というわけで今回は後日談。特にネタが思いつかなかったから後日談でお茶を濁そうとかじゃないヨ? ホントダヨ?
わたし達は平行世界から帰ってきた。
そんなわたし達を出迎えたのは、今にも泣き出しそうな調ちゃんだった。多分、目が覚めたら一人だったから寂しかったんだと思うけど、流石に目の前でガッツリと抱擁を見てしまったからかちょっとわたし達も照れてしまった。
そうして元気になった調ちゃんは、特に後遺症もなく普段通りな感じに戻ってくれた。こっちの世界でも幾度かノイズは出たらしいけど、クリスちゃん達は特に怪我もしてないみたいだったし、今回もなんとか大きな犠牲は出さずに異変を終わらせる事ができた。
「でも、調が元気になってよかったデス!」
「切ちゃんが頑張ってくれたからだよ。こっちで寝てる間、ちゃんと切ちゃんが頑張ってくれたところは見ていたから」
「そ、そんな事言われても照れるデスよ……MVPは響さんなのに」
「いやいや、MVPは満場一致で切歌ちゃんだってば。わたしはただのS2CAブッパウーマンだったから」
「何デスかその物騒なウーマン……」
でも、事実だし……わたし、S2CAブッパしかしてなくない? それこそそれっぽい発破はかけたけど、その程度だし……わたしの頑張った事、それくらいだよ?
それに、直接的な問題の解決は切歌ちゃんがやったんだから、間違いなくMVPは切歌ちゃん。
「……でも、少しだけあっちの調が心配デス」
「そうかな? わたしはそうでもないよ?」
うん、切歌ちゃんはそう言ったけど、わたしは特にそうは思わない。
まぁ、心配になるのも分かるよ? でも、きっと大丈夫。調ちゃんは切歌ちゃんから大事な事を学んでいたから。装者としても、人としても大事な事を。
「どうしてデスか?」
うん、それはね。
「あっちの調ちゃんは、ちゃんと手を繋ぐ意味を、手を繋ぐ方法が分かったから。だから、何があっても絶対に大丈夫だよ」
手を繋ぐ事は大事だから、ね。
****
平行世界に切ちゃんと響さん。それから未来さんの三人は帰ってしまった。いつか遊びに来るとは言ってくれたけど、平行世界に移動する聖遺物を私用で使う事なんてそうそうできないのは何となく分かっているから、もしかしたら次に切ちゃん達と会えるのは一年後……もしかしたら何年も後になってしまうかもしれない。
それでも、わたしはもう挫けない。苦しんだ過去を思い出にして、それが悪い物だと決めつけない。わたしが前に進むための燃料として。前を向くために必要な材料として悲しまない。後悔こそあれど、それを悔いたりはしない。
今、この世界にノイズと対抗できるのはわたしだけ。マムに聞いたけど、こっちの世界の残りの装者はルナアタック後に行方不明になってしまったらしく、生存は絶望的らしい。だから、この世界はわたしが守っていかないといけない。切ちゃんとマリアとセレナが守ろうとしたこの世界を、わたしが前を向いて胸を張って、生きて、守るんだ。それが、生き残った者のやるべき事だから。
「調、私達F.I.S……とは言っても、厳密には私と調、それから数名の技術者の少数精鋭によって構成したシンフォギア運用部隊は日本の特異災害対策機動部二課と協力し、ルナアタック後に紛失したバビロニアの宝物庫を閉めるための聖遺物、ソロモンの杖の回収と同時にノイズの根絶を行う事にしました」
響さん達が帰ってから暫くして、マムはそんな事をわたしに告げた。事後承諾だ。
思わずちょっと驚いてしまったけど、それでもマムの言葉に反論はしない。響さん達はSONG所属って言っていたけど、恐らくその前身となる組織はこの特異災害対策機動部二課だという事は既にマムが調べた。というか、シンフォギアを運用する組織はF.I.Sかそこの二択しかないから。
シンフォギア装者を失ったその組織の事をマムは知り、響さん達が属していた組織なら信用に値すると秘密裏に連絡を取っていたみたい。
「そのために調……私達に力を貸してくれますか?」
「勿論だよ、マム。わたしはそのために歌を歌い続けているんだから」
あっちの響さん達が次来た時に、この世界の事を誇れるように、わたしは戦う。そのための歌は未だ胸を燃やして消える気配を見せていない。
だから、戦う事に異論はない。その戦いで正義を握ることの意味を響さんは教えてくれたから。
質問を是で返されたマムは少しだけ嬉しそうに微笑んだ。もう一人だけになってしまったわたしの家族。わたしのお母さん代わり。そんなマムの頼みを断れるわけがない。
「では、手続きをこちらで進めておきます。調はもう休んで大丈夫ですよ」
「ううん、わたしはシミュレーターで訓練する」
マムはわたしに自室……前まで切ちゃん達が使っていた部屋だけど、そこに戻ってもいいと言ってくれた。でも、私はもう少しだけ体を動かしたい気分だった。
今までのわたしの戦い方は、シンフォギアの性能に任せた自己犠牲しかできない突撃だけ。でも、死ねない理由が、自分の体を大切にする理由ができたから、そんな戦い方はもうしない。そのためにも新しい戦い方を。一人でも十分に戦える戦い方を練習したかった。
マムは少しだけ渋ったけど、わたしがそう言うなら、と訓練の許可を出してくれた。
「あぁ、それと調」
そして指令室を出ようとしたわたしにマムは声をかけた。
「なに?」
「ドクターウェルの事は、覚えていますか?」
「ウェル……ウェル……あぁ、ウェル博士の事?」
ウェル博士。あのネフィリムの実験の時にも相席していた研究者の一人のはず。数年前にここを出ていって行方不明になったきりだけど、ウェル博士が残していったわたし用に調整したLiNKERをずっと使っている。
一応顔を何度か合わせたけど、その度に気色の悪いとか暗い、とか根暗とか色々言われたっけ。あれ? 今になってムカついてきたんだけど。当時のわたしはアレだったから何言われても無視したし口答えもしなかったけど、こうして色々と自分で考えるようになったら色々ムカついてきた。あったら一発殴ろうかな。
「もし彼が敵に回った時……あなたはその刃をドクターウェルに向けられますか?」
「向けるよ。でも、殺さない」
答えは自分でも少し驚くほど速く出た。
刃を向ける。向けはするけど、殺さない。死は悲しい事だって知っているから。それを押し付けるなんて真似はしない。刃を向けて、話し合って、無理なら倒して手を握る。響さん程優しく言葉をかけられないし、歪にしか手を握れないかもしれないけど、わたしはわたしなりに戦う。
だから、相手が顔なじみでも。それこそマムでも、道を間違ってしまったのならわたしは刃を向ける。そして、戦って話し合って、手を握る。
「……そうですか。それを聞けたなら安心です」
「そう?」
「はい。いい方向に変わりましたね。今までのあなたより、今のあなたの方が立派に見えますよ」
「そう見えるように虚勢を張ってるから」
「虚勢なわけありません。あなたは確かに立派な子。その刃を握る理由も、その歌も。何もかもが立派な、私の教え子です」
それなら、いいかな。マムにそう思われているなら、この考えは間違っていないとわたしは誇れるから。
マムの言葉を背に、わたしは指令室を出ようとする。あんまりここに居るとマムのお仕事の邪魔にもなっちゃうし、訓練の時間も無くなっちゃうからね。
だから早めにシミュレーター室へ……
「おや、通信……はい、はい……ノイズが出現ですか。分かりました、調を出します」
と思った矢先だった。マムの方へ通信が飛んできたと同時に部屋の壁一面にある巨大なスクリーンにはノイズ達の姿が映された。どうやら、早速二課の方からノイズの探知と装者の出撃要請が出たみたい。
訓練のハズが実戦になっちゃった。でも、大丈夫。その時間を使って罪のない人を助けられるのなら、わたしはそれで構わない。
「調、行けますね?」
「うん、任せて。おさんどんまでには間に合わせるから」
「そうですか。気を付けて」
うん、精一杯気を付けて戦ってくる。
「あと、おさんどんの意味ですが……お夕飯という意味ではないですからね?」
えっ!?
****
ノイズを切り刻む。カルマノイズが居なければノイズ程度、シンフォギアの敵じゃない。バイザーが無くなった事によって自分の肉眼で見る世界は、少し新鮮。でも、その眼で世界を見るのは後。今は取り残された人や助けられそうな人を探して戦う。
歌を歌い、気を付けながら大技、小技を織り交ぜる。そして飛んでくるノイズの攻撃は防ぐか避けるかして、カウンターでチェーンソーを叩き込む。うん、今日もチェーンソーの切れ味は抜群。おさんど……じゃなかった。お夕飯までには間に合いそう。マムは濃い味が大好きすぎるから、ちゃんとお夕飯を作るのに間に合う時間までに戻って薄口のご飯を作らないと。健康にも悪いし、マムももう歳だから偏食と食わず嫌い、どうにかしないとね。
そのためにも今は!
「やぁぁ!!」
チェーンソーでノイズを切り刻み、二つ結びの髪を格納したアームドギアから丸鋸を発射して目の前のノイズを一気に殲滅する。
でも、数が多すぎる……! 流石にこれは疲れるというか何というか……!!
だけど弱音なんて吐いていられない。強気で戦うんだ。そして勝つんだ!!
「だ、誰かぁ!! 誰か助けてぇ!!」
そしてチェーンソーを振っていた時、声が聞こえた。
助けを求める声。ちょっと前の私なら確実に無視していたであろうその声の持ち主は、今にもノイズに触られそうだった。しかもその人は、子供を抱きかかえていた。あれじゃあノイズから走って逃げられないし、そもそも壁がすぐ後ろにある。
ここからじゃ間に合わない……! でも、助けなきゃ! この手はそのためにあるんだから!!
「お願い、間に合って!!」
丸鋸を飛ばしてしまったら親子を傷つけてしまうかもしれない。だから、わたしは精一杯走ってチェーンソーを構える。一度でも攻撃を当てられたら、ノイズの意識は一瞬でもこっちを向く。その隙に親子を助け出せば大丈夫!!
大丈夫だけど……だめ、遠い! 五秒もあれば十分な距離を詰めるための時間がもう無い。でも、諦めたくない!
お願い……!! お願い、間に合って!! 届いて!!
「そこの装者、伏せろ!!」
願いながら手を伸ばしたその瞬間、後ろから聞きなれない声が聞こえた。
伏せろ。その言葉にわたしの体は無意識に従い、その場でわざと転んでスライディング気味に地面に伏せた。その瞬間、わたしの真上を誰かがぶっ飛んでいった。
「届かせるんだ、絶対にッ!!」
直後、もうあと数センチで親子に触れそうだったノイズの一部は一瞬で炭にされ、親子はわたしの真上をぶっ飛んでいった人が片腕で回収。そのまま壁を蹴ってダイナミックな方向転換をしてからもう一度わたしの上をぶっ飛び、そして後ろにいるのであろう人の元へ着地した。
その着地の音が聞こえた瞬間、ガトリングの音が響き、わたしの目の前のノイズが一瞬で殲滅された。
「ふぅ、間に合った。いや~、日本に帰ってきて早々、ハードだったぁ」
「言ってる場合か。まだノイズは残ってるんだぞ」
「そこの二人、早く避難を。あっちに走れば安心です」
「あ、ありがとうございます!!」
後ろにいた装者らしき人は合計で三人。でも、その内の一人の声に私は聞き覚えがあった。
立ち上がって振り返ると、そこには赤青黄の三色のギアに身を包んだ三人の装者。その内の一人のギアは、形状がちょっとだけ違うけど、それでもついこの間、わたしが見たギアとそっくりで。そのアームドギアを持たない手は、誰かを救うための手だという事を。誰かと繋ぐための手だという事を、痛い程知っている。
その手にわたしは救われたのだから。
思わず涙が溢れそうになる。この人は、この間わたしの前に現れたあの人じゃない。平行世界の同一人物だけど、間違いなくあの人だ。平行世界の本人は死んだかも、とか言ってたけど……それでも、生きていた。別人だとは分かっていても、それが嬉しい。
「お、おい。あいつ、お前の事見てんぞ。知り合いか?」
「へ? い、いや、そんな事ないけど……」
「大方、素知らぬ所で建てたフラグを回収してないだけだろう。いつもの事だ」
「女たらしがよぉ」
「いやそんな事した覚えないんすけど~……」
なんかわたしのせいで思いっきり勘違いされてるけど……でも、なんだか面白い。思わず笑っちゃう。
わたしの笑い声を聞いて今度は三人が呆然とこっちを見てくる。うん、それも仕方ないと思う。だって、急に目と目を合わせたと思ったら急に泣いて急に笑うんだもん。変人奇人の類にしか見えないよ。
でも、構わない。
二度目の初めましてだとしても、わたしはしっかりと初めましてをする。
「初めまして。わたしは月読調。F.I.S所属のシンフォギア、シュルシャガナの装者で……あなたに手を繋いでもらって、助けてもらった事があるだけの、初対面の人です」
きっと、わたしの人生はここからリスタートする。全部を失って、失った物を取り戻して、そして新しくこの世界の月読調を作っていく。そんなわたしの新しい人生が。
だから、まずは初めにちゃんと伝言は伝えなきゃね。それが、何もかもを失ったわたしに生きる意味と戦う意味を教えてくれたあの人達とした約束の一つだから。わたしは、今度は手を伸ばされる前に自らの意志で繋ぐための手を伸ばした。
その答えは、聞かなくても分かると思う。
シュィィィィィン(石が画面上に出てくる音)
というわけで後日談でした。結構即席で考えたのでアレな所もあるかもしれませんが、ご容赦を。そんなワケで月読調の華麗なる平行世界はこれにて完全に終了。予想以上に好評だったりそこそこの人に見られたり、いつの間にかランキングに載ったりとなんか色々ありました。誰かに紹介とかされたんですかね……?
次回からは本当にいつも通りのキャラ崩壊前提のギャグとかが入るのでもう暫くお待ちを!! なにとぞお待ちを!!
ふぅ。まぁ細かい話はここら辺にして。
シンフォギアXDの方でGXガングニールマリアのヘキサ来ましたねぇ。自分は11/10日現在、確定分を除いて初日に二枚、本日一枚落とせたんですけど、案外ドロップ率緩和されてる気がする。ただ、11/10日に至っては日付変更もしちゃって、七時間程周回してたので総周回時間が割とマジで十二時間いってそうな……残り二枚、集まるかなあ……
それと、調ちゃんの配布来ないかなーとか思いながらプレイしてますが、マリアさんの配布率高すぎない? マリアさんだけ異常じゃない? 調ちゃんももっと配布を……!!
では次回は未定。どこかでネタを発掘しなければ……!!