今日の任務は珍しい事にわたしとクリス先輩の二人体制で行われることになった。
普段、わたしは切ちゃんか翼さんと組むことが多いからクリス先輩と組むのは結構新鮮だったし、どっちも後衛って事もあって若干の不安はあったけど、やる事は単純。違法な研究をしているらしい聖遺物研究所を襲撃、そのまま撃破して職員たちを拘束するだけの簡単なお仕事。
まぁ平行世界で時折見る完全聖遺物が相手じゃなければシンフォギア……それも今のラストイグニッションギアなら余裕な訳で。わたしとクリス先輩は速攻を仕掛けてあれよあれよの間にとっとと職員たちを拘束し終えた。
ちょろい仕事。
「まぁ給料貰ってるしやるこたやんなきゃな」
「そのやる事ももう終わりましたけどね」
『あぁ、ご苦労だった。後は俺達の方から回収班と解析班を送る。それまでは待機していてくれ』
「分かりました」
「おうよ。ってかちょっと運動したら小腹減ってきたな……帰ったらなんか食いに行かないか?」
「あ、いいですね。行きましょう」
ちなみに普段一緒に組んでいる切ちゃんは今現在補修中だよ。あと響さんも。
翼さんとマリアはお仕事中。そう考えるとわたしとクリス先輩が組むのって当然だよね。
まぁそんな事は置いておくとして。この研究所、どうやら刀関連の聖遺物を研究していたらしくて今わたし達が居る部屋には大量の刀が飾ってある。なんか曰く付きっぽいけど……翼さんが見たら大興奮なんだろうなぁ。えっと、これは……薄緑もどき? もどきって……こっちはへし切長谷部もどき? いや、もどき多すぎない?
聖遺物を再現する研究でもしていたのかな……? まぁどっちにしろ違法な事をしていた事には変わりないんだし気にしない気にしない。
で、この刀は何のもどき……え? ちょ、ちょっと待って。この刀の名前は……説明は……
…………ふふ、ふふふふふ。
今思えばわたしって世界を救っちゃってるし? 裏で暗躍する正義の味方だし? こういうのをちょっとだけ使っても別に怒られないよね? それにクリス先輩ってばよく重いとか肩が凝るとか言ってるし……それを助けてあげる人助けだから。これは人助けだからね?
「おい、何してんだ? んな妙ちくりんな刀なんか手に取って。ぽいしとけ。変な呪いにかかっても知らねぇぞ?」
ふ、ふふふ……
「……いや、なんでこっちにそれ向けてんだよ。おい、冗談ならそこら辺にしと……危ねぇ!!?」
「クーリスせんぱーい? 痛くないですから大人しくしてましょうねぇ?」
実際、さっき指をちょっとだけ斬ってみたけど血は出なかったし。大丈夫、痛くは無いし血も出ないから安心安全なポン刀ですよ。
「おまっ、だからぽいしとけっつっただろうが! 変な呪いにかかってんじゃねぇか!!」
「かかってませんよ。これはクリス先輩を助けてあげるためですから」
「強制成仏で極楽浄土なんか求めてねぇんだよ!」
「いや、そんな事しませんけど……お覚悟ぉ!!」
「くっ、こんな狭い部屋じゃ動きづら……うおおぉぉぉぉ!!?」
よし、とった!!
思いっきりクリス先輩の肩から腹にかけて一閃!
「ぐっ、斬られ……ん? 痛くない……? それどころか体が軽く……?」
「クリスせんぱーい。この刀の名前って何て言うんだと思います?」
「あ? 刀の名前だ?」
そう、この刀の名前。
飾られてるショーケースに書いてあった名前とその説明を見てからわたしはついついそれを手に取って自分の指を切ってから本当に血が出ないかを確認して、安全確認をしてからクリス先輩に振ったこの刀。
その刀の名前は、わたしは聞いたこと無い。というかこんな日本刀が存在するんなら色々と笑いごとになっていただろうし。
そんな笑える刀の名前は。
「この刀って妖刀なんですよ。銘は……妖刀『乳喰』」
「……は? 乳喰?」
「はい。乳喰です」
……なんで真顔でこんな下ネタに近い名前を口にしているんだろうね。
でも、クリス先輩はその名前からその効果を何となく察したらしく、自分の胸を見た。乳喰。その名前通りの効果を持っているのなら……そう思ってわたしも期待して、説明を読んで、指を少し切って少なくとも怪我だけはしないと確信して振った。
そしてわたしはその効果をその身で受けた。クリス先輩もその身で受けた。
その効果は……
「なっ……!? あ、アタシの胸が……!!? ってお前の胸も!?」
「えぇ、そうですよ。この乳喰の持つ効果はご想像の通りです」
そう、クリス先輩は半分程度にまで小さくなった自分の胸と、小さくなった分大きくなっているわたしの胸を見て、ようやくこの妖刀の恐ろしさに気が付いた。
そう、この妖刀『乳喰』の効果は……!
「この刀は、斬られた相手の胸を吸い取り、斬った人へと吸収する! つまりは手術不要で豊胸ができる素晴らしい刀なんですよ!」
「な、なんだってー!!?」
つまり今のクリス先輩のバストとわたしのバストは81cm。一気に全部切り取って吸収するのではなく半分ずつなのはちょっと驚いたけど……それでも、わたしはクリス先輩から一気に9cmも胸を吸収する事ができた! どれくらいの大きさかと言うと、大体切ちゃんと同じくらい!
これが……この重さが巨乳の重み。貧乳を馬鹿にできる最高の重み……!
「あーもう満足したならとっととその刀をアタシに渡せ! 元に戻すから!」
どうやらクリス先輩はわたしが遊び感覚で胸を切り取って吸収したと思っているらしく、呆れた顔をして手を差し出してきた。
確かにこの刀は斬られた人が斬った人を斬り返せばその分だけ胸が戻ってくる。だからここでクリス先輩にこの刀を差しだせばクリス先輩も特に大事にする事無く事態を始末してくれる。
でも、そんな簡単にこの刀を渡すわけがない。渡すはずがない。
「嫌です!」
「はぁ!?」
この刀はシリコンとか豊胸手術とか上げて寄せるとか、そういうのじゃなくて本当に相手の胸を切り取って自分の胸にする事ができる。こんな素晴らしい刀を誰が手放してなるものか!
「それよりもクリス先輩のもう半分の胸……! それを削り取ってわたしは夢の90台に突入する! その後はマリアと響さんを削り取って誰にも負けない胸を手に入れる!」
わたしのかつてのバストサイズ、72cmにまで相手のバストを減らす事ができるとしたら、響さんからは12cm。マリアからは24cmも削り取る事ができる。そうしたらクリス先輩の90cmにその分を足して……126cm!! 装者一の貧乳から装者一の巨乳に成り代わる事ができる!
このチャンス、逃すわけがない! そのための道具を手放すわけがない!
「お前馬鹿だろ!? 前からちょっと思ってたけどやっぱ馬鹿だろお前!!」
「巨乳の人には分からないんですよ! 貧乳の人の気持ちが! 散々胸が小さい方がいいとか煽られ続けるこの感覚、この気持ち! 前と後ろが分からないとかまな板とか洗濯板とか言われ続けるこの気持ちが!!」
「オーケー、悪口言った奴らの粛清ならアタシがしておくし、コンプレックスを刺激するような事ももう言わねぇからとっとと元に戻すぞ! じゃないと面倒な事になるのが目に見えてんだろ! 特にあの子と先輩に渡したらもっと被害が加速する!」
「知った事ですか! その胸、わたしに寄越せぇぇぇぇ!!」
「やべっ、ここ狭いから避けられ――」
****
ふふふ、他愛なし。
わたしは狭い場所での戦闘という事もあって無事にクリス先輩の胸を削り取ることに成功した。
ちょっと体のバランスが崩れたから歩きにくかったけど……それでもこの感覚。歩くと胸が揺れて痛いまであるこの感覚。とても素晴らしい。
胸を削り取ったついでに気絶させたクリス先輩をひん剥いて服とブラを交換して無事に服の問題もどうにかしたわたしは次なる標的の元へ向かうことにした。
ちなみに胸が小さくなったクリス先輩はわたしとほぼ変わらない身長と相まってただの合法ロリになったよ。あ、でもまだ十七歳だから合法じゃないっけ。まぁいいや。
さて、次の目標はマリア……ではなく響さん。今のマリアは仕事中でどこに居るか分からないし、いつSONGの職員が哀れなクリス先輩を発見して事情を聴きだしてから緒川さんや風鳴司令を派遣してくるか分からないから、それまでにわたしは可能な限り胸を削り取ってこの乳喰をどこかに埋めるか折るなりしてこの胸を完全にわたしの物にする!
と、いう事でわたしは響さんの帰り道で響さんを待っている。周りからすっごい視線を吸っているけど……まぁ気にしない。ポン刀持ってるって事で通報されなきゃいいけど……
「あれ? 調ちゃん? 調ちゃん……だよね? あれ? おっぱい大きいけど……あれ?」
とか思ってたら響さんがどうやらやってきたらしく声を掛けられた。
……確かにわたしの胸はクリス先輩と同じくらいだけど、そこまで心配しなくてもいいと思うの。顔はわたしだから。胸だけはクリス先輩だけど。
「ふふふ……実はこれには秘密があるんですよ」
「秘密? なになに、何したの?」
響さんは生身なら翼さんと並ぶほどの生身最強。大人の方々は次元が違うから比べる事すら烏滸がましいけど、同年代の少年少女と比べれば普通に最強候補に上がる人。
そんな人相手にわたしが刀を持って真正面から挑んでも確実に勝てない。ボコられるだけ。
でも、あっちから近づいてもらってから不意打ちで斬ってしまえば何も問題はない。わたしは二回攻撃を当てればいいだけだから、響さんよりも圧倒的に有利。
「それはですね」
「ふむふむ?」
来た。
今のわたしと響さんの間合いは一足一刀。つまりわたしが踏み込んで抜刀しつつ刀を振れば当てる事ができる。一切の警戒をしていない響さんの回避となりふり構わず当てる事だけを考えているわたしの刀。どっちが速いかなんて考えなくても分かること!
くらえ見よう見まねの抜刀術!
「こういう事です!!」
「うわっ!?」
わたしの抜刀術による斬撃が響さんにヒットする。よし、当たった! 胸を吸えた!!
「し、調ちゃん!? 一体何を……ってあれ? 傷がない……?」
「ふ、ふふふ……響さん。自分の胸を確認してみてくださいよ」
「えっ、胸? ……うわっ、小さくなってる!? ブラに謎の隙間が!?」
ブラに謎の隙間……そんなの今までのわたしには存在すら許せなかった。でも今はそんな事は無い。
この圧倒的優越感……! 響さんの胸も吸ってわたしは更に巨乳になった……!!
「これがわたしの胸が大きくなった理由です。わたしがクリス先輩の胸を吸い取った!」
「そんなバカみたいなことが!?」
「バカな人に言われたくないです! 残り半分の胸、覚悟ぉ!!」
「久しぶりに調ちゃんにバカって言われた気がするなぁ!!」
もう残りの胸も吸って後はマリアの胸を吸えばわたしの計画は……わたし巨乳化計画は無事に達成される! あとは翼さんと未来さんにこれを渡してしっかりと後始末をしてもらえばわたしのこの胸は未来永劫わたしの物になる!
とりあえず驚いて動けない響さんに最後の一撃!
勝った! 第三部完!!
「笑止千万! 甘いよ調ちゃん!!」
「へ?」
わたしの剣は見事に響さんの体に吸い込まれて行った……ハズなのに、響さんを斬った感触が無い。それどころか響さんの手前で止まってビクともしない。
視線をしっかりと刀身の方へと向けてみると、そこには両手で刀を左右から挟み込んでいる……つまりは真剣白羽取りを成功させている響さんの手があった。
……う、嘘でしょ?
まさか漫画やアニメでもないのに……!
「翼さんの剣に比べればまだまだ甘いよ! という訳で刀没収! アンド斬ッ!」
「あぁっ!?」
わたしの一瞬の抵抗も空しく響さんに刀を奪い取られてそのままわたしが斬られた。
あぁ……わたしの胸が……!! 響さんの分も大きくなった胸が……
「ふぅ、ようやく体に違和感なくなったよ」
「ぐぅ……!! でも、取られたら取り返せばいいだけ!!」
こうなったらシンフォギアを使ってでも響さんの胸を!!
「おい。お前、よくもまぁやってくれたな?」
とか思った矢先、わたしの体が後ろから羽交い絞めにされた。う、動けない……!
というかこの声……そして明らかに減った胸……! まさか!
「あ、クリスちゃん!」
そ、そんな……! あんなにタコ殴りにして気絶させたのにもう目を覚ましていたなんて!
これじゃあ折角吸った胸が……! わたしの栄光のバスト九十センチが……!!
「よう、馬鹿。とっととそのポン刀こっちに寄越せ」
「うん、いいけど……胸が小さいクリスちゃんって子供みたいだね」
「ぶっ殺すぞ。いいからとっととそのポン刀貸せ」
「いやだぁ! またあんな惨めな気持ちになんてなりたくない!! わたしはもっとこの胸で優越感を!!」
「ちょっせぇんだよ! オッサンにド叱られる前にとっとと元に戻すぞオイ!!」
そうしてわたしはクリス先輩にザックリと二回斬られて胸を持っていかれましたとさ……
ちなみにこの刀はSONGの方で厳重に保管されるとか。うぅ……せめて一日か一週間だけでも巨乳生活を……あの栄光を……
なお、わたしはこの後訓練と称したクリス先輩からの報復によりタコ殴りにされました。いくら何でもだだっ広い空間でMEGA DEATH CARNIVALは卑怯だと思う。
****
「ふふふ……月読め。すぐに私に救援を要請しておけばこんな面倒な事にならなかったものの。まぁいい。こうして私がこの妖刀『乳喰』を持ったからには雪音も、立花も、マリアも、暁も。巨乳と呼べる巨乳の身内の胸を吸いつくして――」
「翼さん? おいたはそこまでにしましょうか?」
「げぇっ、緒川さん!? くっ……いくら緒川さんでも今回ばかりは押し通らせてもらうぞ!! 覚悟!!」
「甘いですよ。変わり身の術、からの首コキッと」
「けぺっ」
「はぁ……この件、司令にどうやって報告した物か……」
と、いう訳で今回はネタ提供してもらった話でした。なんか書いてる間に一か月経っていたけどキニシナイ。
いやー、XVのティザーサイト来ましたね。ティザーサイトの調ちゃん、両足でピョンっと飛んでて笑顔でクッソ可愛かったです。いやー、今から七月が本当に楽しみです。
まぁその間に地獄の就活があるんですけどね……マジでどうしよう……ずっと物語書いて生きていきたい……
あとバンドリコラボで調ちゃんの参加が確定していましたけど、どんな衣装になるのかがマジで分からないので今から楽しみです。バンドリ好きな友人に調ちゃんの衣装がどのユニットのどれかを教えてもらおうか迷ってたり。
ちなみにバンドリを始めてみましたけどその程度のにわかじゃシルエットの判別は不可能でした。
XDの方もなんかやべービッキーが来ましたけど石貯めておかないと……調べちゃんを取るまでは石をせめて百連分は……