お父さんの残念イケメン度が明るみに出た所で秘書の月夜さんに『……それより皆様は,輝夜様にお会いになるのではなかったでしょうか?早くそちらに行かれた方がよろしいのでは?』と言われて,最初の目的を思い出した。
うわ…お父さんの残念度を見に来たわけじゃなかったのに…無駄に時間を過ごしたような気が…。
「あっ…!!月夜すまない。最初の目的を忘れていたな。月夜が輝夜姫の部屋まで連れていくから,霊夢と霊華は彼女について行ってくれ。頼んだ。」
「…承知致しました。」
お父さんは我に返ったかのようにカリスマァ…に戻って月夜さんに指示を下した。……私がレミリアに普通に話しかけれたのって…お父さんと似てたからじゃ…と少し思った私は大丈夫かしら…。
「霊華様。霊夢様。こちらに来て頂けますか?」
私が色々頭の中で考えている間に月夜さんがもう行く準備をしてくださっていたみたい。…全然気づかなかったわ…。
「さっ!霊夢!輝夜姫にご挨拶に行くぞ。」
とお母さんに言われ月夜さんに私達親子はついて行った。
コンコン
「輝夜様。月夜でございます。お二人をお連れしました。」
『入れなさい。』
月夜さんが部屋にノックするとおそらく輝夜姫だと思われる綺麗な声の返事が聞こえた。
……どんな人なのかしら…緊張するわ…!
「失礼します。霊華様,霊夢様どうぞお入りください。」
ゴクリと唾を飲みこみ,ついに輝夜姫の部屋に入った。
…そこには綺麗に地面まで滴る黒髪に,おとぎ話に出てくるような,綺麗な黒い瞳。フッと微笑む顔には『妖艶』という言葉が合うような…そんな私の従姉妹とは思えないほどの美しい女の子がそこに佇んでいた。
「……あら。随分遅かったのですね?まぁきっと玲夜様の話でも長引いたのでしょうけど。霊華様お久しぶりですね。会えなくて少し寂しかったのですよ?」
「お久しぶり。遅くなってごめんな。輝夜ちゃ…輝夜姫。綺麗になって…元気にしてたか?」
「…ええ。ここ最近は体調も玲夜様のお陰で良いし…というより!『輝夜姫』じゃなくて今まで通り『輝夜ちゃん』で大丈夫です!』
輝夜姫はお母さんを懐かしむように,ニコリと話しかけた。
お母さんも同じく懐かしむように,優しく話しかけた。…昔から会った事があるのかしら?『輝夜ちゃん』って言ってたぐらいだし。
二人はなかなか仲がいいのか楽しそうに談笑した後,お母さんが私を紹介し始めた。
「それじゃあ今まで通り輝夜ちゃん…でいいんだな。…輝夜ちゃん,今回はうちの娘『霊夢』も連れてきているんだ。こんな感じだけど結構シャイというか…恥ずかしがり屋なんだけど仲良くしてあげてくれ。」
お母さんは私の頭を撫でながらそう紹介した。……地味に恥ずかしいんだけど?お母さん……。
「ふーん…。よろしくね?霊夢様?あと,貴方の方が歳上なのだから敬語はいらないわ。」
そう言いながは輝夜姫は手を差し出し,ニコリと笑った。
「はっ…はい。…じゃなかった…うん!よっ…よろしく!輝夜ちゃん…!」
私は緊張しながらもその手をとった…のだけど…今一瞬…輝夜ちゃんから鋭い視線を感じたような気が…。…って私が緊張してるからそう感じちゃっただけだろうけど。
「…霊華様!私…霊夢様と二人で話がしたくなってしまいましたわ。霊華様…二人にしていただいてよろしいでしょうか…?」
「ああ。全然大丈夫だ!それじゃあ後でまた。」
輝夜ちゃんは私と二人で話したいそうでお母さんに先に広場に戻ってもらうことにしたらしい。
…よけ緊張しそうなんだけど…。
パタンッ!
「………霊夢様。」
パタンッ!と扉が閉まりお母さんが出ていった途端,輝夜ちゃんは声をかけてきた。
「…えと…何かな?」
私は少しビックリして変な間があいてしまった。
「私ね…………?」
「私ね………?」
「貴方のこと…」
輝夜ちゃんはそう言いながら徐々に私に近づき,私の顔の近くまで来た。なっ…何かしら…何かついてたのかしら……?
「…大っ嫌いなの。」
輝夜ちゃんの歪んだ笑顔は私の顔の目の前でその言葉と共に私へ放たれた。
「えっ…………………?」
一瞬の沈黙。私自身も何が何だか分からなかった。ひとつ思う事があるなら『どうして?』とかぐらいだろう。
「うふふっ!なんて顔してるの?びっくりしちゃったよね?理由が聞きたいって顔,してるね?んー教えてあげるわ?どうして私は貴方のことが大っ嫌いなのかって事。」
輝夜ちゃんはニコリと歪んだ笑顔のまま話し始めた。
「うーん…どこから話そうかしら?あっ私と玲夜様の事から話しちゃおうかしら?ふふっ!しっかり話についてきてよね?」
そう冷たい目のまま,輝夜ちゃんは話し始めた──
「5年前……当時八歳だった私は病気のこともあってあまり外に出ることが許されなかったの。そんな私の唯一の楽しみは,貴方のお父様……玲夜様と家で遊ぶ事だったわ。玲夜様は忙しいにも関わらず,私の病気を良くする事だけではなく,そのようにいつも一緒にいてくれたの。
たまに奥様の霊華様も来て下さって,いつも忙しいやら厳しくするためやらで遊んでくれない両親とは違って,優しいお二人は私にとって,本当のお父様,お母様のようだったわ。
だけど……そんな私にとって,玲夜様や霊華様は一番に思っていても,お二人が一番に思っているのは……貴方…霊夢様。私の方が霊華様はともかく,玲夜様とは長くいるのに…一番は霊夢様。どんなに一番になりたくても玲夜様は霊夢様のもの。……それは何年経っても変わることは無いわ。
どうして,玲夜様の事を何も知らない娘なんかが一番に愛されて…玲夜様の事何でも知ってて,大好きな私が…いつも『二番目』なの?
そう…ずっと,ずっと思ってたわ。
やっと久しぶりに霊華様とも会えるし,その事も考えないようにできてたのに……なんで…なんで今更来るのよっ!!どれだけ霊華様が玲夜様の事言わなくたって…少しは玲夜様の事知ろうと思うはずでしょ!?そんなの…そんなの玲夜様が可哀想!そんな人に玲夜様を取られたくなんてないわ!
だから…だから…貴方なんて大っ嫌いなのよ!!」
輝夜ちゃんは話し終えた後,涙目になりながらも私をキッと睨んだ。
「………そっ…そんな……」
……私は知らない間に輝夜ちゃんもお父さんも傷つけていたの……?
それも知らずに私は毎日を幸せに過ごしてきたの……?
謝って許されることか分からないよ…。
ホント…私………最低だ。
「…私……!」
ドガーン!!
私が紡ごうとしていた言葉は突然の爆発音にかき消された。
「…!なんですのっ!!」
輝夜ちゃんは,扉の方を向く。
どうやら…爆発音はこの部屋から近いみたいね……
「……今は話をしている時間はないわね。急いでここから出るわよ!」
輝夜ちゃんは私にそう言い,扉を開けた。
「んっ……!?」
輝夜ちゃんが扉を開けた瞬間,黒ずくめの男が輝夜ちゃんを押さえつけた。………これは…誘拐しようとしてる…!?
「…だっ…駄目ぇぇぇ!!」
近くにいた私は咄嗟に黒ずくめの男にお札を飛ばし,輝夜ちゃんから距離をあけさせた。
「…くっ…コイツ…まさか博麗の巫女か…!?ふふっ…ちょうどいい…作戦変更…博麗の巫女のお嬢ちゃんを捕まえるとしようか!!」
「……!?」
私が隙を見せたその瞬間,黒ずくめの男に捕まってしまった。
「…!霊夢様!?どうして私を庇ったのよ!早く逃げて!……うっ…足をくじいた挙句…攻撃が届かないなんて…!」
くっ……隙をつかれた…!…逃げれない…!
「…フッ!!命拾いしたなあ!輝夜姫様よぉ!!博麗の巫女のお嬢ちゃんは頂いていく!」
「そんな…!霊夢様を連れていかないでっ!!」
輝夜ちゃんの悲痛な叫びは虚しく
私は意識を失った…。
〜続く〜
はい。作者から一言。「月の警備員何してんだよぉぉぉぉ!!」。一体警備員は何をしていたのでしょうか……。それはともかく…なんというか,今回は泥沼回でしたね……。なんというか…輝夜はただの寂しがり説が私の中で出ております。親からも本当は愛されていることに気づいていないからこそ,玲夜に固執してしまうのでしょうか?(というか輝夜の両親も少し悪いような気が…もうちょっと厳しくしすぎず,優しくしても良かったんじゃ…)
こんな原作設定無視しまくってて分かりにくっ!ってなるかも知れませんがよろしくお願いします……(泣)
見て頂きありがとうございました!
また次をお楽しみに!
歴史の先生に迷ってます…誰が適任ですかね?
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