『うるさいわね!分かったからもう黙っててよ!』
静かな夜に流れる波の音。
そんな安らぎの音を掻き消す大きな声。
それが、千棘が最後に放った言葉だった。
そしてその後、千棘は俺と夏休みの間1度も顔を合わせて話すことは無かった。
言い過ぎたのかも知れない。それは充分考えた。
機嫌が悪かったのかも知れない。いや、あいつはあいつなりに楽しんでいただろう。
少しおかしいところもあったが。
まさか腹でも壊したのかも知れない。・・・馬鹿馬鹿しい。
あいつが怒った理由、その後口を聞かない理由、そして俺達の不穏な空気。集英組とビーハイブもだが。
突然始まった喧嘩というかいざこざに、俺はなす術を持たなかった。
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そして、夏休みが明けた今日この日。未だに残る日差しの強さを感じつつ、いつものように登校する。
珍しく千棘は俺より来るのが遅い。
教室の戸を開けさらっと挨拶を交わし、隣に座る千棘に俺は普段通りを装って二言。
「なあ千棘、連絡くらいはしろよ。
無視はちょっと冷めてーんじゃねーか?」
気が付けば久々の投球だった。
俺達はあの日以来会ってすらいないし、連絡も取り合っていない。
言葉のキャッチボールはあの日以来だ。
連絡はスルーされていた訳なんですが。
「ごめん、色々、忙しかったから。」
・・・。
「・・・おまえ、何を怒ってんだ?言わなきゃわかんねーだろうが。」
「別に、怒ってないわよ。」
そして、朝ホームルームが始まり、ここでキャッチボールが終わる。
・・・そういうのを怒ってるって言うんだよ!
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「さーて、ではこれより、文化祭の話し合いを始めたいと思いまーす!」
集のやる気に満ちたトーンから始まった、文化祭の出し物についての話し合い。
どうやら演劇に決まったらしく、演目はロミオとジュリエットらしい。
「ここで私から提案なのだが、ロミオとジュリエット役には、我がクラスのラブラブカップル、一条楽と桐崎千棘嬢にお願いしたい!」
「はあ!?
待てよ!勝手に決めんなよ!」
クラスの全員が賛同の意を示す、流れでこのまま決まるのでは・・・と思ったのだが、
「・・・やらない。」
静かで冷めた、俺の彼女(仮)の一言で提案は却下となった。
「厳正なるくじ引きの結果、ロミオとジュリエット役には楽と小野寺さんになりました!」
結局俺がやるのか・・・。
そう思ったが相手が俺の好きな小野寺なら喜んでやるし、むしろ誰にも渡さない。
橘万里花が小野寺と代わりたいとかどうとか言い出し、淡い期待は期待のまま終わるのかと思ったが、小野寺がそこで譲らずジュリエット役となったことには驚いた。
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そこから少し日が経ち、千棘と気まづくなったり、千棘が避けてきたり、千棘かまともに会話させてくれなかったり。
いや待て、なんか俺がすげー不憫なだけじゃねーか。
だが小野寺とのトークは順調に出来ているし、ボチボチである。
練習も重なり、みんなにも熱が入ってきたこの頃。
流石にもうあいつに構っていられないと思っていたこの頃。
俺らのいざこざを知っているであろうビーハイブ重鎮、クロードは久々にやって来て疑惑の目、いや殺す気の目で見つめる。窓の外の木から。
本格的に身の危険を感じ、廊下に飛び出し走り出す。
そして金髪のロングヘアーの、ギャングの娘であり俺の彼女である千棘を見つけ出し覚悟を決め話しかけた。
「おい千棘!もう限界だ!
流石にあの馬鹿───、じゃなくて眼鏡が俺達のこと疑ってる。
そろそろ仲良さそうなところ1つでも見せねーと!」
「嫌よ。
もうあんたと仲良さそうに恋人のフリなんて、もう出来ない。」
まだこんなこと言うのかこいつは?
「いい加減にしろよ!
これは2人だけの問題じゃねーだぞ!忘れたのか!?」
「うるさいわね!
もう、嫌なもんは嫌なの!」
「だからそうやって・・・。」
「私は今あんたと話したくないし、顔も見たくない。
声だって聞きたくないし、あんたの名前見るだけで──」
「いや流石にそれ以上は言うな傷付く!」
怒ってるからって、限度くらいは弁えてほしい。
「・・・だから、ジュリエット役も断ったのか?」
「そうよ、あんたとロミオとジュリエットなんて真っ平御免!
恋人の役?恋人のフリ?
私達、ただの赤の他人でしょ!?
家とか、事情とか、そんなのもう、知らない!!」
赤の他人・・・?真っ平御免・・・?
こいつは、俺のこと今までそんなふうに・・・。
俺は、こいつとの繋がりみてーなもんを俺なりに感じてたはずなのに・・・。
おまえがそういう風に思ってんなら、俺だっておまえとなんか・・・。
「ああ、そうかよ。赤の他人か・・・。
・・・俺とお前との間には何にも無かった。
そういうことだな。」
「・・・・・・。」
「お前と一緒にいて楽しいとか、仲良くなったとか、そんなもん一切無いし、そもそもニセモノだったわけだ。」
千棘が歯を食いしばっているが、そんなことはどうでもいい。
「10年前に会ってたとかどうとか、あれも勘違いだろ。
今の俺達がこんななのに、昔上手くいってたなんてこともないだろ。
もうこの偽の恋人も止めにしようぜ。
ちゃんと事情を話せば、親父たちだって──」
パァン!──────────────
首が右へと回る。
わかりやすいほどの平手打ちの痛みが後になって伝わる。
その時、1人の男のガラスを割る音に学校全体は震え出す。
「ハハハハ!
これで恋人関係はもう終了か!
お嬢、もうこの男は敵です。さあ逃げましょうお嬢。
恋人関係が終わった以上、集英組は我等の敵です。」
「え?
え、ちょっ、クロード!
楽っ・・・。」
・・・・・・。
「小僧!命拾いしたな!
だが次会うときは覚悟をしておけよ!さらばだ!」
千棘を抱え去って行くクロード。
だが、頭が回らない。
「お嬢!クロード様!
おい、一条楽!これはどういう事だ!」
「・・・すまん、外す。」
「おい、一条楽!」
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今まで何度も殴られた。それも痛かった本当に。
それでも、今赤くなっている左頬は今まで以上に痛い・・・。
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「やっと帰って来たか。
どうするんだよ楽。」
教室には集だけがいた。
みんな帰らされたらしい。
「さっき連絡入った。
抗争はもう始まるんだと。」
「そういうことじゃねーよ!
桐崎さんは──」
「あいつとの関係は終わった。
もう元には戻らない。」
「おい、本気で言ってんのか?
でも、少なくとも学校には・・・。」
「それもねーよ。
俺もきっと明日から来ない。」
「んじゃあ、もう桐崎さんとは──」
「ああ、会えねーよ。
俺らとあいつとの関係はニセモノだったんだよ。」
何度もポジティブシンキングな集の言葉を煽る。
ついに顔を俯けた。
「楽、桐崎さんと何があったんだよ、それによったら解決する方法が──」
「わかんねーよ!!
わかんねーからこんなんになってんだろうが!!
勝手に嫌ってビンタして来たのはあいつの方だろうが!!
俺はもう知らねーよ!!
あんな奴死んじまえ!!」
「落ち着け、楽。」
「うるせーよ!
これで落ち着いていられるか!
・・・すまん、もう帰るわ。」
教室のドアに手を伸ばす。
集が追いかけてくるが、教室を出て思い切りドアを閉めた。
そこからは、家の車に乗せられ帰った。
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家に着くと、向こうが攻撃を開始しただとか、明日の夜にどうとか、騒がしく物騒な会話が聞こえて来た。
そして、親父の部屋に行き事の経緯を簡単に話した。
すると親父は、
「始まったもんは仕方ねー。
被害を最小限におさえるだけだ。」
そう言って俺を部屋に返した。
何度も体に伝わる微振動。
帰ってきてから何度目だろうか。
相手は集であった。
だが出たい気分でもないし、出たとしてもあいつの言うことは想像付く。
3度目以降は画面を見ることも止めた。
・・・結局千棘はどうしたかったんだ?
関わりたくないとか言い出したくせに、俺も賛同したらビンタするし・・・。
あいつの望んでることも考えてることもわからん。
んまあ元からわからんかったが。
再び俺の触覚は反応する。
いい加減しつこい。
ずっと無視する俺も悪いと思うが、この状況で出ない俺の気持ちもわからなくもないだろう。
何度無視してもしつこいので、イライラしながらも出ることにする。
「どうした?
まだなんかあるのか?」
「ん?なんのことだ、一条楽。」
ん?これは集じゃない!
この高い声で且つハキハキした物言いは・・・。
「鶫か!?鶫か!」
「一体どうしたんだ?頭がおかしくなったのかとうとう?」
こんな時でもグイグイ来るな鶫は。
だがそれはそれで嬉しい対応だ。
「なわけあるかい。
さっきから集からの電話がしつこくてな。」
「なるほど、それで舞子集と勘違いされたのか。
奴に勘違いされるなど、これ以上にない不服だが、そんなことは今はいい。」
ちょっとした間だが、一気に俺の中で緊張が走る。
真剣な話をしようとしていることが電話越しでも伝わる。
「お嬢の事だが・・・。」
やはりか。
「あいつになんかあったか?」
「お元気が無いのだ。
私でも部屋に入ることが出来ない。
どうやら塞ぎ込んでしまったらしくてな。
だからやはり、お嬢は貴様のことを──」
「それはないだろう。
あいつは俺と関わりたくないって言ってたんだぞ。」
やはりそういう系統の話だと思ったので、用意していた台詞を返した。
これで少しは納得するだろう。
「いや、それは無い。
お嬢は貴様といるときどことなく楽しそうなのがわかるよ。
まあ、恋人同士なのだから当たり前の事だと思うのだが。」
いやいやいや。
「いやいや、おまえは俺らの何を見てたんだよ。」
「勿論全てだ。」
はっきりと言い切った鶫に、俺は言葉が詰まる。
「貴様の気持ちなんて私にはわからない。
だが、お嬢の気持ちや感情に嘘はない。
むしろ、関わりたくないということの方が嘘なのだろう。」
こいつには偽の恋人のことは言えない・・・。
だが逆に、言えば納得するだろうか。演技であったということを。
もう良いのか?これから抗争は始まるし。
いやでも、今からなら仲直りすれば何とか・・・。
だが、今の俺らには厳しいな・・・。
「なあ鶫、今まで隠してたことがあるんだ。」
「そうか。」
「今まで黙っていてごめんな。」
「ふふっ。」
「どうした?」
「いや、実はお嬢からも先ほど軽く話は聞いたのだ。」
「はぁー!?
なんだよ、それは先に言えよ!」
「ふふっ、済まないな。
あまりにも真剣だったから、途中で私は知っている等とは言えなかったんだ。」
「じゃあ、最初からわかってたんなら、なんで」
「お嬢にとっては、表面上ニセモノでも大切な関係だったんだ、貴様との恋人関係は。」
「それは本当か?」
「ああ、お嬢は貴様ともっと一緒に居たかったはずだ。
それなのに・・・。」
「ごめん鶫、頭の整理が着かない。」
「まあ、そう思うのも無理はないだろう。
電話は切ることにするよ。クロード様に気付かれては、私の身も危ないからな。」
「ああ、じゃあな。」
「落ち着け、一条楽。
それと・・・、
──『期待して待っているからな。』──
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「ふーん、なるほど。」
「あいつはどうしたかったんだと思う?」
先ほどしつこく電話をかけてきた相手に今度はこっちからかけた。
俺にわからないこともわかるかと思ったからだ。
すぐに出た我が親友に感謝しつつ、海水浴の時から始まり、さっきの電話までのことを話した。
時計はいつの間に8時を指していた。
「いや待て、先に俺の言いたい事を言わせてくれ。」
「ん?ああ、わかった・・・。
すまんな。」
そうか、こいつは言いたい事があってかけてきたんだった。
「・・・なあ楽。
さっきあいつは何を望んでるのかわかんねーって言ってたけどよ、おまえはどうしたいんだ?」
「え?」
「おまえは優しい奴だよ全く。
こんな時でも桐崎さんの思いを重要視してる。
だけど、それは桐崎さんが望んでないし、むしろおまえは大事なことを忘れてる。」
「えっ?
他にも何かあったか!?」
「いや、問題が起こったとかじゃなくておまえの心の問題だ。」
「集・・・、何を言って」
「おまえはどうしたいんだ?
桐崎さんがどうとか、抗争がどうだかじゃなくてさ、おまえはこれからどうしたいんだ?桐崎さんと。」
「このまま喧嘩別れで良いのかよ?
あの時のビンタの理由、知りたいんじゃねーのかよ?
自分が何したかもわかんないのに、理由もわかんないのに避けられて、そんな終わり方で良いのかよ!?
楽だって本当は楽しかったはずなのに、もう会えなくても良いのかよ!?
止めれんのは今だけだし、楽しかいないんだぞ!?」
・・・俺の気持ち。
「楽は桐崎さんと一緒にいて楽しくなかったのか?
俺は楽と桐崎さんが楽しく笑い合ってる姿も沢山見てきた。
そのときの笑顔はニセモノだったのか?」
「・・・電話切るわ。」
「それでも意地張るなら言ってやる。
俺達はまだ桐崎さんとは離れたくない。小野寺だって思ってるぜきっと。」
「・・・そうか。」
「おう。てことで、
──『後は任せた。』──
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舞子集。
あいつは本当にどこまでも憎たらしい奴だ。
俺のことを理解してるからこそあんな事を言いやがって・・・。
いつかあの男を心から驚かせてやる、今決めた。
そしてその後、俺は場所を移動し大広間へ。
組の連中全員が集う。否、集わせた。
そして、揃ったことを確認し口を開いた。
「突然だが、俺はビーハイブに乗り込もうと思う。
やるべき事が出来ちまった。俺に協力して欲しい。」
「坊っちゃん、顔を上げてくだせー!」
俺が頭を下げたことに驚いた様子だ。
「・・・・・・。
なんだお前らニヤニヤして・・・。」
顔を上げると、ニコニコっつーかニヤニヤっつーか、とにかく気持ち悪いむさい顔。
「坊っちゃんの頼みならいつでも喜んで!」
「坊っちゃんからの頼みごとをされるときが来て感激です!」
頬が緩んでしまいそうだった。
心からこみ上げてくるものを抑え、俺は全員に指令を出す。
「今から桐崎家と話を付ける!
至急用意しろ!」
「「はっ!」」
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そして現在、ビーハイブの屋敷の庭に潜伏中だ。
侵入には成功した。
竜達には囮となってもらい、その隙を狙ったわけだ。
ここからは1人だ。自力で千棘の所に行かねば。
不意に、後方から草を踏む音がする。
振り返ると、そこには
「待っていたぞ、一条楽。」
爽やかに微笑む鶫誠士郎の姿があった。
「おお、なんだ鶫か。
サンキューな、待たせた。」
「ああ、待っていた。
まさかこんな所にいるとはな。」
「驚かせて済まんな。
まあ俺もおまえが急に来てビビったけどよ。」
「これで私の手間が省けた。」
「そうだな、案内を頼めるか?」
俺は安堵しきっていた。
だから、俺は次の瞬間起こったことに頭が付いて行かなかった。
鶫は小型マイクのスイッチを入れ、
「一条楽を発見。一条楽を発見。
裏庭に全員集まれ。」
ビーハイブのメンバーに招集をかけたのだ。
今目の前にいる少女、鶫誠士郎は敵だったのだ。
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「おい鶫!
おまえは分かってたんじゃなかったのかよ!?」
「何のことだ。私に覚えはない。」
「てめえ、シラを切るつもりか!」
目の前に広がるのは、俺を狙う奴等と俺を守る奴等の殺し合い。
その中の真ん中で戦う鶫と言い争っていた。
「さて、では貴様を殺そうか。
もう何も話せないようにしてやろう。
お嬢の悲しみとビーハイブの怒りを思い知れ。」
体がいきなり吹き飛ばされ、後に痛みが伝わる。
俺は鶫にタックルされてしまったようだ。
一瞬意識が飛びそうになり、なんとか覚醒させるとどうやら争いの輪から抜けたらしい。囲む男達はもう居なかった。
それでも輪から抜けただけであり、すぐに狙いに来る。
俺はたまらず逃げるため走り出した。組のみんなが俺の元へ行かせまいととおせんぼうしていた。
みんなに感謝し、屋敷の中へと足を動かす。
敵も味方もみんな同じ所に集まって居るため、俺を止める者はいない。
ただ1人を除いて。
「鶫・・・!」
追うのはやはり鶫だった。
建物に入るが、鶫に追いつかれ拳銃を向けられる。
「おまえ、本気か?」
「こんなときに冗談を言うとでも?」
そういってニヤリと笑う鶫。
「おまえ、まさかクロードになんか吹き込まれたのか!?」
「そんな訳が無いだろう。これは私の意思だ。
貴様が自分の意思でここに来たように、私も自分の意思で貴様の前に立つと決めた。それだけだ。」
いかにも、らしい応えだ。
何かしらがあったのかも知れないし、しかし本当に吹き込まれたのかも知れない。
「(だが俺はおまえとは戦いたくない。)」
だからこそ俺は俺の主張をした。
すると、見る見る鶫の顔は怒りを表し、
「だがそんな綺麗事、ここでは通じんぞ!」
俺に銃口を向けた。
その直後、大きな銃声が鳴り響いた────。
「よく避けたな。」
「おまえの銃捌き何度も拝見したからな。
・・・だが、殺る気みたいだな。」
「何度もそう言っている。」
勘というか、鶫の本気が分かったからなんだろうか。
だが、少し違和感はあった。
「退ける気は無いのか?」
「しつこいな。」
またも鶫は撃つ。
それをまた回避する。
「貴様に自分を貫く気は無いのか?
ここで理想論を説いて諦めるか?」
そうだ、理想論だ。
鶫が死ぬまで俺を殺そうと狙うならば殺すしかないようだ。
だが、そんな結末は嫌だ。でも道は開けてもらう。
「いや、俺は・・・傷付けた千棘に謝るために来たんだ。
ここで引いたら終わりだ。男じゃねえ。」
だから傷つけるためではなく、鶫を抑えるだけのためにこの武器を使おう。
「だから、
──『俺の邪魔すんじゃねえよ。』──
俺は拳銃を突き出す。
一週間後くらいに後編を出そうと思いますので程々に期待してお待ちください。