七曜の転生者と魔法学校   作:☆桜椛★

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七曜の転生者と秘密の部屋
ダイアゴン横丁と書店の騒動


 1993年、1羽の梟が口に封筒を咥えてイギリスのとある森の上空を飛行していた。しばらく飛び続けていると森が途切れ、美しい花畑が見えて来た。色鮮やかな花々が咲き誇り、その中心辺りに梟に向かって手を振っている小悪魔がいた。

 

 

「あ!来ましたね!パチュリー様の占いは良く当たりますねぇ♪お〜い!こっちですよ〜!!!」

 

 

 小悪魔の姿を捉えて梟は降下して行き、差し出された小悪魔の腕に留まった。小悪魔は梟の口から封筒を受け取り、運んで来た梟を撫でてやる。梟は大人しく気持ち良さそうに撫でられている。

 

 

「よしよし、お疲れ様です。・・・・うん、ホグワーツからパチュリー様宛の手紙ですね」

 

 

 小悪魔は封筒を見てホグワーツから来た物だと確認し、他人には見えない花畑の中心に建つヴワル大魔法図書館への扉を開いて中に入った。天井につくほど高い本棚がいくつも並び、その全てに魔法や魔術、その他様々な知識が詰め込まれた本がズラリと並んでおり、中央の通路の先にある机にこの大図書館の主・・・パチュリー・ノーレッジが魔法書を読んでいた。パチュリーは小悪魔が近づいて来たのに気が付いて視線を魔法書から外して小悪魔を見た。

 

 

「お帰りなさいこぁ。占いは当たったようね?」

 

「はい!完璧に占い通りでしたよ♪どうぞパチュリー様、ホグワーツ魔法魔術学校から手紙です」

 

「ありがとう。どれどれ?・・・・」

 

 

 パチュリーは先程から読んでいた魔法書である『異次元空間を人工的に創り出す魔法の研究成果』に紫色の栞を挟んで机に置き、小悪魔に手渡された封筒の封を切って中を読み始めた。内容は去年とほぼ同じで、手紙を読み終えると同封されていた新学期の教材リストを見る。

 

 

「・・・・?ギルデロイ・ロックハート?誰よこれ?」

 

「?パチュリー様?如何されましたか?」

 

「えぇ、ちょっとね?新しく買わないといけない教科書があるのだけれど、著者の殆どがギルデロイ・ロックハートとか言う聞いたことのない魔法使いみたいなのよ」

 

「私も聞いたことありませんね。最近名をあげたんでしょうか?」

 

 

 小悪魔は梟を椅子に移して蝙蝠の様な羽をパタパタと動かして机を飛び越えてリストを覗き込んだ。パチュリーは小悪魔が見えやすい様にリストを動かした。小悪魔は礼を言って、どの様な教科書か少し興味を持ちながらリストを読む。

 

 

「あ、ありがとうございます。少々失礼しますね?・・・?『泣き妖怪バンシーとナウな休日』、『グールお化けとのクールな散策』、『鬼婆とのオツな休暇』、『トロールとのとろい旅』?・・・え〜と、なんですかコレ?保育園児の絵本か人外との旅行のパンフレットですか?」

 

「知らないわよ。まともそうなのがミランダ・ゴズホークの『基本呪文集(二学年用)』しか無いわ。しかもそのロックハートが闇の魔術に対する防衛術の教師らしいわ。こんな怪しい本を出す奴に務まるのかしら?」

 

「さぁ?いっそ先生方に掛け合ってパチュリー様が教師をなさいますか?」

 

「そうねぇ・・・・別にいいわ。面倒だし、それに私は杖を使わないのよ?確かに間に合わせで作った杖はあるけどアレただの木の枝みたいな物よ?」

 

「問題はパチュリー様と魔法界の差ですねぇ」

 

 

 小悪魔はパチュリーと魔法界との差の大きさを感じた。正直言ってパチュリーの持つ知識とヴワル大魔法図書館にある魔法書の数々は魔法界の魔法使いや魔女にとってそれこそ喉から手が出る程欲しい物だ。ヴワル大魔法図書館の魔法書1冊で魔法界で革命が起きる程には凄まじい物なのだ。まぁ手に入ったとしてもパチュリー程の知識が無いと読めはしても理解は出来ないが・・・

それにしても誰だったかしらねぇ?もう原作知識はあまり無いのよね。秘密の部屋編もバジリスクが出るぐらいしか覚えてないし。ま、そんな事より早めにこの本を買いに行かないとね。

 

 

「こぁ、水曜日にダイアゴン横丁に教科書を買いに行くけど・・・一緒に行くかしら?」

 

「え!!?いいんですか!?行く行く!行きます!!」

 

 

 小悪魔はパチュリーの言葉に羽をパタパタ動かしながら大喜びで同行すると返事した。パチュリーはそんな小悪魔を見て子供みたいねとクスクス笑いながら読んでいた魔法書を開いて続きを読み始めた。

 

 

 

 

 

 

 水曜日になり、教科書を買いに行く事にした。今のパチュリーは普段着ている東方projectのパチュリーの服装だ。パチュリーは読んでいる途中の魔法書を片手にワクワクした様子の小悪魔の羽と尻尾に認識阻害の魔法をかけてから空間転移魔法でダイアゴン横丁の人気の無い路地に転移した。路地を抜けるとそこは大勢の魔女や魔法使いが行き交う場所だった。小悪魔は興味深そうに辺りをキョロキョロ見回しては子供の様に騒いでいた。

 

 

「わぁ〜!!パチュリー様!ここがダイアゴン横丁ですか!?凄い活気ですねぇ〜♪!!」

 

「そう言えばこぁはここに来るのは初めてね?ずっと扉の近くの町で買い物をしていたから」

 

 

 ヴワル大魔法図書館の料理担当でもある小悪魔はいつも食料を扉の近くにある町の店で買っていた。ダイアゴン横丁は扉からかなり離れている為小悪魔は行く機会がなかったのである。しばらく小悪魔が興味を持った店を見て回っていると、パチュリーに声をかける少年が現れた。

 

 

「おや?そこに居るのは・・・パチュリーじゃないか。奇遇だね」

 

「あら?ドラコじゃない。貴方も買い物かしら?」

 

「まぁね?ちょっとした買い物さ」

 

 

 パチュリーと小悪魔が振り返ると、そこには金髪が特徴のドラコ・マルフォイが軽く手を振っていた。パチュリーがドラコと話していると、1人の大人の男性がパチュリーに話し掛けてきた。

 

 

「君がドラコが話していたパチュリー・ノーレッジかね?私はドラコの父、ルシウス・マルフォイだ。ホグワーツでは息子が世話になっている様だね?」

 

「あら、初めましてね?私はパチュリー・ノーレッジ。こっちの赤い髪の子がこぁよ。まぁドラコとは良く魔法薬学で一緒になるわね」

 

 

 パチュリーはルシウス氏と握手をしながら自己紹介をした。マルフォイとは初めて授業を受けてからずっとペアで魔法薬学を学んでいる。スネイプ先生が毎回ペアになる様に指示を出すのである。

 

 

「これからも息子と良くしてやってくれたまえ。どうかね?これから教科書を買いに向かうのだが、一緒に行かないかね?」

 

「じゃあご一緒させてもらうわ。ちょうど私も買いに来たんだし。こぁ、教科書を買いに行くわよ?」

 

「分かりましたパチュリー様!」

 

 

 元気に返事をした小悪魔の言葉にマルフォイ親子は首を傾げた。

 

 

「?パチュリー、その人は君の召使いなのかい?」

 

「まぁそんな所よ。私の家で一緒に暮らしているの」

 

 

 ドラコはへぇ〜なんて言いながら先頭を歩く小悪魔を見ている。しばらく道を進んでいると、目的地のフローリシュ・アンド・ブロッツ書店に辿り着いた。だが驚いた事に書店の前は物凄い人集りで、とてもただの書店に集まる人数ではなかった。互いに押し合って中に入ろうとしていた。

 

 

「ねぇ?あの書店はいつもあれだけの客が来るのかしら?」

 

「そんな訳ないよ。いったいどうしたんだ?」

 

「おそらくアレが原因だろう」

 

 

 ルシウス氏が指を差した先には、書店の上階に掛かった大きな横断幕だった。そこにはデカデカと文字文字が書いてあり、内容からしてギルデロイ・ロックハートのサイン会があるらしい。

 

 

「サイン会ねぇ?そんなに人気なの?ギルデロイ・ロックハートって?」

 

「サイン会開く位には人気なんじゃないですか?」

 

 

 パチュリーと小悪魔は互いに首を傾げるが、正直サインなんて要らないのでサッサと教科書を買って帰ろうと思い、マルフォイ達と教科書を買いに行く事にした。人混みの中を進んでなんとか必要な教科書を手に取り、レジに向かった。店員は忙しそうにしていたが、パチュリーが教科書をレジに置いてお金を払ったらちゃんと接客をしてくれた。パチュリーは買い取った教科書を小悪魔に渡して店の外に行こうとした。すると店の奥が騒がしくなり、客達が歓声を上げ拍手をしていた。何事かとパチュリー達がその方向を見ると、ギルデロイ・ロックハートと思われる男性がウインクして白い歯を見せており、その隣に何故か教科書の山を抱えたハリーがいた。

 

 

「なぁ〜にやってるんでしょうかあの子?」

 

「さぁね?それより何故かロックハートらしきあの男を見ていると弾幕を撃ち込みたくなるのだけど・・・こぁ、貴女は先に外に出てなさい。私はルシウス氏達とついでにハリー達と挨拶して来るわ」

 

「あ、分かりました。では入り口近くで待ってますね」

 

 

 小悪魔は教科書を抱えて店の外に出て行った。パチュリーはハリー達に会いに行こうと客の間をスルスル抜けて行くと、急に開けた場所に出た。どうしたのだろうと周囲を見ると、ルシウス氏と1人の男性が喧嘩をしていた。ハリー達が男性を応援しているからハリー達の関係者だろう。

 

 

「やっつけろ!パパ!」

 

「アーサー!ダメ!やめて!」

 

 

 ロンの兄のフレッドかジョージが『パパ』と呼んでいる為彼はロンの父親らしい。次々と本棚に体をぶつけ合っている為バラバラと売り物の本が落ちて行く。パチュリーは流石に止めようと思い、空間転移魔法で外に追い出そうと思ったが、先日完成した道具の実験をしようと手の上に2つの紫色のビー玉を転移させて2人目掛けて投げつけた。2つのビー玉は見事に2人に命中し、当たった瞬間ルシウス氏とアーサーと呼ばれたロンの父親は姿が掻き消えた。ハリー達は突然の出来事に驚愕し、2人の姿を探した。すると外の方で悲鳴が聞こえた。

 

 

「ふむ、実験成功ね。全く、あの2人の悪戯道具は作る甲斐があるわね」

 

「「あれ?パチュリーじゃん!さっきのは君がやったのか?」」

 

 

 パチュリーがビー玉を拾い上げるとフレッドとジョージがパチュリーを見つけた。それに反応してハリーやロン、ハーマイオニーにマルフォイもパチュリーを見た。

 

 

「パチュリー!君も来ていたのかい?パパはどこへ行ったの?」

 

「安心しなさい。外に追い出されただけよ。久しぶりねフレッド、ジョージ。依頼されていた物は出来たわよ。性能はさっき見せたわよね?」

 

「「マジかよ!?さっすがパチュリー!!」」

 

 

 フレッドとジョージはパチュリーからビー玉を受け取って眺め始めた。ハリー達はそれがなんなのか疑問に思った。

 

 

「ねぇ、それってただのビー玉だよね?それがどうしておじさん達が外に追い出される事と繋がるの?」

 

「へへっ♪驚けハリー、コレは俺とフレッドが発案してパチュリーに作ってもらっていた『追い出し玉』だ」

 

「コレを投げて相手にぶつけるとその人は建物の外に放り出されるんだ。正直コレは諦めていたんだけど、パチュリーに頼んで正解だった!」

 

「材料費も格安よ?ただのビー玉に私が魔法陣を刻んだだけ。だから1つ辺りビー玉1個分の値段よ」

 

 

 パチュリーの言葉にフレッド達はハイタッチし、ハリー達はあまりの技術に驚愕してパチュリーを凝視する。すると外から追い出されたルシウス氏とアーサー氏がボロボロになって戻って来た。

 

 

「いたたたた、腰を打った。いったい何が起きたんだ?」

 

「あら?戻って来たのね?じゃあフレッド、ジョージ、また何か作る物があったら言いなさい。貴方達の考える物はなかなか興味深いわ」

 

「マジ?じゃあこの羊皮紙に書いてあるやつ作ってくれよ!礼は完成品の4割でどうだ?」

 

「乗った。私も魔法の研究しているみたいで面白いわ。じゃあまた学校で会いましょう。ではルシウス氏、私はこれで。ハリー達もまたホグワーツで会いましょう」

 

「む?あ、あぁ。分かった。さらばだ」

 

「「完成を楽しみにしてるぜパチュリー!!」」

 

 

 パチュリーは手を振りながらハリー達と別れ、書店を出た。入り口近くの壁にもたれ掛かっていた小悪魔を連れて歩きだし、先程フレッドに渡された羊皮紙を読む。

 

 

「ふむふむ・・・置けば円の内側が5m程の落し穴になる『落とし縄』、相手の髪の毛を入れるとその人物を追いかけ回す『追いかけ人形』、壁に円を書くと内側が通り抜けられる『抜け穴羽根ペン』などなど・・・ふふふ♪あの2人が考える物はやっぱり面白いわ。こぁ、帰ったら早速作り始めるわよ。手伝ってくれるかしら?」

 

 

 パチュリーはクスリとあの兄弟の考えた道具を読んでから視線を小悪魔に移した。小悪魔は軽々と8冊の教科書を運びながら笑顔で頷いた。

 

 

「勿論ですパチュリー様!なんなりとお申し付け下さい♪」

 

「あら、頼もしいわね。それじゃあホグワーツに行くまでにいくつか作ってしまいましょう」

 

 

 パチュリーと小悪魔は再び人気の無い路地に入ってから空間転移魔法でヴワル大魔法図書館に転移し、教科書の束を机に置いてから研究室に向かった。これにより、フレッドとジョージの2人の悪戯は更にエスカレートする事になってしまうのだが、パチュリーと小悪魔の知ったこっちゃない。




皆様どうも☆桜椛★です。
私用により2月28日辺りまで活動を休ませて頂きます。誠に勝手ですがお許しください。
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