今回の元ネタは銀魂から。またもや銀魂ですが、何となくこれ使えそうだなーと思ったので使いました。あと、今回の調ちゃんは大分天然が入っております。
それでは、どうぞ。
強くなりたい。そう思った。
わたしと切ちゃんは、装者の中では一番適合率が低い。だから、単体戦力としてはわたしと切ちゃんが一番下。マリアも同じように適合率はLiNKER無しではギアを纏えないくらいだけど、マリア自身の機転や戦闘力がわたし達の一歩上を行く要因になっている。
だから、強くなりたい。
例え適合率が低くっても、マリア達と並べるくらいに強くなりたい。
「だから、響さん!」
「あたし達を強くしてほしいデス!」
だから、わたし達は響さんに頭を下げた。
響さんも最初は装者としての戦闘力はそこまで高くなかったらしい。今まで響さんは普通の女の子として生きていて、それで装者になってから訓練をして、それで装者の中でも一番の戦力とまで言える程になったらしい。
そんな響さんに色々と教えてもらって、強くなりたい。みんなの足を引っ張らない位に、強く。
「……いや、わたし、今刺されて入院中なのわかってる?」
とは言ったものの。
実は、今、響さんはちょっと事故って……痴情の縺れって絶賛入院中。どうやら未来さんとお出かけする予定をすっぽかして弓美さんと遊びに行ったらしくって、怒った未来さんがついついザクっと。鍛えていたからそこまで酷い怪我にはならなかったし、未来さんが刺したって事はみんなで隠蔽したから、特に問題はない。未来さんも反省してるみたいだし。
でも、流石に傷が完全に塞がるまでは入院を余儀なくされて、現在入院中。まぁ、響さんも恋人を放置して色んな人と遊んでいたらしいし……
「でも、あたし達は響さんみたいに強くなりたいんデス!」
「そう言ってくれるのは嬉しいけど、わたし、入院中だよ?」
つ、強くなる方法だけでも教えてもらえれば、あとはわたし達で実演したら……!
「うーん……じゃあさ、二人はどうやって強くなろうとかイメージできてる?」
「イメージ、デスか?」
「わたしは師匠っていうバグスペックが近くにいたから、師匠のやり方で強くなったの。幸いにも、武器は同じだったからね」
確かに……風鳴司令も拳が武器だし、響さんもそれと同じ。だから、風鳴司令を自分の一旦の目標として上へ上へと向かっていったけど、わたし達はそうもいかない。
わたし達の武器は、相当特殊。だから、映像とか文献とかで自分の上限っていうのを設定する事が難しい。
そう言われると、確かにわたし達は強くなりたいって駄々をこねるだけで、それ以上を自分達で求めようとはしなかった。明確な目標がないのに、強くなれる筈もない、かぁ……
「でも、二人とも反射神経とか身体能力とか、そこら辺を上げるっていうんなら、アレだよ」
アレ?
「山籠もりとか。ああいう、ちょっと古臭い特訓っていうのは案外効果的なんだよ?」
な、なるほど……
でも、山に籠ってから何をするかは自分で考えないと。籠っているだけならただのサバイバル生活だから……
うーん……
「山に籠って……」
「うんうん」
「……く、熊と」
「うん?」
「……あ、足を持ってもらって腹筋とか」
「いやどうしてそうなったの!?」
い、いや、だって。
特に何も思いつかなくって……ギアを使えば熊だろうと倒せる事には倒せるんだけど。
ただ、生身じゃ熊と戦ってもすぐに熊のご飯にされちゃうだけだから、駄目だろうし……かといって熊を倒すとかじゃないと熊をどう活かすかなんて……
「いやいや! もっとこう、熊を活かそう!? 戦わないにしてももっとやれる事あると思うけど!?」
あ、そっか!
「じゃあ熊の足を持って腹筋を!」
「どんな活かし方!!? なんで自分じゃなくて熊を特訓させてるの!!? っていうか腹筋なんて山行かなくてもできるじゃん!? そこら辺のスポーツジムで事足りるじゃん!! インストラクターで十分じゃん!」
えぇ……じゃあ、わたしの部分をインストラクターに変えれば……
「なんで!!? もうそれ調ちゃん関係ないじゃん! ただの熊の特訓じゃん! っていうかもう山から帰ってきてるし!!」
「かなり斬新だと思います!」
「斬新も何も今まで存在しないよ! だって自分が特訓してないんだもん!!」
うぅ……そう思うと結構難しい……
どうやって特訓ってするんだろう。マリアはわたし達と一緒に特訓していてああなったのに、どうしてわたし達は……
熊を使う事も響さんからしたら駄目みたいだし……一体どうしたら……
「全く。最近様子がおかしいと思ったらそんな事を考えていたのね」
こ、この声は!
「あ、マリアさん。どうしてここに?」
「あなたのお見舞いよ。全く、本当に痴情の縺れで刺される人間を見る事になるとは思わなかったわ」
マリアが普通に響さんのお見舞いに来たみたい。手にはフルーツ籠が。
もしかして、わたし達の相談も全部聞いていたのかな? そう思うとちょっと恥ずかしい感じはするんだけど……
「そういう事ならどうして私に相談しなかったの? 響はこう、特例だからこういう時に頼るのは間違っているのに」
「あはは~。どうも特例です」
た、確かに特例と言えば特例だろうけど。
……クリス先輩がちょっと見ない間にえらい強くなったって言っていたし、成長速度も特例っていう事なのかな? それとも特訓内容が特例なのかな? どっちも特例なんだろうけど。
とりあえず、マリアにも色々と教えてもらった方がいいかも。
「そうね。やっぱり二人とも、自分のゴールを先に見据えておいた方がいいわ」
「響さんと同じことを言ってるデス」
「つまりそういう事よ。強くなろうとしている者は、まず自分のゴールを見据える事から始めるのよ」
やっぱり、明確なゴールが無いとダメって事だよね。
明確なゴール、かぁ……
「こういう時、絵にかいてみるのもいいかもしれないわね。自分がこうなりたいって言う図を、下手でもいいから書いてみるの」
「あぁ、いいですねそれ。遠回りになるかもしれないですけど、それでこそ見えるモノがあるかもしれませんし。あ、一応ここにスケッチブックありますけど」
「ナイスよ。じゃあ、これに書いてみましょうか」
絵、かぁ……どうやら響さんとマリアも改めて書いてみるみたいだし、わたしも真剣に書いてみようかな。
わたしの目標……
「書けたデス」
とか考えていたら切ちゃんがもう書き終えていた。流石に早くない?
「早くない? 見せて見せて」
「これデス」
そう言って切ちゃんが出したのは……
「調と結婚したいデス」
「誰が人生のゴールを書けって言った!!? しかも絵じゃなくて文字だし!?」
「き、切ちゃん……そういう事はもっと違う所で……」
「うん、家でやろうか!? わたしの病室でやる事じゃないよね!?」
も、もう、切ちゃんったら……今日のおかずはちょっと多めに作ってあげなくちゃ。
でも、なんでかさっきから響さんが叫びまくって体力を消費しているから、叫ばない程度のコトを書かないと……とは言っても、さっきから真面目に言ってるし書いてるのに響さんったらツッコミを入れてくるからなぁ……
何を書こう……まだ考えついてないからなぁ……
あ、そうだ。これをこうして……
「描けました」
「どれどれ?」
どうぞ。
なんか強そうな熊です。
「
「ケチャップです」
「ンな訳あるかぁ!!?」
もう、ただのケチャップなのに。
原材料はアレだけど。
「響、さっきからうるさいわよ。ここ、病院よ?」
「わ、分かってますけど……ってマリアさんは描けたんですか?」
「えぇ。ゴールを設けても、とどかないんじゃ絵空事。だから、地に足の着いたしっかりとした目標を立てないと。これくらいね」
と、言ってマリアが見せてきたのは、翼の生えた女性が空を飛んでいる絵だった。
な、なるほど……こうやって翼が生えるくらいに強くなるって事なんだね、マリア!!
「なんか調ちゃんがすっとこどっこいな事考えてるっぽいけど言わせてもらうよ! さっき地に足着いたって言ってたくせに思いっきり空飛んでんじゃん! 羽ばたいてんじゃん! 一体何になろうとしているの!?」
い、言われてみると、そう、なのかも?
これぐらい強くなるって事じゃないのかな……? 明らかに書き込みがこの数分で済まない程度には凄い事になっているけど。でも、マリア位になるとこれぐらいできるって事だよね。流石マリア!
「っていうかその天使、何か持ってません……? 男の人的な……」
「インストラクターよ。熊に襲われている所を助けたの」
「なんでさっきの調ちゃんから続いてんの!? 誰も紙芝居やれだなんて言ってないからね!?」
でも、それぐらい強くなれって事だから……あれ? 翼生えるくらい強くなるのってどうやるんだろう。
これ、ゴールまでの道のりは見えても、そこに至るまでの道が分からないような……
「マリア。先ほどから何を言っている」
「こ、この声は翼さん!?」
あ、ホントに翼さんだ! 翼さんもお見舞いに来たのかな? 何だか今日のお見舞いは結構騒がしい感じかも。
っていうか、なんか翼さん、絵をかいて来てない? なんか持ってるんだけど。
「後は私に任せろ」
「任せようと思いましたけど気が変わりそうなんですが!? その持ってる絵! なんかすっげー怖いんですけど!? なんですかその死体の山と赤い川!!」
「屍山血河」
「文字通りかよチクショウ!!」
つまり翼さんは敵で屍山血河を作れるくらいに強くなる……っていう事なのかな?
確かに翼さん、屍山血河のなんとかかんとかって言ってたし、翼さんならわたしが感じた疑問とかにしっかりとした答えを教えてくれるかも!
「暁、月読。世の中、大きな物を一発で当てようとしても、そうとはいかないんだ。一度どん底に落ちたからこそ分かる。そんな都合のいい事は起こらないんだ。もっとも、それ以降は私達全員で大きな物を起こしまくったがな。ただな、それを起こすにしても、普段からのたゆまぬ特訓が必要なのだ」
普段からのたゆまぬ特訓……
「こんな話を知っているか? ある所に綺麗好きな男と不潔な男がいた。綺麗好きな男は小便をする時、飛沫を気にして座って用を足した。だが、不潔な男は立ったまま用を足した。飛沫なんて気にしないからだ」
「あの、翼さん。何で急にそんな話になってるんですか」
「落ち着け立花。話はここからだ。それでだな、二人はそうして用を足したわけだが、大きな違いが出てきたのだ。綺麗好きな男は座って用を足すから、徐々に足が衰えてきた。対して、不潔な男は常に立っているから足が鍛えられてきたのだ……誰が予想できた? こうして筋力をつけた者、つけなかった者の違いが最終的に」
さ、最終的に……?
「関ヶ原の戦いの勝敗を分けるなんてな。そう、この男達こそが徳川家康と石田三成なのだ!!」
「ンな訳あるかぁ!!」
響さんが枕をぶん投げて翼さんにツッコミを入れていたけど……
まさかあの関ヶ原の戦いにそんな裏の話があっただなんて、知らなかった……!
「どうして翼さんが徳川家康と石田三成の小便事情知ってるんですか! 適当過ぎません!?」
「関ヶ原の戦いって、最終的に延長戦に持ち込んでPK戦で決まったらしいぞ?」
「戦国時代にPKなんて概念があってたまるか!!」
そ、そうだったんだ……
今度テストに出てきたらしっかりと答えないと。関ヶ原の戦いはPK戦で決まったって。
やっぱり日本って昔から結構凄い歴史があるんだなぁ……
「ちなみに、家康にこの修業方法を伝えた僧がいるらしい」
「なんつーもん伝えてんですか!!?」
「家康に寵愛され、江戸幕府の影の支配者と言われたこの、天海と呼ばれた僧。一説によればあの秀吉に討たれた明智光秀」
あ、明智光秀!?
まさか明智光秀がその時代まで生きて……
「の、インストラクターだ」
「またインストラクターかよ!!?」
そ、そっか! 明智光秀のインストラクターならその時代まで生きていてもおかしくなんてない!
今度テストに天海の正体とかが出てきたら、しっかりと明智光秀のインストラクターって答えないと。どこかにメモしておこうかな。
「さっきからなんでそんなインストラクターを出してくるの!? インストラクターに呪われてでもしてるの!?」
いや、だってインストラクターって結構万能だし……
「おい馬鹿。いい加減落ち着け。傷口開くぞ?」
「その声はクリスちゃん!」
あ、今度はクリス先輩が来た。
って、クリス先輩が絵を……お、お墓? あ、そっか! さっきの翼さんの屍山血河をしっかりと供養したんだ! 流石クリス先輩!
「しゃーねぇ。アタシがひよっこのために、アタシ達がここまで強くなるためにやった修業を教えてやるとするか」
「っ!? ま、まさかクリスちゃん、あの修業を!? 駄目だよ、あれは過酷すぎる!!」
「こいつらが強くなりてーって言うんなら仕方ねぇだろ。これが一番効果的だからな」
そ、そんな修業方法が……!
「ほら、こいつらの目を見ろ。いい目だ」
「それは……そう、だけど」
「だったら、やらせてみるのもいいんじゃねーか?」
「……そうだね。やらせてみようか」
クリス先輩に、強くなった後の響さんもやった特訓……! それをしたら絶対に強くなれ……
「じゃあまずはこの亀の甲羅型の重りを背負ってもらう」
「え、あ、はい?」
こ、甲羅型?
これに何の意味があるんだろう?
「んでもって、これからアタシがこの、雪って書いた石を投げる。これを拾ってこい。いいか、適当な石に雪って書いてもすぐわかるからな。この石は一つしかないから、拾ってこれるのはどっちか一人だ。拾ってこれなかった方は晩飯抜」
「誰が亀仙流の修業させろっつったデスかッ!!」
「ごっはぁ!!?」
あ、切ちゃんが思いっきりクリス先輩に重りを投げつけた。
え、えっと、亀仙流って何なの?
「まさかどこかでカメセンリュウとやらにパクられていたのか……?」
「パクったのはそっちデスよ! ドラゴンボールやってんじゃないデス!!」
ど、ドラゴンボール? さっきから一体何が……?
「もう、クリスちゃん。これじゃあ違うよ」
「そうだったか?」
「うん。背負う物から違うよ」
「あたしは二人がこんなパチモンみたいな修業で強くなったと勘違いしかけたデスよ。調なんて純粋なんデスから、絶賛頭の中がハテナで一杯になってるじゃないデスか。可愛いデスけど」
そ、そんな、急に可愛いだなんて照れちゃう……
「それじゃあ、わたしが本当の特訓を教えるよ」
ほ、本当の特訓!
クリス先輩は間違っていたっぽいし、しっかりとした物を教えてもらおう!
え? その前に甲羅は下ろしていい? そうなんだ。
「背負うのは甲羅じゃなくって、このインストラクターだよ」
「またインストラクターじゃないデスか!!」
い、インストラクター? っていうかその二人のインストラクターはどこから出てきたの?
「今からこの、響って書いたインストラクターを外に投げるよ」
「だからインストラクターはもういいって言ってるじゃないデスか!!」
「適当なインストラクターを拾って響って書いても無駄だからね。文字で分かるから」
「顔で分かれデスッ!!」
い、インストラクターって投げる物じゃないと思うけど……
でも、投げられたインストラクターを拾ってこればいいんだね!
「もうやってらんねぇデス! 調、行くデスよ!」
「い、行くって? 今響さんがインストラクターを投げるみたいだし……」
「投げねぇデスよ! インストラクター拾いだなんて罰ゲームやる気にもならないデス!!」
ちょ、切ちゃん、まだ響さんにお土産のお菓子渡してないから、せめてそれだけでもぉ!
****
「……行ったね」
「それでいいのよ」
まったくもう。二人とも、そんな事で悩んじゃうなんて。
「自分の行く道は、自分で決める物だ」
「修業の第一関門、突破ですね」
そう、これがわたし達の考えた修業。
わたし達はいつも、悩んで悩んで、その結果、自分達で道を見出して自分が強くなる道を歩んできた。だから、誰かに与えられるだけの道じゃなくて、自分で選んだ道を行って欲しいんだ。
「弱音なんて吐いたら承知しないわよ」
「まぁ、アタシ達はいつでも見守ってるからな。なんやかんやで、アタシにゃ勿体ないくらい、良くできた後輩だからな」
そうだね。だからこそ、間違った道は行ってほしくない。
「ソウ、ワタシ達ハ」
うん、インストラクターさん。
わたし達は。
『あなた達の、人生のインストラクターなのだから』
と、いう事で本来は月読調の華麗なるインストラクターという名前で投稿しようとした話でした。たまには内心で荒ぶらない銀魂ネタの調ちゃんが書きたかった。
実はグレ調時空の続きを投稿しようと思ったんですけど、間に合いませんでした。まだ話の中盤にもいってないのに二万文字はヤバすぎる。
それでXV八話……ヤバかったですね。
マジでキャロルが仲間になって、それからキャロルの大立ち回り。やっぱキャロルつえぇっすわ。流石GXラスボス……というか、アダムとか除けば本編で登場した錬金術師の中でも最強レベル。アレが仲間になるのは心強すぎる。
しかも装者達の方もキャロルの七十億のフォニックゲインでGX版が主体になった新デザインのエクスドライブになって……! しかも最後にシェムハが……! オッス我シェムハ。へいきへっちゃらよりも(ピー)-LA HEAD-CHA-LA。
いや、もう八話ホントに凄すぎました。ただ、これ十三話で終わるのかなとw ここでエクスドライブまで出してきちゃったわけですし、まだアマルガムがビッキー以外出てきてませんし。ワンチャン、続きは劇場で! とか?
あと、何気に調ちゃんの初絶唱顔。血涙だけで良かったと言うべきか、もうちょっとアップでもよかったと思うべきか。ただソロ絶唱がまだ無いから……調ちゃんのソロ絶唱ください。
というか、エクスドライブがあそこまでボロボロになったのって初めてですかね? あと、きりしらのミサイルじゃなくビームサーカスで一瞬調ちゃんのアップが見えたような気がしたのは気のせいでしょうか。あっ、可愛いってつい思ったんですけど。