七曜の転生者と魔法学校   作:☆桜椛★

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吼えメールと薬草学

 記憶の改竄を確認してからパチュリーはハリー達と大広間に行って朝食を取っていた。今日の朝食はトーストと紅茶、後はベーコンエッグなどだ。それを片手で食べながらパチュリーはいつもの様に魔法書を読んでいる。パチュリーはいつも通りだが、あまり場の雰囲気は良くない。空と同じ様に見せる天井の魔法はどんよりした灰色の曇り空だし、ハーマイオニーはまだハリーとロンの登校方法が許せないらしく、素っ気ない態度でミルクの入った水差しにギルデロイ・ロックハート著作の『バンパイアとバッチリ船旅』を立てかけて読んでいた。因みにパチュリーは一応全て読み尽くしたが、ハッキリ言って保育園児が読んでも笑わない絵本以下の内容だった。言い過ぎだと思うだろうが、事実だ。今ハーマイオニーの読んでいる教科書にだって、『バンパイヤと船旅はバッチリだった』的な事が3割、ロックハートの趣味や好きな物の紹介や自慢話しが6割、残り1割に普通の教科書に載っている様な内容で書かれている。

 

 

「ハーマイオニー、貴女よくそんな教科書を読む気になれるわね。そんなにあの男を尊敬してるの?」

 

「何言ってるのよパチュリー!!ロックハート先生は素晴らしい魔法使いよ!?こんな素晴らしい教科書を書く上に、今年は彼が闇の魔術に対する防衛術の教師になって私達に教えてくれるのよ!!?それを・・・」

 

「あ〜分かったわ。私が間違ってた。ロックハートは素晴らしい魔法使いよ。(素晴らしい教科書?アレが?)」

 

 

 パチュリーは真剣に教科書を読むハーマイオニーに気になって質問したが、数時間はロックハートがどれ程素晴らしいかを説明されそうになったのですぐ様訂正した。すると頭上が騒がしくなり、100羽は超える梟達が旋回しながら朝食をとりながら友人と話したりしている生徒達に手紙や小包を落として行く。すると1羽の梟がハーマイオニーの近くの水差しに突っ込み、辺りに羽とミルクの飛沫を上げた。飛沫はパチュリーにも降り掛かったが、パチュリーが一瞬で張った自作の反射(・・)防御魔法の壁に当たって隣に座るロンとハリーの方に向かって飛んで行った。

 

 

「エロール!!・・・・大変だ・・」

 

「大丈夫よ。まだ生きているわ」

 

「そうじゃなくて・・・・あっち」

 

 

 自分に飛沫がかかっても気にも止めず、ロンはエロールと呼ばれる気絶している梟の口にある赤い封筒を指差しながら顔を青くしている。しかもロンだけでなく、何故かネビルもその封筒を今にも爆発するんじゃないかと疑う様な目つきで見ている。パチュリーは嘴からその封筒を手に取って確認する。

 

 

「『吼えメール』ね。ロンのお母さんからよ。早く開けなさい。とんでもない事になるわよ?」

 

「ねぇ、パチュリー。吼えメールって何?」

 

 

 ロンは差し出された封筒を爆弾を扱うかの様に受け取り、ハリーはパチュリーに質問するが、パチュリーは「まぁ見てなさい。耳を塞いで」と自分に防音魔法をかける。ネビルも耳を塞いだ時にロンが吼えメールを開封し、ハリーは吼えメールについて理解した。

 

 

『車を盗み出すなんて退学処分になっても当たり前です!!首を洗って待ってらっしゃい!承知しませんからね!?車が無くなっているのを見て私とお父さんがどんな思いだったか!お前はちょっとでも考えたのですか!?昨夜ダンブルドアからの手紙が来てお父さんは恥ずかしさのあまり死んでしまうのではと心配しました!こんな事をする子に育てた覚えはありません!!』

 

 

 吼えメールは普通の人の声の100倍前後の大音量でロンに怒鳴り始めた。その声は大広間中に響き渡り、生徒達全員が誰が吼えメールを貰ったのかと探し始めた。ロンは恐怖のあまり椅子に縮こまってしまっている。

 

 

『今度規則を破ってごらん!!私達がお前をすぐ家に引っ張って帰ります!』

 

 

 吼えメールはそれを最後に炎となって燃え上がり、チリチリの灰になった。ハリーとロンは固まっており、周りの生徒達は笑い声を上げていた。パチュリーは防音魔法を解除してロンに無表情な顔で一言。

 

 

「・・・・自業自得よ」

 

「もう少しオブラートに包んでくれない?パチュリー」

 

 

 

 

 

 

 今パチュリー達グリフィンドール寮生とハッフルパフ寮生は薬草学を受ける為に魔法の植物が植えてある温室にやって来ていた。少しすると包帯を持った魔女のスプラウト先生と、何故一緒にいるのか不明だがロックハートがにこやかに笑いながら歩いて来た。ロックハートは生徒達に挨拶をし、ハリーを見つけると「ハリー!君と話がしたかった」とスプラウト先生の許可も取らずハリーを連れて温室を出て行った。まぁ2、3分で戻って来たが・・・。

 

 

「今日はマンドレイクの植え替えをやります。マンドレイクの特徴が分かる人はいますか?」

 

 

 その言葉を聞いてハーマイオニーがビシッと手を挙げた。

 

 

「マンドレイク、別名マンドラゴラは強力な回復薬です。姿形を変えられたり、呪いをかけられたりした人を元の姿に戻すのに使います」

 

「たいへんよろしい。グリフィンドールに10点。マンドレイクは大抵の解毒剤の主成分になります。しかし、危険な面もあります。誰か理由を言える人は?」

 

 

 スプラウト先生の次の問題にハーマイオニーはハリーの眼鏡に手を引っ掛けそうになりながらも再び手を挙げた。

 

 

「マンドレイクの泣き声はそれを聞いた者にとって命取りになります」

 

「その通り。もう10点あげましょう。さて、ここにあるマンドレイクはまだ非常に若い。まだ苗ですから泣き声も命取りではありません。しかし苗でも皆さんを間違いなく数時間は気絶させるでしょう。新学期最初の日を気を失ったまま過ごしたくないでしょう?耳当ては作業中しっかりと離さないように。さぁ、みんな耳当てを1つずつ取って」

 

 

 スプラウト先生の合図で生徒達は耳当てを取ろうと揉み合いになった。パチュリーはあまりその中に入りたくなかった為、残り物を使おうとしたが、ピンクのふわふわした耳当てで心の中で『失敗した・・・』と少し後悔していた。

 

 

「後片付けをする時間になったら私からそのように合図します。1つの苗床に4人・・・・植え替えの鉢はここに十分あります。・・・堆肥の袋はここです。『毒触手草』に気をつけること。最近歯が生えて来ている最中ですから」

 

 

 スプラウト先生は生徒達にそんな風に注意しながら自分の肩の上にソロソロと長い触手を伸ばしていた棘だらけの暗赤色の植物をバシンッ!!と引っ叩いき、その植物は伸ばしていた触手を引っ込めた。生徒達はグループを作る為に歩き回り、パチュリーもグループを作ろうと動こうとすると、毒触手草が自分にも触手を伸ばそうとしているのに気付いて睨みながら「消し炭にするわよ?」と小さく呟いたらスプラウト先生に引っ叩かれた時と比じゃないスピードで触手を引っ込めた。そんな事がありつつ、パチュリーはようやくハッフルパフの生徒3人とグループを組む事になった。先ずスプラウト先生が手本として用意したマンドレイクを植え替えて見せた。マンドレイクは人間の赤ん坊の頭に葉っぱが生えたような容姿をしており、植木鉢から引っこ抜いた瞬間強烈な泣き声を上げた。手本が終わると次は生徒達の番なのだが・・・。

 

 

「おい!次は鉢をこっちに持って来て穴を開けるんだったか!?」

 

「えぇ!?なんだって!?水をやるのか!?」

 

「バカ何ジョウロを手に取っているんだよ!?アレはマンドレイクを黙らせてくれって言ってんだよ!!」

 

「何ぃ!?なんて言った!?聞こえないよ!!」

 

(人選を間違えたわ・・・)

 

 

 パチュリーと組んだ3人はスプラウト先生の手本を真面目に見ていなかった上に、その後の注意事項もペチャクチャと話し合っていて全く聞いていなかった。流石に耳当てを着けてマンドレイクを植木鉢から引っこ抜く事は分かっていたが、それから先が全く分かっておらず、果てには耳当てを着けているのに大声を出して質問し合っている。パチュリーも声は聞いていないが、マンドレイクが暴れ出して慌てているのは見て分かった。既に他のグループはマンドレイクを植え替え、パチュリーのグループが終わるのを眺めながら待っている。スプラウト先生もなんとなく不機嫌そうに見えたので、パチュリーは溜め息を吐きながら3人を植木鉢から遠ざけてマンドレイクを引ったくった。パチュリーはマンドレイクを泣き止ませ(・・・・・)、大人しくなったマンドレイクを優しく机に置いて植木鉢の準備を整え、再びマンドレイクを持って植木鉢のに入れて上から土を被せた。パチュリーは手をパンパンと叩いてから耳当てを外した。

 

 

「ふぅ。スプラウト先生、終わりましたよ・・・・って、どうしました?」

 

 

 スプラウト先生は目を見開いて口をパクパクさせてパチュリーを見ており、グリフィンドール寮生ハッフルパフ寮生達もパチュリーを凝視していた。パチュリーは自分が何がしたかと疑問符を浮かべ、少ししてようやく我に返ったスプラウト先生が口を開いた。

 

 

「ミ・・・ミス・ノーレッジ?貴女、今何を・・・・?」

 

「え?スプラウト先生が仰った通りにマンドレイクの植え替えをしましたが・・・・何か?」

 

 

 パチュリーは何がスプラウト先生をそうさせたのか分からなかったが、近付いてきたハーマイオニーの説明でようやく理解した。

 

 

「パチュリー?マンドレイクは普通、土の中に入れるか、首の部分を切断させない限り泣き止まず、暴れ続けるのよ?でも貴女今、そのマンドレイクを泣き止ませたわよね?」

 

 

 あ〜・・・またやっちゃったわ。魔法界ではマンドレイクの泣き止ませ方はまだ判明してなかったんだったわね。つい私の知識通りに作業しちゃったわ。

パチュリーは額に手をやりながら自分の無意識の行動に呆れた。パチュリーは少し考えてから別に言ってもいいかとみんなに説明した。

 

 

「え〜っと・・・マンドレイクは人間の赤ん坊と同じで、泣き止ませる事は簡単なのよ。むしろ一度泣き止んだら再び葉っぱの部分を引っ張らない限り泣き喚いたり暴れたりはしないから普通の赤ん坊より単純よ?私達が葉っぱの部分を持っている時に泣き喚くのは、人間の赤ん坊に例えると髪の毛を掴んで持ち上げているみたいなものだから。キチンと扱えば大人しいし、許可を貰えば生え替わる手足や花の花弁をくれるわ」

 

「そ、それは本当なのですか!?ミス・ノーレッジ!!」

 

「え、えぇ。だったら試してみてはどうですか?」

 

 

 いつのまにか近付いて肩を掴んだスプラウト先生に若干引き気味になりつつパチュリーは試してみるように言った。先生は少し顎に手を当てて考え込むと頷いて生徒達に耳当てを着けるように指示を出し、まだ植え替えていないマンドレイクの鉢を持って来た。生徒達はよく見える場所に移動し、スプラウト先生とマンドレイクの植木鉢を観察する。スプラウト先生はマンドレイクを引っこ抜き、泣き喚くマンドレイクを人間の赤ん坊を抱っこするように抱え直した。すると直ぐにマンドレイクはピタリと泣くのを止め、大人しくなった。スプラウト先生は信じられないと言いたげな表情でマンドレイクとパチュリーを交互に見て、パチュリーがやった様に優しく机に置いて植木鉢を準備して再び優しく持って中に入れて土を被せた。スプラウト先生は耳当てを外して素早くパチュリーの元にやって来て肩をパンパンと叩いた。

 

 

「素晴らしい!!素晴らしいですよミス・ノーレッジ!!今まで誰も解明出来なかった事を解明するなんて!!長い事薬草学の教師をやって来ましたが、この様な事は初めてですよ!?グリフィンドールに20点与えます!!」

 

「あ、あはは・・・ありがとうございます。後肩痛いので叩くのは止めて下さい。(アッカンわコレ。完全にミスしたわ。スプラウト先生キャラ変わりすぎでしょう・・・さっきまでロックハートの所為で不機嫌だったのに)」

 

 

 パチュリーは叩かれる痛みに顔をしかめながら自分の無意識の行動に段々と後悔し始めた。去年も魔法薬学で似た様な状況になり、あれ以来スネイプ先生のお気に入りにされたのを思い出した。周りの生徒達はコソコソとパチュリーを見ながら話し合っており、一部の生徒達はパチュリーに尊敬の眼差しを向けたりしていた。その後、話を真面目に聞いていなかった3人はそれぞれ5点ずつ減点し、その後泥を洗い落として次の授業である変身術のクラスに向かった。ただ、なんでもロンは空飛ぶ車で『暴れ柳』と言う木に突っ込んだ時に自分の杖をポッキリと折ってしまったらしく、コガネムシをボタンに変えようと頑張っているハリーの隣で火花を散らしたり、腐った卵の様な匂いがする灰色の煙を出したりしていた。更に煙で手元が見えずに肘でコガネムシも潰してしまい、新しいのをマクゴナガル先生からいただいていた。マクゴナガル先生はそんな2人を見てご機嫌斜めになったが、パチュリーがマクゴナガル先生に出された課題を完璧に済ませた事で機嫌を直し、グリフィンドールに5点与えた。ついでに言っておくと、今回パチュリーがマクゴナガル先生に出された課題は、蝿を懐中時計に変身させる事だった。

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