月読調の華麗なる日常   作:黄金馬鹿

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何とか日曜日更新が間に合ったんだぜ。

今回は装者全員で自分達をモチーフにしたVRゲームをプレイする話です。一応、これとは別にもう一つ、ファンタジー系VRゲームを装者&エルフナインでゆるゆるとプレイする、ネタ募集にあった方の話も書く予定です。

あと、最近ネタ集めでバカテス一気見したらバカテス的な話が書きたくなった。卒論の中間発表がもうすぐなのに何やってんだろうね、この馬鹿は。


月読調の華麗なるVR

 ついこの間の事、とある会社からVRゲーム機が発売された。

 どうやら今まではテーマパークとかにしかなかった、自分の意識までもをゲーム内に入れて、実際にゲームの中に居るように遊ぶ事ができるって言う画期的なシステム。それが、ようやく個人でも遊べる形で発売された。

 お値段は……ちょっと学生じゃ手が出ない程の物だったんだけど、実はこれ、SONGが関係していたりする。

 と、言うのも。

 

「VRで装者みたいにノイズを倒すゲームを作れば、なんかこう、いい感じに民衆のストレス解消とかに使えるんじゃないかとか言われまして。それで、色んな所と合同研究して作ったんですよ。本部のシミュレータールームの技術を基にしたVRゲーム機」

 

 暫く忙しそうにしていたエルフナインから疲れを隠さない表情でそう暴露されたから。

 で、SONGが全面協力して作った上に、装者のデータも多少なりとも使ったからか、協力費としてVRゲーム機と、同時発売のソフトを一つ貰っちゃいました。

 そのゲーム名というのが『戦士絶唱シンフォニックアーム』。プレイヤーは国連所属組織、ARMSに所属する対ノイズ特殊兵装、フォニックアームの装者となりノイズを倒しながら黒幕を倒し、世界からノイズを消滅させる……ってゲームみたい。

 キャンペーンモードっていうストーリーモードの他に、オンラインモードもあって、装者同士で対戦する事もできるし、オンライン限定のクエストとかをクリアして報酬を獲得したり、オンライン専用のストーリーをクリアする等々。国が先導して作ったからか結構ボリュームは凄いみたい。

 で、ジャンルとしてはアクションRPG? みたい。レベルを上げて敵を倒す感じ。で、使用できるギアそれぞれにレベルがあって、それを使ってクエストをクリアするとレベルが上がるとか。そういうの。

 それで、ゲーム内で使用できるギアはわたし達六人のギア。名前もそのままガングニール、天羽々斬、イチイバル、アガートラーム、イガリマ、シュルシャガナ。それから、オンラインで特定の条件を満たすと神獣鏡が解放されるみたい。その七つのギアの中から好きなギアを選択するんだって。

 で、どうしてギアの名前がそのままなのかって聞いてみたんだけど。

 

「街中で聖遺物の名前を言っちゃってもゲームの話題って誤魔化せるからですよ。普通の人は、まさか聖遺物が実在してるとか思いませんし」

 

 だ、そうで。

 確かに、わたし達は幼い頃から聖遺物に触れてきてるから、聖遺物は実在しているって思えているけど、響さんみたいに最近まで聖遺物の事を知らなかった人からしたら、実在しているだなんて思えないよね。

 それでいて、ギアの方は個人カスタマイズも可能みたい。

 シンフォギアはどんな状況下でも運用できるように、様々な機能が搭載されているんだけど、その機能の数は装者でも分からないほどに多い。それこそ、土壇場でやってみたらできたって事もそこそこある。響さんなんてその時の勢いでやってる事もあるから、その最たる例だね。

 だから、その再現のためにわたし達の技を幾つかテンプレート化して、それをセットする事で特定の動作をすると技が発動するのだとか。

 その他にも色々とあるけど、この辺で。

 

「それじゃあ早速プレイするデスよ! 今日から解禁なんデスから!」

「そうだね。ソロプレイ用のキャラも使えるみたいだし、やろっか」

 

 わたしと切ちゃんはエルフナインから貰った、一個ウン万するゲーム機で早速戦士絶唱シンフォニックアームをプレイしようとしていた。

 ちなみに、ソロプレイは既に経験済みで、キャラメイクもその時に済ませている。

 男性キャラも女性キャラも作れるみたいで、女性が男性キャラを使う、って事も可能みたい。

 ギアの方も男性がやるのに合わせて男性キャラ専用のギアの形状も考えたとか。女性向けは基本的にわたし達のギアの形状になるみたい。レベルが上がると徐々に今に近い形状に変わるんだってさ。

 

「そういえば、調はどのギアにしたんデスか?」

「イガリマだよ。切ちゃんは?」

「勿論シュルシャガナデス!」

 

 ちなみにギアの方は、わたしがイガリマ。切ちゃんはシュルシャガナを選んだみたい。

 でも、ゲーム内でギアは変更できるから、時折ガングニールやイチイバルで遊んでいたり。

 あとキャラの方は、オンラインでやるんなら自分に似ていないキャラを作った方がいいって言われたから、わたしは自分の中で見たフィーネを、わたしにちょっとだけ近づけた感じのキャラにしてみた。

 まぁ御託はこのくらいにしておいて。

 

「それじゃあゲームスタートデス!」

「ぽちっと」

 

 ヘルメット型のゲーム機の側部にあるボタンを押してゲームスタート。勿論座ってからプレイしたから、意識をゲーム内に入れてからぶっ倒れて体が痛い、なんてことはない。

 ゲームをプレイすると、一瞬視界がブラックアウトして、次の瞬間には目の前にはゲームのタイトル画面が。ここから自分の体を動かせる。

 今までは押しても現在未実装ですで終わっていたオンラインプレイの所を押すと、インターネットに接続していますって出てきて、次にサーバーの選択画面が。サーバー選択については予め決めておいたから、指定のサーバーを選択。使うセーブデータは勿論今日までプレイしてきたセーブデータ。

 

「あっ、始まった。えっとここは……ゲーム内の部屋だ」

 

 ちなみに、ゲームを始めると研究所っぽい内装をした、このゲーム内での二課、F.I.S、SONGに当たる本部で目が覚める。それで、管制室へと向かってこのゲームの司令官に話しかけると、クエストを選択する事ができて、プレイが可能。

 多分、その管制室や本部内で他のプレイヤーのキャラと会える感じ……かな?

 あと、藤尭さんから先んじてオンラインゲームでのマナーを聞いておいたんだけど、全体に聞こえる設定にした状態で本名で呼び合うと、何が起こるか分からないからNGとの事。あと、キャラ名を本名にしないようにした方がいいとも言われた。

 わたしのキャラ名は、英語しか使えなかったからZABABA_Rだよ。切ちゃんはZABABA_L。

 

「とりあえず管制室に行かないと」

 

 管制室では他のプレイヤーのキャラと会えるって先に聞いておいたから、ショートカットで管制室へ。

 あと、設定でわたしの声が聞こえる人は、パーティを組んだ人だけにしておいたから、独り言だったり叫んだりしても身内にしか聞こえないから問題なし。

 で、管制室には数人のプレイヤーキャラが。大体二十人くらいかな?

 放課後にプレイしているから、わたし達が一番乗りって訳じゃないんだよね。

 それで、みんなはもう居るかな? 一応キャラの上に名前が出てるからそれで……あっ。ZABABA_L発見。フレンド申請してから、パーティ申請して……よし、通った。

 

「調デスよね?」

「うん、そうだよ切ちゃん」

 

 よし、やっぱり切ちゃんだった。

 切ちゃんのキャラは、写真で見たことがあるマムの若い頃というか、華の十代の頃とか。そんな感じ。切ちゃんの面影はないかな。

 

「他のみんなはまだデスかね?」

「一応、みんなの名前も聞いているから、来たら分かるけど……」

 

 ……なんか周りを見ても、他のプレイヤーの半分くらいが女性キャラ使ってるからか、外見だけ見ても分からないんだよね。

 そもそもこのゲーム、わたし達のギアを元にした装備ばかりだからか、女性キャラ向けのアレコレが充実してるんだよね。フラゲした人の情報でも、女性キャラ作った方が楽って言われてたみたいだし。

 だから、男性が女性キャラ使っても不思議じゃないんだけど、如何せん分かりづらい。

 とりあえずウロウロして……あっ、なんか来た。えっと、フレンド申請だとパーティ申請だ。

 名前は……BikkiBikkiとFuture。確か響さんと未来さんの名前だ。ついでに、こっちに手を振ってる二人組発見。間違いなくアレだね。

 という事で承認。

 

「おっ、承認してくれた。やっほー二人とも」

「二人とも、リアルとは違う感じのキャラ作ってるみたいだね」

「そういう二人も結構リアルとは違うデス」

 

 二人の外見は、わたし達は見た事無いかな。多分、適当に可愛く作ったやつだと思う。

 

「ちなみに二人はどのギアを選んだんですか?」

「わたしはもちろん、ガングニール! ……って言いたいんだけど、偶には違うギアを使いたいし、アガートラームだよ」

「代わりにわたしがガングニール。響みたいに拳で戦う感じにしてみたよ」

 

 なるほど、二人はアガートラームとガングニールと。

 既にこの場にあるギアはザババの刃とアガートラーム、ガングニール。そこそこにバランスは良いけど……なんだろう、このF.I.Sを思い出す構成。

 響さんは本当は神獣鏡が良かったって言ってるけど、それに関してはオンラインでプレイして頑張りましょう? わたし達もお手伝いしますから。

 

「後は翼さんとマリアさん、それからクリスちゃんだけだね。まだかなぁ?」

「……あっ、わたしの方にクリスから来たよ」

「こっちにもマリアから来たデス」

 

 あっ、続々と。

 とか思ってたらこっちにも翼さんからメッセージが来た。なので承認すると、視界の左上にあるHPゲージと名前が一気にわたしを含めた七人分に増えた。

 クリス先輩の名前はSnowSong。翼さんはIKUSABA。マリアはSerenade。聞いていた通りの名前だね。

 というか、左上のゲージがちょっと邪魔かも。摘まんでえいってやったら小さくできるからいいけどね? という事でえいっ。

 

「やっと見つけたぞ。案外やりにくいな、VRゲームは」

「そう? 私は結構好きよ。こういうの」

「だな。コントローラーよりも直感的にできるからな」

 

 そして三人も来たけど、やっぱり三人とも適当に可愛く作ったアバターを使ってるみたい。でも、マリアだけはなんとなーくガリィみたいな感じのキャラになってる。

 それで、三人ともギアは何にしたの?

 

「私はガングニールだ。奏っぽくやってみようと思ってな」

「アタシは天羽々斬だ」

「……わ、私もガングニールなのだけど。被ったわね……」

 

 と、いう事はイチイバルが無しでガングニールが三人と……

 未来さん、翼さん、マリアのガングニールトリオってすっごい違和感あると言うか、面白い構成と言うか。

 でも遠距離攻撃が無いのは不安みたいで、それならと響さんが手を当てた。

 

「あ、それじゃあわたし、イチイバルも育ててるのでイチイバルにしますね! 遠距離攻撃が無いと大変ですし!」

「なら私はアガートラームにしてみるか。刃物を使うギアは一通り使えるようにはしてある」

「んじゃアタシもガングニールに変えてみっか。一応育ててるし」

「……なんかごめんなさい。天羽々斬を使わせてもらうわ」

 

 という事でわたし、切ちゃんはギアを交換でザババ。未来さんが拳版ガングニール、クリス先輩が槍版ガングニール、響さんがイチイバル、マリアが天羽々斬、翼さんがアガートラームになった。

 普段じゃ絶対にできない編成ができるようになったけど、こういうのがゲームの醍醐味だよね。

 ちなみにわたしは、イガリマ以外にもアガートラーム、ガングニールが育ててあります。あとイチイバルをほんの少しだけ。

 

「じゃあじゃあ! ここで話しているのもアレですし、早速クエストに行きましょう!」

「そうだな。七人での初プレイだ。気を引き締めて行こう」

 

 と、いう事で、あんまり話し続けるのもアレだから、クエストに行く事に。

 クエストに関してはよく分からないから、とりあえず響さんに受けてきてもらう事に。でも、ボス戦とかにいきなり行くのはマズいから、通常ノイズを規定数撃破しろ、とかそういうのを受けてきてもらうことに。

 で、響さんが適当にそれを発見したみたいだから、それを受けてプレイする事に。

 クエストを受けて、管制室の出口へと向かえば勝手にフィールドへ。ちょっとしたローディングを挟んでから、市街地へと出た。

 

「相変わらずすごいよねー。流石にリアルとそっくりとは言わないけど、触るとしっかりと感覚があるし。でも食べ物を食べても味がしないのが残念……」

「仕方ないよ。食べ物の味までプログラミングすると、凄い時間がかかっちゃうから無理だったって、エルフナインちゃんが言ってたし」

 

 VRゲームは、生身で動いているのと殆ど大差ない感覚で動けるんだけど、五感の内、味覚だけはどうしても再現ができなかったみたい。

 大雑把に感じる事はあるんだけど、それだけ。正直、砂を噛んでる気分になる。

 でも、時間が経ったら、お料理練習のために味覚を搭載したゲームが発売されるかも、とはエルフナインが言ってた。

 

「空腹も喉の渇きも感じない以上、食事も必要ないという事だろう。立花には多少、酷ではあるがな」

「まぁ、そもそも食べ物の種類が殆どないのでいいんですけどね」

 

 まぁ、そんな食べ物事情は置いておいて。

 

「それじゃあ、早速ノイズ狩りとするデスよ! Various shul shagana tron」

「こいつの言う通りだ。いつもはできない位に大暴れしてやるとすっか! Croitzal ronzell gungnir zizzl」

 

 聖詠は勿論、それぞれが持っているギアの物になる。

 ガングニールだけは、響さん式かマリア式、もしくは奏さん式に分かれていて、技の構成次第で自動で切り替わるみたい。拳系列が響さん、マントとビームがマリア、それ以外が奏さんみたいな感じで。

 で、わたしもイガリマの聖詠を歌ってギアを装着。

 

「こうしてギアを装着してみると、リアルでもやってみたくなるわね。もしくはリアルそっくりなアバターを作ってやってみたり」

「やるとしたらソロプレイの時だね」

 

 オンラインで自分の顔を晒すのは流石に。

 と、いう事で。

 

「行こう!」

 

 響さんの言葉に従い、全員で一気に走る。

 けど、響さんが一番遅いみたいで、徐々にみんなに置いて行かれている。代わりに一番早いのはクリス先輩とマリア。ガングニールと天羽々斬だから、当然っちゃ当然だけど。

 

「おい馬鹿! お前だけ遅いぞ!」

「だ、だってイチイバルに移動技は無いし、何でかステータスも防御以外は並み以下なんだもん!!」

 

 で、ギアに関しての注釈だけど、それぞれのギアにはゲームらしく、ステータス要素がある。

 例えば、今響さんが言った通り、イチイバルは遠距離攻撃と殲滅力に長けているけど、ステータスが並み以下。防御力が若干高いくらい。シュルシャガナは、同じようにスピードは速いけどそれ以外が軒並み低い。

 ガングニールにも三種類くらいステータスの成長率があって、響さん方式は攻撃特化で防御だけが全ギア中最下位。マリア方式は攻撃が低いけど防御がトップクラスでそれ以外が並。奏さん方式はスピードが少しだけ抜きんでてて、それ以外が全部並。

 アガートラーム、天羽々斬は全ステータスが高水準。だけど、技がピーキーで技構成に苦労する。イガリマも同じ感じなんだけど、武器が武器だけに取り扱いに苦労する。そんな感じ。

 多分、一番初心者にオススメなのは奏さん方式ガングニールだと思う。一番バランスが良いし、武器も技も扱いやすいからね。でもわたしは響さん方式。

 

「ミサイルに乗ればいいだろうが!」

「わたしのイチイバル、そこまでレベル高くないからミサイルなんて出せないよ!」

「え、マジ? ミサイルねぇの? 初期技に?」

「えっと、ガトリングとマイクロミサイル、それから狙撃とボウガンかな。技構成はそんな感じだけど、ミサイル習得はもっと後だったよ」

「あー……マジか。確かにアタシのガングニールも、あんまし火力高くねぇからなぁ……槍投げても分裂しねぇし」

「ゲームだから仕方ないですよ」

 

 ギアを使って、そのギアのレベルを上げる事で次々と技が解禁されていく感じだから、こればっかりは仕方ない。

 わたしだって、切ちゃんがよく使う基礎的な技しか使えないし。ティンカーベルとか、あそこら辺の強い技は使えないよ。ジュリエットとかでちまちま削る感じ。

 でも、基礎的な技は出が早いけど大技は出が遅いから、四つしかない技のスロットをどうやって埋めるかは本人たち次第。

 

「その点、天羽々斬は最初から基礎的な技が揃ってて使いやすかったな。蒼ノ一閃に逆羅刹、千ノ落涙しかなかったけど」

「天ノ逆鱗とか使えてもよかったのにね。でも、一番戦えるギアだとは思うわ」

「そうか? やはり、一番カッコいいギアは天羽々斬だったか。そうかそうか」

「でも、レベルが上がると技が使いにくくなるよな。正直、天ノ逆鱗がクッソ使いにくい」

「途中で攻撃をくらってキャンセルされることが多発するものね」

 

 うん……まぁ、翼さんって大技はあんまり乱用しない人だし、そうなるのも仕方ないかなーって。

 ちなみに響さん方式のガングニールを育てると、完全にマルチプレイ専用の技になるんだけど、S2CAが使用可能になるよ。体力を半分以上削って撃つ半分自爆技だけど、情報だけ見たら威力が他の技のウン倍もあってビックリした。

 あとは、イガリマとシュルシャガナ限定のユニゾンも結構あった。かなり人を選ぶ武器ではあるけど、その代わりユニゾンの火力は他のギアの必殺技を越えるから、そこまで育てられたら強い。

 

「さぁ、ノイズが見えたぞ! 誰が歌う!」

「じゃあトップバッターはわたしで! えっと、曲セレクトで、Bye-Bye Lullaby! いっきまーす!」

 

 で、シンフォギア特有の歌に関してなんだけど、これに関しては現状、誰か一人しか歌う事ができない。

 歌うための方法は、メニュー画面にある歌唱の項目から、実装されている曲を選択するしかない。それで、パーティメンバーと何回もクエストに行くと、その内にユニゾンや合唱も可能になる。そんな感じのシステム。

 それで、歌っている人は永続的に技を打つためのポイントと、体力も回復していく。ついでに、周りの人も技を打つポイントの方がちょっとずつ回復してく。

 しかも空中に出てくる歌詞をしっかりと歌うとボーナスで回復速度が更に上昇。伴奏だけでも回復はしてくれる。そんな仕様。絶唱も、しっかりとメニューの曲セレクトから選んで歌いきれば、発動してくれる。

 

「Hyahaッ! ゴートゥー、ヘェェェェェェル!!」

「アタシの曲はそんな叫ばねぇぞ!?」

「いや、叫んでる」

「思いっきり叫んでるわね」

「叫んでるデスね」

「叫んでますよ」

「叫んでるよ」

「えっ、マジ……? あの馬鹿並に叫んでんの、アタシ?」

 

 クリス先輩は装者の中でも叫ぶ方ですよ。

 多分響さんとマリアの次には叫んでますから。クリス先輩の間抜け面は置いておくとして、わたし達近接組が斬り込みながら響さんからの援護をもらう。

 うわー、なんだろうこの感じ。響さんから援護をもらうってすっごい違和感あると言うか。しかも弾が殆どどっか行ってるし。

 とりあえず鎌をブンブンするのです、っと。一応ヒットはするんだけど……ゲームだからか、ノイズに体力があるんだよね。だから斬ってもノックバックするだけで体力を削り切らない限りは倒せない。

 正直面倒。でも、死が隣り合わせじゃないからちょっとふざけたりして遊べたり。

 

「あーもう弾が当たらない! ここはわたしのガンカタだぁ!!」

「あの馬鹿にイチイバル任せるの悪手だろ! 絶対アイツ後衛する気ないだろ!!」

 

 とか思ってたら響さんが前に出てきた。いや、ホントになんであなたイチイバル使ってるんですか。装甲だけは厚いけど囲まれたら逃げるなんてできないイチイバルで前に出てどうするんですか。

 そんなわたし達のほぼ共通の考えとは裏腹に突貫した響さん。だったけど、どうにもこうにも近接戦の鬼だからか、イチイバルで相手の真ん中に突っ込んでガンカタするのが案外ハマってる。というか、普通にダメージを与えられている。

 イチイバルって、範囲攻撃多めで与えられるダメージは低めの筈なんだけどなぁ……

 

「いや、響さんはそれでいいかもデスけど、後衛が居なくなったからノイズが押し寄せてくるデスよ!?」

「マリア! 天羽々斬なら後衛も可能な筈だ!」

「ゲージ技でどうやって後衛しろって言うのよ! っていうかノイズ硬すぎない!? 適正レベルのクエストよね、これ!?」

 

 え?

 適正レベル……そんなのあったっけ?

 いつも適当にシナリオを進行させてるだけだからそんなの知らないんだけど。と、思ってメニューからクエストの確認をしてみると、確かにそこにはクエスト情報と、適正レベルの表記が。

 えっと、適正レベルは……三十? みんなのギアの平均レベルは大体二十だから……あっ。

 

「立花ァ!!?」

「えっ、わ、わたしですかぁ!?」

「おまっ、相手のレベルもアタシ達よりも十たけーじゃねぇか! どうすんだこれ!? なんか攻撃の通りが悪いと思ったらオンライン補正とレベル差で最悪な事になってるだけじゃねぇか!!」

「オンライン補正ってなんですか、クリス先輩」

「多人数でソロプレイ用の難易度に行ってもヌルゲーになるだけだから、相手の体力とか攻撃力が上がってんだよ、マルチプレイ用に……ってあっぶね!?」

 

 あー、そういう事……

 一応、わたしと切ちゃん、未来さんは本命のギアで戦っているからある程度のダメージは与えられているし、レベル差も五程度だから、まだマシなんだけど、他の四人はあんまり育ってないギア……特に翼さんのアガートラームなんて十レベルしかないから、さっきから翼さんの顔が修羅場に突入してる。

 ちなみに、レベルが二十位から、徐々に適合率が上がってきたって設定で、外見が変わるよ。

 エルフナインから教えてもらったのは、二十レベルからフロンティア事変、三十で魔法少女事変、四十レベルでイグナイト解放、五十からイグナイトが使えない代わりに基礎能力が上がるラストイグニッションか、イグナイトを使える状態で維持かの二択が選べるとか。

 あと、このゲーム、レベルが上がると自動的にステータスが上がるんだけど、ちょっとだけ自分達で弄れるポイントも貰えるから、それでステータスはみんな違う感じになるんだけど、確か翼さんのアガートラームは攻撃特化にしてあるから一発でも攻撃を貰うと……

 

「いった! いったぁ!? 体力がゴリっと減ったぞ!?」

「うっわ、センパイ脆すぎっす」

「ふざけるな! こっちは十発攻撃してやっとノイズ一体なのに一発でこれか!? ええい、立花! 私に歌わせろ! 回復させろ!!」

「え? あ、はーい。歌唱中断っと」

「くっ、元凶がふざけてからに……!!」

 

 ちなみに響さんのイチイバルは二十レベルだから、翼さんよりは大分マシ。それに歌ってたから体力もかなり残ってるしね。

 けど翼さんの体力はもう四分の一を切っている。というか、三発しか攻撃を貰ってないのに体力がそれしかないって、やっぱりレベル上げって大事。

 

「できればわたしも後で歌わせてほしいです……」

「え? ……うわっ、未来さん、その体力どうしたんですか!? もう数ミリしかないじゃないですか!」

「響方式のガングニールでスピードと攻撃特化にしたから、防御力がほぼ初期値で……」

 

 わたしも響さん方式のガングニールを使ってるから分かるんだけど、響さん方式のガングニールって、放っておいても攻撃力が異常なほど上がっていって、スピードもかなり高くなるんだけど、防御力と体力がかなり低くなるんだよね。それこそ、ステータス振り分けを全部そっちにやらないと、ワンパンで体力を相当削られるレベルで。

 一応、蘇生アイテムとか回復アイテムもこのゲームには、ある事にはあるんだけど、蘇生アイテムはゲーム内通貨を結構使うし、回復アイテムも大量に持ち込めるって訳じゃないから……

 もう回復アイテムを全部使っちゃったらしい未来さんに回復アイテムを幾つか渡してから、未来さんをマリアと一緒に守りながら戦う。

 

「うおぉぉぉぉぉぉ!! セレナァァァァァァァァァァデッ!!」

「ねぇ、調。翼ったらどうして一人でありがとうを唄いながらを歌ってるの? 馬鹿なの?」

「操作間違ったんじゃない?」

「せ、正解だ! 息が続かん!!」

 

 一応、酸素の概念とかはないけど、普通に呼吸しないと苦しくなるからね、このゲーム。

 だから三人歌唱曲を一人で歌った日には……うん。

 翼さんの声から、こう、いつもは感じない酸欠気味の雰囲気を感じる。

 

「でも、敵もあと半分程度ですね! 頑張りましょう!」

「黙れ立花! お前は特に黙れ立花ッ!!」

「えっ、ひどくない?」

 

 とりあえず自傷ダメージで死にかけてる翼さんは放っておこう。

 でも、あと半分だから、ちょっとずつ技も使ってノイズを倒しておかないと。未来さんも体力は回復して、ワンパンでノイズを倒せるだけの火力はあるけど、一撃でも攻撃が掠れば致命傷に繋がるし、あんまり前に出せないからね。

 と、いう事でわたしと切ちゃんが前に出て、他に援護してもらって殲滅。大体十分くらいで出現したノイズは倒しきった。

 

「よかった、全員生存で」

「わたしと翼さんは一回だけダウンしちゃったけどね……」

「寧ろ一回でよく済んだ方だ……」

 

 よし、これでクエストクリア…………

 ……あれ? 終わらない?

 

『緊急事態発生、緊急事態発生』

 

 あっ、なんかアナウンスが。

 

『超巨大ノイズが街中に出現。至急、装者は急行してください』

「殺す気かッ!!」

「まぁ、これだけで終わるわけがないデスよねぇ……」

 

 多分、レベル三十の装者だけで行けば結構簡単にここまで来れるんだろうけど、翼さんがなぁ。あと、未来さんもステ振りが極端だし。

 それに、ユニゾン技とかの高火力技とかもまだ無いし……

 ちょっと苦労しそうかも。

 

「とりあえず、未来を中心に戦うようにしましょう。今、この場で一番火力が高いのはあの子よ」

「えっ、多分超巨大ノイズの攻撃なんて当たったら即死するんですけど……」

「小日向。気合いだ」

「えぇ……」

 

 流石の未来さんもいつもは二人が振らないような指示にドン引きの様子。

 普段、二人とも根性論なんて出さないからね……

 でも、今は未来さんを中心に戦わないといけないのは事実。わたしと切ちゃんのレベルが高くて、ユニゾンが使えるのならまだしも、それが無いのだとしたら未来さんの攻撃が唯一マトモにダメージを与えられる攻撃になるだろうし……

 未来さん、頑張って!

 

「響って、普段からこういう無茶ぶりされてたんだね……」

 

 いえ、普段はもうちょっと慎重……慎重……じゃないね。なんかノリと勢いでやってる感あるし。

 

「とにかく行こう、未来! 大丈夫、わたしが守るから!」

「響……! うん、一緒に頑張ろう!」

 

 よし、このクエストをクリアして一気にみんなのギアのレベルを上げちゃおう!!

 

 

****

 

 

「ちょっ、イチイバルの装甲が一撃で八割あばー!!?」

「レベル四十のボスキャラとか勝てるわきゃねぇあんぎゃー!!?」

「ふっ……サヨナラッ!!」

「翼が蒸発ぎゃー!!?」

「無理無理無理ひゃー!!?」

「これなんて無理ゲーデスぅ!!?」

「それじゃあ皆さんさようなきゃー!!?」

 

 結論、無理でした。

 一番硬い響さんは一撃で八割持って行かれるし、他の全員は一撃で溶けたし。蘇生アイテムなんて使う間もなく殺られたよ。思いっきり目の前にGAME OVERって出てるし。

 なんか仕様なのか半透明になった全員でクエストリタイアを選択。一応、ノイズを倒した分でちょっとは経験値を貰えたけど、ちょっとだけ。わたしはレベルが上がらなかったし、翼さんのレベルが二くらい上がっただけ。ソロプレイなら、もしかしたら勝てたかもしれないけど……マルチプレイの補正のせいで攻撃は通らないし受けるダメージはあり得ないし。

 

「いやー、みんなめんごめんご! クエスト間違ってたよ!」

「お前なぁ……! お前なぁ!!」

「今度はもっと簡単なの行こう! あ、ほら、これなんてクリアすると、セットするとギアがメイド型になる技が貰えるみたいだよ!」

「それ、一体どのギアが使えるんデスか?」

「えっと……ガングニール、神獣鏡、シュルシャガナ!」

「もういい立花には任せられん! 私が選ぶ!」

「いや、ここは私が選ぶわ! 私にだって欲しい報酬があるのよ!」

「だったらアタシが!」

「いやここはわたしが!」

「響には任せられないしわたしが!」

 

 で、終わった後はいつもの通り喧しく。

 どうしようこれ……あっ、このクエストクリアすると和装ギア解放されるんだ。イチイバル、シュルシャガナ、イガリマが対象だし、これ受けよっと。えいっ。

 

「あっ、調が勝手に選んだみたいデスよ」

「え? ……まぁ、調ちゃんならいいかな」

「そうね。とりあえずこれ行きましょうか」

 

 という訳でいざ出陣。

 和装ギア、リアルでも結構動きが軽くなるから好きなんだよね。さてさて、とっととクリアして技を貰って、セットしないと……

 

「おいこれ適性レベル五十とか書いてあるんだが!?」

「攻撃通らないんだけど!? わたしの攻撃ですらちょっとしかダメージが入らないんだけど!?」

「月読ァ!!」

 

 あっ……

 ご、ごめんね?




相手が強すぎてギャグ的な悲鳴を上げる翼さんが書きたかったんや。許してや。

以下四話感想デス。ネタバレ注意デスよ。

いやー、四話凄かったですね……まさかサンジェルマンがビッキーと一緒に花咲く勇気を歌うなんて……やっぱり、花咲く勇気は本来はあの形が完成系だったのかな、なんて思います。とりあえず、CD化希望。
アマルガムもようやく本編お披露目しましたね。今作のイグナイト枠っぽい気がする。
というか、あれビッキーだけに許された主人公専用強化フォームかと思ったら何気に装者全員! 調ちゃんのおニューギアが! 調ちゃんに新しいギアが!! 調ちゃんの攻撃特化フォームが!! 調ちゃんのアマルガムを見るまでは絶対に死なない! というか調ちゃんの新インナーが可愛す(死
あと、今回はビッキー×サンジェルマンでしたけど、もしかしてビッキー×切ちゃん×サンジェルマンとか、ズバババン×調ちゃん×プレラーティとか、そういうのも見られるんですかね。期待してますよ!!
……幽霊時空どうしよう。
そしてノーヴルレッドにはやはり同情できない自分が居る。ごめん、やっぱ十万殺してるから人間に戻りたいとか言われても同情できない……!!
というか、OTONAなら銃突き付けられても発砲される前に動いて全部どうにかできるんじゃ、とか思ったり。
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