月読調の華麗なる日常   作:黄金馬鹿

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今回は確か感想でラジオとかやると面白そうかもとか言われていたのを思い出したのでアイドル時空でラジオ番組です

あと間がかなり空いてしまって申し訳ない……!!

あ、クリスマスギアのセレナ出なかったので暫くセレナは出禁です。暫くガチャ引いて出たら出禁を解除します。出なかったら一、二か月の出禁を覚悟してもらおうか……!!


月読調の華麗なるラジオ

 有名な人とデュエットで組んでデビュー、というのもあまり大手振って喜べることだけではない。

 その人の後輩としてデビューして、一緒のステージに立つこともあるのだから、その後輩の悪評が少しでもあればそれは先輩の方にも響く可能性がある。その点、わたしは緒川さんっていう防衛ラインもあるし、わたし自身失礼が無いようにしてはいるし、スキャンダルとかも撮られないようにはしているんだけど……やっぱりそれでも多少なりともずるがしこい人は合間を縫ってスキャンダルを作り出してくるときがある。

 今日はそんなスキャンダルを発見してしまった。思わず溜め息を吐くような内容のスキャンダルではあるけど……緒川さんも気付かないほどこっそりと写真を撮るのは最早呆れるし、そんな事できるんなら他の仕事した方がいいんじゃない? と思う時もあるけど……

 

「……まさか緒川さんとファミレスで軽い打ち合わせの所を撮られるなんて」

「こんな所から……僕も少し不用心でした」

 

 本当に時間が少しだけ余って、まだお昼も食べてなかったのもあって緒川さんと一緒にファミレスに入ってその日の予定を確認しながらお昼を食べていた時の写真をどうやらいつの間にか撮られていたらしい。

 緒川さんは悔しそうな顔をしてるけど、流石にガラス越しでここまで距離があると気づく方がおかしいというか……

 このスキャンダル発覚は深夜ごろにわたしのツイッターのリプライで急にこの写真を送ってきた人がいたから即刻判明したんだけど……書いてあることが酷い。

 話題沸騰アイドルがプライベートで男とデートか、とか。まずこの時間プライベートじゃないし。で、月読調さんは業界内ではあまりいい立場ではなく……やかましいわ。かの風鳴翼のマネージャーと金銭以外のやり取りを持って関係を持ちデビューしたと言う噂も……うん、ここはあまり否定できないかも。だってプライベートでスカウトされたっていう関係だし。金銭以外だし。ただ、やましい関係は一切持ってないから。で、極めつけにはかつて自らの体を売る売春行為をしていたという噂まで、とか書いてあるし。

 いらっ。

 

「調さん、落ち着いてください。しかしまぁ……ここまでグレーゾーンな言葉でいい感じに煽ってくるなんて、逆に感心しますよ」

「これ、どうしましょう。ちょっと炎上してるみたいですし……」

「一応、僕の方からホームページで連絡だけしておきます。それに、炎上させているのは物好きな方だけで、僕もそこそこ調さんと一緒にバラエティで顔を出しているので向かいの男が僕だという事に気が付いている人も多いですからね」

 

 ほぼバラドルみたいになってきているわたしだけど、だからこそ時々顔を出していた緒川さんのお陰で今回の炎上事件はちょっとで済んでいる。何せわたしのファンの人は大体が緒川さんの事を知っているからツイッターとかブログでこれはマネージャーじゃないか? って言われてる。

 要するにマトモに取り合っている人の方が少ないという事。わたしとしては要らない悪評広められただけでいいお薬で手術タイムに入りたい所だけど、害はほぼ無いし……

 ついでにこの記者の人、前々からこういうアイドル系のスキャンダルをよくでっち上げている人だから、ツイッターではまたこの人か……で済ませている人も多数。掲示板の方でも一時期炎上したけど、すぐにこの人が書いているって判明した瞬間に炎上収まったし……

 

「まぁ、まともに取り合わなくても大丈夫でしょう。この人が無名の記者ならまだしも、悪評は多い記者ですから」

「そこまでスキャンダルをでっち上げるなんて、相当記者としての命が苦しいんでしょうか……」

「あ、あはは。それは僕にはどうにも」

 

 別に無理にわたしを狙わなくても他にも沢山スキャンダル抱えている人って居そうなんだけどなぁ。わたしってスキャンダルっていうスキャンダル持ってないし……それこそ装者っていう最大級のスキャンダル抱えているけど、それを記事にしようものならその人は確実に黒服さん達にドナドナだからね。

 それにやましい事でもないし。いつも通り自然体で行けば何も問題は無し。

 で、今日もこうしてファミレスで緒川さんと話し合っているんだけど、その理由は今日も今日とて予定合わせ。翼さんの送迎を緒川さんはしなくちゃいけないから、本来もっとゆっくりとお昼を食べる前に行うはずの予定合わせと軽い会議をファミレスで昼食を兼任してやっている。これはその一幕だったり。

 えっと、今日の予定は……

 

「ラジオが今回と次回の分、ですね。あとはマリアと一緒に帰宅、と」

「はい。時間の方は……そうですね、それで大丈夫です」

 

 実は、風月ノ疾双はラジオを始めた。この間のマリアとの合同ライブの後から始まったんだけど、これが予想以上に好評……というかゲストとしてマリアがよく来ること、翼さんはメインパーソナリティーではないけど高頻度で来てくれる事が結構好評というか意外性を持っているというか。そうした面でのアピールもあってかそこそこに人気な番組になった。

 題名は疾双ラジオっていう、まぁ結構シンプルな題名だけど……翼さんに任せたらとんでもない物を出してきたから、これに落ち着きました。はい。

 で、今日の仕事は午後からのこれだけ。しかも最初の回はマリアと、次の回は途中で合流する翼さんと一緒のラジオ。何気に楽しみ。

 

「では、そろそろ僕は翼さんを迎えに行ってきます。もうすぐマリアさんも到着するので、マリアさんとゆっくりお昼を楽しんでからお仕事に向かってくださいね」

 

 緒川さんはそう言うと、お昼代を経費で落としてからファミレスを出て……あっ、車に乗る前にどこかへ走っていった。多分またスキャンダル企んでる人がいたんだろうなぁ……ご愁傷様。笑顔の緒川さんは怖いですよ。

 ふぅ……予想以上に早く食べちゃったし暫くコーヒーブレイクとでも……

 

「あら調。もう食べちゃったの?」

「あ、マリア。うん、結構早めに着いちゃったからね。マリアも早いね」

「道が空いてたのよ。タクシーのドライバーも中々気が利いたし、いう事なしの移動だったわ」

 

 いくら緒川さんでもあっちこっちで仕事をするわたし達三人全員を送迎するなんてできないから、時々こうやってタクシーでの移動を挟むときがある。わたしはまだこの業界に入って日も浅く、まだ心配だからっていう事であまりタクシーで帰ったり移動したりはしないけど、マリアと翼さんは結構タクシーや電車で移動することが多い。

 わたしはドリンクバーの方で注いできたコーヒーを片手に優雅な一時……的にカッコつけてた所だったからちょっとだけ恥ずかしい所を見られたけど、まぁいいや。時間もあるし、ゆっくりとマリアと話そう。

 

「案外ファミレスも美味しそうなものがそろってるわね……調は? まだ何か頼む?」

「ううん。さっき食べたばかりでお腹いっぱいだから」

「そう。なら私だけ頼んじゃうわね」

 

 そんな感じでマリアがちゃちゃっとお昼を頼んでからはマリアとメールとか電話では話さなかった近況とかを話した。

 勿論あまり暗い事……それこそ芸能界の黒い事は話さないけど、翼さんがやらかした事を面白おかしく話してみたり、マリアが経験した大変な事を冗談交じりで教えてもらったり。で、そんな大変な事を聞いたからついついポロっと色々話したら一瞬マリアが能面みたいな表情になったり。

 え? 何話したかって? わたしが枕してる噂が流れたり、そのせいで勘違いした下半身と脳が直結されてる馬鹿が馴れ馴れしく触ってきたりとか。翼さんには一応相談したけどマリアには言ってなかったんだよね……勿論手は出されてないからって言うとマリアの表情も幾分か元通りになったけど。

 ちなみにマリアもまだ駆け出し時代はよく番組に出すから代わりに……とか言われ続けたらしい。当たり前のように全部蹴っているみたいだけど。そういう輩の言うこと聞いたら落ちる所まで落ちる可能性も無きにしも非ずだしね。

 

「私、そういうのってネットの冗談だとずっと思ってたのよねぇ……だから余計にこう、失望というか何というか……」

「まぁ、芸能人故の悩みだよね……」

 

 枕とかが消えないのって、腐った人間が腐った事を教え込むから続いちゃってる悪循環みたいな感じだし……

 いや、どこもかしくもそうって訳じゃないよ? わたしが今まで知り合った番組プロデューサーさんとかテレビ局の社長さんの中にはいい人だって沢山いたし。これから向かうラジオ局の人たちもみんな……みんなじゃないかな、うん。殆どがいい人だし。

 どうしてみんなじゃないかって? わたしがアッパーカットを決めた事件があったって言葉で察してほしい。割と本気の拒絶だったよ。

 

「調は可愛いから手を出したいのは分からないでもないけど……」

「か、可愛いって……急には照れるよ、マリア……」

「そういうのが可愛いのよ」

「で、でもそんな事言ったらマリアだって美人さんだし、どこがとは言わないけど大きいし……そんじょそこらのモデルよりも圧倒的に綺麗だし……」

「ふふ、ありがと」

 

 うぅ……やっぱりこういう言葉遊びじゃマリアに勝てる気がしない……

 でもマリアって綺麗な割には男の人が――

 

「調、それ以上考えたら私にも考えがあるわ」

 

 ……ごめんなさい。

 

「……さて、お昼も食べ終わったし行きましょうか。後はブースで打ち合わせね」

 

 マリアに対する婚期弄りというか男の有無を使った弄りはしちゃいけない。わたしは改めてその掟を胸に刻んでからマリアと一緒にファミレスを出た。

 

 

****

 

 

 場所は打って変わってラジオのブース内。結構狭い室内の中にはわたしとマリアが対面して座れる感じの机と椅子があって真ん中には一個何万円するのか分からないマイクが。

 机の上にはお水やお菓子、それから今回の台本がある。台本は何分までにどんなことを話すか、この宣伝コーナーでは何を話すかっていうのが書いてあるくらいで、後はわたし達が結構自由にやっちゃう感じの結構フリーダムなラジオになっている。

 わたしが翼さんやゲストの人……というか身内のマリアと色々とプライベートとか赤裸々に話すのがこのラジオの持ち味的な感じにもなってるから、最初は結構ガッチガチの台本だったけど数回経ったらこんな感じになっちゃったんだよね。台本ぺらっぺらだし。

 

「じゃあ今日は何話そうかしらね」

「うーん……この間の切ちゃんとか?」

「それはもう話したから……響の事とかどうかしら?」

「あ、採用」

 

 そんな感じで打ち合わせというのは名ばかりの駄弁りのテーマ決めを行っていると、いつの間にかラジオの収録開始が迫っていた。その合図を黙って聞いてからヘッドフォンから聞こえるスタートの声に合わせてわたしがちょっとテンション高めにタイトルコール。

 

「月読調と風鳴翼の! 疾双ラジオ~!!」

 

 本来翼さんが居るのなら風鳴翼の、の部分は翼さんがコールするんだけど今回は居ないからわたし一人のコール。最初は寂しいと思ったけどもう慣れました、はい。

 暫くオープニングテーマが流れてからわたしが恒例の挨拶。その後にマリアの自己紹介が入る。

 うん、普通のラジオだね。

 

「はい皆さん、こんにちにゃ~。風月ノ疾双のマトモな方、月読調で~す」

 

 こんにちにゃ、と言うのはわたしが初回で噛んだ時に出てしまった謎の挨拶で、どうしてかそれが番組の挨拶となってしまいました。最初は恥ずかしかったけど今は以下省略。

 

「このラジオはわたし達、風月ノ疾双の事をもっと知ってもらいたい、ファンになってほしい、ついでに翼さんの後輩であるわたしが翼さんのあれやこれを暴露するための番組です。といういつものテンプレを言ったところで今回のゲスト紹介」

「みんな、こんにちにゃ。最早ゲストというよりは準レギュラーのマリア・カデンツァヴナ・イヴよ。もうこの挨拶にも慣れた物よね」

「三回に一回くらいのペースで来てるもんね」

 

 結構高頻度……というか準レギュラーも真っ青の頻度で来ているマリアはネットだともうレギュラーになっちまえよ、とかただの家族団欒じゃねぇかとか。そんな感じの事を色々言われている。

 時折、忘れてるかもしれないけどこの人世界の歌姫ですとか暇なの? とかそんな感じの言葉も見るけど……マリアだって色々工面しているみたいだし許してあげよう?

 

「早いものでこのラジオも始まってからそこそこ経ったけど、なんか色々緩くなったよね。最初は分厚かった台本も今はぺらっぺらだし」

「水しかなかった机の上もお菓子とジュースで埋め尽くされて、終いには携帯弄る始末だもの」

「それでも怒られないしそこそこ聞かれているのが二大スターの力。ありがたや」

「ラジオの前のみんな、これがコネを得た人間の力という物よ。若い人は今の内にコネを作っておくことをオススメするわ」

 

 なんて、同業の人に聞かれたら色々言われそうな会話をしつつ……一応、マズかったらカットお願いしますとだけ伝えてからありきたりの無い会話をしてオープニング終了で一旦CM。そこからマリアともう一度一緒に挨拶をしてから改めてコーナーに。

 

「はい、ではここからは皆様から頂いたお手紙を読んで返信の時間にさせていただきます」

「このコーナーもおなじみよね。確か初回からやっていたのかしら?」

「うん。初回はわたしの身内とかTwitterとか番組関係者の人たちから質問を貰って、それの返信をしてたけどね」

 

 栄えある第一回の質問は切ちゃんから貰った質問でした。好きな食べ物はなんですか? って書いてあったからちょっと笑っちゃったよ。知ってるでしょって。

 思わずこれ、いつも会ってる友達ですって言っちゃったし。

 さて、話が逸れるからこのぐらいにして……まず最初は。

 

「えー、ペンネーム、ミニライブの時からずっと推していますさんから」

「ペンネームが愛に溢れてるわね」

「ミニライブってあれだよね? 翼さんとユニット組むって急に発表されたわたしのデビューの。こう言われると照れ臭いけどすっごくありがたいよ」

 

 まさかあそこで偶々わたしの歌を聞いた人も、まさかわたしが翼さんとユニットを組むとは思いもしなかったと思う。でも悲しいかな、流石に全員分の顔を暗記はできていないから顔を出されても分からないと思う。

 で、お手紙にある最初の挨拶のテンプレをマリアと一緒にしてから本題に。

 

「えっと、わたしとマリアの馴れ初めをもっと詳しく聞きたいです、だって」

「つまり合同ライブの時にちょっと口にしたアレの詳細よね?」

 

 わたしとマリアの視線が一瞬だけ交差する。

 何故ならわたしとマリアの馴れ初めってあんまり褒められた事……というか人に言いふらす事ってできないからこういう質問が来るとどうしても困っちゃうというか。いつもなら緒川さんが先に取捨選択してくれて、少しでも装者に触れそうな話題は全部弾いてくれているんだけど、今日は緒川さんチェックが無かったみたい。

 でも、流石にそろそろ嘘でも言っておかないと変な噂とか立つかもだし……マリア、そういう訳で話を適当に合わせよう。

 

「まぁぶっちゃけると私と調はアメリカのとある施設で一緒だったってだけなのよ」

「っていきなりぶち込んできたね……」

「隠す事でもないでしょ? そこで私達の親代わりの人……私も調も、調の親友の子もマムって呼んでるんだけど、その人に引き取られてからずっと家族同然で過ごしてきたのよ」

 

 うん、嘘は言っていない。何にも嘘は言っていない。思いっきり濁しているし引き取るというか作戦上身元を預かると言った方が正しい感じはするけど嘘は言っていない。

 

「まぁ、大体そんな感じだよ。当時はまさかわたしもマリアも芸能界入りするなんて思わなかったけど」

「調の帰国子女っていうのも、それが主な要因ね。私が十歳くらいで調が五歳くらいの時からずっとアメリカで一緒だったから」

「それでマリアが芸能界入りして、日本で活動するって決めると同時にわたしも日本に戻ってきたの」

「まぁ色々とあったけどその後はみんなが知る通りよ」

 

 装者……というかフィーネ関連の事はぼかして視聴者の皆様に伝える。

 うん、色々の部分は聞いてる人全員が察しているだろうね。だってあの時のマリアって未だにネット上の素材として人気だから。

 一生ネットの晒し者とか言われているけど、それでも人気が高いままなのは素材としての認知度がそのまま人気に直結しているのか、それともマリア自身の人気がその程度で落ちないくらいに大きいのか……どっちもだろうね、うん。わたしは表立って行動してなかったから素材にはなってないけど。

 時折響さんに国際全裸放送の事言ってみると面白い反応が返ってくるっていうのは完全に余談。

 

「翼さんと知り合ったのも、その色々があった時だね」

「あの時は……まぁ色々とやらかしたけど今じゃいいパートナーよ。だからこそ調の事を頼めるわけだし」

 

 よく考えると、あそこまで敵対していたのに今じゃ仕事でもプライベートでもいいパートナーって凄い事だよね。実際、二人がセットの仕事ってフロンティア事変の後の処遇ってことを除いてもかなり多いし。

 さて、あんまり馴れ初めの事は話せなかったけどこの程度でいいかな。

 

「じゃあそろそろ時間だから次のお便りを。えっと、ペンネーム、きねくりパイセンから……んんっ!?」

「きねくりって……あの子、何してんのよ……」

 

 こ、これ、クリス先輩からだよね? どうしてあの人がこんなお便りを……

 とか思っているとブースの外で機材を弄っている人の一人がカンペを。えっと……?

 

「……このお便り、どうやら先ほど急にわたし達のマネージャーから来たメールを文章化したものらしいです」

「ここでどうして私達が困惑してるかを説明すると、この子、翼の後輩で調の先輩なのよ。一度私と調で翼へのドッキリをした時があったじゃない? その時に混ざっていた子の一人よ」

 

 あ、緒川さんからメールが……えっと、今届いたお便りは絶対に読んでくださいとのこと。

 えぇ……? なんかこういう時の緒川さんって色々仕掛けてくるからちょっと嫌な予感がするんだけど……まぁいいや。出されたお便りは読まないと。

 えっと、内容は……あれ? 短い?

 

「助けてくれ、センパイに拉致られた……はい?」

「これはどういう事……? あの子の言うセンパイって……」

「翼さんだね。本当にどういう意味?」

 

 とりあえず頑張って逃げてくださいとだけ答えてからわたし達はこのお便りを無かったことにして次のお便りに移行した。

 いつも通り特に中身のない質問からの特に中身のない会話をしたり、仕事の事について聞かれたからソレについて話したり、わたしの学校生活なんて物も聞かれたから当たり障りのない程度に答えたり。

 そうしている内にお便りの時間は無くなって、CMの後に次のコーナーに移行する事になった。お菓子食べたりお水やジュース飲んだりしてちょっと一休止入れてからさて、次のコーナー。なんだけど、なんだか外の様子が騒がしい……? なんか急にドッタンバッタンし始めたというか……

 まぁいいや。オーケー出てるし。

 

「なんか視界の外でドタバタしてますが次のコーナー! 月読調の――」

 

 コーナー名をちょっとハイテンションな感じで叫ぼうとしたその瞬間だった。

 急にブースの扉が思いっきり開かれてそこからあの人達が入ってきたのは。

 

「ここで先輩の乱入だ月読ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」

「どうしてアタシまでぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

「きゃああ!!?」

「な、何事ぉ!!?」

 

 つ、翼さんと……クリス先輩ぃ!!?

 ど、どうしてここに!? 特に翼さんは次のラジオからじゃなかったっけ!? あれ!? こんな事台本に書いてないけど!!?

 

「ははは!! 待たせたな月読、マリア! 雪音を拉致ってたら時間がかかった!!」

「何してくれてんすかセンパイ!! 今完全に収録中だろ!?」

「ふっ、私と月読、それからマリアの勝手知ったる仲だ。乱入程度今更だろう?」

「そりゃプライベートならまだしもこれ本番中だかんな!? っていうかアタシ完全に部外者なのに入っちまって良いのか!? 思いっきり声入ってんだろこれ!?」

 

 い、一応わたしの席が一番扉に近いからわたしの後ろで思いっきり叫び合ってる赤青コンビの二人だけど、クリス先輩の懸念の通り思いっきり声入ってます。生放送じゃなくてよかった……

 っていうかこれ本当にどういう事? マリアも知らないみたいだし……ど、どうしようこれ。

 あ、緒川さんからのカンペが。えっと……サプライズゲスト翼さん、スペシャルゲストクリス先輩でお願いします……!? あ、あの人、絶対にその方が面白くなるからってクリス先輩連れてきたでしょ!? っていうかさっきのお便りってこういう事!?

 

「急にアタシの部屋に突撃して拉致られたと思ったらこんな所にぶち込まれるアタシの身にもなれってんだ! 第一アタシは芸能人じゃねぇからな!?」

「ふっ、案ずるな雪音。案外このラジオはそこらへん緩い」

「決め顔で言う事じゃねぇの忘れんなよ!?」

「あーもうカットカットカット!! 一旦落ち着きましょうクリス先輩!!」

 

 このままじゃ絶対に埒が明かないと思ったわたしは一旦収録を止めてもらうためカットと言ってからクリス先輩をお菓子とジュースで宥めて、ようやく落ち着いたころに緒川さんからの指示でわたしとクリス先輩、マリアと翼さんで隣り合って座ってから……

 

「……えー、はい。お騒がせしました。さっきまでの放送事故で気づいているかと思うけど、今回のサプライズゲスト、翼さんです」

「この番組のレギュラー、風鳴翼だ。今日はサプライズを引っ提げてやってきたぞ」

「で、そのサプライズにされた特に芸能人でもなんでもない、わたしの学校での先輩で翼さんの後輩であるロリ巨乳な銀髪美少女、雪音クリスさんです」

「どうしてこうなって……本当にどうしてこうなった……!! ……あぁ、自己紹介か。ドーモ、雪音クリスだ。なんか家で漫画読んでたら急にセンパイ……じゃなくって風鳴センパイに拉致られて連れてこられた」

 

 わたしの疲れ切った声と翼さんの生き生きとした声と、クリス先輩のもうどこか達観したような声。ご苦労様です、とクリス先輩に言ってみると、クリス先輩はお前もな……と返してくれた。

 お互い、破天荒な先輩を持つと苦労しますよね、ホント……

 でも、まさかクリス先輩の乱入を番組のプロデューサーさんと緒川さんが認めるなんて……どうやら今回のラジオ、知らない間に映像付きで録音されてたらしくてさっきまでのわたし達のダラーっとした感じが思いっきり映像で録画されて後で特別配信されるみたい。だからクリス先輩も思いっきり芸能界デビューです。やったね。

 

「普通に芸能人のゲストなら紹介もするんだけど、この人って本当にわたしの先輩で翼さんの後輩でマリアの友人って程度だから何もいう事ないんだよね。後はツンデレとしか」

「誰がツンデレだおい。あとさっきのロリ巨乳ってどういうことだ」

「わたしよりちょっと数センチ身長が大きい程度でマリア並みの胸ですから」

 

 結構忘れられてるかもしれないけど、クリス先輩って切ちゃんよりも身長低いんだよね。わたしと並ぶとほぼ変わらないくらいなのに、わたしより十数センチもおっぱい大きいし……

 ……やっぱり子供の頃のあれやこれなのかな? もっと牛乳飲んだら今でも何とかなるかもしれないと思って牛乳飲んでるけど一向に大きくならないし……ぐぬぬ。

 

「多分視聴者のみなさんは展開についてこれていないと思うけど、ここからは翼さんとクリス先輩を交えてやっていきます」

「いや、マジでやんのか? アタシ、マジでド素人だぞ?」

「だって番組側からオーケー出ちゃってますし……」

 

 チラッと機材席を見ると緒川さんとプロデューサーさんから思いっきりオーケーサインが。

 まぁ、今回は映像付きらしいし、クリス先輩をこっち側に引き込めると思えばこの程度……

 

「こうして後輩と共にラジオを撮る……中々にいいものだな、マリア」

「そうね。最初は困惑したけど完全に身内のノリでやるラジオも中々に面白そうよね」

「マリアはもう少し何か言おうよ……」

「アタシはこっちの道に来るつもりないんだけどなぁ……!!」

 

 まぁそんな感じで完全に身内のノリでラジオは再開するのでした。

 

 

****

 

 

 ここからダイジェスト。

 収録は三十分のが二回の計一時間構成。そこに没とかが入るから大体二時間くらいが収録時間。休憩を入れるともうちょっと長いかな。

 それで、クリス先輩と翼さんを交えた、新人アイドル、世界の歌姫、世界的歌手、一般人っていうもう何が何なのか分からない四人でのラジオは……まぁ、装者四人集まっているんだからロクな事にならないよねって。

 まずコーナーを一つ潰してクリス先輩にラジオに慣れてもらうためにやったフリートークだと……

 

「雪音はもうちょっと素直になってもいいのだぞ! ほら、私の事を翼先輩と呼ぶんだ!!」

「この人なんでこんなにテンションたけぇんだよ! 余計に嫌だわ!!」

「どうしてマリアの事は普通に呼ぶのに私だけ苗字だったり先輩だけなんだ!! もっと甘えてこい雪音!!」

「だぁこの人めんどくせぇ!!」

 

 こんな感じで翼さんが大暴走。この人、ホントにクリス先輩大好きだからなぁ……特にこの場だとクリス先輩もあまり大きく騒げないと思って好き勝手言っているんだと思う。わたしとマリアは苦笑いしながらでしか見れないよ。

 

「おい、センパイっていっつもこんな感じなのか?」

「いっつもじゃないですけど……時折テンション高くなりますね」

「さぁ雪音! 私の事を名前で呼ぶがいい!! さぁ、さぁ!!」

「ちょっせぇ事言い続けんなよセンパイ!!」

 

 まぁこんな感じでフリートークは終始翼さん大暴走。クリス先輩がツッコミっていうわたしとマリアが横でジュース飲んでるだけのフリートークになった。

 で、次にやったコーナー。映像付きだからという事で行った、番組側から出されたお題を書いて、一番そのお題に沿ったものを描けた人が優勝っていうコーナーをやった。それで、お題は動物園っていうことになったんだけど……

 

「じゃあわたしのから。はい」

「うむ……制限時間内に書いたのなら普通だが、お題を見てからでないと分からないな」

「まぁ及第点じゃね?」

「じゃあ次は私ね。どうかしら」

「それっぽいが月読程じゃないな」

「やった、勝った」

「なら次はアタシだな。ほい」

「……もうちょっと頑張りましょうか」

「うっせぇ!!」

「いだだ!!」

 

 思いっきりほっぺた掴まれました。痛い。

 で、最後に問題も問題の翼さんなんだけど……なんでこの人さっきからワクワクしているんだろう。ちょくちょく見えるフリップからなんか悍ましい気配が漂ってくるんだけど。

 

「なら次は私だな。見るがいい、これが私の力作だ!!」

 

 と言って見せてきたのは……

 

「ひいいいいいいいいい!!?」

「これこの世に存在していいモンじゃうおぇっ!!?」

「中止中止中止!! いいから映像切りなさい大惨事になるわよ!!」

「どうしてだ!? こんなにも上手く描けただろう!!?」

「それは愛らしい動物の群れじゃなくて悍ましい神話生物の群れよこのバカモリッ!!」

 

 こんな感じで放送事故が起きました。

 えっと……その、思い出すのも憚られるんだけど、翼さんの描いた絵はとんでもなく邪悪で、あっちからこっちを見てきているような……正しく神話生物とか邪神とか、その類のものが描いてあるトンデモない絵でした。

 一応わたし達の絵は後で限定公開されたんだけど、翼さんの絵だけはモザイクがかけられた。のにも関わらず、見た瞬間に気分を害する人が多数現れて即座に削除。次のラジオでは開幕冒頭で謝罪すると言う事件にまで発展した。あの人の絵、日に日に悪い方向に進化しているような……

 切ちゃんが見たら気絶するまであるんじゃないかな……?

 で、数分後。

 

「……はい、お騒がせしました。もう二度と翼さんにはペンを持たせません」

「何故だ……何故だ……!!」

「さっきの惨状見て懲りろよセンパイ……っ!!」

 

 恐らくこのコーナーは二度とやらないだろうって事で決着した。

 そんな感じで大惨事を巻き起こしながらもラジオは恙なく進んでいき、最後のエンディングに。

 

「さて、もうお時間になったけど、クリス先輩、どうでしたか?」

「案外緩い感じで驚いたな。こういう収録ってもっとお堅いモンだと思ってたわ」

「まぁ普通はそうね。でもここは身内のノリだから」

「雪音、これを機に芸能界入りはどうだ? 私が一から十までサポートするぞ」

「いや、遠慮するわ。アタシのガラじゃないし」

「くっ……!! いつもこうして勧誘に失敗する……!!」

 

 まぁそんな感じでグダグダとやってから別れの挨拶をして、少し休憩をはさんでから来週分のラジオの収録を行いましたとさ。

 で、今回のラジオは言った通り映像付きで配信されたんだけど、クリス先輩の件でコメントは大盛り上がり。わたしから見ても十分に美少女な上に胸も大きくて童顔な上に背も小さい。性格は強気だけど言葉の節々から出る優しさに惹かれる人多数で、クリス先輩のデビューを望む人たちの声がちょくちょくと。

 それを伝えるとクリス先輩は顔を真っ赤にして「やっさいもっさい!!」と叫んでどこかへ行ってしまった。きっと恥ずかしかったんだと思う。クリス先輩ってこういう所が可愛いんだよねぇ……

 ちなみにその後クリス先輩は緒川さんからのスカウトを蹴り続けたけど、ラジオの方でクリス先輩のゲスト出演を望む声が増えて、ギャラも出るということでクリス先輩はお小遣い稼ぎも兼ねながら時々ラジオ出演をしてくれるようになった。

 この人、アイドルになったら絶対に成功すると思うんだけどなぁ……

 とりあえず、今度は翼さんへのお返しとして響さん辺りを乱入させる計画でも考えておこう。




そんなワケで何故かゲスト出演させられたきねくり先輩でした。愛されガールだからね、仕方ないね。そして進化していく翼さんの画伯レベル。最早天災の域に。

前回から今回までの間に片翼の続編でパヴァリアが出てきてファウストローブType-Ⅱが出てきて新曲が発表されたり、アゾースギア……リビルドギア? どっちか分かりませんけど、恐らくXVからの通常時ギアとなるソレが出てきて調ちゃんクッソ可愛いって思ったり、調ちゃんの裸Yシャツメモリアえっちすぎてリアルで悶えたりとか色々とありましたけど、一番大きかったのはXVの放送時期が伸びた事ですかね。

三か月だけではありますけど、まさか伸びてしまうとは……でもG、GX、AXZは二年スパンで夏放送でしたから、ちょっと早めに放送予定だったのが元通りになったと思えば。それに、三か月伸びる事で納得のできになるのなら三か月と言わずどれだけ伸びても自分は納得と言った感じです。
だけど伸びるたびに何をしてでも生きなきゃならない時期が伸びていく……俺はトラックに跳ねられようが心臓刺されようがXV見るまでは意地でも死なんぞぉ……!! 見た後になら死んでやるぅ……!!

まぁ他にも色々と語りたい事はありますが今回はこれぐらいで。ちなみにファウストローブType-Ⅱのプレラーティは出ませんでした。あのオッサン、エロい癖にお高く留まりやがってぇ……!!
あとキャロルちゃんはいつになったらプレイアブル化されるんですか……?(素朴な疑問)


P.S
なんかビッキーときねくり先輩のウエディングビキニとか言うとんでもなくエロい物が公式から出てて笑った。どうせならシンフォギアの色気担当である調ちゃんのウエディングビキニをデスね。
でも調ちゃんの公式抱き枕えっちぃので何かもう満足でもあるけどもっと供給してほしいという感じがヤバイデス。
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