それじゃあ代わりに、と言って置いて行った条件。それが、今現在わたし達の前に転がっている。 

 その条件というのが……

 

「人の脳内で行う演算を現実に干渉させて超能力を起こせるようにする機械、ですか……」

「あっちの調は効力そのものは一日程度だから安心安全って言っていたデス」

「だからって簡単に受けられるものじゃないわよ、これ……」

「何と言うか……面妖だな」

 

 そう、超能力を人に発現させる機械。ヘッドギアみたいな形をしたソレは、わたし達装者七人+エルフナインが囲んでいるテーブルの前に置かれている。

 興味があるか無いかと言われれば、ある。

 わたし達は確かに超能力紛いの力を使ってはいるけど、それは超能力とかじゃなく、オカルトと科学の融合。だから、純科学の超能力っていうのは興味がある。まぁ、何もしてないのに超能力染みた力を持っている人は数人いるけど……

 

「だけどよ、これって人の頭ン中弄るってこったろ? いくら一日で漂白されるつったってな……」

「確かにねぇ。どうしよっか?」

 

 と、みんな口では言っているけど、わたしにはわかる。

 みんな、これを一度使ってみたいと思っていることを。

 響さんはチラッチラッと装置の方を見ているし、クリス先輩は口の割には目が輝いているし、翼さんも何だか挙動不審だし、マリアは周りをせわしなくチェックしているし、切ちゃんは顔は背けようとしているけど目はガッツリと装置の方を向いているし。

 わたしと未来さん、エルフナインはその様子を見て苦笑しているけど、まぁ興味はある訳で。

 

「じゃあ、未来さん。わたし達で使っちゃいましょうか」

「そうだね。みんな怖がってるみたいだし」

 

 あんまりにもみんなが素直じゃないから、わたし達が使ってみようと言ってみると、他の五人も急いで反応してきた。

 

「し、調がやるんならあたしもやるデス!」

「わたしも! 未来がやるんなら!」

「こ、後輩共に任せてられるか! アタシだってやってやらぁ!!」

「なっ、お前達さっきと意見が違うではないか! なら私だってやらせてもらう!」

「そ、そこまで言うんなら私も混ざるわよ!」

 

 ほらね。ああいう状況でわたし達が先に手を出すって言えば、絶対にこの五人は混ざってくるから。

 その光景に未来さんと一緒に笑いながら、とりあえず装置を使ってみることに。ただ、エルフナインはあまり興味が無いと言うか、その超能力が発現する瞬間辺りに興味があるらしく、自分は使わないけど使っている所を見せてくれ、と言ってきたので、とりあえずわたし達装者七人で装置を使ってみることに。

 装置を被って、パソコンでプログラムを走らせて、待機状態になったら装置のボタンをぽちっとな。すると、なんだか頭の中に何かが流れ込んでくるような感じが数秒間起こって、それで超能力の発現は終了。その際に能力名的な物がパソコンに出てくるらしく、わたし達は能力が発現してすぐに自分の能力を知る事になった。

 まずはわたしだけど……

 

念動力(テレキネシス)? なんかふつーだね」

「一番シンプルな超能力っぽいの来たデスなぁ」

 

 能力は念動力。手短な物を浮かせたりできます。

 うん……普通!

 で、次は切ちゃん。切ちゃんの能力は……

 

絶対等速(イコールスピード)……デスか? なんか地味っぽいデス……」

「物を投げると一定の速度でそれが移動し続ける能力ですか……面白そうな能力ですね?」

「確かに。超能力っぽいと言えば超能力っぽい能力ではないか」

「あたしはもっとこう、ガー! っとなってボガーン! ってなる能力の方が欲しかったのデス……」

 

 安定の切ちゃん語彙力にちょっと笑いそうになったけど、確かに折角超能力を身に付けたのなら派手な事がしてみたいと思わないでもない。わたしも念動力って言うシンプルな超能力を見てガッカリしなかったか、と言われればもうちょっとオンリーワンな感じの力が欲しかったなと思うし。

 そんな切ちゃんの言葉を置いておいて、未来さんをラストにして四人が能力を発現させたんだけど、内容としては。

 

「アタシは空力使い(エアロハンド)? よく分かんねぇけど空気関連の能力か。まぁ、空気が読めるアタシ様にはピッタリってわけだな」

「全く、この子ったら……で、私は精神感応(テレパシー)? ……なんかエクスドライブになればできそうなのが来たわね……」

「まぁ良いではないか。司令塔としてはピッタリな能力だと思うぞ。さて、私は………………浸紙念力(パーフェクトペーパー)? ……えっ、なんだこれ。私はオチ要因なのか……?」

「か、かっこよさそうな名前じゃないですか翼さん! で、わたしはっと~……天衣装着(ランペイジドレス)! すっごいカッコ良さそうで強そうなの来た!!」

 

 こんな感じになった。

 空力使いのクリス先輩、精神感応のマリア、浸紙念力の翼さん、天衣装着の響さん。確かにこの中だと、響さんの天衣装着が一番カッコいいかも。

 空力使いは文字通り風を使う能力。精神感応も文字通り念話ができる能力。翼さんの浸紙念力は一番ショボそうな感じだったけど、パーフェクトって言っているだけあって、どうやら紙を自在に操る上に強度をタングステン並みに変えれるっていう、紙があればかなり強力な能力らしい。

 で、響さんの天衣装着は自身の体のリミッター的な物を外して動けるんだとか……あれ、これって第二の弦十郎さんが……いや、言わないでおこう。

 ラストに未来さんが能力を発現させたんだけど……

 

「能力名は……き、死角移動(キルポイント)? なんか嫌な予感が……」

「相手の背後に移動できる能力みたいだよ、響?」

「そ、そっすか……ちなみに未来? なんでさっきからわたしが後ろ向くたびに後ろに移動してくるのかな?」

「なんでだろうね?」

 

 多分、一番持たせちゃいけない人に持たせちゃいけない能力が発現しました。哀れ響さん。ちょっと羨ましい能力だなーとか思ったりはしていない。

 ただ、未来さんは単純に煽り目的で使っているらしくって、さっきから背後に周って響さんをツンツンしてはもう一度背後に移動して、を繰り返している。ただ、連続で使ったせいかちょっと疲れた、という感じで椅子に座った。

 

「なるほど。あまり超能力を使いすぎると倦怠感があるようだな。今日一日、超能力が芽生えたからと言ってはしゃぎすぎるのは危ういかもしれんな」

「そもそも、超能力ってなくても困る物じゃないもの。強いて言うなら、調の念動力が便利そうって程度かしら?」

「あたしの絶対等速なんて使い道に超困るデスよ……」

 

 確かに、絶対等速はちょっと使い道が考えられないよね。でも、それを浸紙念力の前でも言える? ほら、翼さんがそうだよな、困るよな……って言いながら紙弄ってるよ。

 まぁ、そんな感じで好き勝手に色々と話していたけど、平行世界のわたしがこの装置を回収しに来るまではどっちにしろ暇だから、それぞれ超能力で遊びたいんなら周りに被害が出ない程度に遊んでみましょうという事に。

 それでわたしも念動力を使ってみたんだけど。

 

「念動力で浮かせられるのは精々椅子一個分程度かぁ……」

「私の精神感応もあまり範囲は広くないわね。精々数十メートル、といったところかしら」

「わたしの死角移動も結局誰かの背後にしか回れない瞬間移動だし……」

「となると、この中で利便性がありそうなのってアタシの空力使い程度か?」

「一応わたしの天衣装着もいい感じの能力だけど、そんなに使うかと言われたら……だしね」

 

 使いどころに困る超能力ベスト2の絶対等速と浸紙念力は省くとして、わたし達五人も超能力を使ってみたけど、結果としては無くてもあんまり困らない能力だって事しか分からなかった。

 わたしの念動力は上限がかなり低い。精々椅子一個を浮かせられる程度で、二個以上を対象に取る事もできない。しかも動かすのにかなり集中するから動かしている間、わたしは動けない。マリアも数十メートルっていう狭い範囲内でしか念話ができないし、死角移動は背後にしか回れない瞬間移動。しかも、他人を連れて瞬間移動ができないし、背後に周りたい相手を視界に入れておかないとダメ。

 空力使いは空気を操ってモノを動かしたり、空気の射出口なんてものを作れる、結構利便性のある能力だった。で、天衣装着もカッコいいし強い能力なんだけど、そんなに使うかと言われたら使わないかなーって感じ。

 結局、超能力なんてあっても無くても変わらなかった。

 

「超能力って、あってもあんまり変わらなかったね」

「所詮そんなもん。この超能力はその人の才能で強弱が左右される欠陥品みたいなものだから」

 

 あってもなくてもあまり変わらなかった。そんな結論がわたし達の中で出た所で、丁度平行世界のわたしがドアから入ってきた。

 

「あっ、お帰り、わたし」

「はいはい。で、そっちはそっちでしっかりと装置は使ってくれた?」

「使ったデスよ。あまりカッコいい超能力は使えないデスけど……」

「この装置はその人の素質によって発現させられる能力が変わってくる。諦めて」

 

 まぁ、人それぞれ千差万別って事だよね。

 で、そっちの解析結果はどうだったの?

 

「…………機密事項。あまり言えない」

 

 あ、そうなんだ……

 

「まぁ、仕方ないな。そちらは信頼関係で成り立っている商売だ。そちらの月読が機密事項と口にするようなものが存在していると教えてくれただけ十分収穫はあった、という事だろう」

「……そんな風に考えられるなんて、呑気な。まぁ、今後もしかしたらわたしもそっちに協力を要請したり、協力のために共闘するかもしれない。その時になったら嫌にでも色々と分かると思う」

 

 そう言うと、平行世界のわたしは超能力発現装置を抱えた。

 

「もう帰るの?」

「あまりラボから離れていたくない。ダメ助手が何かやらかすかもしれないし、切ちゃんも心配だし……」

 

 あー……それは仕方ないね。

 

「何かあったらすぐに言ってね! 最短で最速で真っ直ぐに一直線に助けに行くから!!」

「……まぁ、その時はヨロシク。じゃ」

 

 響さんの言葉に一つ言葉を返してから、平行世界のわたしは軽く手を上げてから帰っていった。

 ……ああやってみると、本当にアレってわたしなのか怪しく思えてくる。話によるとエナドリ大量摂取して家事なんてしないらしいし……本当にアレはわたしなんだろうか。もう別人でいいんじゃない?

 さて、平行世界のわたしも帰っちゃったことだし、これから何しようかな。超能力でもうちょっと遊んでみたり……

 ん?

 

「あっ、サイレン……って事は」

「また錬金術師か?」

『装者諸君、街中でアルカノイズ反応を検知した。至急、向かってくれるか』

 

 はい、いつも通りのアルカノイズ反応です。

 よくもまぁ、わたし達に止められるって分かっているのにアルカノイズで悪さしようとするよね。一々止めなくちゃならないこっちの身にもなってほしいんだけど。

 そんな愚痴を言っても始まらない。公務員は問題があったら即参上するのです。という事でいつも通り本部から出てギアを纏って、現着。その間にアルカノイズが出現した辺り一帯はSONGの人達の手によって避難誘導がされているから、わたし達は存分に戦える。

 アルカノイズを出した錬金術師さんも間が悪かったね。よりによってフルメンバーが揃っている時に来るなんてさ。

 

「アルカノイズ程度、わたし達で止めてみせる!!」

「油断はするなよ、立花! 小日向と雪音は立花のサポートをしつつ突貫だ!」

「わたしと翼で要救助者の救助に向かうわ。切歌と調はあの三人の取りこぼしを刈り取って頂戴!」

『了解!』

「さぁ、行くわよ!! 「手の届く場所だけを守れればいい」! それしかわたしにできない……! 弱い自分だからこそ、目に見える分の! 幸せが掴めればそれでよかった!!」

 

 司令塔である翼さんとマリアからの言葉に従って、響さん、未来さん、クリス先輩がアルカノイズの大群の中へと突っ込んでいく。その間に翼さんとマリアは要救助者の反応を聞いてそこへと向かっていく。

 わたしと切ちゃんは突っ込んだ三人から逃げるように移動してくるアルカノイズを一匹ずつ倒しては次の場所へ向かって、を繰り返す。

 爆発力の響さんと、それをサポートできる未来さんとクリス先輩を中心として、ギアに一番利便性がある翼さんとマリアで要救助者を助けに行って、機動力があるわたし達ザババコンビが狩り残しや別動隊を狩る。多分、七人での戦いとしては一番理想的な動きだと思う。

 戦闘時間は五分もかからない。要救助者を大至急で救助し終わった翼さんとマリアが戦線に混ざって討ち漏らしがほぼ無くなったところでわたし達もそこに混ざり、一気にアルカノイズを殲滅。無事、大災害となりかけたアルカノイズの進行を阻止する事ができた。

 できたから……さて、後は。

 

「黒幕サマのお手々にワッパかけてやんねぇとなぁ?」

 

 装者全員で集合し、クリス先輩の声に合わせて武器を構える。

 わたし達の視線の先には、五人の錬金術師が。その全員が不敵な笑みを浮かべているけど……でも、装者七人が揃って勝てない相手なんて数える程度しかいない。あの錬金術師達がアダム並の力を持っているのならまだしも、それ以下の実力しかないのならわたし達七人が揃った時点でほぼ勝ちは決まったようなもの。

 さぁ、覚悟。

 

「ふっ、まんまと我等が策に引っかかったようだな、装者共よ」

 

 このまま一気に確保と思って動こうとした瞬間、五人の内一人が口を開いた。

 ふーん、この状況でそんな口が利けるんだ。

 

「ほう。では、貴様らにはここから私達を蹴散らす程の得策があると?」

「逆に見てみたいわね。そんな奇策があるのなら」

 

 翼さんとマリアが口を開きながら、左右に居るわたし達に目線で合図をする。

 クリス先輩は建物の上に。響さんが二人の前に。そしてわたしと切ちゃんで相手を挟むように動き、未来さんが背後にすぐに回り込めるように空中に浮遊。

 七人で取り囲んで一気に相手を蹴散らすための陣形。わたし達五人の近距離型装者を抜かしたとしても、クリス先輩と未来さんの遠距離攻撃で一網打尽にできる。これをどうにかできるのなんてフィジカルでわたし達に勝る相手くらい。サンジェルマン達でも苦戦すると思う。

 特にわたしと切ちゃんがいる以上、ユニゾンが可能だしね。翼さんとマリアでも頑張ればユニゾンは可能だし、何だったら七人のユニゾンっていう奥の手もある。完全聖遺物でも出てこない限り、負ける相手じゃ……

 ……ん? 今なんか踏んだ?

 

「ふっ。貴様等がそうやって動く事そのものが我等の策だという事にまだ気づかぬか」

「いつまでそんな減らず口を…………ん? なんか踏んだか?」

「クリス先輩、そんなの放っておいて……あれ? あたしもなんか踏んだくさいデス」

「瓦礫とか何かじゃ……あれ? あの、翼さん、マリアさん。なんか今、わたしの足元からカチって音が……」

 

 ……えっ。

 わたしだけならまだしも、各個散会したみんなが何か踏んでる? というか、なんかカチって音が響いてる?

 全員で冷や汗を流しながらそっと足元を確認すると…………

 わお。なんか地雷的サムシングが。

 

「ぜ、全員、とっととその場を離れな――」

「うぎゃああ!!? なんか変な液体が噴出してきたデス!!? えんがちょ!!」

「しかもなんか霧になって周囲に!!?」

「なんだこれきったねぇ!!」

「なんか緑色なんですけど!! 汚いよ未来ぅ!!」

「ちょっ、こっち来ないでよ響ぃ!!」

「ええい落ち着けお前等!! 所詮汚いだけだ!! 毒だろうが何だろうがギアを纏っている限りは無害だ!!」

 

 うわっ、吸っちゃった! 思いっきり吸っちゃった!!

 何あの緑色の液体!! まさか虫から煎じた液体とかじゃないよね!? 普通にもう帰りたいよぉ!!

 空中に散布されたら霧みたいになって消えて行ったけど、なんか辺り一面若干緑色になってるし!! こんなんじゃ気が滅入るだけで適合率が下がるぅ!!

 あーもうほんとにえんがちょだよこれ!! もう、早くあの馬鹿錬金術師共をひっ捕まえて帰ってシャワーを……って、あれ?

 …………なんか、体が?

 

「うぐっ……!? な、なんか体が重いデス……」

「それどころか、なんかギアから変な音が……」

「あ、あの、翼さん……これ、もしかして……」

「あぁ、そっくりだな。かつてアンチLiNKERを吸わされた時の感覚に」

「って事はコレ、もしかして適合率が下がってるって事か!?」

「みたいね……くっ、ギアを維持できない……!!」

 

 マリアの言葉を筆頭に、未来さんのギアが無理矢理解除されて、次にわたし達F.I.S組。つまりはLiNKERに頼っている組がギアを纏い続ける事ができなくなった。いや、正確にはまだ纏えることには纏えるんだけど、バックファイアが強すぎるから多分少し動いただけで血涙吐血でマトモに逃げる事すらできなくなる。だから、無意識のうちに解除した、としか。

 ただ、すぐに響さん達はギアを出力の低い状態のモノに切り替えてなんとかギアを維持しようとしていたけど、それすらも難しくなったのかギアを解除する事になった。

 

「ふははははは!! 我等が作り上げた、人間と聖遺物との適合率を下げる薬剤は効果覿面のようだな!!」

「アイツら、なんつーもんをこの土壇場で……!!」

「戦場で剣を鞘に納めさせられるとはな……!!」

 

 散会しようとしていた全員で集まって無手のまま構えるけど、やっぱりギアを纏っていた時と比べればかなり心許ない。

 響さんと翼さん、それからマリアならまだ錬金術師と生身の状態でも戦えそうだけど、わたし達は鍛えているとはいえ、異端技術を使う相手を生身で相手できる程強くはないし……!! 緒川さんと弦十郎さんが来てくれるのを願ってここで時間稼ぎをするしか……?

 

「こうなればただの小娘。我等の錬金術によって処刑してくれるわ!!」

「みんな、わたしの後ろに! ここはわたしが!!」

「一人で出るな、立花! 私とて防人だ! 例え生身だろうと!」

「あなた達は本部へ! ここは私達三人で時間を稼ぐわ!!」

 

 響さん、翼さん、マリアが前に出て、赤色の魔法陣みたいな、錬金術特有の紋章を出した五人の錬金術師の前に立つ。

 確かに、被害を抑えるためには三人に時間を稼いでもらうのが一番なんだろうけど……何かできる事は……!!

 …………あっ、ある。

 幸いにもここら辺はさっきの戦闘の余波で瓦礫とかが散らかっているから、これを使えば……!!

 

「響さん、翼さん、マリア! 頭下げて!!」

 

 後ろから叫んで、三人が頭を下げた瞬間に錬金術師達が放った炎に向かって、思いっきり周囲に散らばっていた瓦礫を順番に飛ばす。

 素手で、なんかじゃない。今日一日だけわたしが使える特別な力。

 超能力で。

 

「な、なんだと!!?」

 

 これには流石に相手も予想外だったようで、炎を受け止めながら飛んでくる幾つかの瓦礫にビビり散らした相手はそれをかなりギリギリで避けた。

 よし、これならギアが無くても戦える!!

 

「い、今のは……そうか、超能力か!!」

「遊び半分だったからすっかり忘れていたデス!!」

「確かに、超能力なら生身でだって戦える!!」

「ちょ、超能力だと!!? 貴様ら、いつの間にそんなビックリドッキリ人間に生まれ変わった!!」

「錬金術をこのご時世に街中で披露する方がビックリドッキリ人間よ!!」

 

 マリアの叫びに合わせて、今度は全員で構える。

 その直後にマリアから、精神感応での念話が飛んできた。

 

『前線は一時響一人に任せるわ。ただ、後ろからクリスと調で適当に瓦礫を飛ばしておきなさい。翼、あなたは近くの建物に入って紙の確保を。切歌は一旦自分の能力で何ができるかを確認して。戦闘への参加が無理そうなら、一旦私に教えてちょうだい。未来は……そうね。適当に隙を見つけたら後ろから相手の頭蓋をコンクリの瓦礫で叩き割ってあげなさい』

「えっ……えっ!?」

 

 急に殺人紛いの作戦を要求された未来さん以外が何も言わずに受け取り、動く。

 響さんがみんなの前に立ち、わたしとクリス先輩がその後ろに。そしてマリアは近くの建物を見渡し、翼さんとどの建物に行くかを確認してから即座に散会。そして切ちゃんと未来さんはわたし達の後ろで一旦待機。

 

「ええい、怯むな!! 例え超能力などという眉唾が使えた所で所詮は小娘に変わりはせん!!」

「我等が錬金術の方が上だという事を思い知らせろ!!」

 

 相手の叫びと共に、今度は黄色の陣が生み出されて、そこから当たれば確実に大怪我は間違いない土塊が飛んでくる。

 けど、響さんはそれを前にしても一切退かない。

 

「わたしの天衣装着は言っちゃえば身体能力が上がるだけ。でも、それならつまり!!」

 

 一瞬響さんの体に稲妻のようなものが走ったと思った直後。響さんが震脚を繰り出し、そのままアスファルトを畳返しのような感じで捲り上げて飛んできた土塊全てを防いだ。

 うわぉ……

 

「師匠しかできないような技だって、今なら使える!!」

 

 あっ。これ響さんだけで戦局どうにかなるレベルですね……

 と思った直後にクリス先輩が前に出て、めくりあげられたアスファルトに手を当てた。

 

「んでもって、美味しい所はアタシ様のモンってな!!」

 

 クリス先輩の能力は空力使い。だから空気を使う能力なんだけど、アスファルトに手を当てて何をするのかと。そう思って様子を見ていると、アスファルトには小さな竜巻のようなものが発生していた。

 それが突風を生み出し、畳返しされたアスファルトが高速で射出され、そのまま錬金術師たちの方へと迫っていく。

 けど、アスファルトはさっきの一撃で結構ダメージが入っていたのか、それを防ぐための攻撃によって砕かれ、相手をダウンさせる事は無かった。更にそのお返しにともう一度土塊が飛んでくるけど。

 

「ピンチにあたしが大登場デス!!」

 

 切ちゃんがわたし達の後ろから前に出て、手に持っていた何かを投げた。

 あれは……お金? 十円玉とか一円玉とかの類だけど、それを絶対等速を使って投げただけ……かな?

 絶対等速の効果でお金はゆっくりと進んでいくけど、そのゆっくりと進んでいたお金は高速で射出された土塊とぶつかりあっても弾かれる事無く、それどころか逆に土塊を全部粉砕した。

 えっ、なにこれ!?

 

「絶対等速はどうやら物を投げた後に、そこに何があろうとずっと等速で進み続ける能力らしいのデス。さっき試しにお金を建物にぶつけたら建物にめり込んだから間違いないのデス!!」

 

 そ、そうなんだ……って、その能力強くない……?

 さっきのアスファルトの壁だって切ちゃんの手にかかれば、壊れるまでは間に何があろうと進み続ける盾になるって事でしょ? それに、お金だって逃げ場がない人間にぶつければ、間違いなく貫通するだろうし……も、もしかしてこの中でもトップクラスに殺傷力が高い……?

 一応、切ちゃんは防御札に使ったお金はすぐに能力を解除して地面に落としていたけど。

 

「くっ、超能力などという眉唾の異端に……!!」

「どうやら形勢は逆転したようだなぁ?」

「大怪我する前に降参した方が身のためデス!!」

『もしも降参しないようであれば、翼が上から奇襲するわ。それに合わせて一気に殲滅するわよ』

 

 降参を打診した瞬間、すぐにマリアからの連絡が。

 翼さんの奇襲。という事は、紙がある程度見つかったという事。

 超能力は使いすぎると良くない、というのはこの戦いの前に未来さんが体験して言っていたし、短期決戦を仕掛けるしかないのは何となく分かっていた。

 だから、ここでもしも相手が両手を上げないようなら……

 

「だ、誰が国家の犬どもに首を垂れる物か!! 貴様らなぞ皆殺しにして我等が野望を果たすまで!!」

 

 ここで一気に片付ける!!

 

「そうか。ならば夢半ばにて果てるが良い!!」

 

 マリアの念話通りに、翼さんが建物の屋上から紙を階段のように配置してから、それを一気に駆け下りての奇襲を仕掛けた。

 流石に屋上から紙を足場にして奇襲してくるなんて思っていなかった相手はそれに硬直。その間に翼さんは紙で作り上げた刀を振り切った。

 

「がはっ!」

「安心しろ、刃はない。もっとも、そんじょそこらの鋼よりも硬度はあるがな」

 

 浸紙念力で何枚もの紙を刀に仕立て上げた翼さんの不意打ちによって一人がダウン。それに驚き攻撃を翼さんに集中させようとした瞬間に、今度は未来さんが。

 

「え、えいっ!!」

「あだぁっ!!?」

 

 死角移動で残り四人の内一人の背後に周って、手に持っていた特大のコンクリの塊で頭部を殴りぬいた。

 な、なんか血がべったりとついてますけど……あれ、大丈夫なのかな……? 死んでないよね……? 相当生々しい音が聞こえてきたけど……

 

「あわわわわ……や、やっちゃった……」

「き、貴様ッ!! よくも同士を殺してくれたな!!」

「こ、殺してません!! 多分!!」

 

 多分五割以上の確率で死んでる仲間を見て頭に来たのか、未来さんに向かって錬金術で攻撃しようとする相手。でも、それを見逃さない人がこの場には確実に一人いるわけで。

 

「ねぇ、未来に何しようとしてるのかな?」

 

 響さんが、天衣装着の力で超人じみた身体能力を手にして未来さんと相手の間に割り込み、そのまま腕をへし折らんほどの力で握りしめている。

 まぁ、あの人が未来さんを攻撃しようとしている人を見逃すわけがないよね、うん。

 

「なっ!? い、いつの間に!!?」

「こうやって未来を攻撃しようとしたって事は……あなた、自分も攻撃されるかもしれないって覚悟をしてきた人なんですよね?」

「な、なにを……」

「覚悟はいいですか? わたしはできている」

 

 なんかどこかで聞いたようなセリフを口にした響さんはそのまま腕を掴んだ人をポイっと投げ、両拳を構えて。

 

「オォラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!」

「ぶげぇっ!!?」

 

 そのまま超高速のオラオラ。あーあー……あれは再起不能だね……だってほぼTESTAMENTだもん、あれ。

 で、そんな響さんのラッシュにビックリした残りの二人は硬直している間に。

 

「ほい、お疲れさん」

 

 クリス先輩が音もなく忍び寄って、そのまま二人のお腹に手を当て、さっきの竜巻を発生させて吹っ飛ばし、気絶させて終了。

 まぁ……相手の策略は結構よかったとは思うけど、今回ばかりは相手が悪かったよねって。

 そう思いましたとさ。

 

 

****

 

 

 で、その後の事なんだけど。

 まず、錬金術師五人は無事しょっぴかれました。ただ、わたし達がアンチLiNKERもどきでギアを解除させられた後に独断専行しすぎ。しかも危険な行動をしてしまった事もあってちょっとお説教されました。ただ、あの場から逃げるのは困難だったし、結果的には無傷で終わった事から、これからは戦場では油断せず、こういう事もあるかもしれないと思いながら行動する事、という事を言われて解放された。

 お説教の後は天衣装着を使った響さんと弦十郎さんがまるで人外同士の最終決戦と言える程に互角の戦いを繰り広げたり、翼さんが浸紙念力を使って紙飛行機を大量に飛ばして遊んだり、未来さんが死角移動で色んな人にちょっかいかけたりしていたけど、特に何か大きい事件が起きる事無く翌日になり、超能力は消えましたとさ。

 ……もうちょっと超能力で遊びたかったかなーとは、実はみんな思っていたり。




本当はもっと超能力でバッチバチに戦う描写を入れたかったんですけど、アルカノイズ相手に無双なんてのは無理なのでこんな感じに。一万文字あるから許して許して……

そしてサラッとIF調初登場。科学方面での問題発生装置は暫くIF調になりそうとか思っていたり。
ちなみに装者の能力はひびみく以外はレベル5以外の個人的に好きな能力を集めた感じです。ひびみくの能力だけは二人のイメージから選びました。多分未来さんは二人っきりになった途端にビッキーにセクハラしていた事でしょう……

さて、更新していない間にあった事は前書きで書きましたが、とりあえずLOST SONG編が終わるまではグレビッキーの出番が無くなります。あったとしても、LOST SONG編より前の時間軸のグレビッキーが出てくる事になりますね。
で、他のAnotherキャラは切ちゃん以外はちょくちょく出す予定です。切ちゃんはLOST SONG編でどんな風に出てくるかで今後が決まります。

で、個人的にシンフォニアのキャラを出したい……というか今回のコラボで出番が無かった残りの四人や、続編のエミマルの二人なんかを書きたいなーとか思ってるんですけど、時系列上、ロイドくんのエターナルソードを頼りにできない上にTOS組の記憶が消えているっぽい以上、どうしようかと……

というか、ゴジラコラボの装者in平成モスラ回となのはコラボのマテリアルズ回が残っている上にULTRAMAN勢に至っては一回も出てないしバンドリキャラがシンフォギア世界にって話も書けてないからそっちどうにかしなきゃいけないんですけどね!

それではまた次回、お会いしましょう。
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