病院をあとにしたレミリアとレンドアール。
やはり、フレアは助からなかったそうだ……。
レンドアールの腕のなかには、吸血鬼らしくない、ダイヤがついた羽が輝く,フレアが一番守りたかったスカーレット家の次女、フランドール・スカーレットがスヤスヤと寝ている。
「お父さま……私たちどうなるの?」
レミリアは涙をふきながらレンドアールに聞いた。
「………とりあえず家に帰ろうか……」
レンドアールとレミリアは暗い道をとぼとぼと歩き始めた。
新しく産まれる妹とフレアの無事は必ずだと思っていた行きとは大違いだ……
突然景色が赤く染まった。
レミリアが見上げると,道を照らすように雲に隠れていた深紅色に輝く赤い月が出ていた。
「赤い月…?初めて見たわ…あの月みたいに…お父さまとフランドールの道しるべになるようにレミィも頑張らないと…。」
レミリアはその時,赤い月に誓った。
『ガチャ!』
誰もいない我が家へ,フレアがいない紅魔館へレミリアたちは帰ってきた。
本当なら,家族4人でお祝いパーティーをしていただろう…冷蔵庫には,ローストチキンやケーキが暗闇の中に幻のようにぼんやりと輝いていた。
「僕たちはどうしていけばいいというんだい…?」
レンドアールは床に崩れ落ちた。
「……大丈夫だよ…?レミィがお父さまを守るよ。独りじゃないもん。…大丈夫だから…」
レミリアは目に涙をためながらもフレアとの約束のためにニコッと笑った。
未来を見つめるその瞳は、笑顔は,亡きフレアにそっくりだった。
「………フレアにそっくりだな…レミィ…」
とレンドアールは寂しく微笑んだ。
「お父さま……ごめんなさい。レミィ…お母さまと似てるから悲しいんでしょ?レミィなんて…レミィなんて嫌いになっちゃうもんね…」
レミリアはうつむくながら呟いた。
「……そんなことないよレミィ!…君は関係ないんだよ?大丈夫だから…な?」
レンドアールはあわてて幼いレミリアを傷つけないように言葉を選びながら答えた。
「………レミィ,お部屋に戻るね…」
「待てっ!レミィ!」
レンドアールの声を無視して、レミリアは部屋に戻り鍵をかけた。
「うぅっ……うぅっ…」
レミリアは部屋で静かに泣いた。
レンドアールに見られないように、
聞かれないように、悟られないように……。
『お母様がいなくなっても、お父様を守ってあげること。お願いよ…』
レミリアの頭の中にフレアの約束が響く。
「お母さまとの約束…絶対…守らなきゃっ…!絶対…絶対ッ!」
レミリアは狂ったように叫んだ…。
その日からレミリアは変わった。
いや変わってしまったのかもしれない。
フレアとした『約束』を絶対に守ることだけに集中し,友達なんて,つくる暇もなく,いるというならたった一人、幼なじみの『パチュリー・ノーレッジ』ぐらいだ。
父親には毎日傷つけないよう気を使い,フレアを思い出させないように無表情にしたり,成長してきたフランドールにもいつもどんなときも無理してニコニコしたり……レミリアは大きくなるにつれだんだん疲れてきた。
そんな毎日を過ごしているうちに、レミリアは小学4年生に,フランドールは小学1年生になっていた。
フランドールは精神が不安定で毎日大変だったがレミリアには何とか心を開いていたことが救いだ。
そんなある日,朝起きると,父親レンドアールの姿がなかった。
「お父様?」
レミリアが問いかけても返答がないので、館内を探していると、テーブルの上に置き手紙があった。
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親愛なる娘,レミリアへ
本当にすまない。やっぱり, フレアがいない人生は考えられない。君の顔を見るたびに、紅魔館を見るたびに、フレアを思い出してしまう。だから本当に身勝手で最低な父親だと思われるだろうけど、家を出ます。もちろん、毎月仕送りもするし、メイドも雇うのも自由だ。
フランのことも…レミリア,君に任せる。
僕のことは無いだろうけど探さないでくれ。
もう限界なんだ。本当にすまない。
レンドアール
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「……………………」
『………私,お母様との約束守れなかったの?
お父様を守るって約束したのに…
私…のせいだよね…
とうとう独りぼっちだわ…誰も私なんか必要じゃなかったの!?』
レミリアは心の中で叫び、フレアから貰ったネックレスを握りしめる。
「うぅっ…ぐすっ…!」
レミリアは泣いてしまった。あの赤い月に誓った日から泣かずにすんでいたはずなのに。
「お姉さま?どうしたの!」
見上げると心配そうなに覗き込む妹のフランドール,フランがいた。
「大丈夫よ?フラン…お姉さまは大丈夫だから…」
レミリアはいつものようにつくり笑顔をして答えた。
「嘘だっ!お姉さま,フランにいつも無理して笑ってるし,平気なフリしてるもん!
お父さまが地下にフランを閉じ込めたときも、助けてくれたのお姉さまだけだもんッ!」
「!?」
レミリアはビックリして立ちすくんだ。
「お姉さまはフランのこと本当は好きじゃないと思うけど…フランは…お姉さまのこと大好きだもんっ! 独りぼっちじゃないよ…フランもお姉さま助けたいっ!」
フランの未来を見つめるその瞳は、あの赤い月に誓った日の自分の瞳のようだった。
やっぱり…私の妹なんだな…とレミリアは思った。最初はフランのせいでフレアが死んでしまったから、本当は嫌いだったはずなのに、いつの間にか……約束も関係なくフランが大切になっていた。
フレアが守りたかった理由が分かる気がする。
血の繋がっている,ただ1人の妹だから。
「フラン…ありがとうっ!私もフランのこと大好きよ!」
「わあっ!」
私はフランに抱きついた。
フランはびっくりしているけど
関係ない。私はやっときずいたから。こんなに身近に大切に,私を思ってくれる子がいたんだもの…!
もしここにフランがいなかったらこの温もりは無いのね……!
「お姉さま…!嘘ついてないの分かったから、苦しい~!」
「あらっ!ごめんなさい!フフッ!」
私は久しぶりに心の底から笑った気がした。
その日から、優秀でいつも味方のメイドや,寝てばっかりだけど優しい門番,そしてどんなときも一緒にいてくれたパチュリーと……大切な妹と,楽しく過ごした。
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お母様へ
天国で元気にしていらっしゃいますか?
お母様との『誰にも頼らない』という約束は破ってしまったから罪悪感はあるけど、今の生活を、幸せを壊したくないから、お母様,許してね…お母様の分まで幸せになるから。
レミリアより
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レミリアは手紙をフレアの墓に静かに置き,新たな未来へ歩んでいきました…。 おしまい。
ー続くー
9話 『未来への道しるべ』を見ていただきありがとうございます!携帯を替えたりで忙しくてネタも,うかんでこなくて…遅くなってすみません!レミリアはやっと独りじゃないことにきずきます。約束はまだ心に残っていますが、どうなるのかはまだ秘密ですが(*´ω`*)
まぁハッピーエンドなのかな?これを聞いた霊夢はどうなるのかお楽しみに(*´•ω•`*)…
いつか,フレアも生きてる頃のスカーレット家のサイドストーリーもつくろうかなと思ってます!ありがとうございました!