七曜の転生者と魔法学校   作:☆桜椛★

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乗り遅れと記憶の書き換え

 ダイアゴン横丁から帰ってから1ヶ月近くの時間が流れ、パチュリーはいつもの様に手に魔法書とトランクを持って駅のホームへやって来ていた。この1ヶ月でパチュリーはフレッドとジョージが発案した『落とし縄』と『抜け穴羽根ペン』を小悪魔との研究によって完成させており、他の道具も完成間近となっている。ただ今回研究に没頭し過ぎた為、ホグワーツ特急出発まで残り5分を切っていた。

 

 

「はぁ・・・まさかこの私が遅刻しかけるなんて。コレばっかりは私の不注意が原因ね。まぁ今年は興味深い物が手に入る筈だから気にしないようにしましょう」

 

 

 パチュリーは溜め息を吐きながらも明るい表情で駅のホームを歩いて行く。今年はホグワーツでバジリスクが現れる年だ。バジリスクとはホグワーツの『秘密の部屋』と呼ばれる所にいる巨大な蛇で、その瞳は目が合った生物を殺し、牙の毒は猛毒で、『不死鳥の涙』程の貴重な代物が無いと死に至る。パチュリーが狙っているのはそのバジリスクの猛毒である。バジリスクの猛毒は大魔法図書館に情報が載っていたが、その毒は数万単位の種類の毒が複雑に混ざり合っているぐらいしか書いていなかったのだ。この事に知識を欲するパチュリーとしては是非とも研究して解析し、人工的にバジリスクの毒を開発したいと思っていた。

 

 

(問題点はやっぱり原作と違う展開ね。しかもそのほとんどがハリー、または他の生徒達が死ぬもの。確かバジリスクはホグワーツのパイプの中を通っているとか言う話だったからこぁには部屋から出ないように言っておきましょう。・・・・・あら?これもしかして予想外の展開で今年死人が出たりしないかしら?)

 

 

 パチュリーがそんな事を考えながら歩いていると、ホグワーツ特急の出入り口になっている柱の前でハリーとロンの2人を見つけた。しかし2人共何故か柱を通らずにペタペタと触っていた。パチュリーは何をやっているんだと呆れながら2人に声を掛けた。

 

 

「ハリー、ロン。貴方達何やってるのよ?バカみたいな事やってないでさっさと柱を潜りなさい。時間押してるのよ?」

 

「あ、パチュリー!久しぶり・・・ってそれどころじゃないんだ!なんでか分からないけど柱を通る事が出来ないんだよ!」

 

「僕達が通ろうとしたらただの柱になっちゃったんだ。パパとママも向こう側にいるけどいつ戻ってくるか分からないし・・・」

 

「なんですって?・・・・退きなさい2人共」

 

 

 パチュリーは2人の言葉に眉をひそめ、ハリーとロンを横に退かして柱を調べた。手を突っ込もうとしても通り抜けず、冷たい柱の感触があるだけで、2人の言う通りこの柱にかかっていた魔法が綺麗に消えていた。

 

 

(どうやら誰かに魔法を解除されたみたいね。でもいったい誰が?・・・・あら?この魔力は・・・『屋敷しもべ妖精』?なんでこんなのが・・・あ、あ〜思い出した。確かハリーをホグワーツに行かせない為に1人の屋敷しもべ妖精が妨害工作をしていたんだったわね)

 

 

 パチュリーは柱を調べている内に気付いた魔力の残痕の波長が屋敷しもべ妖精と言う生き物特有の物と分かると同時に、原作の知識にハリーとロンが空飛ぶ車でホグワーツに行くのを思い出した。ちなみに言うとコレはパチュリーが200年生きている内に発見した事だが、魔力にはその生物特有の波長がある事が分かったのである。人間には人間の、妖精には妖精の波長があり、それぞれ同じ魔力でも波長が全く違うのである。

 

 

「どうだい?パチュリー?なんとかならないかな?もう1分を切っているんだ」

 

「ダメね。柱にかかっていた魔法が消えてる。直すにしてもこんな人目が付く場所で作業は出来ないわ」

 

「そ、そんなぁ!?それじゃあ僕達どうなるのさ!?あ、あぁ!出発しちゃった・・・・」

 

 

 パチュリーの言葉にロンが慌て始め、ホグワーツ特急が出発する時間になってしまった。ロンは時計を見ながら項垂れてしまった。ハリーもショックを受けていたが、周りを見渡すと自分達の事を見ている人が何人かいた為カートにトランクを乗せ直していく。

 

 

「ここを出た方が良さそうだ。車の側で待とう。ここは人目がつき過ぎるし・・・」

 

「ッ!!ハリー!車だよ!!ホグワーツまで飛んで行けるよ」

 

「でも、それは・・・・」

 

 

 ハリーが梟の入った籠を乗せ終わると同時にロンがそんな事を言い出した。しかしハリーの顔は微妙だ。何故なら魔法界では学校を卒業していない半人前の魔法使いが魔法を使うのは違法だからである。

 

 

「僕達困ってる。そうだろ?それに学校に行かなくちゃいけない。そうだろ?それなら半人前の魔法使いでも本当に緊急事態だから魔法を使ってもいいんだよ。なんとかの制限に関する第19条がなんとか・・・」

 

 

 それを聞いてハリーは興奮しだし、ロンに運転出来るのかと聞く。ロンはカートを押しながら任せとけと言いながらパチュリーの方を見た。

 

 

「パチュリー、君も乗って行くかい?この場合なら違法にはならないよ」

 

「遠慮しとくわ。私は私で行く手段があるから」

 

「そうかい。じゃあ運が良かったらホグワーツで会おう!行こうぜハリー!」

 

 

 ハリーとロンはそう言ってカートを押しながら出口に向かって走り去って行った。パチュリーとしてはこちらの方が好都合だ。正直パチュリー1人ならどうとでも出来るし、流石に子供の運転する空飛ぶ車に乗りたくはない。パチュリーはスタスタと人目が付かないように女子トイレの個室に入ってから探索魔法でホグワーツ特急の場所を確認し、空間転移魔法で転移した。バレないように少し強引だが列車の屋根の上に出て、人がいないのを確認して偶々空いていたコンパートメントの窓を開けて中に入った。

 

 

「はい、到着っと。全くもう。まさか態々登校する為に魔法を使ってこんな面倒な事をすることになるとは思わなかったわ」

 

 

 パチュリーは愚痴をこぼしながら席に座り、魔法書を読み始めた。今読んでいるのは『錬金術と魔法を組み合わせた自律思考型自動人形の開発に関する記録と開発方法』である。パチュリーは『七色の人形使い』ではないが、なかなかに興味深かった為つい最近から読み始めた。パチュリーがパラパラと魔法書を読んでいると、コンパートメントの扉が開き、ハーマイオニーが入って来た。

 

 

「あ!パチュリー!こんな所に居たのね!?どの車両を捜してもなかなか見つからなかったからもしかして乗り遅れたんじゃないかと心配していたのよ」

 

「(正解。)まぁギリギリ間に合ったのよ。ちょっと魔法書を読むのに夢中になっていてね」

 

 

 パチュリーは地味に鋭いハーマイオニーに心の中でなんでその鋭さを普段の行動に生かせないのかと呆れてた。

 

 

「あら?ハリーとロンは一緒じゃないの?」

 

「ん?あぁ、あの2人なら今頃列車の真上よ」

 

「・・・・・・はぁ?」

 

 

 ハーマイオニーは天井を指差しながら答えるパチュリーに首を傾げながらもコンパートメントの窓を開けて顔を出し、列車の上を見上げる。少しするとハーマイオニーがハリー達が乗った車を見つけたようで、窓ガラスが割れるんじゃないかと疑う程の悲鳴を上げた。

 

 

「キャァァァァァア!!?ちょっとハリー!!ロン!!貴方達いったい何をしているのよ!!?」

 

「あら?結構低い所飛んでたのね。後ハーマイオニー、悲鳴を上げるのは構わないけれどもう少し静かに上げられないのかしら?」

 

 

 パチュリーは叫び続けるハーマイオニーに注意しつつ、自分の耳を守る為に防音の魔法を発動し、ホグワーツに到着するまで魔法書を読み続けた。ハリー達が乗った車はハーマイオニーの悲鳴を聞いて姿を消しながら上へ上へと飛んで行った。

 

 

 

 

 

 

 無事にホグワーツ魔法魔術学校に到着し、歓迎会ムードの大広間でパチュリーは魔法書を読みながら組分け後の料理を待っていた。魔法書を読みつつあの2人はちゃんと死なずにホグワーツに到着しただろうかと考えていると、マクゴナガル先生が近付いて来た。おそらく別の生徒に用があるのだろうと気にせず魔法書を読んでいたが、マクゴナガル先生はパチュリーの側で立ち止まった。

・・・・え?何用ですか?

 

 

「ミス・ノーレッジ。少々お聞きしたい事があります。付いて来てくれますか?」

 

「お久しぶりですマクゴナガル先生。私が何かしましたか?」

 

「いえ、貴女は(・・・)何もしていません。ただ気になる事が耳に入ったので」

 

「・・・・分かりました。付いて行きます」

 

 

 パチュリーは席を立ち、マクゴナガル先生に続いて大広間を出て行った。しばらく薄暗い廊下を歩き続け、階段を降りて魔法薬学の教室でもある地下牢にあるスネイプ先生の研究室に入った。薄暗がりの壁の棚には悪の科学者のラボにありそうな不気味な物がガラス容器に入って並べられ、そんな部屋の中にはハリーとロン、そしてスネイプ先生とダンブルドア先生が立っていた。ハリーとロンの2人がパチュリーを見て驚愕した表情をし、顔を蒼ざめる。2人がここに居るのは理解出来るが、何故自分が呼ばれたのかと首を傾げていると、ダンブルドア先生がにこやかに笑いながら挨拶してきた。

 

 

「こんばんわパチュリー嬢。急に呼び出してすまんのう。ただこの2人から気になる事を聞いての。・・・・君も列車に乗り遅れてキングズ・クロス駅で別れたと言うのは本当かの?」

 

「・・・・えぇ、本当よ」

 

 

 パチュリーはこの言葉を聞いて全てを理解した。つまりハリー達は一応学校に着いたが、スネイプ先生辺りに捕まって理由を話したところ、ハリー・・・・は無いな。ロンが口を滑らして私もいた事を話した。しかし私はちゃんと列車から降りて来た事を確認している為疑問に思ったと言ったところだろう。パチュリーがハリーとロンを睨むと2人は申し訳なさそうに目を逸らした。

 

 

「ふむ、しかし君はキチンと列車から降りて来ているのを確認しておる。いったいどうやって列車に乗りこんだのかね?」

 

「さぁて?なんででしょうね?貴方は分かりますか?ダンブルドア先生?」

 

「う〜む、難しい問題じゃのう。サッパリ見当がつかんわい」

 

 

 はい嘘。ほぼ正解に近い答えは出ている。でも見た目少女の私にそんな事が出来るのかと疑っているわね。全くあの2人も面倒な事をしてくれたわね。

 パチュリーはにこやかに笑うダンブルドア先生を無表情を貫きながら観察する。顔は笑っているが、その目はこちらを警戒している目である。部屋の出入り口はマクゴナガル先生が塞ぎ、先程からスネイプ先生が開心術を仕掛けて来ている。まぁそんな事はパチュリーがさせる訳がないので、魔法で心を覗かれないようにガチガチに固めている。

 

 

「パチュリー嬢、この老いぼれに答えを教えてくれんかのう?答えてくれたらペロペロキャンディをやろう」

 

「それ本気で言っているのかしら?じゃあ今貴方が考えた答えを教えて下さる?」

 

「そうじゃのう・・・儂の予想では姿現しなどの魔法を使って列車に直接乗り込んだと思うのじゃが・・どうかの?パチュリー嬢?」

 

 

 あらあら、やっぱりホグワーツ魔法魔術学校の校長先生様はなかなか頭が回るわね。

 

 

「えぇ、半分正解よ。流石はダンブルドア先生ね」

 

「ほっほっ。それでも半分か、なかなか難しい問題じゃな。ではついでにもう1つだけ・・・・パチュリー・ノーレッジ嬢、君はいったい何者かね?」

 

「あら?そんな事は簡単よ。私はパチュリー・ノーレッジ。ただの魔女よ」

 

 

 パチュリーがニコリと笑いながら魔法書を開くと、スネイプ先生とマクゴナガル先生が杖を構えた。杖を取り出すものならすぐ様捕らえる気だろう。パチュリーはそれを横目にダンブルドア先生に質問する。

 

 

「じゃあダンブルドア先生、この事を知っているのはこの場にいる者達だけですか?私に答えさせておいて御自分は黙秘する・・・なんて事はしませんよね?」

 

「そうじゃのう。この事を知っているのは今この場にいる者だけじゃ。それがどうかしたのかのう?」

 

 

 パチュリーの質問にダンブルドア先生も目を細めて杖を取り出した。ハリーとロンは訳が分からないとパチュリーとダンブルドア先生を交互に見る。パチュリーはダンブルドアの返事を聞いて嘘ではない事を確認してホッと息を吐いた。

 

 

「そう。ちょっと聞きたかっただけよ・・・・ではお休みなさい。皆様」

 

「それはどう言う・・こと・・・じゃ?・・・・」

 

 

 ダンブルドア先生どころか、ハリーとロン、更にはマクゴナガル先生とスネイプ先生まで突然倒れ込み、スヤスヤと寝息をたて始めた。パチュリーが無詠唱で強力な眠りの魔法をこの部屋限定で発動したのである。パチュリーは溜め息を吐きながらパタンと魔法書を閉じる。

 

 

「全く、いきなりこんな面倒事を起こすなんて。ハリーとロンの2人には今度悪戯道具の実験台になってもらいましょう。さてと、記憶を書き換えるのって意外に難しいのだからこれきりにしてほしいわね。それにしてもダンブルドア先生も杖を出していないからって油断し過ぎよ」

 

 

 パチュリーは愚痴をこぼしながらも全員の記憶を書き換え、パチュリーはちゃんと最初から列車に乗っていた事にした。後は書き換えたのがバレない様に魔法を使った痕跡を消し、魔法でそれっぽく立たせて自分は部屋から退散し、十分離れた所で眠りの魔法を解除した。これでパチュリーへの疑問は全て無かった事になった。その後は大広間で食事を済ませ、去年と同じ部屋に入って眠りに就いた。翌日、ハリー達に確認を取ったが、ちゃんと書き換えは成功していた。

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