月読調の華麗なる日常   作:黄金馬鹿

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今回はグレ調時空の続きです。多分、グレ調時空はこれで終わりかなーとは思います。

前回の片割れみたいに、長くても一万文字くらいで終わるかなーとか思ったらまさかのその五倍近い文字数になり、やむを得ず分割。前後で更新しますが、前が三万文字近く、後が二万文字ちょっとあります。

機械仕掛けの奇跡をやりつつ、三期の要素を回収するのは流石に一万文字じゃ終わらなかった……! メモ帳の容量が138KBとかいう今まで見た事ない程の容量になりました。

あと、大分独自設定ぶち込みました。なので今回は独自設定注意です。

それと、キャロル&エルフナインは味方になります。先んじて仲間verのキャロルを書かせてもらおうか!

って、緒川さん!!?(XD)


月読調の華麗なる奇跡・前

「パパの遺言……世界を知れという遺言は、これで果たせたのかな?」

「さぁな。まだ世界を徒歩と船で一周しただけだ。世界を知ったとは言えんだろう」

「そうですね……でも、もしもキャロルにボクが居なかったら、キャロルってば今頃何をしていたか分からないよね。もしかしたら、世界を解剖して世界を知る、とか狂言吹いてた可能性もあるし」

「……否定できんな。お前にぶん殴られて説教されなきゃそうだったかもしれん。妹に説教される姉なぞ、威厳も何もあった物じゃない……」

「双子なんだから、姉も妹もあったものじゃないと思うけど」

「あるんだよ。少なくとも、姉と言われてパパに育てられた身としてはな」

「そういう物なのかなぁ……? ……それで、どうするの?」

「そうさな……万象黙示録でも完成させるか?」

「キャロル……? ボク、言いましたよね? それを完成させるんならこっちにも……」

「分かってる分かってる! 冗談だ! というか、ダインスレイフの欠片はオレが持っているが、ヤントラサルヴァスパはお前に預けたままだろう。だったらどっちにしろ無理だ」

「え? ボク、ヤントラサルヴァスパは受け取ってませんけど」

「……ん? いや、オレはお前に渡したぞ? ほら、百年ほど前に」

「いや、キャロルからそんなの受け取ってませんけど。でも、百年前と言えば、路銀を得るために幾つか聖遺物を国に売ったような……」

「………………さて、旅を続けるか」

「キャロル? ヤントラサルヴァスパがもし非道な人に渡ったらどうなるか……分かりますよね?」

「……クソがっ!! あぁ分かった! 責任取ればいいんだろう!! 癪だがな!!」

「全くもう……ボクはいつも通り、テレポートジェムとかお布施用の錬金術体験キットを作ってますから、キャロルは荒事が起こった時のために準備しておいてくださいね?」

「くっ……! オレはいつまで妹の尻に敷かれればいいんだ……!!」

「何か悪い事したら……分かってるよね?」

「するか! ンな事したらパパにあの世で何言われるか分かったもんじゃないからな!」

 

 

****

 

 

 フロンティア事変は相当大変な事になったけど、結果的には万事解決の終わりよければ全てよしという形で終える事ができた。

 でも、それだけで問題は終わらなかったというのが今回のオチだったりする。

 わたしが直前の任務で回収した女の子、シャロンにまつわる問題が起きてしまった。

 シャロンは孤児で、どうやらあの研究所に引き取られていたんだけど、そこで様々な非人道的実験をさせられた結果、シャロンはとんでもない存在になってしまっていた。

 それが。

 

「聖遺物との融合症例……まさか、響くんの事が解決した直後にこの問題が来てしまうとはな……」

「聖遺物は不明……しかし、放っておけば確実に彼女は命を落とす事でしょう」

 

 そう、聖遺物との融合。シャロンは実験の末、体に聖遺物を埋め込まれた状態で救出された。

 もしここに神獣鏡があるんなら、シャロンに神獣鏡の力を使う事で問題は万事解決したんだけど、神獣鏡のギアはフロンティア事変の際に響先輩の体内のガングニールの破片と共に消失。平行世界の未来さんに救援を望むしかなくなってしまった。

 でも、それは最終手段。全てが平行世界頼りになってしまえば、わたし達が居る意味がない。だから、わたし達が自力で解決しなきゃいけない。

 けど……

 

「これに関しては、わたし達は無力……」

「果報を寝て待つ事しかできぬか……」

 

 集中治療室で眠るシャロンの映像を、わたし達は眺めるしかできない。

 聖遺物との融合は、体にメスを入れて取り出せばいいって問題じゃない。元から聖遺物との融合を基に始められた実験だからか、シャロンの体は言うならば、聖遺物の苗床に変化しつつある。そこから核とも言える聖遺物を摘出したんなら、どうなるか。

 もしかしたらシャロンはそれで死んでしまうかもしれない。そうじゃなくても、体に何らかの異常が発生して、一生眠ったままという可能性もある。

 それをどうにかできる唯一の方法が、聖遺物の影響すら消し去る事ができる神獣鏡だったんだけど……

 

「……ん? 司令、どうやら来客みたいです」

 

 とか思っていたら、オペレーターの藤尭さんがパッとしない声で来客を告げた。

 今時来客……?

 

「来客? 誰だ」

「さぁ……? どうやら日本政府からの許可証を片手に、やんとらさるヴぁすぱ? とやらを受け取りに来たとか言っているみたいで……」

 

 や、ヤントラ……なに?

 わたし達、そんなの持ってないんだけど……でも、どうやら日本政府からの許可証は本物らしくて、結局来客を迎え入れる事に。

 どうやら女の子二人組らしくて、歳はわたし達よりも下。シャロンとほぼ同じくらいの身長の子が二人らしい。

 本当に誰……? 新しい装者、とか?

 とにかく来客を管制室に呼ぶわけにもいかないから、食堂で来客に対応する事に。一応、わたし達装者四人も何かあった時のためにそこへ向かった。

 で、食堂で待っていたのは。

 

「あぁ、来たか」

「お忙しい中、急にすみません」

 

 トンガリ帽子を被った、ヤケにゴテゴテとした服を着た子と、若草色のワンピースを着た女の子。

 なんというか……わざわざここに来る意味がない子と言いますか……

 

「あ、あぁ……待たせてすまないな」

 

 風鳴司令はそう言うと、司令補佐であるマムと共に二人の少女の前に座って、わたし達もその横に一列に座る事になった。

 

「それで、君達は一体?」

「オレ達はここに運び込まれた完全聖遺物、ヤントラサルヴァスパの回収に来た。アレは管理を少しでも間違えばとんでもない悲劇を引き起こすモノだからな」

 

 ヤントラサルヴァスパ……? しかも完全聖遺物って……

 少なくともわたしは聞いた事が無い聖遺物の名前。響先輩達にも知っているか目配せしてみたけど、三人は首を横に振るだけ。どうやら響先輩達が回収した聖遺物というわけでもないみたい。

 

「ヤントラサルヴァスパ……一応、資料では見た事がありますね。しかし、ここにはそんなモノはありません」

 

 マムの言葉に風鳴司令も頷く。けど、対面の、ちょっと口調が強めの子は少し不機嫌そうに顔を顰めるだけ。けど、もう一人の子はどこか会話の歯車が噛み合ってないのが分かったみたいで、首を傾げてる。

 どういう事なんだろう?

 少なくとも装者はヤントラサルヴァスパなんて回収した覚えはないけど……

 

「馬鹿を言うな。いいからとっととヤントラサルヴァスパを出せ。封印処置をしているのならまだしも、剥き身で持っていたらいつ自滅を誘うか分からんぞ」

「いや、本当に俺達はヤントラサルヴァスパなどという聖遺物は知らん。調査履歴を見るか? この許可証はそれすら可能にできるぞ」

「だからそこまでする気は無い。ヤントラサルヴァスパを渡せば終わる話だ」

「だからヤントラサルヴァスパという聖遺物は――」

 

 本当に会話が致命的に噛み合っていない。

 どうすればいいんだろう……わたし達が口を差し込めるような事でもないだろうし……

 とりあえず、わたしが一度席を立って直近……というか、SONGができてからの調査と聖遺物の回収履歴を管制室で貰ってきた。部外秘だけど、あの許可証はそれができる物だから。

 印刷してきた履歴を、未だに口頭合戦している三人ではなく、若草色の子に手渡してみると、その子は書類をササっと見た。

 

「……あっ、キャロル。もしかして……」

「ん? ……あぁ、マジか……そういう事か……」

「これが本当なら相当……」

「ヤバいな……アレは万象の鍵とも言える聖遺物だぞ……マッド共はなんつーことを……」

 

 紙を見ていた二人は何やら納得したように呟くと、額に手を当てて思いっきり溜め息を吐いた。

 えっ、なに? わたし、何かマズい事した……? わたし、ただ印刷してきて持ってきただけだよ……?

 

「……この、シャロンという娘か。この娘と会わせてほしい」

「シャロンくんとか? しかし、彼女は……」

「恐らくこの娘に植え付けられた聖遺物とやら。これがヤントラサルヴァスパだ」

「なんだと!?」

 

 えっ……!?

 

「ったく、面倒な事になった……どうする、エルフナイン」

「ボク達の目的は、ヤントラサルヴァスパの回収です。それは揺るぎません」

「待て。もしシャロンくんに手を出そうと考えているのなら」

「そんな野蛮な事をするものか。お前達、この娘を助けたいのならオレ達をここに暫く置け。こうなったのはオレのせいでもあるからな。ヤントラサルヴァスパをこの娘から無事に引き剥がしてやる。ただし、ヤントラサルヴァスパ本体はオレ達が保管する。悪用されないためにな」

「そんな事ができるのですか? 彼女の体から聖遺物……ヤントラサルヴァスパを無理矢理にでも引き剥がせば、どうなるか分かった物では」

「ボク達にとって解剖と分解は朝飯前です。それに、この子はボク達のうっかりの被害者ですから、傷一つなくヤントラサルヴァスパを摘出する事を約束します」

 

 そ、それって、丁度かかえたわたし達の問題を解決する事に繋がるんじゃ……!!

 風鳴司令もマムも、ちょっと怪訝そうに顔を顰めたけど、わたし達にシャロンをどうにかする手は浮かばないから、二人の提案を受け入れる事にした。

 

「協力、感謝する」

「それじゃあ、早速ボク達はヤントラサルヴァスパの摘出の準備を……」

「待ちたまえ。その前に、君達の名前を聞かせてくれないか? こちとら国家機密組織だ。せめて記録を取るために名前くらいは聞かせてほしい」

 

 つまり、これから暫くは友好関係になるんだから、自己紹介くらいはしようって事。

 

「それもそうか。オレの名はキャロル・マールス・ディーンハイム。ただの錬金術師だ」

「ボクはエルフナイン・マールス・ディーンハイムです。錬金術師をやってます」

 

 へぇ、錬金術……へ?

 

「あ、これ、錬金術体験キットです。ちょっとは錬金術を知る助けにはなると思います。あと、こっちがアメリカのお土産で、こっちがアマゾン川で売ってたお土産で、こっちが中国で、あとこっちがイタリアとイギリスで、それからこっちが」

「いい加減にしろ、愚妹」

「いたっ。叩く事ないでしょ」

「相手が混乱しているだろうが。せめてそういう時は一か国だけにするか、纏めておけと」

「あ、そうだね。じゃあまずはこのアメリカのお土産を」

 

 ……いや、そうじゃなくって。

 あの……錬金術ってなんですか……?

 

 

****

 

 

 錬金術というのは、どうやらわたし達が想像している魔法に似たような物みたい。

 何かを燃焼する事によって魔力を錬成して、それを基に力を行使する、っていうのが錬金術の大雑把な解説で、その何かについてはそれぞれの技術体系によって変化するとかなんとか。それがエルフナインが持ってきた錬金術体験キットの説明書に書いてあった事。

 錬金術体験キット内にある小さな魔力を使う事で、火を起こしたり水を出したり、っていう遊びができるみたい。

 試しにやってみたけど、魔力を固めた石みたいなのを片手に、ペンや木の棒を持って特定の文字を描くと、石が小さくなる代わりに火や水が出てくる。そんな簡単な錬金術が誰でも楽しめます。

 

「しかし、錬金術……我等の知らぬ異端技術、か」

「聖遺物やシンフォギアの他にも錬金術などという異端技術があったとは……夢幻の存在ではなかったという事ですね」

「まぁ、現代を生きる者からしたら無理もない事だ。錬金術は中世に一部の人間の間で広まった異端の力だ。まぁ、フィクションで言う魔法代わりの代物だが、それ故に異端として扱われて恐怖された。魔女狩りなんてのもその一つだな」

 

 魔女狩り……確か、その名の通り魔女を異端者として狩るために行われた事、だっけ。それで死んだ人は凄い多くって、魔女と言いながらも男の人までもが殺された。

 わたし達はそんなのを見た事が無いから何とも言えないけど、多分、凄い悲しい事が起こり続けたって事だけは分かる。

 

「ならば、キャロルくん達はどこでそれを知ったのだ? まだ十代も前半だろうに」

「オレはもう何百年も生きている錬金術師だ。エルフナインもな。当時から錬金術を齧ってきている、業界面ではトップクラスの錬金術師だ。外面だけで人を判断するな」

 

 えっ。

 っていう事は、キャロルって見た目は子供だけど中身はお婆ちゃんって事……?

 

「……誰がババアだ」

「えっ、き、聞こえてた……?」

 

 ば、ババアとは言ってないけど、もしかして無意識のうちに声に出てたとか……? それだったらちょっと失礼な事をしちゃったかも……

 

「顔を見れば分かる。まぁ、悪気はないようだから勘弁してやるが……色々と裏技があってな」

「裏技?」

「自分の記憶……まぁ、脳ミソの中身を空っぽの肉体に移す。そうすれば人間は新たな肉体がある内はいつまでも生きていく事が可能だ。もしくは、完全なる肉体に体を入れ変える事だな。そうする事で不老長寿になる事はできる」

 

 そ、それって、元の肉体は死んでいるから生きているって言える……のかな?

 

「言いたい事は分かる。だが、オレ達錬金術師にとっては結果が全てのような物だ。それに、こうして本人が生きていると言っているんだ。それでいいだろう」

 

 そう、なのかな。

 

「っていうかキャロルちゃん」

「なんだ。というかちゃん付けは止めろ」

 

 わたしが一人で首を捻っていると、いち早く哲学的な問題から抜け出した響先輩がキャロルに声をかけた。確かに、キャロルって外見上はキャロルちゃん、だけど中身はキャロルさん、だよね……そこら辺どうなんだろう。本人はちゃん付けじゃなければ良さそうだけども。

 一応、わたしはキャロルって呼び捨てしてるし、それをキャロル本人も受け入れてくれてるからいいんだけど。

 

「キャロルちゃんはエルフナインちゃんの作業を手伝わなくてもいいの?」

「役割分担だ。オレもやれないことは無いが、エルフナインは戦闘系の錬金術を完全に捨てた代わりに、オレよりもこうした作業は得意だからな。オレは万一に備えているだけだ」

「万が一? でも、最近はノイズも出てこないし、そんな問題なんて起こらないと思うけど……」

「さてな。ヤントラサルヴァスパの利用価値は尋常じゃない。やろうと思えばここを一瞬で無力化、制圧する事だってできてしまうくらいの力を持っている。それを利用しない人間はいないだろう」

 

 キャロルは簡単に言ってみせたけど、響先輩を除く、翼先輩とクリス先輩。それから、司令とマム、わたしはその簡単な言葉に驚愕した。

 ヤントラサルヴァスパの力。わたし達はよく分かっていないけど、キャロルの言ったことが本当だとしたら。装者を内包するこのSONG本部を無力化できてしまうような力を本当に持っているのなら。

 そんな聖遺物は野放しにはできないし、たった一人の女の子の体に埋め込んでいいものじゃない。

 

「……なんだ、お前らは知らんのか」

 

 驚愕しているわたし達にキャロルがそんな事を言ってきた。

 ヤントラサルヴァスパの事を詳しく調べていないだけ、とも言えるんだけど、キャロルの言った通り、わたし達はヤントラサルヴァスパの力を知らない。わたしが頷くと、キャロルは溜め息を一つ吐いた。

 

「一応、教えておいてやる。ヤントラサルヴァスパは、言うならば様々な機械へのスケルトンキーのような物だ。様々な機械のコントロールを奪い、新たな力を与える事もできれば、沈黙させる事だってできる」

 

 そ、そんな聖遺物があるんだ……

 でも、それを悪用しようと思ったら、どれだけでも悪用なんてできるよね。確かにこの本部もヤントラサルヴァスパの力があれば一瞬で制御を乗っ取って無効化だってできてしまえそう。

 司令とマム、それに響先輩達もヤントラサルヴァスパの力に思わず息を呑んだ。そんなモノを体内に埋め込まれ、更には大人に悪用されようとしているシャロンを。小さいのにも関わらず、その身に課せられそうになった最悪のシャロンの運命を考えるだけで、あまり心象は穏やかじゃない。

 

「……そんな顔をするな。そのためにオレ達が居る。一応、オレは面倒には関わらない主義だが、自分の引き起こしたことに関しては別だ。今回の事に罪悪感が無いわけでもないしな」

「ん? つまりどういう事だ? これはキャロルくん。君が問題の発生源だとでも言いたいのか?」

「まぁ、直接的な物ではないがな。ヤントラサルヴァスパは元々、オレの計画に必要だった聖遺物で、オレの手元にあった。それをちょっと、な。こう、紛失してしまったが故にこうなった。まぁ、その、そうだ。ちょっと色々とあってな」

 

 なんかキャロルの目が泳ぎまくってるけど、多分嘘は言っていない。ただ言葉を分厚いオブラートに包みこんでいるだけで、それ以外には特に何も無いと思う。

 確かにキャロルがヤントラサルヴァスパを手放したことが原因かもしれない。

 けど、シャロンの問題はそんな事は些細とも言える事から始まっているから、特に司令もマムも、キャロルを責めるような目はしていない。

 

「そうか。だが、シャロンくんの件は聖遺物を悪用しようとした汚い大人たちのせいだ。キャロルくんのせいではない」

「そうですよ。あまり気にしないでください。こちらとしては八方塞がりだった問題に手を貸してくれるだけ、御の字という物ですから」

「……ふん。まぁ、オレが撒いた種なのは変わらん。責任はとるさ」

 

 キャロルが若干照れてるのが分かったけど、みんなそれを言及はしなかった。

 なんかこう、これ以上顔を赤くさせたら錬金術飛んできそうだし。

 で、重苦しい話も一応終わったから、ここからは雑談タイム……なんだけど。

 

「そ、その、だな。キャロルくん。錬金術を使えるという事は、こう、手をパンとしてな」

「は?」

「ほら、キャロルちゃん! こう、手をパンってやって、ドンってやる感じの!」

「いや、何を言って……あぁ、そういう事か。アレだろ、ハガレンできるのかって事だろ」

「で、できないかな……?」

「できるのならこう、男のロマン故に見てみたいというだけでな」

「……しょうがない。そこまで期待されたのならやってやろう! 見ろ、これがマジモンの手パン錬金だ!」

『おぉ!!』

「更に指パッチンで炎まで起こしてやる!!」

『おおぉぉぉ!!』

 

 案外ノリが良いキャロルと司令と響先輩のキラキラした目が妙に噛み合ったのか、キャロルが色々と錬金術を披露して、最終的には錬金術ショーみたいな感じになった。

 手パン錬金とか言って、手を音を立てて合わせてから、机や椅子を別の物に組み替えたりしていて、普通に凄いとは思ったけど、ハガレンってなんだろう? 日本のアニメとか? なんかクリス先輩もちょっとニヤニヤしているし。

 とりあえず今度、わたしも調べてみよっと。

 

 

****

 

 

 夜中。響先輩達は帰宅して、わたしは本部内にあてがわれた私室でのんびりとしている。

 わたしにも本来、親代わりのマムと一緒にアパートとかの一室が与えられる予定だったんだけど、マムがあまり帰らないし、こっちで泊まり込む事が多いから、それなら普段は本部内にあてがわれた私室でのんびりして、休日になったら一緒に帰る形にしようって事になって、わたしとマムは普段は本部内の私室で暮らしている。

 今日もマムは仕事が長引いているから、わたしは一人でアニメを見ている。さっき響先輩達が言っていたハガレンってアニメなんだけど、これが結構面白い。

 確かにこれをリアルでやってくれる人がいたら凄いかも。

 明日、またやれないか聞いてみようかな……

 

『調さん、今、大丈夫ですか?』

 

 とか思ってたら聞き慣れないノックと一緒に声が聞こえてきた。

 この声は……確か、エルフナイン? 今は作業中だったと思うんだけど……とりあえず、返事を一つしてからドアを開けてエルフナインを招き入れる。

 

「どうしたの、エルフナイン……って、あれ?」

 

 ドアを開けると、そこに居たのはエルフナインと、もう一人。

 

「シャロン? どうしてここに?」

 

 そう。エルフナインの後ろに引っ付くようにシャロンが一緒に居た。

 まさかの来客に驚いたし、そもそも目が覚めたのが以外だったし、それにまだシャロンの体内の聖遺物をどうにかする作業の真っ最中だった気がするから、わたしの中で混乱が強くなる。

 

「作業の方が一段落ついたんです。まだヤントラサルヴァスパの摘出はできてませんが、目を覚まして歩ける程度には回復したので、ここまで連れてきたんです」

 

 あぁ、そういう事。

 

「でも、どうしてここに? ここ、わたしとマムの部屋だけど……」

「それはですね」

 

 エルフナインが説明しようとした時、その背後にいたシャロンがいきなり飛び出してわたしに抱き着いてきた。

 いきなりの行動にビックリしたけど、この程度で転ぶような柔な鍛え方はしてません。シャロンを抱きとめてエルフナインに視線を飛ばすと、エルフナインは苦笑している。

 

「シャロンさんはどうやら、自分を助けてくれた調さんと一緒に居る方が安心できるみたいで。ボクなんて目が覚めた瞬間、思いっきり距離取られましたからね。すぐに筆談で調さんに会いたいって言われたので連れてきたんですけど……」

 

 まさかエルフナインも、ここまでシャロンがわたしに懐いているのは予想外だったようで、苦笑を浮かべたまま。

 

「と、とにかく、どうしたらいいの?」

「シャロンさんと一緒に居てあげてください。ボクの方は今日得たデータを基にシャロンさんの救出案を練り直さなければいけませんから」

「練り直す……? それって?」

「……予想以上にシャロンさんの体にヤントラサルヴァスパが馴染んでしまっているんです。いえ、寧ろシャロンさんの体がそれ用に調整されたとでもいいましょうか。ボクが想定したよりもかなり早く、そして根深くヤントラサルヴァスパは根付いてしまってるんです。当初、用意していたボクの案では救出できない程にヤントラサルヴァスパは馴染んでしまっています」

「っ……それって、もしかしてシャロンは」

「そんなもしもはありません。当初用意していた手が使えないだけで、ここには機材も情報もあります。時間はかかってしまいますが、確実にシャロンさんは助けます。ボクの錬金術師としての誇りもありますから、絶対です」

 

 エルフナインの印象は、どこかポヤポヤした女の子って感じだったけど、今見せた目つきと言葉は、どこかキャロルみたいに自信にあふれた言葉だった。

 外見と言い、言葉といい。姉妹らしいし似ているなー、なんて思いながら、エルフナインを軽く応援してから、わたしは改めてわたしに抱き着いてきたシャロンを連れて部屋に戻った。

 とは言ってもなぁ……

 

「……わたしも、あんまりコミュニケーションは得意な方じゃないし」

 

 だってわたし、七年か八年か忘れたけど、それくらいの年月、コミュニケーションを放棄してきた根暗少女だから、シャロンを前にどうしたらいいか……

 エルフナインが戻っていってから、急に離れて部屋の端っこの方でポツンとし始めちゃったし。

 うーん……

 

「シャロン、この部屋にある物は何でも使っていいから。ベッドは、わたしと一緒になっちゃうけど、いいかな?」

 

 わたしの言葉にシャロンは一つ頷いて、座ったら? とわたしが腰かけているベッドの横を叩けば、シャロンは大分ビクビクとしながらわたしの横に座ってきた。

 なんだろう。小動物的で可愛いんだけど……人に親切にされることが慣れてない感じ。

 ……それもそっか。あんな違法な研究所で実験台にされてきたんだから、扱いなんて雑極まりなかっただろうし、怖かっただろうし、娯楽なんて物も無かっただろうし。

 かく言うわたしも、娯楽なんて最近触れ始めたから、何が最近の流行りとかは分からないけど。

 

「……とりあえず、アニメでも見よっか。何もしないのも暇だからね」

 

 何もしないのもアレだから、シャロンと一緒にさっきまで見ていたアニメを見る事にした。

 この部屋、壁が真っ白だからプロジェクターと壁を使えば映画館っぽくできるんだよね。それで大迫力なアニメを見ていると、シャロンも何となく気に入ってくれたようで、さっきまでのビクビクはちょっとだけ取れていた。

 で、その後は夜も遅かったから一緒に寝たんだけど……シャロン、いい感じに温くっていい抱き枕になってくれました。翌朝、いつの間にか戻ってきていたマムに笑われて恥ずかしかったケド。

 

 

****

 

 

 翌日、響先輩達は学校に行ったけど、わたしは本部で待機。一応、マムや職員の人に家庭教師をしてもらってるから、勉強はしてるけどね。ちなみにその間、シャロンはずっとわたしの側に居た。拒絶する理由も無いし、時折、わたしの息抜きにも付き合ってくれるから、何も問題は無いからね。

 けど、それも終わってシャロンと一緒に管制室に顔を出せば、キャロルとエルフナインの二人が司令と顔を合わせていた。ちなみにマムは今日、病院で検査の日だから居ないよ。

 

「シャロンという娘についてオレ達でも調べてみた。そうしたら妙な事が……ん? 噂をすれば影とやらか」

「調くんにシャロンくんか。どうした?」

「いえ。その、暇になったので」

 

 シャロンも頷いたけど、キャロルが妙な事を言っていた。

 シャロンについて調べていた? 一体何を……

 

「……この話題はここで言うべきではないな。なに、お前が居た研究所に怪しい点があったというだけだ。誰もが分かっている事を掘り下げただけにすぎないから安心しろ」

 

 キャロルは優しい顔でシャロンにそう言うと、そのままシャロンの頭を撫でた。

 やっぱりかなり年上だし、色々と知っているからか、子供を安心させる方法も知ってるみたいだけど……シャロンは撫でられるのが止まった時点で即座にわたしの後ろに引っ込んだ。

 

「あー。嫌われちゃったね、キャロル」

「黙れエルフナイン」

 

 エルフナインの揶揄いに割と本気でキレてる感じの声を出すキャロル。それを聞いてびくっとするシャロン。

 

「シャロン、大丈夫だから。っていうか、キャロルってあんな顔もできたんだ」

「……オレの目的は、弱き者を守る事でもあるから、な。パパがそうだったように、オレもそうありたい。それだけだ」

「キャロルの、お父さん?」

「立派な人だったさ。異端を恐れた者達によって処刑されたがな」

 

 っ……それ、は。

 

「そんな顔をするな。オレの中ではもう過ぎ去った事だ」

「何が過ぎ去った事なのやら。パパが殺されてから百年くらいはこの世界ぶっ壊す! って息巻いてボクとマジの喧嘩をしたのに」

「わ、若気の至りだ! というかお前も止めるのが遅いんだよ!」

「中二病か何かかと思って放っておいただけだから。まさか本当に実行しかけるなんて、これだからキャロルは……」

「おまっ……! いいだろう、数百年振りに喧嘩するか……?」

「トラップ発動、一ヵ月ご飯抜き」

「ごめんなさい」

「よわっ」

 

 あまりの弱さに思わず声が出てしまった。

 けど、キャロルがこの世界を壊そうとした理由、何となく分かる。

 わたしも、切ちゃん達に助けられるまではこんな世界、どうなったっていいって思ってたから。装者をやっていたのも、カルマノイズを殺すためって側面が強かったし。

 だから、親しい人を殺されて自暴自棄になるのも何となく分かる。

 そんな風に思っていると、キャロルがこっちを見て口を開いて……

 

「これは……日本政府からの装者の出動要請!? 司令!」

 

 アラートが鳴った。

 その直後、オペレーターの友里さんが声を上げて司令からの指示を待つ。急な事態にわたし達の気が一気に引き締まって、シャロンは大きなアラートを聞いて身を縮めてしまった。

 シャロンに大丈夫、と言いながらそっと背中に手を回してあげて、わたしは司令の指示でモニターに出てきた映像を見る。

 こ、これは……!?

 

「馬鹿な……これは、ノイズだとぉ!!?」

 

 の、ノイズ……!?

 そんな、どうしてノイズがまた!?

 

「あれは……チッ。厄介な事に」

「現状報告! 急げ!!」

「数分前、急にノイズは出現した模様! また、下校途中だったガングニール、天羽々斬、イチイバルが既に交戦準備に入っています!」

「三人が既に向かっているか……回線を繋げ!」

「了解! 回線、繋がります!」

 

 わたしは呆然としているけど、友里さんや司令の行動はかなり迅速。例え想定外の事が起きようと、確実に、冷静に対処できるような訓練をしたからか、本当に行動は迅速。

 モニターに表示されるマップを見ると、ノイズの発生源から少し離れた場所に響先輩達の反応がある。下校途中だったって言うから、多分未来先輩は一足先に逃げていると思うけど……

 友里さんの声と一緒に響先輩達と通信が繋がる。

 

「三人とも! 事態は把握できているか!?」

『一応、ノイズが出てきたという事くらいは!』

『もう現場に向かっている! 避難誘導を頼んだ!』

「分かった! こちらから調くんと誘導部隊を向かわせて市民の誘導に当たらせる! 調くん、頼めるか」

「了解。迅速に現場に向かい、市民誘導とノイズの対処を行います」

「頼んだ。響くん達はそのままノイズを排除しろ!」

 

 頭の中をいつもの状態から仕事用に切り替える。

 ノイズの犠牲を出すわけにはいかない。

 

「シャロン、ちょっとだけ行ってくるから」

 

 シャロンにそっと告げるけど、シャロンは首を横に振った。

 多分、シャロンも一人じゃ寂しいから拒否したんだろうけど……わたしは行かなきゃ。

 

「大丈夫。絶対に帰ってくるから。帰ってきたら、一緒にお出かけでもしよう?」

 

 一方的に告げて、司令からインカムを受け取って耳につけてから管制室を出る。このインカムは管制室と繋がっているから、現状をリアルタイムで確認する事ができる。

 誘導部隊の人は車での移動だけど、わたしはあの三人を除けば唯一ノイズに対抗できる人間。だから、誰よりも早く先に到着して、誘導部隊の人が犠牲にならないためにノイズを予め殲滅する必要がある。だから、本部内にある装者移動用のミサイルの中に搭乗して、LiNKERを首に打ち込んでから発射の時を待つ。

 数秒待てば即座に発射。既に慣れた感覚と共にミサイルに乗って空を飛ぶ。

 

『ガングニール、天羽々斬、イチイバル、ノイズと交戦開始!』

『待ってください! アレと戦わせちゃダメです! キャロル、早く援護に!!』

『駄目だ、あそこにはテレポートジェムの転移先を設定できていない! オレが行くまで時間稼ぎに徹しろ! 絶対に相手の攻撃に当たるな! 掠る事も許されん!』

『なに、それは一体どういう……』

 

 管制室からの音声がそのまま聞こえるけど……キャロルとエルフナインは一体何を?

 ノイズ程度ならシンフォギアを使えば大丈夫だけど……もしかして、二人はシンフォギアの事を知らないのかな? それならこの反応も納得だけど……

 

『アレはアルカノイズ! ノイズを基に錬金術を用いて作られた兵器です! その分解能力は、接触する場所によっては害はありませんが、ノイズと比べて数段階も上です!! シンフォギアだろうとアレは分解します!』

『なん、だと!? マズい、三人とも、撤退を……』

『そ、そんな……!? ガングニール、天羽々斬、イチイバルのフォニックゲインが低下して……ギアが、破壊された!!? 衣服のコンバーターシステムまでもが破壊されて……マズいです、装者三人が丸腰のままノイズに囲まれました!!』

 

 そ、そんな……!? シンフォギアがノイズに分解される……!?

 しかも、ノイズに囲まれたって……くっ、行くしかない!

 シュルシャガナ。お願い、力を貸して……! 外装、パージ!

 

『っ!? 装者運送用ミサイルの外装、パージされました!』

『待て、調くん! あのノイズは!』

「それでもわたしが行かなきゃ三人が死んじゃうのなら!! Various shul shagana tron!!」

 

 ミサイルから飛び出してギアを纏う。そして、アームドギアの先端と腰のバーニアで空中で一気に加速。そのままアルカノイズが出現している場所を肉眼で確認。

 行ける。間に合う!

 例え分解されるのだとしても、攻撃の一切合切を避けられるのなら、ギアを分解なんてされない!

 

「ハアァァァァァ!!」

 

 響先輩達に触れようとしていたノイズ達……確か、アルカノイズを上空から強襲。百輪廻で意識をこっちに引き付けて、着地と同時に響先輩達をアームドギアから延ばしたマシンアームとわたしの両手で捕まえて近くのビルの屋上へと避難させる。

 

「た、助かった……?」

「すまん、月読。油断してしまった……!」

「どういうこったよ、あのノイズは……!」

 

 先輩達は悔しそうな顔をしている。

 けど、わたしは近くの監視カメラから三人の体を隠しつつ、叫ぶ。

 

「っていうか何で三人とも全裸なんですか!? そういう趣味ですか!?」

『断じて違う!!』

 

 いや、だってこんな土壇場で全裸って、流石に考え……あっ。

 そういえばコンバーターシステムが破壊されたって言ってたから、服が戻ってこないんだ……って事は、三人はどこかで服を確保しない限りは全裸のまま……?

 と、とりあえずどこかで服を確保してこないと。

 

『よくやってくれた、調くん! 三人の事はこっちに任せろ!』

「いや、三人とも全裸ですよ!?」

『大丈夫よ、既に野郎どもの目は私が潰しておいたわ! それに回収班も女性だから問題はないわ!』

『しかし友里くん、俺の目に指を突っ込むのは……』

『男は見るな喋るな! 一時的に指揮権をはく奪します!』

『お、おう……』

 

 ……なんかあっちが修羅場になってるなぁ。

 でも、ここからはわたし一人でやらないと。屋上から下を覗けば、アルカノイズ達がこっちを仕留めようとして来ている。それ以外にも、わたし達から意識を離してどこかへ行こうとするアルカノイズも見える。

 下に行って戦いたいけど、ここでわたしまでギアを失ったら、本格的にアルカノイズへの対抗手段が無くなっちゃう。でも、行かなきゃ大勢が犠牲になる。

 ……切ちゃん、力を貸して。この怪物どもからみんなを守るための力を!

 

「……行きます」

『待って、調ちゃん! ここは撤退を!』

「そうだ月読! お前のギアが最後の砦なのだ! 早まるんじゃない!」

「行かなきゃ、みんなが死ぬのなら。行かずにみんなを殺すのなら!! 世界が守れないのなら、わたしが守ってみせる!!」

 

 友里さんと翼先輩の言葉を無視して、わたしは屋上から飛び降りる。

 下には大量のアルカノイズが居るけど、大丈夫。アルカノイズに触れないように攻撃をしたらいいだけ。シュルシャガナなら、それができるから! それに、わたしは今まで一人で戦ってきた。相手の攻撃を極力貰わないように。一人しか居ない装者だからそれを求められたから!

 だから、行く!!

 

「わたしが、守るんだ!!」

 

 チェーンソーを振るって周囲のアルカノイズを斬り裂く。

 大丈夫、攻撃は効いてる! 相手も一撃だし、こっちも一撃! 普段のハンデがイーブンになっただけなら、何も怖がることは無い!

 攻撃は当てる! そして避ける! これだけの事、できないわけがない!!

 

『す、凄い……シュルシャガナ、次々とアルカノイズを撃破! 未だに一撃も攻撃を貰ってません!』

「お前達なんか! お前達なんかに!!」

 

 大丈夫、チェーンソーも、ツインテールのアームドギアも、破壊されていない! アームドギアがあるのなら、自分が触れる事無く戦える! 何も、恐れることは無い!!

 そのまま目視できたアルカノイズを二割程倒せた所で、唐突にチェーンソーがその動きを止めた。

 これは……まさか!?

 

「チェーンの部分と内部の一部が分解されてる……!? いつの間に……!」

 

 攻撃を貰ってはいないのに、チェーンソーは少しずつ分解されていた。これじゃあ重い荷物を持っているのとほぼ同義。

 舌打ちをしながらチェーンソーを投げ捨てて、その勢いで数体のアルカノイズを撃破。だけど、わたしにはまだツインテールのアームドギアがある!

 

「負ける、もんか!!」

 

 けど、チェーンソーが無いと近接での自衛が……!

 歯噛みしながら、だけど確実に広範囲の敵をアームドギアから発射する電鋸で蹴散らしていく。そして、振り向いて電鋸で次のアルカノイズを撃破しようとした時。

 

「しまっ!?」

 

 目の前に、アルカノイズが伸ばしてきた触腕らしきものが。

 あ、当たる……!? ここで、負ける……!?

 切ちゃん……!!

 

「――死にたくなければそこから動くな!!」

 

 思わず顔を庇って目を閉じた直後、声が聞こえた。

 元から動けなかったわたしはその声を聞いて、足を止めて。

 直後、わたしの周囲を暴力的な何かが薙ぎ払った。わたしのギアは無事で、だけどアルカノイズは周囲から一掃されていた。

 こ、これは……

 

「ったく、オレが行くまで時間稼ぎに徹しろと言っただろうが」

「キャロル!?」

 

 まさか、今のって錬金術!?

 

「アルカノイズは錬金術の産物だ。錬金術師の不手際は、錬金術師が拭う。お前は下がれ」

「……嫌だ。わたしも戦う」

「……はぁ。ったく、どうしてオレの周りには馬鹿な頑固しか集まらんのだ」

 

 キャロルは溜め息を吐きながらも、わたしの隣に立ってくれた。

 

「お前が囮でオレが本命だ。いいか、攻撃に当たるな。攻撃をする必要もない。回避に専念しろ。後はオレがやる」

「ありがとう、キャロル」

「ふん。お前のような奴はどうにも嫌いになれんだけだ」

 

 キャロルと拳を合わせて、わたしは駆けだす。

 大丈夫。避けるだけなら、造作もない!

 

 

****

 

 

 アルカノイズは、あれから十分も経たないうちにキャロルと共に殲滅する事に成功した。

 だけど、損害は大きかった。

 

「ガングニール、天羽々斬、イチイバルの破損……これは痛いな」

「ごめんなさい、師匠……アレがあんな力を持ってるなんて知らずに……」

「いいや、むしろよく分からぬまま交戦を許可した俺達の責任だ。響くん達は一切悪くない」

 

 シンフォギア三つの破損。それは、再びこの世界には装者が一人しか居ないという状況を作り出す事と同一だった。

 一応、全損というわけではないし、昔、二課に所属していた櫻井了子……つまり、フィーネなら修理が可能だったかもしれないけど、今のSONGにはシンフォギアの破損を修理できるような人はいない。

 つまり、実質的に三つのシンフォギアは機能を停止させられたも同義だった。

 

「ごめんね、調ちゃん。折角、形見のガングニールを譲ってもらったのに……」

「いいんです。マリアがここに居ても、こうなった事には怒らないでしょうし」

 

 それもこれもあの初見殺しノイズが悪い。

 とは言ってみたけど、戦力が低下したのは事実。キャロルもいつまで力を貸してくれるか分からないし……そもそもキャロルって政府に認可されている戦力なのかもわからないから、いつまでキャロルの力に甘える事ができるかも……

 

「櫻井理論、か。なるほど、これを基にすればシンフォギアは直せるのだな?」

「キャロルくん……それはそうだが……」

「なら、シンフォギアの修理はオレが請け負おう。幸いにも似たような物を作った事がある。アルカノイズの攻撃でも分解しないように改造もやってやろう」

「本当か!?」

「乗り掛かった舟だからな。わざわざ見捨てるのも後味が悪いし、オレがやらねばエルフナインが率先しただろうからな。ヤントラサルヴァスパの摘出と同時並行で。だったらその程度のサービスはしてやる」

 

 言われて、エルフナインがそっぽを向いて口笛を吹いた。

 多分、図星だったんだと思う。

 

「で、モノはついででもう使わぬモノだ。これもくれてやる」

 

 と、言ってキャロルが取り出したのは、箱だった。

 その箱を開けると、その中には何かの欠片が詰まっている。これは……なんなんだろう。多分、聖遺物だとは思うけど……

 

「呪われた剣、ダインスレイフ。その欠片だ」

「ダインスレイフ……」

「こいつをシンフォギアに組み込む事でそこの黄色がなった暴走状態を強制的に起動し、それを内部からのセーフティーによって制御する。名前は、そうさな……イグナイト、なんてどうだ?」

 

 イグナイト……?

 ……そういえば、切ちゃんや響さんが最初に来た時、イグナイトが使えれば、とか言っていたような。

 まさか、それがこれ?

 

「……それは確実に安全なのか?」

「オレをナメるな。その程度のシステム、修理ついでにぶち込むくらい余裕だ」

「ボクも手伝いますから、万が一は無いと思います。ただ、暴走状態は理性を失うとの事なので……恐らく、暴走状態を制御できるだけの装者の強い精神が必要になると思います」

 

 暴走を制御する、強い心……

 ……そっか。だからイグナイトを切ちゃん達は使わなかったんだ。カルマノイズは他の人の黒い心を刺激するってデータがあったから、イグナイトを使うと、その暴走状態の心の揺さぶりに拍車がかかって、暴走を引き起こす可能性が高くなる。そう考えると、切ちゃん達がイグナイトを使わずにカルマノイズと戦っていた理由が何となく分かる。

 けど、カルマノイズが居ないのなら、イグナイトの制御はギアの利便性と火力、その他もろもろに大きな影響を与えてくれる。

 

「司令。わたしは大丈夫です。イグナイトの搭載を許可してください」

「わ、わたしもです! もしこれから先、強い敵が出てきたとしたら、イグナイトは必要になると思います!」

 

 わたし達の説得に司令は折れて、正式にキャロルとエルフナインにシンフォギアの修理と、イグナイトシステムの搭載を依頼する事になった。

 でも、イグナイトを搭載するのは、わたしが一番最後になった。まず、わたしのシュルシャガナの改修をすぐに終わらせて、アルカノイズに対してシンフォギアを一つだけでも動かせる状態にしておく。それで、その後に三人のギアを改修と同時にイグナイトの搭載を行って、最後にわたしがイグナイトの搭載を行う。こんな感じで、なるべく装者はいつでも出れる状態にしておく事になった。

 

「なら、ギアを寄越せ」

「うん」

 

 手を差し出すキャロルに、わたしは首から吊るしている二つのギアの内、一つを。シュルシャガナをキャロルに渡す。けど、キャロルはイガリマの方を見て、首を傾げた。

 

「そっちのギアは何だ? まさかお前、二つのギアを使うのか?」

「ううん。これは、切ちゃんの……わたしの親友のギアだから」

 

 今、イガリマには適合者が居ない。だから、見つかるまでの間、イガリマはわたしが持っていてもいいって事になった。もしも適合者が見つかればイガリマはその人に渡す事になるんだけど……わたしの勘だと、わたしがシュルシャガナの装者をやっている内は見つからないんじゃないかって、そう思ってる。

 なんとなく、だけどね? もし本当に見つかったら、ちゃんと渡すつもりだから。

 それまで預かってるだけ。アガートラームは破損してるから、今は修理待ちで保管してあるけどね。

 

「……そいつがここに居ないって事は、そういう事か。どれ、そっちも貸せ」

「え? でも、イガリマは……」

「なるほど、それはイガリマか。なかなかどうして……」

 

 キャロルは暫く腰に手を当てて唸ったけど、一つ手を叩くと、もう一度わたしに手を伸ばしてきた。

 

「イガリマも貸せ。悪いようにはしない」

「悪いようにはって……」

「ちょっと頑丈にするだけだ。宝物がアルカノイズや錬金術師の攻撃で灰になるのも嫌だろう?」

 

 うっ……そう言われると。

 それに、キャロルも親切心でやってくれるみたいだし。それなら別に預けてもいいかな。

 シュルシャガナに続いてイガリマも手渡すと、キャロルは頷いてから背を向けた。

 

「じゃあ、早速作業に取り掛かる。エルフナイン、お前もとっとと作業にとりかかれ」

「はいはい。キャロルったら、素直じゃないんだから」

「お前が錬金術師にしては甘すぎるんだ! っと。言い忘れたが、流石にシンフォギアの改修には少し金を貰うぞ! 何せオレ達も金欠だし、ちょっと手間だからな!」

「分かっている。ギアの改修に強化までしてもらうんだ。こちらで用意できる物ならなんだって報酬として渡そう」

「それでいい。報酬が出るとなれば、こちらもちょっとはオマケをしてやろうという気にはなる」

 

 キャロルがちょっと照れくさそうな顔をしながら、エルフナインを引き連れて出ていった。

 エルフナインはキャロルに対して呆れた顔をしていたけど、なんだろう。この二人って結構お互いの事を酷く言いながらも、結構噛み合っているよね。何百年も一緒に居る姉妹だし、流石と言うかなんというか。

 わたしはギアも渡しちゃったし、暫くは暇になっちゃうから、シャロンが待っている自室に戻った。シャロンはわたしが帰ってきてからすぐに抱き着いて来たけど、この日は響さん達も一緒に来たから、五人でゲームをやったりトランプをやったりした。

 シャロンってカードゲーム得意なんだね。まさかババ抜きでも七並べでも完敗するとは思わなかったよ……

 

 

****

 

 

 次の日、本部内の自室で寝ていたわたしは、もう起きていたシャロンと一緒に外に出る事にした。

 と、言うのも。シャロンをずっと本部内に留めておくわけにもいかないし、偶には一緒に外に行って気分をリフレッシュさせた方がいいだろうという事で、二人で外に行くことにした。

 幸いにも、キャロルが昨夜の内にこの街のあちこちにテレポートジェムって呼ばれる、瞬間移動を可能にするための結晶の転移先を指定してくれたから、何かあればキャロルがすぐに駆け付けてくれる事になっている。流石に、元々の契約はシャロンのヤントラサルヴァスパの摘出で、もう、ついでで終わるような話じゃなくなってきたから、一回出動したらその度に謝礼が出る事になったけど……まぁ、キャロルとエルフナインも法外な報酬を吹っかけてる訳じゃないし、普通の人の平均的な日給の倍程度らしいから、普通に受け入れられたみたい。

 もうちょっと吹っかけてもいいって言ってたけど、キャロルが大金を持つと、結構色んな事にお金を使っちゃうタチらしいし、エルフナインも衝動買いが結構あるみたいだから、そういう豪遊ができる程のお金は手元に残さないようにしているみたい。

 

「シャロン、どこ行きたい?」

「……?」

 

 そこら辺は閑話休題。

 シャロンと一緒に外に出てきたわけだけど、シャロンにどこに行きたいか聞いても、シャロンは首を傾げるだけ。特にどこに行きたいか、とかどこがいいか、とかは考えていないみたい。

 いや、もしかしたら考えられないのかな? どこに行けばいいか分からないとか、そういう感じに見える。

 

「うーん……じゃあ、まずは服を買いにいこっか」

 

 とは言っても、わたしも特に何かしたい事があるわけでもないから、シャロンと一緒に服を買いに行く事に。

 シャロンの今の服、職員の人が一旦、という事で用意した服だから、普通に可愛い服を用意してあげたいからね。その後にシャロンと一緒にご飯食べたり、遊んだりしたらいいから。

 シャロンも特に異議はないみたいだから、まずは服屋に。

 

「それじゃあ……シャロン、この服着てみて?」

「? ……?」

「あぁ、着る場所はあそこの試着室でね」

 

 シャロンは試着室がよく分かんなかったみたいだけど、試着室に案内して服を着てもらう事に。

 試着室に入ったシャロンが暫く着替えに時間を使って、それでカーテンが開くと、シャロンはわたしが渡した服をちゃんと着てくれてた。

 うん、やっぱりシャロンは素材がいいから何着ても似合いそう。

 

「うん、可愛いよ、シャロン」

 

 わたしの言葉に照れたのか、シャロンはちょっと顔を赤くするとすぐに試着室に戻って行っちゃった。

 今日までのシャロンの服は、味気ない感じだったしね。これぐらい可愛いのが丁度いいんだど……

 近くにある服を手に取って値段を見てみると、ちょっと眩暈がした。

 

「……子供の服って、高いんだね」

 

 一着ウン千円。わたしが今着ている服も結構いい値段がする服だけど、子供の服だからと侮ることなかれ。いい所の服はやっぱりいい値段がする。わたしが着ている服と同じくらいの値段がする。

 シャロンの服は経費で落ちるからいいし、わたしも今持っている現金は二万ちょっとあるから、全然服は買えるし、わたしの貯金もF.I.S時代に装者として出動したからか、銀行に結構な額のお金があるけど、一回の買い物で数万とか飛んでいくのは背筋が冷えるよね。

 そんなわたしの懐事情はさておいて、シャロンを着せ替え人形にして、わたし自身楽しみながらシャロンに似合う服を次々と着せる。

 響先輩達と出会ってからすぐに、わたしが服をあんまり持ってない事からか着せ替え人形にされまくったんだけど、他人を着せ替え人形にするの、結構楽しいね。

 

「それじゃあ、試着したやつ全部買っちゃおうか」

「!?」

「どうしたの? あぁ、お金の事? 大丈夫、全部SONGから出るから、心配しないで」

 

 と、いう事でお会計に。

 

「お会計、三万六千円になります」

 

 Uh-oh。

 

「……ちょっと下ろしてきます」

 

 ほ、本当は下着を買う分も下ろしてきたんだけど、軽く予算オーバー……

 ちょっといい所で大人買いなんてするものじゃないね。お金の心配はないけど、流石に肝が冷えるよ。

 と、いう事でシャロンの服を買った所で、今度はランジェリーショップに。

 

「シャロンは欲しい下着とかある?」

「……?」

「まぁ、分かんないよね。じゃあ、適当に数着、シャロンのサイズに合う下着を選ぼうか」

 

 それじゃあ、まずは店員さんにサイズとか測ってもらって……

 えっ、シャロン、歳と身長の割には出る所が出て……えっ、バスト、わたしよりもちょっと大きいの? こんなに細いのに? えっ……えぇ……

 ……なんか不条理を見た気がする。いいもん。別に胸の大きさなんて気にしてないからいいもん。小さい方が攻撃よけやすいからいいんだもん。いいんだもん……

 

「……!」

「慰めなくてもいいよ、シャロン。これは昔のわたしが食事なんて最低限でいいってやらかした結果なんだから……」

 

 ……でも、切ちゃんが平行世界のわたしとこのわたしはほとんど変わらないって。

 もう考えるのは止めよう。クリス先輩を殴り飛ばしたくなるから。

 まぁ、そんな訳でランジェリーショップでの買い物も終わったし、あとは靴とかも買って私服は大体揃った感じ。けど、流石に買いすぎてわたしもシャロンも両手いっぱいに荷物を持つことに。

 

「じゃあ、後はご飯食べて帰ろっか」

 

 流石に経費で落ちるとはいえ買いすぎた。でも、暫くシャロンはSONGで身元を預かるんだし、これぐらいしてもいいよね。

 

「うーん、ご飯はどこで……」

「…………? …………!?」

 

 あっ、あそこのレストランとか……ん?

 

「どうしたの、シャロン。上に何かある?」

「!!」

 

 なんかシャロンが急に上を向いてわたしの服を引き始めた。

 何かそんなに気になる物があったのかな? もしかして風船が飛んでるとか? まぁ、アルカノイズとかじゃなきゃいいけど……!?

 な、なに、あれ!?

 

「あれって……鉄の人、いや、ロボット!?」

 

 明らかに今の技術じゃ作る事ができない物が空に浮いてる! 人型で、空に浮いてるし、多分ロボットなんじゃないかとは思うけど……見た事が無いから分からない!

 でも、ここは!

 

「本部! 応答してください!」

『どうしました、調』

「わたし達の頭上に、謎のロボットが!」

『ロボットですって!? 司令、すぐにモニターを!』

『あぁ! 映像、出せ!』

 

 本部の方でどよめきの声が聞こえる。

 既にわたしはシャロンと一緒に逃げるために走ってるけど、ロボットはずっとわたし達を追ってきている。どうしてこんなものがこんな所に……! 周りの人なんて動画とか写真撮ってるし……!

 そこら辺は後で情報統制がかかるからいいけど、問題はここで襲われないかどうか……! 流石にシュルシャガナが無いのに戦うわけには!

 

『なんだ、これは!? 本当にロボットだとでも言うのか!?』

「まだ襲ってこないけど、もしかしたら襲ってくるかも……!?」

 

 言った側だった。ロボットが急降下してわたしに襲いかかってきたのは。

 手に持っていた荷物をぶちまけるのを承知で、シャロンを抱えて横に飛ぶ。ロボットはわたしの真横を通り過ぎると、着地。そのままこっちへとゆっくりと歩いてき始めた。

 

「シャロン、逃げて!」

「!」

「首を横に振ってないで! わたしが時間を稼ぐから!」

 

 狙いがシャロンって言う可能性は十分にある。

 けど、狙われているのがシャロンだとしてもわたしだとしても、ここはわたしが時間を稼がないと!

 

「このっ!」

 

 とりあえずパンチ!

 っ、硬すぎる……!! しかもカウンターでパンチが飛んできた!

 

「くっ!」

 

 なんとか避けるけど、相当早い。

 ギア無しだったらいつまで持つか……しかも、明らかに当たったらタダじゃすまないような威力をしてる……!

 こんなの、マトモに相手なんて!

 

「調さん、下がってください!」

「っ!」

 

 直後に聞こえた声を聞いて、バックステップで一気に距離を取る。

 わたしがバックステップで距離を取ってすぐに、誰か……いや、エルフナインが空から降ってきた。

 来てくれたのはエルフナイン……! でも、エルフナインって戦闘は不得意なんじゃ……!

 

「攻撃が不得手でも、あれを破壊する程度はできます!」

 

 言いながら、エルフナインは突っ込んできたロボットに対して手を掲げた。

 そしてロボットがエルフナインを殴り抜こうとした瞬間。エルフナインの手から金色の魔方陣みたいな物が浮かんで、それがロボットの一撃を防いだ。

 す、凄い。あの勢い、ギアを纏った上からでもくらったら、確実に吹っ飛ばされるくらいの威力があるのに……戦闘はできないって言ってたけど、それでもやっぱり十分に強い……!

 

「ヘルメス・トリスメギストスなら、この程度!」

 

 そしてエルフナインがロボットを吹き飛ばした直後、魔方陣を展開したのとは反対の手を掲げると、そこから竜巻のような物が吹き荒れて、ロボットを一瞬で細切れにした。

 す、凄い……キャロルの錬金術も凄かったけど、エルフナインの錬金術も十分に凄い……

 

「ふぅ……何とか残しておいた思い出だけで事足りましたね……」

「思い出……?」

「ボク達の錬金術は思い出……つまり記憶を焼却する事で行使できますから。色んなところを旅しながら、支障がない程度に思い出を貰ってたんですよ。通勤の最中とか、酔っぱらった時の要らない記憶とか、忘れたい記憶とか。それを行使したんですけど、大半をキャロルに渡してるので、ボクはあんまり思い出のストックが無いんです」

 

 また誰かから適当に貰わないとなぁ、ってエルフナインは呟きながら、何かの機械を取り出した。

 

「ちなみに、調さんは忘れたい記憶とかありませんか? ボクの方でリサイクルしますけど」

「うーん……特に無いかな。アレはわたしが覚えておかなきゃいけない記憶だから」

「そうですか。恥ずかしい記憶とか、忘れたい記憶があったら言ってくださいね。こっちでリサイクルして燃料にしますから」

 

 なんというか、燃費が良いのやら悪いのやら分かんない錬金術だなぁ……

 あ、でもそんな事言ってる場合じゃないや。すぐに本部に戻ってこの事についての会議をしないと。

 

「それじゃあ調さん。テレポートジェムで本部に帰還しますから、シャロンさんと一緒にこちらへ」

「うん。それ、便利だね」

「座標の指定をしないと、どこへ飛ぶか分からないのが、ちょっと不便ですけどね」

 

 言いながら、エルフナインはわたしとシャロンがエルフナインの近くに来たのを確認して、テレポートジェムって言ってる結晶を叩き割った。

 直後に赤い光に包まれて、気が付けばわたし達は本部の管制室についていた。

 初めてテレポートっていうのを経験したけど、変な感覚。慣れればどうって事無いし快適なんだろうけど、なんだか慣れないなぁ。でも、これからのために一個くらい貰っておこうかな。

 

「テレポートジェムって貰えたりしない?」

「一ダース百円です」

「お金取るんだ……」

「そういう商売してますから。それに、異端技術の塊ですから、タダであげるというわけにも」

「なるほど。でも、異端技術の塊って言う割には結構安いんだね」

「案外簡単に作れるので」

 

 とりあえず、管制室のアレコレが収まる間にエルフナインに百円を渡してテレポートジェムを貰っておく。

 座標の設定は、やり方がよく分からなかったから、管制室と私室の二つに設定してもらった。これでさっきみたいな事があっても咄嗟に逃げれるし、いい買い物かも。今度、本部内以外のわたしの部屋とか、街の中とか、いろんなところに座標を設定してもらってテレポートジェムをいっぱい買おうかな。

 そんな事を考えている間に、響先輩達も到着して、改めて今回の件について話し合う事になった。

 

「来たか、三人とも」

「月読が謎の機械に襲われたと聞きましたが」

「あぁ。これを見てくれ」

 

 そう言って、司令が映したのはさっきのロボットの映像。

 空中を浮遊して、わたしに向かって拳を振るってきた謎のロボット。その存在は響先輩達にとっても衝撃だったようで、目を見開いている。

 けど、シャロンが何でか俯いたまま。怖かったのは分かるけど、ここまで露骨に怖がるなんて……

 

「師匠、これって……」

「分からん。だが、無人の機械であることは確かだ」

「私達はこれを以後、オートマシンと呼称する事にします。ロボットだけでは、違う物も指してしまいますからね」

 

 オートマシン……

 確かに、無人の全自動で動く機械だから、オートマシンっていうのが一番分かりやすいカモ。

 けど、オートマシンがわたし達に敵対的な行動を取ってきたという事は、オートマシンとアルカノイズ。二つの新しい敵性存在と戦わなきゃいけないって事になる。

 下手をしたらノイズだけと戦うよりも過酷な状況になるかもしれない。

 

「ここで言っておくべきは、これから先、オートマシンを我等の敵と一時的に仮定し、黒幕を見つけるまではSONGがこれの対処を行う事になった」

「し、師匠。説得とかは……」

「できればいいのだがな。生憎、相手は知性を持たぬ機械だ。これを操る者と会わぬ限り、和解はできないだろう」

 

 響先輩は優しいし、手を繋ぐことがアームドギアでもあるからそういう事が言えたんだろうけど、一度会えば分かる。あれは破壊するしかない。仮に手を繋ぐのなら、黒幕に会ってからになるよね。

 で、司令はこのオートマシンとアルカノイズを裏で操る存在を探りながら、これの対処をしていくって事だけを告げて、その場は解散になった。

 わたしのシュルシャガナと、切ちゃんのイガリマの改修は明日、明後日くらいまではかかるみたいだから、大人しく待機。そうなったんだけど、どうしてかシャロンは部屋に戻ってからもずっと震えていた。なんでそんなに震えているのか、わたしには分からなかった。けど、シャロンと一緒に居て、安心させてあげることしかできないと思ったから、シャロンを抱きしめてベッドで横になるしかできなかった。

 大丈夫。何があってもわたしが守るから。

 もう、守れないわたしじゃないから。

 

 

****

 

 

「おい、調。シュルシャガナとイガリマの改修、終わったぞ」

「ありがと、キャロル」

 

 オートマシンとアルカノイズの襲来はこの二日間、特に起こらなかった。その間にキャロルはシュルシャガナの改修を終わらせてくれたみたいで、わたしにシュルシャガナとイガリマを返してくれた。

 うん、やっぱりシュルシャガナがここにある方が安心する。イガリマも、おかえり。

 

「これならアルカノイズを倒す事は問題ないだろう。ただ、オートマシンだけはオレもよく分からん」

「そうなの?」

「直接見てないからな。ただ、あんなモノが自律して動くとは思えん。恐らく、アレを操る存在がどこかに居る。注意しておけ、オートマシンの種類があれだけとは限らん」

 

 確かに、そうだよね。まさかオートマシンがあれだけとは思えないし。

 とりあえず、注意しておくだけしておかないと。

 

「オレはこれから他のギアの改修に移る。それと、シャロンの治療についてももうすぐ進展があるだろう」

「ほんとに?」

「あぁ。次の治療で体内に侵食したヤントラサルヴァスパを切り離し、シャロンの体力が回復し次第、そのままヤントラサルヴァスパの摘出だ」

 

 ヤントラサルヴァスパの摘出……

 それが終わると、キャロルとエルフナインは……

 

「……そんな顔をするな。暫くはここに残るつもりだ」

「ほんとに?」

「少なくとも、イグナイトが安定して稼働するのを見送ってからだな。それに、オレが居ると言うのにアルカノイズなんて物を出してきた馬鹿が居る。そいつに表立って動いた錬金術師がどうなるかも教えねばならん。アルカノイズが暴れているかどうかなんて、ここの施設でなければよく分からんからな」

 

 よかった。折角仲良くなれたのに、すぐにお別れなんて寂しいからね。

 けど、キャロルは何だか照れくさそうにしている。キャロルってあんまり素直じゃないけど、結構分かりやすい感じの言葉とか出すよね。

 わたしの視線を受けて照れくさかたのか、顔を赤くしながらわたしを軽く突いて、戻る! って叫ぶとそのまま研究室に戻っていった。

 さて、シュルシャガナは手元に戻ってきたけど、どうしようかな……

 シャロンは今、エルフナインの所に行っているし、響先輩達は学校だし……案外暇な時間って何するか迷うよね。アニメでも見て……

 

『アルカノイズ反応、探知!』

 

 ……とか思ったらアラートと同時に藤尭さんの声が。

 よし、お仕事だね。

 

『調くん! シュルシャガナは使えるか!?』

 

 インカムを取り出して耳に着けてからすぐ、司令の声が聞こえてくる。

 大丈夫。今、シュルシャガナは戻ってきたばかりだから。

 

「大丈夫です」

『出動、頼めるか』

「了解。アルカノイズ殲滅任務のため、これより現場に急行します。運送用ミサイルの使用許可を」

『既に取ってある! 存分に使え!』

 

 言われる前には既にミサイル発射口に向かってました。

 すぐに整備員の人に挨拶をしてから、ミサイルに乗り込んで、LiNKERを首に打つ。よし、大丈夫。

 わたしがミサイルに乗り込んで、外装がしっかりと取り付けられてからすぐ、ミサイルが発射。そのまま上空の旅へ。

 あー、この感覚も慣れた物だなぁ。最初は舌噛んだけど。ぺっ! とか変な声出たのは覚えてる。

 

「外装パージ。よし、行こう」

 

 外装をパージして、思いっきり外の空気に吹っ飛ばされながらスカイダイビングに。

 こうやって飛び降りていると、なんだかスカイダイビングが趣味みたいな感じになってくる。とかなんとかいう前にとっとと聖詠。

 

「Various shul shagana tron」

 

 聖詠して、回転してギアを纏って着地。きりっ。

 目の前にはアルカノイズの大軍。よし、行こう!

 

「っ!!」

 

 まずは小手試しにアルカノイズの攻撃をチェーンソーで受け止める。チェーンソーは分解……されない! これならギアだって破壊されない! 今までのノイズと同じように戦う事ができる!

 

『強化型シンフォギア、アルカノイズに分解されません!』

『アルカノイズの分解機構への攻撃も問題ありません!』

『よし! 行け、調くん!』

「了解ッ!!」

 

 こうなった以上はノイズ相手に負ける理由がない。

 カルマノイズでも出てこない限りはわたしがアルカノイズを倒す事ができる。

 チェーンソーにアームドギアを組み合わせた、シュルシャガナの近中遠距離対応の攻撃は伊達じゃない。チェーンソーを振り回して、丸鋸を発射して、足を振るうと同時に足裏から巨大な電鋸を出して一気に周りを殲滅。そのまま電鋸は切り離してアルカノイズを一直線上に撃破。

 このシンフォギアなら、この世界をまだ守る事ができる。みんなを守れる! 響先輩達も前線に復帰できる!

 みんなで一緒に世界を守る事が!

 

『ッ! 司令! シュルシャガナの上空にオートマシンが多数出現! 更にアルカノイズまで出現しました!』

『なんだと!?』

「問題ありません! わたしが倒します!」

 

 とは大見得切った物の……流石に数的不利が。

 オートマシンの実力がどれほどか分からないから、油断はできない。アルカノイズだって、ギアペンダントに攻撃を直接受ければどうなるかなんて分からない。

 アルカノイズを切り刻みながら、上空から降ってくるオートマシンに対してチェーンソーを構え、飛び蹴りを受け止める。

 

「うっ!? 力が、つよっ!!?」

 

 けど、予想以上の力強さに押されてしまう。

 そんな、シンフォギアで力負けするなんて! いや、でも大丈夫! 今までも、わたしは単純な力負けをする戦いなんて何度も経験した! だから、力しかない相手に負けるわけがない!

 

「ハァァ!!」

 

 吹き飛ばされたけど、すぐに着地して構え、オートマシンに斬りかかる。

 これで一体……!?

 

『そんな……シュルシャガナの攻撃、効いてません!』

『なんて硬度だよ……! 明らかに先日現れたオートマシンと比べて硬度が上昇しています!』

『まさか、ボクの錬金術を基に性能を上げた……!?』

 

 いや、違う。これは完全に相性の問題……!

 チェーンソーは相手に押し付けて、削り斬る事で切断する武器だから、刀や鎌と比べると切れ味に劣る。一定の硬度までなら切断はできるけど、それ以上になると切断なんてできなくなる……!

 何度も斬りつけるけど、弾かれるだけ。しかも……!

 

「チェーンが、馬鹿に……!」

 

 徐々にチェーンの方が悲鳴を上げる。

 チェーンを確認したら、もう何度か斬りつければチェーンが完全に切れて使い物にならないのが目に見えている。

 一度チェーンソーを地面に突き刺して、その上に乗って起動して、後ろへ向かって道を削りながら高速で進む。

 これは、ちょっと困る……!

 

『一体何の騒ぎだ!』

『キャロル! 実は、この間現れたオートマシンがまた! しかも、ボクの錬金術を受けてか、相当性能が上がってるんです!』

『なんだと?』

 

 電鋸を発射してアルカノイズは撃破するけど、オートマシンだけはどうにもならない。

 多分、アルカノイズとオートマシンは指揮系統が別だと思うから、アルカノイズにオートマシンを分解してもらって……と思ったけど、さっきからアルカノイズとオートマシンが編隊を組んでいる。

 間違いなく指揮系統は同じ。わたしを倒すために戦力を投入してきている。

 

『オイ、調!』

 

 この声、キャロル?

 

『いいか、一度しか言わんぞ! 胸の歌を信じろ!! それがお前の力であり、お前の片割れが残した物だ!!』

 

 胸の、歌……?

 わたしの片割れ……切ちゃん、の?

 ……あっ。これって。

 ……分かったよ、切ちゃん!

 

「お願い。力を貸して、イガリマ!!」

 

 声に出した瞬間、それはもっと大きく感じる事ができた。

 そして、同時に緑色の光がわたしを包み込んで、わたしのギアが変化した。

 

『これは……シュルシャガナの反応と共にイガリマの反応が!』

『まさか、ギアの二重展開だとでも言うのですか!?』

『ザババの刃は互いに相性がいいからな。心象変化による形状変化にイガリマを意図的に組み込むことにより、シュルシャガナのフォニックゲインをイガリマに流し込み、イガリマを強制的に起動させ、テクスチャのように被せただけだ。言うならば、ザババギア、か』

 

 両手には鎌と、チェーンソーが変化したハルペー。エクスドライブの時の剣に似ているけど、ちょっと短い。髪のアームドギアはそのままだけど、肩には四つのアーマー。それと、トンガリハットみたいな装飾が額を覆って、足はローラースケートみたいになっている。色は、それぞれのギアのアームドギアや装飾はそれぞれの色に。インナー部分はピンクと緑と黒と白の四色。ちょっと、カラフルかな?

 まさにわたしのシュルシャガナとイガリマを組み合わせたギア。

 多分、わたしの中のイガリマと、わたしが思う最強のシュルシャガナを組み合わせた姿。それが、ザババギア。

 

「テクスチャってキャロルは言ったけど、そんな事はない。力が漲ってくる。今までよりも強いのが分かる!」

『ザババの刃だからこそできた聖遺物の二重起動だ。他の聖遺物でやったら暴走か装者の死だからな。この機能を付けるのには少しばかり苦労したぞ』

 

 も、もしかして二日以上改修にかかったのってザババギアをシステムに組み込んだからなのかな?

 でも、ザババギアなら……切ちゃんと一緒なら!

 

「いける!!」

 

 オートマシンを鎌で切り刻み、もう片手に持っているハルペーでも一刀両断。更に髪のアームドギアから丸鋸を飛ばして一気にオートマシンを殲滅して、肩のアーマーから飛ばした小型の鎌付きワイヤーを飛ばしてアルカノイズを一気に切り刻む。そのついでに足のローラーで高速移動してスカート部分を硬質化させて丸鋸にしてからアルカノイズに接触して切り刻む。

 

『ザババギアのフォニックゲインと推定出力、シュルシャガナの比ではありません!』

『何故かデータ内にあったシュルシャガナとイガリマのユニゾンには及ばんが、それでもアレだけでイグナイトと同程度の出力は出せる。というか、ザババギアを使いながらイグナイトは無理だな。アイツの体が持たん。ザババかイグナイトの二者一択だ』

『つまり、調にはイグナイトの代わりにザババギアを……なるほど。一人のイグナイトよりも二人のザババの方が調らしいでしょう』

 

 キャロルとマムの声が聞こえる。

 そっか。これは、わたしだけの。わたしと切ちゃんの力。暴走状態のイグナイトに匹敵する、わたしらしい力。

 一人よりも、二人。わたしはいつも誰かに支えられてきたんだから、一人だけの力のイグナイトよりも、二人分の力があるザババギアの方がいい。

 ハルペーと鎌を地面に突き刺して、肩のアーマーを小型の鎌に変化させてぶん投げる。それで一気にアルカノイズもオートマシンも殲滅される。

 よし、残存戦力はあと少し。これなら……

 

『……ん? この反応は』

 

 と、思ってたら藤尭さんの声が。

 えっ、一体何が?

 

『……っ!? 司令! 本部内に侵入者です!』

『なに!?』

 

 ほ、本部に侵入者!?

 いけない、すぐにオートマシンとアルカノイズを全部倒して戻らないと!

 

『一体どこに……は、反応ロスト? 侵入者、テレポートジェムを使いどこかへ転移した模様です』

『な、なんだったんだ……損害は!?』

『職員は無事みたいですけど……ッ!? どうやら侵入者はエルフナインちゃんの研究室に侵入、そのまま……!』

 

 そ、そのまま……?

 

『そのまま、シャロンちゃんを攫って逃走した模様! 犯人の追跡、不可能です!』

『まさか、装者を外に出したのはこのためだとでも言うのか!!?』

 

 そ、そんな……!? せっかく、ザババギアでこれから先も大丈夫だって思った矢先に……!?




原作からの変更点は多すぎるので言いません。ですが、キャロルとエルフナインの関係は創造主とスペアボディから双子の姉妹に変更しています。こうしないとキャロルって原作ルート驀進しそうだったので、ブレーキとして設定を根底から変えたエルフナインをぶち込みました。なので、エルフナインもちょっとは錬金術が使えます。

で、今回の話ですが、オリジナルでザババギアなんて物を出しました。実は前回の片割れの時点でこれをヤントラサルヴァスパの力で出す予定だったのですが、話を短くしてGの回収だけした結果、使わなかったので。アプリ的には、コスト16、もしくは配布のイベント限定ギアみたいな感じです。外見は武器と色が違うだけの切ちゃんのメカニカルギアみたいな感じだと思っていただければ。

んでもってXVですが……情報量多すぎぃ!! OTONAが負けたのは衝撃的でしたけど、まぁ殺す気の相手と殺さない拳だったら……みたいなとこもありますし。それに、OTONAは子供を導いてこそのOTONAですから。翼さんもパパさんの意思を継いでOTONAになってくれ……
OTONも立派にビッキーを導いてましたね。やっぱOTONもGXで一皮剥けてたんやなって。未来さんは……このまま最終話までシェムハさんルートが有り得そう。
それで、翼さんのアマルガムも登場。ビッキーは拳で翼さんは剣。となるときりしらは多分、鎌とツインテールでしょうね。楽しみですなぁ。
ノーブルレッドは……自分達のためだけに人の命を蔑ろにしてきた奴等が蔑ろに殺されたのは、まぁ残当と言いますか。自分達が不幸だから全部ゼロに戻そうぜ! でも何の罪もない奴等はいくら死のうと関係ないし敵も利用するだけ利用したら殺害して自分達だけ笑顔でルンルンで全部終わり! 死んだやつ? こっちの目的地達成できたし知らんけど? みたいに考えてた小悪党の死に様なんてこんなもんでしょう。

次回の更新は明日の12時です。お楽しみに!
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