Yes!ウサギもやって来ました♪   作:白結雪羽

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気分が乗ってたので2話目
続くなら基本この二人メインになりそう


Yes!ウサギは二匹もいりません

 

 

 自慢のうさ耳にダイレクトで届く風切り音が煩わしいなと、途中から仰向けになって落下する黒ウサギだったが、これでは上空一万メートルから落下しつつ世界の果てまで見渡せる限りの全貌を拝むという貴重な体験ができないと仕方なく体勢を戻した。とは言うものの、その実彼女は超高度からの落下というのはちょくちょく経験していたりする。

 因みに最高記録は月面から地上に僅か十数秒を以て叩き落された経験、となる。帝釈天曰く「よく生きて帰ってきたな…」との事。

 

 

「うーん、困りました」

「……奇遇だね、私も今すんっごい困ってるわ」

 

 

 現状を鑑みてある問題が浮上した黒ウサギ。そんな彼女の呟きに答える者は本来であればいるはずもないのだが、そうじゃならなかった。

 知った声だった故に思案しながらも隣を見ると、そこには黒ウサギと同じくらいの背丈の少女が宙に寝そべるとでも言うべきか脱力した姿勢で一緒に落下し、彼女へ不機嫌そうに細められた眼差しをむけていた。

 

 真っ黒なレインコートを羽織り、空いた胸元と股の箇所には覆い隠すように二対の巨大なベルトが張られている。瞳と被ったフードの間から垂れる髪は共に淡い桃色と中々に特徴的な外見をした少女だ。ただそれだけではない、彼女を示す特徴として真っ先に目に入るのは、フードに付属した一対のメカメカしいウサ耳に、両肘から先に延びる三指の巨大なアームだろう。

 そんな彼女の名前は〝ナフェ〟。黒ウサギを一方的に弄んでいた全身真っ白な少年に組しており、今回黒ウサギの付き添いを半ば無理矢理任された少々ツキの無い子であり。

 

 

「おや? えーっと……ナベさんでしたっけ?」

「……ハッ、相変わらずまともにヒトの名前すら覚えられないポンコツ兎なのね。あー何かちょっと安心したわ」

 

 

 

 

 ついでに補足するならナフェと黒ウサギは基本馬が合わない。今のように黒ウサギ生来煽り癖に対してナフェの沸点が割かし低いのが主な原因である。売り言葉に買い言葉、二人をセットにすると所構わず死闘に発展しかねないと帝釈天を度々悩ませていたりする。

 

 

「ふふん、それはもう箱庭きっての清涼系癒しキャラと定評のある黒ウサギですから? この愛らしい姿を拝めるだけで安心できるなど当然の事なのですよ、お鍋さん?」

「チッ、私の名前はナフェだっつってんでしょうがこの腐れ兎。口を開けば人を小馬鹿にしないと済まないとか性根処から頭とか臓の芯まで腐りきってるんじゃないの?」

「なはは、何をおっしゃいますやら。口を開けば口汚く他人を罵る事しか知らない貴女がそれを言ってしまっては、もはや同情もされませんよ? ぜひ今一度ご自分を見つめ直し、赤子から教養を身に着けては如何でしょうか、身も心も貧しい似非兎さん?」

 

 

 ニッコリと聖母のような笑みを湛え、声音優しくナフェに毒吐く黒ウサギ。その際わざとらしく豊かに育った双丘を見せつけるように腕を組み、腿から脹脛まで露になってる磁器のような素足をこれまた見せつけるように組み直した。

 

 ブチっと、ナフェの中で何かが切れる音がした。

 

 

「…………どうせ将来垂れるだけの脂肪に興味なんてねえっての。しかもそっちに栄養取られてチンチクリンなままとかバランス悪すぎ。その点? 私は確かに背も胸も小さいけど? これは生物的に合理的なバランスを保って形成された結果だ。出来損ないとじゃ話にすらならないってわけよ」

「はてさて、私は一言も貴女の身体的特徴について触れたつもりはないのですが……。あ、そういえば。言ってもいない事を言葉尻を捉えて陰湿に指摘する人ってその箇所に大きなコンプレックスを抱えているからと風の噂で聞いた事が御座います! つまりは、ええ、ナベさんはそういう悩みをお持ちなのですね。でもきっと大丈夫です! 私もナベさんも将来性ならまだまだ……あ、そういえば。ナベさんは私より何千倍も歳上でしたねー。ま、まあ人生何が起こるか誰にも把握しきれるものではないですし? 希望は持っていても損はないですよ! たぶん! それに言うじゃないですか、見た目も大事だけどそれ以上に心が大切…………あっ」

 

 

 そこまで言ってホロリと目尻に涙を浮かべる演技派黒ウサギ。ナフェの限界は疾うにハチ切れていた。

 

 瞬間、黒ウサギの眼前で空気が爆ぜた。胴から始まり全身を貫くような衝撃は彼女の落下層度を何倍にも加速させ、あと一分はさせられたであろうフリーフォールを物の数秒で大地へと到達させた。小隕石でも衝突したかのような爆音、衝撃波が眼下にあった森を駆け巡り、黒ウサギが着弾した個所から半径数十メートルの範囲が更地と化す。

 まず五体満足どころか命の危機すらあり得る惨状。しかし、立ち昇る砂塵の中にユラリと立つ影が存在した。

 

 

「っつつ……まったく、沸点の低い子が強い力を持ってる程厄介な事はありませんね──っと!」

「っらあ!!」

 

 

 パッと見無傷な様子で紺色のベストについた砂埃を払う黒ウサギだったか、空から急接近してきた殺気に弾かれるようにして後退した。直後、ナフェが(たけ)びを挙げながらアームを叩きつけてくる。黒ウサギの落下でそこそこ割れていた地盤は今度こそ蜘蛛の巣のように亀裂を奔らせ、途方もない衝撃に宙へと踊る。

 状況、足場視界共に一時的に最悪。だが黒ウサギにはこの程度まったく差し障りない。

 

 

「っそが! ──ッ」

「悪態吐く暇があるのでしたら少しでも気を張ることをお勧めしますよ。おナベせーんぱい?」

 

 

 黒ウサギが忠言を口にするよりも早く振りぬかれた蹴りは、落下と叩き付けの反動で数秒にも満たない僅かな隙を作ってしまったナフェを捉えるには充分だった。

 電子が爪弾きにされるが如く、強烈な蹴りに大森林を木々ごと突き抜けるナフェ。彼女が漸く止まったのは数キロに亘って森を一直線に抉り、そこそこ大きな大木を圧し折ったところであった。べきべきと鈍い音を立て大木は重力に従い倒れる。それに留まらず、ナフェが吹き飛ばされた衝撃に巻き込まれた木々の一部が後から殺到し彼女が崩れ落ちた場所を次々と塞いでいった。

 

 その場へ駆けつけつつ様子を見ていた黒ウサギは少し離れた位置で停止、気まずそうに頬を掻く。

 

 

「あらら……少々加減を間違えてしまいましたか? サトリだったらこれ位簡単に対応してくるのでどうにも調整がおざなりに──」

 

 

 最後まで言葉は紡がれなかった。咄嗟に立ち止まってた枝を蹴り対比しようとする黒ウサギだが、それよりも数瞬早く巨大なアームに足を掴まれてしまう。一体誰がなど愚問だ。歯を食いしばってはここに来て初めて焦りの表情を見せる黒ウサギの目に、全身にチラホラと木の葉が引っ掛かっている以外は全くの無傷なナフェの姿が映る。その顔はさっきまでの苛立ちの気配など微塵も感じさせず、黒ウサギをその辺の石ころでも見るような冷めた目で見つめる能面顔だった。

 

 

「長生きな私から一つ教えてあげよっか」

「っしぁッ──うっ……!?」

「余裕噛ます暇なんてアンタにはないんだよクソ兎」

 

 

 ナフェの言葉を無視して捕まってない方の足で彼女の顔を蹴り抜くが、今度は飛ばされるどころか微動だにすらしない。むしろその反撃とばかりに捕まったままの右脚の骨を容易く砕かれ、間髪を入れず頭部を鷲掴みにされるなり地面に地殻すら砕きかねない勢いで叩き付けられた。

 

 

 

「──」

 

 

 もう息すら吐かせない圧倒的破壊力。地盤の崩壊が何重にも起こり、純粋な力の衝撃は爆風となって平穏だった自然を悉く蹂躙していく。

 

 数秒か、数分か。いくら経過したころにやっとナフェの一撃の余波は完全に治まり、彼女は自身の作った巨大な窪みの中心で気怠そうに手を上げた。その先には、はてさて余程の頑丈さだったのか、はたまたあれで尚手加減されてたのか、全身血濡れでズタボロながらも原型をちゃんと留めている黒ウサギが掴まれている。しかも辛うじて息もしており、その目には確りと光が宿っている。

 

 

「まったく、調子に乗るのは結構だけど。そういうのは相手を選ぶこと…ってこれ言うの何回目よ。ほんとっ、サトリにといい私にといい、一度たりとも勝ててないくせに。これだから粋がるだけのウサギは気に食わないっての」

「は……は、ケ、ホッ……! いいじゃ、ないです…か。勝て、ないな、ら……勝つま、でっ……ッ、ゴ、ッホ!? ひ、ぁ……は、ははは。そのかわい、らしい…顔、いつかぜっ……たいにっ。ぐちゃぐ、ちゃに……して、許しを請わせ、てやりますからッ。覚悟、しておく……ことですよ……!!」

「はいはい、取り敢えず喋んな。私の手がアンタの血とかその他体液諸々でもうべっとべとなの。……まあ間食変わりにはなるけどさ」

「く、はっ……♪ 私の、体液を間しょ、くだとかっ……この変態、おナベ…さん♪」

「ここまでの流れをもう一度体験させてあげようか? あー勿論、アンタにターンは渡さないけど」

「なは、は……いや、あ。さすがにそれは、勘弁です…ね」

 

 

 こうして問題児黒ウサギと御伴(苦労人)ナフェの異・箱庭珍道中はなんとも血生臭い歩みを始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうそう、私基本引き篭もってアンタには口出しとかしないから。そこんとこ分かっといてよ」

 

「おー……それは、ありがたいこと…コフッ、ですねぇ」

 

 

 

 




問題児SSの例に漏れずバグ気味な闖入者

今の所名前の出てきてるキャラの強さ比較としては
サトリ(オリキャラ)>(超えられない壁)>ナフェ(BRSTGより)>=帝釈天(微改変)>黒ウサギ(改変)

サトリが俗にいううちの子(オリ主)的ポジに当たるけど偶に登場する程度で忘れても無視しても支障はない
メインはあくまで性格その他諸々改変した黒(うしない)ウサギ


追記:二人の落書き的なもの

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