月読調の華麗なる日常   作:黄金馬鹿

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よっしゃ誕生日に間に合った!

という訳で今回はリクエストで結構来ていたアイドル時空の格付けチェックとなります。元となる格付けチェックは2019年、つまりは今年の物です。他の年のは見てないのでそれをパク……オマージュさせていただきました。
出てくるのは調ちゃん、たやマ、ズバババンに加えて我らがきねくり先輩。果たして明らかにやらかしそうな先輩共と共演した二人はどうなってしまうのか。

で、書きましたが……なんと文字数一万六千文字。平行世界の中編を置いておけば恐らく文字数最多記録! メモ帳の容量が34KBとかいう平行世界の半分近い容量を叩き出しております。

誕生日という事でいつもよりも多めに書いておりますって事にして、本編をどうぞ!


月読調の華麗なる格付けチェック

 お正月……というわけではないけど、それよりも少し前。わたしとマリア、それから翼さんに加えてなんとクリス先輩がとある番組にお呼ばれされた。トップアーティストである二人に加えて最近は人気も出てきたアイドルであるわたし、それからそんなわたし達とラジオをやっているクリス先輩。その四人が呼ばれた番組、というのが……

 

「芸能人格付けチェック! お正月スペシャルー!!」

 

 そう、お正月や時々改編期にやっている日本人なら八割以上の人は知っているであろう特番、芸能人格付けチェック。それにわたしとクリス先輩は翼さんとマリアのお仲間として呼ばれた。

 という事でわたし達はチーム歌姫としてなんかすっごい貫禄のある方々に囲まれてこの芸能人格付けチェックに出させてもらう事になった。

 ハッキリ言わせてもらうとすっごい緊張する。

 だってあの芸能人格付けチェックに一年目から出るんだよ? どれだけそれがすごい事か……というか周りの人がすごすぎるというか……生GCTさん初めて見たしすっごいカッコいいし……

 

「それでこちらがチーム歌姫! 今やトップアーティストである風鳴翼さんとマリア・カデン某さんが率いる身内軍団!」

「ちょっと私の名前くらいちゃんと呼びなさいよ!?」

 

 まぁ紹介方法もこうなるよね。

 別に間違っても無いしこっちの方が笑ってもらえるからいいんだけどね。ちゃんと番組ではしっかり紹介してくれるだろうし。

 というかこの司会者の人もよく見る人だけど……改めて見るとホント貫禄が違う。

 

「一応風鳴様は過去に一度だけ出たことがございますが、今年はどんなお気持ちでしょうか?」

 

 ちなみにその過去に一度というのが奏さんとのツヴァイウイング時代に出たやつなんだけど、その時の結果は奏さんが引っ張ったけど二人ともボロボロで、最後はそっくりさんで終わるって感じだった。案外奏さんもポンコツでしたって話。

 平行世界の奏さんもよく格付けチェックに出てるらしいんだけど、まぁ結果はお察しみたい。

 

「勿論、このまま一流芸能人としてここに残らせてもらう所存です。今日は後輩達も連れてきましたからね!」

「さて、そう言われました後輩の方々、月読様と雪音様はどうですか?」

「が、がんばりましゅ!」

「な、なんとかします!」

「えー、駄目みたいですね。諦めましょう」

『ちょっとぉ!?』

 

 確かに返しとしては減点レベルだったけどぉ!

 でも、司会者の人の言葉でわたし達の言葉も全部笑えるような言葉になってるんだからすごいよね。っていうかクリス先輩、何とかしますって何ですか何とかしますって。

 そりゃわたしも変な事言っちゃったから駄目だけどさぁ……まだ芸能人やってから一年も経ってないし許してもらえると……え? だめ? そう……

 

「最後はマリ某様、どうですか?」

「だからちゃんと名前言いなさいってば!」

「読みにくいねんてお前の名前ェ!!」

「ですよねェ!!」

 

 思わずマリアの言葉に笑いそうになった。ですよねって……ふふふっ。

 何気にマリアもバラエティ慣れしてるよね。結構色んなバラエティに翼さんと一緒に出てるし。最近はユニットとしてわたしも出ているけど、未だにどうやったらいいかとか慣れてないもん。その辺、この司会者の人って凄いよね。つまらない言葉でも返し一つで笑えることにしちゃうんだから。

 

「まぁ、そんな事は置いておくとして。私は世界の歌姫よ? それが一流でない理由がどこにあるのかしら?」

「うっわー、負け犬くせー事言い出しやがりましたよコイツ」

「あなた私にだけは辛辣ね!?」

 

 でも司会者の人の言う事にも一理あり。思わず頷いていると横に座っているマリアがこっち見てきた。

 

「頷くんじゃないわよ調ぇ……!!」

 

 そしてついでに思いっきり頬っぺた抓ってきた。

 いたいいたい! ここテレビだから! わたしアイドルだからそういうのやめてぇ!! 素材になっちゃうぅ!! マリアみたいに拡散されるぅ!!

 必死に抵抗したらパッと離された。うー、頬っぺた絶対に赤くなってるよ……

 ……えっと、それで後のチームの紹介の間にどうしてこうなったかを説明すると……まぁ簡単で、本来はわたしと翼さん、それからマリアに対して元からオファーが来てたの。わたしが絡んだ仕事、この二人って殆ど断らないからね……ほんと、愛されてます、はい。

 それで、ならついでにクリス先輩も連れてきちゃえって事で連れてこられたのがクリス先輩。美味しいご飯食べれるよって言ったらホイホイ着いてきたそうな。クリス先輩……

 

「さて、それでは最初のチェックですが」

 

 あ、いよいよ始まった。

 よし、頑張らないと。

 

「まずは代表者一名にワインでチェックしてもらいます」

 

 うん、台本通り、最初はワイン。

 ちなみに最初のチェックはわたしとクリス先輩、それから翼さんは飲めない事からマリアに出てもらう事になっている。マリアは楽屋で自信満々に任せなさいって言ってるけど……わたし、知ってるよ?

 マリアってコンビニで安く売ってたお酒しか飲まない事。高級な物食べると味が分からないって事。やすっぽい舌が完成してるって事。

 ……ほんとに大丈夫かなぁ?

 

「チーム歌姫は本来ならお二人に出てもらう所ではありますが、二十歳以上が一人しかいないという事でマリア様に出てもらいます」

 

 で、次の音のチェックの時にわたし達三人が出る感じ。

 ここで一旦カットが入ってマリア達ワインを飲む芸能人たちが退出。あ、GCTさんも飲みに行くんだ……わたしもGCTさんとちょっと話したかった……

 それで暫く待っていると、収録が再開されてモニターには控室に座っている皆さんが。

 

「……な、なぁ。これ、アタシがいてもいいやつなのか……? おもいっきり場違い感があるんだが……」

「今更ですよ。わたしなんて手汗ヤバいですよ、ほら」

「アタシなんて冷や汗でさっきから背中が……」

「……お前達、流石に声が入るぞ」

 

 ちょっとクリス先輩と色々と話していたら翼さんから注意を受けた。ご、ごめんなさい……

 ちなみに周りの人たちは何だか微笑ましい感じの視線を向けてくれていた。よかった、非難の目じゃなくて……

 で、暫く控室の様子が写されてからはやっと格付けチェックが始まった。トップバッターは……あ、違うチームの人だ。

 最初の人は……AとBで分かれた。どっちかが百万円のワインらしいけど……どうなんだろう。

 それで、一組目……? まぁ最初の二人が終わると正解がわたし達と視聴者の人にだけ発表される。

 

「答えは……Aです!」

 

 どうやら今回の答えはAらしい。

 流石のマリアも百万円のワインは分かる……よね? 大丈夫だよね? あ、駄目だったチームの人が思いっきり落ち込んでる。ドンマイです。

 で、暫く待っているとマリアの番が。

 マリア、お願いだから……!!

 

『……色がなんだか薄いような気がするわね』

「絶対に分かってませんよアレ」

「ふっ……!!」

 

 マリア、ここを出る前に思いっきり大口叩いていたけど、わたしには分かる。あれ、司会者の人が言ったように何も分かってないよ。だから思いっきり笑っちゃった。

 で、でも大丈夫だよね? Aのワインを飲んで……

 

『……なるほど』

「何がなるほど、やねん!」

「マリア……!!」

「すまん、アレは笑う……!!」

「ぜってぇ分かってねぇって……!!」

「ってチームの人も笑っとるやんけ!!」

 

 だってマリアのあんな決め顔見た覚えないし……!!

 アレだよ。ほら、フィーネを宣言した時のアレ。あの時の顔にそっくり。だから思いっきり笑っちゃうってあんなの。

 暫くして今度はBのワイン。

 

『色が………………』

「だから色がなんやねんて!! 言えや!!」

 

 わたし達大爆笑。せめて色が何なのかくらい言おうよ! さっき色が……とか言ったけど見分けつかないから言葉を濁したでしょ!

 あーもうマリアほんとに面白い。何でマリアって自分から爆死しに行くような真似しかしないんだろう。翼さんと言いマリアと言いなんでこうも装者はバラエティ受けしちゃうんだろう。

 で、マリアが一口飲んで……あれ? 首傾げてない?

 

「首傾げましたねぇ。大丈夫でしょうか?」

 

 あ、これわたし達に振ってきたやつだね。

 どうだろう……

 

「目ぇ泳いでないか? あれ」

「ああいう時のマリアって駄目なような気が……」

「というかマリアってビッシリ決めた時あったか?」

「仲間内からひっどい言われようですな」

 

 だってわたし達の中のマリアって……ねぇ?

 なんかこうビシッと決めようとしては変に滑るし、年長者という割にはなんかこう情けないし、成年している割には少女とか言ってるし。なんというか……ガワ以外残念な人だから……

 特に私生活とかも知ってるわたしからすると、ね? だって昔からシスコン拗らせた残念な人だし……

 でもこういう時はさすがに決めてくれるハ――

 

『これは……Bね!!』

『マリアァ!!』

 

 三人で立ち上がりながら叫んだ。

 やっぱ駄目だよマリア!! もう駄目だよマリア!! あれちょっと引っ叩きたいんだけど!! ドヤ顔してBね!! じゃないよマリアの馬鹿ぁ!!

 

「あんだけドヤ顔して結局ダメじゃんマリア!!」

「やはりマリアは駄目だったか……!!」

「あーもう……」

 

 わたしが思いっきり叫んで翼さんは下を向いて、クリス先輩は思いっきり天を仰いでいる。

 なんかこうなるの、思いっきり見えてたしなぁ……マリアならやらかしそうって思っちゃえたもんなぁ……

 

「ではチーム歌姫は一流芸能人から普通の芸能人へと格下げでございます!」

 

 マリア……マリア……!!

 やっぱりちょっと前までの貧困生活のせいで舌が貧乏になってる……! どんなものだって美味しく感じれる舌になっちゃってるよ……!!

 翼さんも額を抑えてるし、クリス先輩は急に叫んじゃったからかちょっと顔を赤くしてちょこんとお人形っぽく……可愛い。クリス先輩ってやっぱりこういう時はすっごく可愛いよね。ホント。

 

「いやぁ、あんなにドヤ顔しておきながら見事に外していきましたねぇ!」

「マリアって昔からポンコツだから……」

「ドヤ顔しておきながらミスした事は数知れず……」

「世界の歌姫も地に落ちとるやんけ!! っつか身内からひっどい言われようやなぁ!!」

 

 結局わたし達は普通の芸能人に格下げされて、暫く中継を見ていた。

 結果、マリアの他に一人だけ間違えたけど、ほとんどの人は正解するで終わった。その殆どに入れなかったマリア……!! 今までもポンコツだとは思っていたけど今日はいつも以上にポンコツだよマリア……百万円と五千円くらい見分けようよ……

 ちなみにドアが明けられた時、信じられないと言った感じの戦慄した表情を浮かべていた。何でそんなに自信満々だったのさ。

 で、みんなが戻ってくる時になった。

 

「あ、どうやらBの部屋に入った皆さんが戻ってきたようですね」

 

 と、司会者の人が言ってすぐ後、部屋の方に繋がる大きな扉……ではなく横の方にあるちっちゃな隠し扉みたいなのからマリアともう一人の芸能人の人が出てきた。

 ……で、なんでマリアはそんな決め顔してるのかな? もしかしてここで何も問題ない……とか言おうとしてるのかな? 言った瞬間足に超低空ドロップキックでも……

 

「……やっちまったわ」

『決め顔で言うセリフか!!』

「狼狽えるな!!」

『少しは狼狽えろ!!』

 

 ……結局マリアはマリアだったよ。うん。

 これだから結婚できないんだよ、マリアは。

 

 

****

 

 

「では次のチェックは楽器です!」

 

 よし勝った!!

 わたし達は装者だから特に音楽関連については詳しいんだよ。これはもう貰ったとしか言えないね。

 説明を聞いていると、どうやら初心者用の楽器と何十億もする楽器で同じ曲を弾き比べる……っていうのが今回の趣旨みたい。

 

「あ、あの楽器知ってるわ……ってか聞いたことある」

 

 とかボソッとクリス先輩が呟いていたけど……マジですか?

 

「ほら、アタシのパパとママがクラシック装者だったからさ。子供の時に一回だけ聞いたことがあるんだわ。ホント、一回だけだからもう覚えてねぇけど……」

 

 でも、そっか。クリス先輩のご両親はバイオリンとか弾いていた人なんだっけ。懐かし気に呟くクリス先輩の表情は何というか、すっごく大人びている。

 こそこそっと話していたけど大丈夫だよね? 音、拾われてないよね? 緒川さん、大丈夫ですか? ……あ、大丈夫。よかった。

 

「チーム歌姫からは風鳴様、月読様、雪音様」

 

 あ、名前呼ばれた。で、暫くして全員の名前が呼ばれてから代表者の方はって言葉を聞いてから三人で移動する。

 控室にはお茶とお菓子があるけど……他の方がケーキなのに対してわたし達は板チョコとティーパックで淹れた紅茶。う、うーん……前から思ってたけど露骨だよね、これ。まぁ美味しいからいいんだけどさ。

 

「クリス先輩、あんまり食べ散らかさないでくださいね」

「い、板チョコでそんな汚さねぇよ……」

 

 どうだか。

 暫くすると一番最初の組の人が呼ばれて行った。なんかこういう時ってすっごく緊張するよね。

 

「そういえば二人は翼ちゃんの後輩なのよね?」

 

 と思ってたら横から先輩の芸能人の方が話しかけてくれた。

 えっと、確かこの人は女優さんの人だっけ? それも超大御所な。わたしだってテレビで見たことがあるような人だよ。

 すっごい……生だと迫力というかオーラがあるなぁ……

 

「はい。一応あの中だとわたしが最年少で」

「十六歳だものねぇ。はー、お肌とかぷにっぷに」

「クリス先輩もかなりの美肌ですよ、ほら」

「うおっ!?」

「あらほんと」

「あ、ちょ、やめ、こまり、あー!」

 

 ふふふふ。クリス先輩、可愛い。大御所さんに寄られていつも通りの態度も取れず顔を真っ赤にして触られるだけだからホントに可愛い。

 え? わたしのお肌も? あ、ちょ、困りま、あー!

 ……とかふざけてたらわたし達が呼ばれた。もうスタジオだと答えは発表されているのかな? 緊張するー……

 

「あまり緊張するな、月読、雪音。私達だぞ? 大丈夫だ」

「い、いや、テレビ出演ってのに緊張してんすよ、センパイ……」

「わたしもちょっとだけプレッシャーが……」

 

 装者として、アイドルとしてね?

 とりあえず翼さんは思いっきり笑ってるけど……なんだかその笑顔にちょっと不安を覚えちゃうのはわたしだけかな? え? クリス先輩も? そうですか……

 とりあえず三人ともう一人の芸能人の方で座って、流される音を聞く。

 ……Aの曲、普通に上手いなぁ。それで楽器の方は……なんだろう? ちょっとそれぞれの音に尖りみたいなのがあって、でもいい感じに互いが互いを潰していないような……あ、終わっちゃった。でも迫力があったなぁ。

 で、Bの方は……マイルド? なんか音がマイルドな気がする。

 ……っていうかわたし、一度も高い楽器の演奏なんて聞いたこと無かった。だからどっちが高いのか分からない。

 あはは、どうしようこれ。とりあえずAにしようかな……

 スタッフさんの合図でわたし達は一斉に札を上げる。

 

「……あれ? クリス先輩もAですか?」

「おう。で、センパイは……」

「Bだ」

 

 どうやらチーム内ではわたしとクリス先輩がA、翼さんがBみたい。で、先輩芸能人の方はA。

 うーん、これは普通にAっぽいけど……どうなんだろう?

 

「月読、雪音。私を信じろ。これはBだ」

「いや、でも……」

「アタシはもうAだって確信が……」

「いや、絶対にBだ。私が歌姫を初めて何年だと思っている? 芸能界で高い楽器など多々聞いてきた。そんな私が選んでいるのだ。自身を持ってBに変えるんだ」

 

 えー……?

 だってクリス先輩はあの楽器聞いたことがあるんだし……いや、でももう何年も前だから忘れてるって言ってたし……

 

「……まぁ、センパイがそう言うのなら」

「……じゃあお二人がそう言うのなら」

 

 あーあ、意志が弱い後輩だこと……でもきっと翼さんがそう言うんならその通りのハズ。だって翼さんはトップアーティストだし。

 とりあえず翼さんに従って札をBに変えて三人でBの部屋に移動。

 もう数人が部屋に来ているはずだから、きっとBの部屋にはいっぱい先輩の芸能人が…………

 

「……ん? 誰もいないか?」

 

 その瞬間、わたしとクリス先輩で頭を抱えながら崩れ落ちた。

 やっぱりわたしとクリス先輩が正しかったじゃん! 翼さん間違ってるじゃん!! あの人、あんなに自信満々に言う物だからこっちかなーって思っちゃったじゃん!!

 ――ちなみにオンエアを見てみると、崩れ落ちたわたし達に対して不正解を確信、って書かれていたよ。ホントにその通りだったよ――

 

「どうやら今回は私達だけが正解のようだな」

「んな訳あるか!! 明らかに不正解だっての!!」

「信じるんじゃなかった……こんな先輩……!!」

 

 もう好き勝手言ってるけど翼さんにはどうしてわたし達が絶望しているのかが分かっていないみたいで首を傾げてるけど……はぁ、もういいや。あとで挽回できると信じて今は諦めよう。

 暫くすると、一人だけ共演者の人が入ってきたけどそれだけだった。その瞬間翼さんは嬉しそうにしていたけど……明らかにわたし達はお通夜ムードだった。いやー、だって、ねぇ? とりあえず正解に期待せずに待っていると、司会者の人が扉の前までやってきた。

 

『では、正解の部屋を開けさせていただきます!!』

 

 その声に翼さんともう一人の共演者の人は手を合わせて祈っている。

 わたし達は不正解を確信してるけど……まぁ、とりあえず手だけは合わせておこう。そして暫く経って、ドアノブが回された。

 直後、音を立ててドアが開かれて。

 

「よ――」

 

 翼さんが声をあげようとしたけど、直後にドアが閉められて隣の部屋のドアが開かれた。

 あー、まぁ分かってたよ?

 

「…………そ、その、なんだ。すまん、二人とも」

 

 間違った答えをドヤ顔で言った上にぬか喜びまでした翼さんは顔を赤くしながらその場で謝った。それに対してわたし達がしたのは、しらーっとした視線を向ける事だけ。

 とりあえずマリアと翼さんは格付けチェックだとポンコツってのが分かったよ。

 この後は自分を信じてやっていこう……じゃないと写す価値なしになっちゃう。初出演でそれだけは絶対に避けないと……!!

 ちなみに戻ってから。

 

「なんで君ら折角合ってたのに意見変えてもうたん?」

 

 って司会者の人に言われたから。

 

『これのせいです』

「どうも、戦犯のこれです」

 

 と、まぁこんな感じで翼さんに指先向けてこれ扱いしました。

 戦犯の翼さんなんてこれで十分だよ。

 そしてわたし達は二流芸能人に格下げ……とほほ。

 

 

****

 

 

 やばい、もう後がない。

 ここからの問題は二ランクダウンが二個もある。もしここで二ランクダウンを引いてそっくりさん、そして次に間違ったら最終問題に行く前に映す価値なしになる……!! それだけはどうしても避けないと!!

 でも、次はホントにヤバイ。自分を信じろと言っても信じきれない。だって次の問題は……

 

「続いてのチェックは、味覚です」

 

 そう、次は味覚。

 約二百円のカップ麺を高級なんて言っていたわたしの味覚なんてお察しの物! ついでにクリス先輩も紛争地帯経験者故に食べれればいい的な所もあるから舌が馬鹿になってる!

 つまりこれ、かなりキツイ。最悪、選んじゃいけない物を選ぶ可能性がある……!

 え? マリアと翼さん? もう信じないよ。

 

「つ、月読、雪音。今回は私達を信じて……」

『いや、無理』

「……はい」

 

 特にマリアなんてワイン外してるから信用ならないよ。

 で、わたし達の料理はフグ。天然フグのから揚げらしい。どうしてかフグと聞くと嫌な予感がしない事もないんだけど、まぁきっと変な電波を拾ってるだけだから気にしない。他は養殖フグのから揚げとなんとカエルのから揚げ。まぁカエルなんて別に今さらだし気にしないよ。スペパブブ踊り食いと比べれば軽い物だし。

 とりあえず暫く待ってわたし達の番。

 

「なぁ」

 

 と思って移動している最中、クリス先輩が声をかけてきた。何かあったのかな?

 

「とりあえず次の問題はアタシに任せてくれ。少なくとも二ランクダウンを引かない自信がある」

「え? 何か秘策とかあるんですか?」

「いや、カエルは食ったことあるから。バルベルデで」

「あっ……な、なるほど。期待してますよ? 前を歩いてる二人はポンコツですから」

「まぁ、一ランクダウンを引かない保証はないけどな」

 

 そこはわたし達全員同じですから。

 と、いう事で四人で並んでピンク色のアイマスクを付けてお食事タイム。スタッフの人に食べさせてもらう事に。

 ふと思ったんだけど、このアイマスク、絶妙に人を煽る感じの目が書かれてるよね。なんというか、このアイマスクを付けた人に馬鹿にされたらちょっとキレる自信がある。

 まぁそれはどうでもいいとして……件のから揚げだけど。

 分かりません。全部美味しいです。

 っていうかフグなんて食べた事無いからどれがフグなのかすら分からないし……!!

 四人でアイマスクを同時に取ると、マリアと翼さんは自信たっぷり。対してクリス先輩はちょっと自信なさげ。だ、大丈夫だよね? カエルだけは分かるんだよね?

 とりあえずわたしは……なんか一番食べやすかったものにしよう。

 スタッフさんの合図に合わせてわたし達は同時に札を上げた。

 

「割れたわね……」

「だが私とマリアは同じだ」

 

 そう、意見は割れた。

 わたしがA、マリアと翼さんのポンコツがB。クリス先輩がCって具合に。

 

「クリス先輩!」

「Bだけは違う! これは断言できる!」

『ちょっ!?』

 

 もう確定だよこれ! クリス先輩もBは違うって言うしポンコツ共はBを上げるし! とりあえずわたしはすぐに札をCに変えた。わたしの舌が馬鹿になってる以上、ここはクリス先輩を頼ってみるしかない!

 

「ちょっと待ちなさい二人とも! これはBよ、断言できるわ!」

「そうだ、あの舌触りと食べやすさは間違いなくBだ!」

『黙れポンコツ共!』

『ポンコツ!?』

 

 こっちは一秒でもテレビに写るために必死なの!

 

「いいからBだけはやめろ二人とも! そのまま意見を押し通すようならアタシにだって考えがあるぞ!」

「きょ、今日の雪音はなんだか積極的だな……だが分かった。ここは後輩の意見を信じるとしよう」

「間違ってたらタダじゃおかないわよ?」

「安心しろ。二ランクダウンだけは絶対にあり得ねぇ」

 

 とりあえずそんなわけでわたし達四人はCの部屋へ。そこに居たのは……

 

「あ、よかった、結構いる!」

「よっしゃぁ!! これ貰っただろ!!」

 

 共演者の方がほぼ全員だった。数人別の部屋に行ってるみたいだけど、よかった。これで二ランクダウンは免れる!

 わたしとクリス先輩は胸を撫で下ろしてどこかの席に座……ろうとしたけどほぼ全部埋まってるからテレビに映るギリギリの所で立っておこう。

 で、暫く経ってから数人がこの部屋に入ってきてわたし達の正解がほぼ確実になった。

 ちなみにその間のわたし達と共演者の方々の会話がこちら。

 

「いやー、マリアと翼さんに逆らったらみんな居たからよかったですよホント」

「もう翼ちゃんもマリアちゃんも信用されてないじゃん」

「だってさっきからずっと外してますし。先輩と言えどもう信用しませんよ」

『ほんとすみません、はい……』

「こいつらがこんなにしょんぼりしてんの初めて見たわ……」

 

 まぁそんな感じでポンコツ二人に対して色々と物申していました。

 共演者の人たちもみんななるほど、って感じで首を縦に振ってるし。さっきからずっとこの二人のせいでわたし達は二流芸能人に格下げされたの見てるから、まぁ妥当って感じなんだろうね。

 翼さんもマリアも番組とかでいい物食べてるはずだからもっと頼りになると思ったし、音楽に関しても二人とも結構いい楽器の演奏とか聞いてるはずだからまさか間違えることは無いって思ってたんだけどなぁ。やっぱ頼りになる先輩はクリス先輩だってハッキリ分かるんだね。

 で、結果発表。もしかしたらこの部屋が一ランクダウンの部屋かもしれないから祈りながら待っていると……

 

『皆さんおめでとうございます』

 

 ……あ、あれ!? こっちの部屋に来ない!?

 も、もしかしてここは不正解の部屋……

 

『ここは一ランクダウンの部屋でございます』

 

 ……え? 一ランク?

 

「よ、よかったぁ……」

「こんなフェイントもあるんだ……」

「でもこれでもう二択に……」

 

 ホッとしていると周りの共演者の人がそんな事を口にしている。

 うん、確かによかったけど……この部屋が二ランクダウンの部屋だっていう可能性はまだ全然残っている。だからまだまだ油断できない。それは共演者の人も分かってるからまだ祈ってる。

 わたし達もそれに続いて祈る。お願い、二ランクダウンでそのままそっくりさんコースだけは……!!

 

「おめでとうございます!!」

 

 そう祈っていた最中、司会者の人が扉を開けて入ってきた。

 

「やった!!」

「っしゃあ!! 二分一の運ゲー大成功だ!!」

「ナイスですクリス先輩!! ……え? ちょっと待ってください。運ゲー? マジですか?」

「……実はな。B以外は分かんなかった。でもイエーイ!!」

「い、イエーイ!!」

 

 いえーい! でわたしとクリス先輩はハイタッチ。その横でポンコツ二人は露骨に胸をなでおろしているけど同時に申し訳なさそうな顔をしている。

 だってこの二人、二ランクダウンの絶対に間違ったらいけない食材……つまりはカエルを天然フグだと思っていたんだもん。そりゃこんな顔にもなるよ。

 やっぱ頼れる先輩はクリス先輩だよね!! 運ゲーかましてたけど!! ついでに司会者の人ともハイタッチ!

 よし、これでまだまだ戦える!!

 ちなみにGCTさん達も正解していたみたい。やっぱ凄いね、GCTさんは。

 

 

****

 

 

「さぁ、次のチェックに参りましょう!!」

「次のチェックは、オーケストラです」

 

 そして始まる第四回目のチェック。

 四回目はオーケストラ。

 女の人の司会者が説明をしているのを聞きながら、とりあえずわたしは任せましたという意味を込めてクリス先輩に目線を送った。

 このオーケストラを聞くのはクリス先輩とマリアの二人。そしてその次がマリアと翼さん。そして最後の最後はわたしとクリス先輩って感じになってる。だから今回はクリス先輩にお任せ。

 

「それでは代表者の方は控室にどうぞ」

「今度こそは芸能界の先輩として……」

「お願いします、クリス先輩!」

「おう、任せときな!」

「……ぐすん」

 

 ぐすんじゃないよ豆腐メンタルの戦犯。悪いけどこの格付けチェックの間だけは結構辛辣にやらせてもらうからね。

 で、控室に向かっていくクリス先輩とマリアに声をかけて激励をしてからわたし達は待機。

 あの演奏も分かったクリス先輩ならきっと何とかしてくれるはず! マリアがポンコツで使い物にならないのは分かっているはずだし。

 で、控室に行ってから暫くすると準備ができたみたいで最初の二人が席に座って演奏が始まった。

 これは……わたし的にはB、かな? なんかAよりもBの方が……

 

「ちなみに、音楽関連で売っているチーム歌姫はどうお考えですか?」

 

 あ、話振ってくれた。ほんといい司会者。

 

「私はAだ。そっちの方が音に高級感があった」

「わたしはBです。これ、信用できないので」

 

 と、言うのは笑わせるための方便で、実際わたしはBの方が正解だと感じた。なんというか、Bの方が……こう、音の一つ一つにメリハリというか、各楽器が活き活きとしていたというか。こう、楽器の素質を引き出しているような音だった、気がする。

 

「おい月読」

 

 でも、嘘でもそんな事言ったからか翼さんがちょっとじとーっとこっち見てきてる。

 さっき億と万の違いがある楽器の音色の違いが分からなかった人に言われたくありませんよーだ。

 

「このユニットギスギスしてんなぁ。大丈夫なんか?」

「とりあえずこれが終わったら話し合う必要がありそうだ。なぁ?」

「こうして先輩からのパワハラが生まれるんですね。やだこの歌姫、怖い」

「本当に話し合う必要がありそうだな!?」

「こりゃ明日にも風月ノ疾双が解散とかありそうやな」

 

 まぁ軽口のたたき合いっていうのは分かっているから特に翼さんも怒ってはいないみたいだけど、ちょっと生意気になりすぎたかな……? でも格付けチェックの間はこんなもんでいいでしょ。ラジオとかでもこんな感じに話す事は多々あるし。

 で、肝心のマリアとクリス先輩だけど……

 

『私はAよ!』

『アタシはBだ』

「おっと割れたぁ! というかこっちと同じ感じで割れとるやんけ!」

 

 もうこれはわたしとクリス先輩、翼さんとマリアのチームを作った方が二人が即映す価値無しになって面白ムーブを決め込む可能性があったんじゃ……いや、そもそもそんなに枠がないし無理だよね、うん。

 

『クリス、ここは私を信じなさい!』

『いや、ここは後輩の顔を立てると思ってアタシに任せてくれ。駄目だったら飯奢ってやる』

『ふーん? 大きく出たわね。最低でもロイホよ?』

『おー任せとけ。ちなみにAが間違いだったら?』

『ザギンでシースーを奢ってあげるわ!』

「言い方がふっるいなぁ!」

『古っ……まぁいいや。とりあえずアタシとあいつに奢りな』

『えぇいいわよ。どうせあなたが私にロイホを奢る事になるのだから』

 

 マリアが着々とフラグを建てながらクリス先輩と一緒にBの部屋に入っていった。

 

「……で、翼さんは何か賭けませんか?」

「ならば私は月読と雪音に焼き肉を奢るとしよう。それも私の知る限りでは一番高級な所の、だ」

「よし。ならわたしも翼さんにそこの焼き肉奢ります。これでフェアな賭けです」

「そうだな。フェアな賭けだ」

「サラッとこっちでも賭け事しとるでぇ。現金な先輩後輩やなぁ」

 

 サラッとわたしと翼さんが賭け事してる間に二人はBの部屋の中に入っていた。Bの部屋にはそこそこの人が居て、マリアがちょっと冷や汗を掻いていた。ザギンでシースーをわたしとクリス先輩に奢る事になるかもしれないから、かなりそわそわしてるね。最高に面白い。

 で、そのまま着々と進んでいって、結果的にBの部屋にはマリアとクリス先輩を含めた殆どの人が入って行って、隣の部屋には二組だけが入っているという状況になった。そうなるとマリアの顔色が面白い事になる訳で。

 

「さぁ、世界の歌姫は後輩たちにザギンでシースーを奢る羽目になるのか! それでは、結果発表と参りましょう!」

 

 と、言ったところで司会者の人たちが移動。そのまま部屋の前に。

 今回のオーケストラのチェックはわたし達にも答えが分かっていない状態だからクリス先輩達が合っているのか分からない。けど、人の多さ的にも絶対にそう。間違いなくBの方が合ってる。

 

『では正解の扉を開けさせていただきます!!』

 

 そして司会者の人がAとBの扉に手をかけて……そのまま思いっきりBの扉を開けた。

 

『おめでとうございます!!』

『よし!! マリア、約束忘れんなよ!』

『……え、えぇ。でもやっぱりかっぱ寿司で勘弁を……』

『は?』

『……なんでもないわ』

『なんや一人だけ正解したのに喜んどらん奴が居るけどまぁいいでしょう!!』

 

 まぁそうなるよね。クリス先輩なら間違うはずがないもん。

 で、翼さん?

 

「……そ、その。やっぱりファミレスにしてくれないか?」

「駄目です」

「……はい」

 

 よし、焼き肉とお寿司ゲット! 今日はいい日かもしれない。

 戻ってきたクリス先輩にそれを伝えたらクリス先輩もいい笑顔を浮かべていた。対照的にマリアと翼さんはしょんぼりしていた。

 先輩からの奢りなんだし遠慮なしに食べちゃおっと。金欠になってしまえ、二人とも。わたし達は代わりにお腹いっぱいいい物を食べるから。

 

 

****

 

 

 次は絶望のマリアと翼さんペアがチェックする番。

 で、そのチェックとは。

 

「次のチェックは、盆栽です!!」

 

 盆栽。

 つまりわたしとクリス先輩は全然役に立たないという事で、番組が始まる前はそこら辺を一度でも見たことがありそうな二人に頼んだんだけど……た、多分翼さんが何とかしてくれるはず。だって翼さんのご実家には翼さんのお父様の趣味なのか嗜みなのかは分からないけど盆栽があるみたいだし。

 でもこればっかりは間違っても仕方ないよね。盆栽について詳しい人なんてこの中にはあまりいないだろうし。

 

「それでは代表者の方はスタンバイルームへどうぞ!!」

「こ、今度こそ先輩と風を吹かす者として正解せねば!」

「ぜ、全問不正解だけは避けないと……!!」

 

 そうだよマリア。ここで正解したらわたし達からの評価も一気に鰻登りだよ。

 で、スタンバイルームにマリアと翼さんは向かって言って、わたし達はここに残された。

 暫く待っているとチェックが始まって、盆栽の様子がモニターに出された。こ、これは……だめだ、わかんない。

 確か片方が盆栽を模して作った盆栽で、もう片方が本物……なんだけど、ホントに見分けがつかない。これ作った人相当すごいよ……普通に尊敬できちゃう。

 じゃなくって。どっちが本物だろう……

 

「クリス先輩、分かりますか?」

「……アタシは、Bかな? なんかそれっぽい気が……」

 

 ……そ、そう言われるとBな気が。

 でも、ここは一旦着眼点を変えてみよう。今わたしが食べたいと思えるような物を…………

 

「わたしは……A、ですね。なんかそっちの方が美味しそうです」

「あー、そういう目線か……いや、でもこれ分かんねぇわ。どっちも美味そう」

「そう言われるとどっちも美味しそうに見える……!!」

 

 これはホントにマリアと翼さんがミスってもなにも文句言えないね。わたし達だって分かんないんだもん。三流芸能人行きも覚悟しないとね。

 で、件のマリアと翼さんの番になった。二人はジーっと盆栽を見て、首を傾げてから分からないのか小さく笑ったりしながら鑑賞タイムを終わらせた。で、二人の出した答えは……

 

『うむ……B、だな』

『私も、Bかしら。ちょっと難しいわね……』

『今回ばかりは自身が無い……』

 

 まぁ、こればっかりは仕方ないよ。わたし達も分かんないし。っていうか分かってる人の方が少ないだろうし。

 で、翼さんとマリアはBの部屋に。それから全組の鑑賞が終わったころにはなんとBの部屋の方が人数が多いという結果になった。と、いう事はわたしが間違ってたのかな……?

 

『それでは正解の扉を開けさせていただきます!』

 

 そしてドキドキの正解発表に。

 その結果は……

 

『おめでとうございます!!』

 

 Aの部屋。なんと二組しかいないAの部屋が正解だった。

 これは……仕方ないよ。わたしだって普通に迷ってたし、翼さんに言われたらBに変えてただろうし。こればっかりはね。

 で、暫くしてから翼さんとマリアが戻ってきた。

 

「……本当にすまない」

「全問不正解……」

「こ、この問題は仕方ないですって」

「だからあんま凹むなって。アタシ達は気にしてねぇから」

 

 どうやらマリアは自分の出した答えが全問不正解というのが確定してかなり凹んでいるみたいだった。

 まぁこればっかりは豆腐メンタルじゃなくても落ち込むだろうし……あんまりきつい言葉はかけないでおこうかな。

 

 

****

 

 

 そしてついにやってきた最終チェック。

 

「最後のチェックは、もちろん牛肉です」

 

 そう、最後はお約束の牛肉。つまりはいいお肉か安物のお肉かを判別するチェック。格付けチェックの代名詞ともいえるチェック。

 

「今回のチェックでは、100g一万六千円の神戸牛を食べていただきます」

 

 い、一万六千円……! そんなお肉食べた事がない……!

 出番の問題からわたしとクリス先輩がやる事になったこの問題。でもわたしの舌は高級な物と安い物を分別できないくらいに馬鹿になってるし、クリス先輩もどうやらそんな感じみたいだし……

 心配だなぁ……!!

 

「最後のチェックは間違えると二ランクダウンとさせていただきます」

 

 そしてこれは台本にあった事。

 最後はミスすると二ランクダウン……つまりわたしとクリス先輩がミスをすると丁度映す価値なしとなってしまう。でもここで何とかしたらわたし達は三流芸能人のままで格付けチェックを終わらせる事ができる。

 普通の芸能人なら一流に戻れるけど……仕方ない。絶対に間違えないようにしないと!

 

「では、チーム歌姫からは……月読調、雪音クリス」

「はい調です」

「クリスです」

 

 なんというか、モロに扱いが軽くなったけどそういう物だから仕方ないよね。

 でもここは絶対に正解しないと!

 クリス先輩と一緒にわたしはスタンバイルームに移動。そこで暫く待機してからいよいよわたし達の番になった。食べるのは神戸牛か、スーパーで売ってる千円くらいの牛肉……!

 ……どっちも豪華だって言ったら駄目です? 駄目? そう……

 ま、まぁそんな十倍以上の差があるこの食べ比べ、絶対に外すわけにはいかない!

 

「あ、すみません、自撮りいいですか?」

 

 ……へ? GCTさんの自撮り? 生で見れるの?

 え? わたしも映っていいんですか!? やった!

 

「ありがとうございます」

「こ、こちらこそありがとうございます! 嬉しいです!」

「あ、アタシ、ホントに芸能界の大物の自撮りに混ざれた……学校の奴らに自慢しよ……」

 

 これでもう間違っても大満足だよ! しかもさり気なくGCTさんと会話できたし!

 帰ったら切ちゃんに自慢しよっと。えへへ~

 

 

****

 

 ……すっかり格付けチェックの事が頭から抜けてたよ。

 クリス先輩と一緒に案内された席に座ってアイマスクをして待っていると牛肉のいい匂いが漂ってきた。

 で、味は……うっ、どっちも美味しいしどっちも高い牛肉だよ……というか牛肉自体高いからあんまり食べれてないから調理法で誤魔化されると本当に分からない……!

 だってわたしの中の高級はついこの間まで二百円ちょっとだよ!? 分からないよこんな牛肉のチェック!

 で、でも食べやすさ的には……的には……

 あぁ、スタッフさんに急かされてる! は、早く決めないと……!

 ……こ、こっち!

 

「わたしはBです!」

「あ、アタシもBだ!」

 

 うぅ、舌が馬鹿な人同士で被っちゃった……!

 

「な、なんかこう……食べやすかったので。というかもうどっちも美味しかったので……!」

「アタシもそんな感じ……」

 

 コメントとしてはもうこんなモンだよ。これ以上言えないんだもん……

 で、わたし達はBの部屋へ。Bの部屋には一人だけ入っていた。

 

「あ、よかった、人が居た……」

「わ、ワンチャンある……」

 

 Bの部屋の椅子に呟きながら座ると、先に居た女優の人が話しかけてきてくれた。

 

「どうだった?」

「いや、なんかこう……Bの方が食べやすかったので。でも不安です」

「だよね~! 私も不安で仕方なくて」

「というかアタシ達ってこれミスると消えるから……!」

「初参加で消えるっていうのも全然あるからねぇ」

「き、消えたくない……!」

 

 でももう後戻りはできない……! ガクガクと震えながら待っていると、あと一人だけ人が入ってきた。その人の言葉もわたし達と同じような感じ。食べやすいからって言葉だった。

 それで全員分のチェックが終わったけど……Bの部屋には三組だけ。Aの部屋にはその他全員。

 お願い……!!

 

『それでは、正解の部屋を開けさせていただきます!!』

 

 ここを乗り越えさえすれば……!

 手を合わせて願い続けていると、ドアノブが回された。お願い、こっちに来て……!! いや、きっとこっちに来る。だってわたしはあの翼さんの後輩なんだか――

 

『おめでとうございます!!』

 

 ……あっ。

 ……そ、その、なんというか。

 とりあえず消える前に一言だけ。

 

「ご、ごめんなさ~い!!」

「マジですんませんでしたセンパイ!!」

 

 そしてわたし達は編集の力によって画面から消えてしまいましたとさ。

 今度リベンジする機会があったら絶対に最後まで映ってやるぅ!!

 

 

****

 

 

 ちなみに後日。

 

「まぁ最終的には映す価値なしになっちゃいましたけど、焼き肉ご馳走様です、翼さん」

「いやー、悪いっすねセンパイ。こんないい肉食わせてもらって」

「か、賭けは賭けだからな……というか少しは手加減してくれないか……?」

「翼さん翼さん。ツイッターにあげる写真撮るんではいチーズ」

「肉うめぇ」

「くぅ……!!」

 

 えっと、写真を貼り付けて、文字の方は翼さんの奢りで焼き肉です。どうしてこうなったかは新年あけた後の格付けチェックを要チェック、と。

 通知は決してあるからどんなリプが返ってきてるのかは分からないけど、今は焼き肉を食べよう。

 あー、奢りの焼き肉美味しいなぁ。

 

「……ちょっとATMで下ろしてくるか」

 

 本当にご馳走様です翼さん!

 で、後日マリアにもお寿司を奢ってもらいました。なんやかんやで有言実行する二人、わたしはちゃんと尊敬しています。嘘じゃないよ?




結局は映す価値なしとなって消えてしまう調ちゃんでしたとさ。何気に食べ物関連は二つともミスっていたり。そして結構的中率は高いクリスちゃん。でも最後にやらかして映す価値無しに。そしてまさかの一度も正解しない先輩共。さてはこいつ等ボンクラだな?

とりあえず今回は常識人枠の追加ということでクリス先輩にも来てもらいましたが、多分これから先クリス先輩はラジオ以外では仕事の現場に出てくることは無いでしょう。

あとシンフォギアXDで次のイベントでは星5確定チケットと交換できるアイテムが出てくる……マジっすか。ちょっと頑張ってぶん回します。古戦場あるけど。あと誕生日メモリアの調ちゃんクッソ可愛い。あとツイッターのトレンドに調ちゃんの誕生日が上がってて嬉しくなったり。

さて、いつもの如く怪文書を乗せた所で次回は未定です。もし笑ってはいけないをするのなら、今年の笑ってはいけないの一部分だけにゲスト参加……的な感じになりそうです。でも調ちゃんのお尻をシバく描写を書くなんてとてもじゃないけど……ちょっと興奮し(無音の禁月輪
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