あ、余りにもガチャでメイド調ちゃんが出ないから報復って訳じゃないですよ?
突然だけどわたしは響さんの事が好きだ。勿論、恋愛対象として。
最初は敵として、偽善者だなんて言ってしまったけどそれはもう一年近く前の話。それから暫く響さんと交流を深めたり、一緒に戦ったり特訓していったりしていく中で、ふと気が付いてしまった。
響さん、イケメン過ぎだって。そりゃ未来さんもああなるよって。可愛いところは勿論沢山あるんだけど、それ以外にもカッコいい所が多すぎる。拳を握った時とか、真剣に考えている時とか、一緒に戦っている時とか……それはもうカッコよすぎて。もう胸が大きいイケメンとして思えなくなってしまった。
そこから響さんの事を気に掛けるようになっちゃって……気が付いたら惚れてた。ギャップ萌えとかそういうのも感じてしまったし。
だけど、わたしの恋の障害は性別の壁というものを差し引いたとしてもとんでもない物がある。
未来さんだ。
あの人、何時わたしが響さんに惚れているのか分かったのか知らないけど最近になって目障げふんげふん。響さんへのガードが露骨になってきた。明らかにわたしを響さんから遠ざけようとしているのが丸分かり。しかも響さんとか他の皆が気が付かないように。
なんでわたしは分かるのかって? 時々あの人してやったり的なわっるい笑顔でこっち見てくるんだもん。こっちは額に青筋浮かんでいないかとか血管ブチ切れてないか心配になるレベルでイラついているけど未来さんが何かしてくるなんてこの恋心を自覚した時から分かり切っていた事。だから今の課題はあの人のガードを如何にすり抜けて響さんのハートをキャッチするかだ。
胃袋はもう掴まれている圧倒的に不利な状況。だけど、この状況でもきっとやれる事はある筈だと思ってる……思ってるんだけど正直心が折れそう。いやホントにガード硬すぎて……もう日常生活で響さんと二人きりって状況が無いんだもん。辛い。
でも、そんなわたしが響さんと二人きりになれる時がある。それは……
「響さん、お疲れ様です」
「お疲れ調ちゃん。いやぁ、まさか今日は三チームに分割されるとはね……」
「でも、わたしと響さんならノイズ程度楽勝です」
そう、ノイズが出現した時。
この状況なら神獣鏡の非正式装者である未来さんはシンフォギアを纏って出てこれやしない。だから、ノイズを倒し切って安心している所を攻めるしか今のわたしには無い。そう、これこそがわたしに残された勝機!
シンフォギアを解除して一息つく響さんに予め持ってきていたスポーツドリンクを手渡して好感度アップ。未来さんなら確実に一度口を付けておくなんて事をするだろうけどわたしはそんな事しない。そんな事して喜ぶのは真性の変態だけ。
そして、未来さんがこの場に居ない今こそがチャンス!
「ひ、響さん、ちょっといいですか?」
「ん? 何かあった?」
「じ、実は最近色々とお料理のレパートリーを増やそうとしていて……その、出来たら試作品の味見を響さんにしてほしくて……」
この言葉はまるっきり嘘、という訳ではない。今わたしは響さんが好きそうな料理を沢山練習している。それの試食をしてほしい、というのも嘘ではない。
こうやって響さん好みの、未来さんには出来ない料理をわたしが作り響さんの胃袋を未来さんが動く前に掴む! そして好感度を上げて何れは……うふふふ。
でも、まずは響さんがこの試食を了承してくれる事から始めないといけない。だ、大丈夫かな……?
「へ? わたしに?」
「はい。響さんにしてほしいんです」
「いいの!? 喜んで行くよ!!」
「ほ、ほんとですか!?」
やった! これで二人きりになれる口実が作れた!
これで未来さんを出し抜いていつか未来さんを追い越して……あれ? なんかあそこのビルの屋上に誰か……? き、気のせいだよね?
「じゃ、じゃあ明日のお昼から大丈夫ですか?」
「うん、全然大丈夫だよ。いやぁ、楽しみだなぁ。調ちゃんの作るご飯って美味しいんだもん」
「じゃあ明日は腕によりをかけて作りますね」
いや、間違いない。あそこに立ってるのは未来さんだ!
でも、あそこからわたしまでの距離は離れすぎている。それに、もう約束はこじつけた。未来さんがもうこれ以上どうにかこうにか出来る訳が無い。
よかった……風鳴司令に頼んで次こういう時があれば響さんと組めるようにしてほしいって事前に頼んでおいて正解だった。未来さんは暫くそこで大人しく……あれ? 何か持って構えてる?
いや、いやいや。まさかあそこからここまで何かを飛ばす力なんてそれこそ風鳴司令レベルじゃないと無理に決まっている。だからあそこから何か投げられても当たる訳が……あっ。未来さんが投げた。と思ったら目の前に何か大きなものが……
「ぎゃんっ!!?」
「えっ、調ちゃん!!?」
な、何故……
そう思いながら未来さんの方を向くと、未来さんは今までにない程の悪い笑顔を浮かべていた。
し、しまった……あの人、ソロモンの杖を一切の減速させず上空まで投げ飛ばす化け物だった……がくっ。
****
「――――――」
なにか、聞こえる。
何か聞こえるけど、一切体が動かない。唯一動くのは、目だけ。
瞼を開けて視界を確保する。
「しらべぇ……なんで、なんであたしより先に逝っちゃったんデスかぁ……」
「調……まさか何処からか飛んできたレンガに当たって死ぬなんて……この子が一体何をしたっていうのよ!!」
……え?
え? いやいや、わたし死んでないよ!? ばっちり生きてるよ! 今お目めバッチリ開眼してるよ!? こっち見てねぇこっち見てってば! 目に手を当てて泣かないで切ちゃん! そんな目まで閉じて悔しそうな顔しないでマリア!?
ちょ、ホントにどういう事これ……誰か説明プリーズ!?
あぁ、切ちゃんもマリアも何処か行っちゃった!?
と思ったら未来さんがわたしを覗き込んだ……え? 何そのわっるい笑顔。
「調ちゃん……まさか何処からか飛んできたレンガが当たって死んじゃうなんて災難だったね」
いやアナタが飛ばしてきたんでしょ!!? わたし見てたからね!? アナタがレンガぶん投げる所!!
「でも安心して……響はわたしがちゃんと面倒みるから、ね?」
その手に持ったバラをわたしの横に……うわっ、気が付いてなかったけどわたし花に埋もれて……っていうかこれまさか棺桶!? わたし棺桶に入れられてるの!?
いや、わたしが死んだって皆言ってるけど……まさか、まさか。この人、まさか!?
「大変だったんだよぉ? 気絶した調ちゃんに仮死薬を使い続けて殺したように見せかけてここまで持ってくるの」
わ、わたしを抹殺しようとしている!? わたしが響さんを諦めないのを見てとうとう排除しにかかった!!?
くっ、誰か気づいて! 誰かわたしが生きているのに気が付いてぇ!!
「ふふっ、あの世に響への想いだけを持って旅立つといいわ」
こ、この女っ!! 本当に排除しようとする事ある!!?
いや、でもわたしは知っている。葬式はこの後火葬場でも一回身内は顔を見る事になる! だから、マリアか切ちゃんが気が付いてくれるはず! それにシュルシャガナがあれば……って持ってる訳ないよねぇ! わたし死んでるんだからシュルシャガナは回収するよね!! 声出ないからあっても無駄だし!
いや、もしかしたら他にも誰かわたしの顔を見てくれるはず……見て! わたしの顔こんなに血行いいよ! 生きている人の顔だよ!
「くっ、調君……まさか君がこんな事故で旅立ってしまうとは……涙で前が、前が見えん……!!」
風鳴司令! あ、貴方なら……貴方ならわたしが生きているのに気が付いてあの女の野望を阻止して……
「こんなバラしか君の手向けに差し出してやる事が出来ない……本当に済まない!!」
と言いながら風鳴司令は思いっきり両手に持ったバラをわたしの横に……ふぁっ!!?
「し、司令! そこは調さんの目ですよ!!?」
いっだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁ!!?
目が……目がぁ!!? これ万が一生きていても失明レベルじゃないのこれ!? がっつり刺さったよ!!? っていうか何であの人二本もバラ持ってたの!? しかも何でよりによってバラ!?
って足音が遠く!?
いや、でもさっき聞こえたのは緒川さんの声……なら緒川さんが近くにいる!
気が付いて緒川さん! わたしの顔色見て気が付い――
「調さん……こんなに顔が白く……まるで白粉を塗ったみたいに……」
わたしの顔に白粉塗った奴は誰だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
いや、間違いなくあの女!! くそ、あの人こんな所まで!! 生きていたら絶対に情け容赦なくぶっ潰す!!
「それにこんなに冷たく……」
え? 冷たく……え?
そ、そういえば何だかこの棺桶の中寒いような……
「当然ですよね……この棺桶は死体が腐らないようにって未来さんの言葉で用意した物を冷やす機能が付いた棺桶なんですから……」
ぶっ殺すあの女!! 生き残ったら代わりに棺桶に突っ込んでやる!! この棺桶に代わりにぶち込んでやる!!
あぁ、緒川さん行かないで! お願いわたしが生きているのに気が付いてぇ!!
くっ……後は誰が……
「……月読。まさか奏の次はお前が逝くとはな……」
つ、翼さん!? もしかして別れの挨拶ってまだ始まったばかり!?
これならまだ勝機はある! 気が付いて翼さん!
「短い付き合いだったが、私はお前の事、気に入ってたんだぞ」
翼さん……
「すまない、お前が死んでしまった時に側に居てやれなくて……私がお前の側に居れば、レンガをどうにか出来たかもしれないのに……!!」
その犯人この部屋に居るんですよぉ!
っていうかわたしが生きているのに気が付いて! あと目に刺さってるバラ抜いて! これ結構痛いんですよ!?
「すまない、月読……本当に、すまない!!」
あぁ、翼さんが離れていく……誰かこのバラ抜いて……抜いてくれたらわたしが生きているの分かるから……あと寒い。ものっそい寒い。
次は誰だろう……なんだかこのまま死ぬしかないんじゃって思ってきたんだけど……
「……よう。最後の挨拶に来たぜ」
く、クリス先輩!
「……人が死ぬのは慣れていた筈なんだがな。涙で視界が確保できねえじゃねぇか……」
クリス先輩、そんなに泣く程わたしの事を……
「なぁ、調。アタシさ、お前が先輩って呼んでくれること、地味に嬉しかったんだぜ? もっと、呼んでほしかったんだ……もっと、もっと!!」
何度だって呼びますよ!! それこそ天寿を全うするまで言ってあげますよ! だからこのバラ抜いてください!!
「……ったく、あのオッサン、こんな美少女の目にバラをぶっ刺すなんてどうかしてるぜ。抜いてやるよ」
あぁ、クリス先輩……あなたが救世主ですか……
いだっ! でもこれで視界が……
「涙で顔が見えねぇが……あの世でも元気でな」
いやこの世で元気したいです! まだ生きていたいんで一旦涙拭きましょう!? ね!?
「……じゃあな」
じゃあなしなくていいですからいだっ!!?
「クリスちゃん、ちょっとよく見えなかったけど位置的にそこ調ちゃんの鼻じゃないの!!?」
正解です響さん愛してますぅ!!
いたいいたい!! 花が鼻に思いっきりぶっ刺さってますなんて上手い事考えている場合じゃなくて!!
生きて帰ったらあの人の鼻にバラ突っ込む! 善意なんだろうけどせめて仕返しはする!!
つ、次の人! 次の人来てぇ!! 多分次響さんだよね!!
「じゃあ次は……わたしが……」
さぁ来て響さん! そして未来さんの陰謀を暴いてくださ……
「えー、急遽ですがこれ以上は月読調さんの死体が腐ってしまう可能性があるためこれで別れの挨拶は終了とさせていただきます」
し、司会者あああああああああああああッ!!?
何故ここで司会者!!? 何故司会者までわたしの生存を邪魔するの!? っていうかこんな短時間で死体が腐るわけないでしょぉ!!?
「そして火葬場まで霊駆車では間に合わないとの事ですので、こちらの……」
ガコッと重い音が鳴って棺桶のわずかな窓から確保できる視界が回転する。
え? 何? 何が起こってるの?
「ベルトコンベヤーでそのまま遺体を火葬場まで送り骨にして天に出荷します」
いや何の工場!? 何の工場なのこれぇ!!?
あぁ、視界が動き始めた……誰か助けて! お願い助けてぇ!!
あぁ、視界がとうとう外に……っていうかこのベルコン、本当に火葬場まで続いているの? え、嘘。このままわたしノータイムで火葬されるの?
マジ?
し、死にたくないよおおお!! わたしまだ生きていたいよぉ!! まだマムに会うのは早過ぎるからぁ!!
だ、誰か助けて! 切ちゃん! マリア! 翼さん! クリス先輩!!
あぁ、なんか心なしかベルコンの速度が速く……
お願い助けて響さぁん!!
「――やっぱりこんなの可笑しいよ」
ふと響さんの声が聞こえた。聞こえたと思ったら何時の間にか視界は移動を止めている。
「皆少しは疑問に思わないの? 冷凍保存までしてるのにそんな急がないといけないほど死体が腐りやすいなら、ナスターシャ教授なんて宇宙空間で骨になるまで腐ってるよ!!」
ひ、響さああああああああん!! ほ、ホントに助けに来てくれた!! やっぱり響さんはイケメン!!
「い、いや、それは……」
「小日向がそう言って……」
「わたし何度も言ったよね!? でも誰もわたしの声を聞いてくれなかった……」
え?
「わたし、見たんだよ。未来がここに居る全員、一人一人に五円玉を吊るした紐で何かしてる所!!」
あ、あの女、まさかわたしが確実に死ねるようにそんな古典的な催眠術で確実にわたしを殺そうと!?
「み、見間違いじゃないかな、響」
「だとしても!」
響さんの声が響く。何時の間にかわたしの棺桶はベルコンから持ち上げられて地面に降ろされていた。
「そんな急がなくても、ちゃんと葬儀をして、ちゃんと霊駆車で、ちゃんと送り出してあげないと調ちゃんが安心してあの世にいけない!! わたしはこんな流れ作業みたいな葬儀、神が許してもわたしが許さない!!」
あの、生きてます響さん。思いっきり生きてますから助けて。
そ、そうだ! 声を出せば……さっきまでは声を出そうとしても出来なかったけど流れが向いている今ならもしかしたら!!
「それにわたし、別れの挨拶していないんだよ!? だから、さっきの告別式の途中からちゃんと……」
「――け、て」
「…………ん?」
「い、今調の声が聞こえた様な……」
「いいいいいいいやそんなわけないだろ!!? だってアイツは……」
こ、声が出た! これなら……
「ひ、びきさん……」
「いや、気のせいじゃない? まさか調ちゃん……!!」
やった! これで助かる!!
「そんな訳ないよ響ぃ!!」
とか思ってたらあの女がわたしの棺桶を担いだ!?
「消え去れ亡霊!!」
とか思ったら投げられたぁ!?
うそぉ!? なんかすっごい速いんですけど!!?
「こ、このまま火葬場に突っ込んじゃえ!!」
いやこの先火葬場なの!?
え、流石に炎に突っ込んだら即お陀仏しちゃう!?
し、死にたくないぃ! 死にたくないぃぃ!!
「させない!! Balwisyall Nescell gungnir tron!!」
視界がとうとう空じゃなくて建物の中を見た時、ガングニールで飛んできたのであろう響さんがわたしの棺桶を捕まえた。やった生きた!!
「ふぅ、危なかったぁ……」
助かりました響さん愛してる!
そういえばさっき喋れた……なら、今なら手も動かせるかも……?
ちょっと手を動かしてみる……よし、凄く動かしにくいけど手は動かせる!
棺桶が地面に降ろされた所でわたしは鼻に刺さっているバラを引っこ抜く。あー痛かった。
「あれ? 今バラが抜けて……」
「い、きてます……」
「あ、あわわわわわ……」
あの女の声が聞こえる。ざまぁみろ。これからはわたしのターン!
「調ちゃん、まさか生き返って!?」
響さんがガングニールを纏ったまま棺桶の蓋をこじ開けてわたしの体を起こしてくれる。
「心臓が、動いてる……!」
「もとから、いきてます……」
「え?」
死亡確認から葬儀まで確実に数日以上ある中寝ていたからかかなり喋りにくいけど……大丈夫、これであの女を告発できる。
「みく、さんが……わたしをころそうと……」
「そ、そんな訳ないじゃない!!」
「れんがを、なげたのは……みくさん」
「そういえば……さっきから明らかに様子が可笑しいよね、未来」
「し、死人が生き返って困惑しているだけだよ!!」
「それに、あの古典的な催眠術……もしかして未来、本当に」
「響はその子の言う事を全部信じるの!?」
「だって今の未来、明らかに可笑しいじゃん!! 催眠術も、このベルコンも! 明らかに未来の方が可笑しい!!」
「ぐ、うぅ……」
あの女、催眠術をかけている所さえ見られなかったらわたしが生き返っただけでゴリ押しも出来たかもしれないのに……あなたのような人は上から見下す事しか出来ないから、こういう所で全てが裏目に出る!!
「だとしても、わたしが調ちゃんを殺そうとしたなんて証拠、何処にも!!」
た、確かに……わたしの証言だけじゃあの女が殺そうとしたなんて誰も信じてくれない。わたしの見間違いだったで終わってしまう事……!
くっ、どうしたら……どうしたらこの女に制裁を!!
「ここにあります!!」
こ、この声は!
「エルフナインちゃん! もしかして、解析結果が!?」
解析結果……?
急に出てきたエルフナインは何か書類を持っている。あの書類は一体……?
「すみません、全部が終わったと思ったらいきなり気絶させられてここまで来る事ができませんでした」
「気絶って、誰に?」
「未来さんです。室内に仕掛けておいたカメラがとらえていました」
そういえばあの葬儀、エルフナインの声は聞こえなかった……もしかして、今の今まであの女に気絶させられていたの?
だとしたらナイスタイミング! 何を解析していたのかは分からないけど、これならあの女が黒だという事が証明できるかもしれない!
「調さんを殺したレンガ。あそこから真犯人を割り出そうと様々な解析をしましたが……まさか指紋検査なんて古典的な物で出てくるとは思いませんでしたよ。未来さんの指紋が」
「え、エルフナイン……そ、それはわたしがあのレンガを後から……」
「あのレンガを拾ったのはボクです。それまで誰もあのレンガには触っていませんでした。未来さんが調さんが倒れてから一回もあの場に訪れていないのはもう分かっているんですよ」
そ、それじゃあ……!
「……なぁ、小日向?」
「ちょーっとだけさぁ」
「聞きたい事が」
「あるんデスけど……」
「ひっ!?」
翼さん、クリス先輩、マリア、切ちゃんが良い笑顔でシンフォギアを纏った状態であの女の肩に手を置いた。その笑顔は正直わたしと響さんも小さく悲鳴を上げるレベルで怖かった。
マリアの手には縄が、翼さんの手には麻袋が握られている。
「このベルコンさぁ、このまま撤去するんじゃ勿体ないよなぁ?」
「そういう訳で流そうと思うのよ」
「な、なにを……」
「未来さん……マストダイデス」
「神妙にお縄に付け、小日向ァ!!」
その瞬間、四人があの女との乱闘を始めた。
逃げようとするあの女、それを捕まえようとする四人、それを見ないふりしてくれている大人の方々。
わたしはと言うと、響さんに寒かったよね、ごめんねって言われながら抱かれています。まだ体が自由に動かないから、仕方のないこと。あぁ、響さんの体温が冷え切った体をじんわりと温めてくれる。
そうして装者VS生身の人間の戦闘を見守る事数分。
「ンー!! ンーッ!!」
「殺そうとしても死なねぇ奴だ。火に焼かれた程度じゃ焦げるだけだろ」
「自業自得だ」
あの女は簀巻きにされた上から更に麻袋で顔以外を入れられ完全に身動きが取れない状態になり、更に猿轡を噛まされた状態でベルコンの上に置かれている。
火で焼いた程度じゃ死なないっていうのは完全に同意だからわたしも響さんも助けない。
「ンンンッ!! ンンンーッ!!」
「……動機は分かんないけど、流石に今回のは無いよ、未来」
途中、明らかに響さんに助けを求める声を上げていたけど、響さんの冷ややかな声を受けて白目を剥いて気絶した。ざまぁ。
かくしてわたしの葬儀は何とか中止になり、わたしは無事生き残れたのでした。
今回ばかりは本当に死ぬかと思った……
未来「響、なんとか生きて帰ってきたよ!!」
響「……」
未来「ひ、ひびき……?」
響「ごめん、暫く話しかけないで」
未来「」サラサラサラ…
この話を書いた理由は最近銀魂の神楽の葬式の話を見ちゃったからですね。なので今回の話のパロディ元は銀魂のアニメ297話、別れの挨拶は簡潔に、でした。
あれを見た瞬間頭の中でこの話の流れが頭を過って書いちゃいました。未来さんには申し訳ない事をした。今度なんかいい出番与えますので許して。シンフォギアキャラの中では普通に上位に入るくらいに好きなキャラだから。
っていうか今回調ちゃんのキャラ崩壊激しすぎたなぁ……まぁ、元ネタが銀魂だし仕方ない
次回はまた未定です。ビッキーがヤンデレ二人に囲まれる話とか……うん、今回の二の舞になるとしか思えないので思いついたら書きます。