七曜の転生者と魔法学校   作:☆桜椛★

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絶命日パーティーと本当の首無しニック

 あの授業とは言えないロックハートの授業を終えてからしばらくして、10月になった。10月になるまでにマルフォイがスリザリンのシーカーになったり、ハリーとロンが入学式の日の罰則を受けたりしたが、まぁそれぐらいしかなくて至って平和だった。しかしそれはロックハートの闇の魔術に対する防衛術の授業以外はである。初めての授業からパチュリーはロックハートの授業中に愛想を早々に尽かし、内容をノートにまとめる事もせず、かなり不機嫌そうなオーラを出しながら持参の魔法書を読んでいるのだ。もちろんロックハートはそれが気に喰わず、4点、5点と減点していくのだが、パチュリーが他の授業でそれ以上の点を取っているので、イタチごっこ状態と化しており、グリフィンドールのみならず、スリザリンやレイブンクロー、ハッフルパフどころか教師達の間でも有名となっていた。そんなある土曜の午後、パチュリーがグリフィンドールの談話室でいつもの様に魔法書を読んでいる時、ハリーからあるお誘いが来た。

 

 

「絶命日パーティー?ほとんど首なしニックの?」

 

「うん、知り合いも参加してもらってもいいって言われたからパチュリーもどうかなって」

 

 

 ほとんど首なしニックとはグリフィンドール塔に住む所謂幽霊である。何故『首なし』とハッキリ言わず『ほとんど首なし』なのかと言うと、彼は首を切られる時、切れない斧で45回も切り付けられたが、1cm以下の皮と筋がギリギリ首を繋いでおり、そのまま幽霊になったので、ほとんど首が繋がっていない幽霊としてそう呼ばれる様になったらしい。その彼が500回目の絶命日に地下牢を1つ使ってパーティーを開くと言うのだ。

 

 

「そうねぇ・・・それはいつ開かれるのかしら?」

 

「次のハロウィンの日だよ。ニックの知り合いのゴースト達が沢山集まるんだって」

 

「ハロウィンの日か・・・・分かったわ。喜んで参加させてもらいましょう」

 

 

 パチュリーはどうしようか一瞬迷ったが、ゴースト達のパーティーに興味が出て来たし、ホグワーツのハロウィンパーティーをした後に自室で小悪魔と一緒に小さなパーティーを開いているからホグワーツの方は別に参加しなくてもいい。その為パチュリーは興味が湧いたゴースト達のパーティーに参加する事にした。

 そしてハロウィンの日の午後7時。ハリーとロン、ハーマイオニー、そしてパチュリーの4人はハロウィンパーティーが開かれている大広間の扉を素通りして地下牢へと歩みを進めていた。

 

 

「やっぱり断っておけば良かったかもしれない」

 

「今更何言ってるのよ?そもそも貴方が私を誘ったのだから責任持ちなさい。男でしょハリー?」

 

「パチュリーの言う通りよ。約束は約束。絶命日パーティーに行くって、貴方がそう言ったんだから」

 

 

 ハロウィンパーティーに参加しなかったのをハリーは後悔しているが、パチュリー達は青い炎が点いたキャンドルが照らす薄暗い廊下を進み、黒板を1000本の爪で引っ掻くような音楽が聞こえてくる中廊下の角を曲がると、ニックがビロードの黒幕を垂らした戸口の前に立っているのを見つけた。

 

 

「親愛なる友よ。これは、これは・・・この度はよくぞおいで下さいました」

 

「こちらこそ、貴方のパーティーに参加させて頂いて感謝するわ。コレ、貴方にも味が分かるよう魔法をかけたお菓子よ」

 

 

 羽飾りの帽子をサッと脱いで挨拶するニックにパチュリーは小悪魔に作ってもらったお菓子が入った籠を渡した。ニックは礼を言って籠からクッキーを取り出して口に入れた。最初はなんとなく悲しそうな顔をしていたが、口に入れた瞬間目を見開いて驚愕した。

 

 

「おぉ!?コレは!!懐かしい生前の味!!ありがとうございますミス・ノーレッジ!私は今とても感動していますよ!では、パーティーを楽しんで行って下さい」

 

「喜んでもらって嬉しいわ。他のゴースト達には内緒よ?後私はパチュリーでいいわ。さぁ、行きましょう3人共」

 

 

 パチュリーは何が嬉しいのか分からないと言った顔で軽く返事をするハリー達を連れてパーティー会場に入った。中では真珠のように白く半透明なゴースト達が何百人もおり、混み合ったダンス・フロアをふわふわ漂いながらワルツを踊っていた。壇上ではオーケストラが鋸で不気味な音楽を奏で、所々で会話に花を咲かせるゴーストも居た。冷蔵庫の中の様に冷える為足を温めようとハリーは「見て回ろう」と提案して会場内をゴーストを通り抜けない様に注意しながら見て回った。しかしハーマイオニーが何かを見つけたのか、歩みを止めてしまった。

 

 

「あーっ、いやだわ。戻って、戻ってよ。嘆きのマートルとは話したくないの・・・あの子、三階の女子トイレに取り憑いているの」

 

「トイレに取り憑いてるって?」

 

「そうなの。去年1年間トイレは壊れっぱなしだったわ。あの子が癇癪を起こしてそこら中水浸しにするんですもの。私壊れていなくたってあそこには行かなかったわ。だって、あの子が泣いたり喚いたりしてるトイレに行くなんてとっても嫌だもの」

 

「言い過ぎよ。あの子はちゃんと話せば会話出来るし、意外といい子よ?」

 

 

 実はパチュリーもマートルと呼ばれるゴーストとは面識がある。最初は泣いてばかりだったが、優しく接しているといつのまにか仲良くなっていた。ハーマイオニーが有り得ないと首を振っているとロンが地下牢の反対側にある長テーブルを指差しながら「見て、食べ物だ」と話題を変えた。パチュリー達もそちらを見てみると、そこにはカビだらけのチーズや腐り切ったハギスなんかが置いてあり、一段と高い所には灰色の墓石を模したケーキがあった。パチュリー達がそれを観察していると、恰幅の良いゴーストが口を開けながら食べ物とは言えない食べ物を通り抜けるのを見てハリー達3人は驚いていた。

 

 

「食べ物を通り抜けると味が分かるの?」

 

「正確にはなんとなく感じるって所かしら?私達が普段食べる物だと味が全くしないように感じるから、より強い風味を感じる為に腐らせたのかしらね」

 

「行こうよ。気分が悪い」

 

 

 ハリー達が向きを変えるか変えないかの内に、突然テーブルの下からピーブズが現れてハリー達の前の空中で停止した。ハリーはピーブズを見て慎重に挨拶した。パチュリーもピーブズに気付いてハリー達の隣に移動して挨拶する。

 

 

「やぁ、ピーブズ」

 

「あら?ピーブズじゃない。貴方もパーティーに来ていたのね」

 

「おや?おやおやおや〜?これはこれはあの有名なハリー達と・・・・おっ!!パチュリーじゃないか♪久しぶり〜♪」

 

 

 ピーブズはハリー達を珍しい物を見たかの様に眺め、パチュリーに気付くと途端に普通に友人に会った時の様な笑みを浮かべた。ハリー達は目を見開いて3人同時にパチュリーを見る。

 

 

「パチュリー、貴方ピーブズと仲良かったの?」

 

「えぇ、フレッドとジョージの考えた魔道具を作り始めた後に仲良くなってね。今では私が作った魔道具の実験をしてくれているわ」

 

「そうそう!パチュリー!この魔道具、大成功だったぜぇ♪」

 

 

 ピーブズは一見普通の輪っかになった縄を取り出してニシシと笑う。そしてそれをロンの方に投げ、輪投げの様に輪の中にロンを入れた。

 

 

「何するんだよピーブズ!僕は輪投げの的じゃああぁぁぁぁぁ!!?」

ドスンッ!!!

 

「「ロン!!?」」

 

 

 ロンがピーブズに文句を言い終える前に縄が床に着いた途端に出来た穴の中に落ちて行った。ハリーとハーマイオニーは悲鳴に近い声を上げてロンを引っ張り上ようと手を伸ばし、パチュリーはふむふむと満足そうに頷いた。

 

 

「確かに『落とし縄』は上手く出来たみたいね。今度フレッドにでも渡しに行くわ。次の魔道具は明後日の昼にトロフィー室で渡すわね」

 

「りょ〜か〜い!そうだおまえ、可哀想なマートルに酷い事を言ったなぁ?スゥ〜・・・オォーィ!!マートル!!!」

 

「あぁ!ピーブズ駄目!私が言った事あの子に言わないで。じゃないとあの子とっても気を悪くするわ」

 

「ちょっ!!ハーマイオニー!!今手を離したらぁぁぁぁぁ!!?」

ドスン!!!ドスン!!!

 

 

 ピーブズがマートルを深く息を吸ってから大声で呼び、ハーマイオニーは慌てて止めに入るが、その時ロンを掴んだ手を離してしまい、今度はハリーも一緒に穴へ落ちて行った。

 

 

「私本気で言ったわけじゃないのよ。私気にしてないわ。あの子が・・・・あら、こんにちは、マートル」

 

「あらマートル。久しぶりね。元気にしてたかしら?」

 

 

 ピーブズに呼ばれてダラーッと垂れた猫っ毛で眼鏡を掛けた少女の霊がやって来て、ハーマイオニーは引き攣った笑みで挨拶し、パチュリーもニコリと笑って挨拶した。

 

 

「お久しぶりねパチュリー。かなり調子はいいわ。それで?何か用?」

 

「ミス・グレンジャーがたった今お前の事を話してたよぅ・・・・」

 

「貴女の事・・・ただ・・・今夜の貴女は素敵って言っただけよ」

 

 

 ハーマイオニー?それは流石にそれはないわよ?

 パチュリーはピーブズを睨みながら誤魔化すハーマイオニーに頭を抱える。マートルもすぐに嘘と分かり、ハーマイオニーを見る。眼鏡の向こうの目には涙が見る見る溢れてくる。

 

 

「貴女、私の事からかってたんだわ」

 

「そうじゃない・・・ほんとよ・・私、さっき、マートルが素敵だって言ってたわよね?」

 

「あぁ、そうだとも」

 

「そう言ってた・・・・イツツ、お尻打った」

 

 

 ハーマイオニーはやっと這い上がって来たハリーとロンの脇腹ににゴスッと突きを食らわせて証言を得た。しかしそれはバッチリ見えており、マートルはすぐに嘘だと見破った。

 

 

「嘘言っても駄目。みんなが陰で私の事をなんて呼んでいるか、知らないとでも思ってるの?太っちょマートル、ブスのマートル、惨め屋・うめき屋・ふさぎ屋マートル!!」

 

「そうそう♪後アレも抜かしてたよぅ、に「ピーブズ?それ以上口を開いたら消し炭にするわよ?」・・あ・・・あははははは〜。ジョーダン、ジョーダン、ジョークだって〜。だからパチュリー様?その手の上にある異常に嫌な気配がする火の玉を消してくれませんか?」

 

 

 ついでにマートルに別の悪口を吹き込もうとしたピーブズにパチュリーは右手に対ゴースト消滅用魔法の炎の玉を出しながら何故か怖いと感じる笑顔で忠告した。ピーブズはササーッと壁を抜けて逃げて行き、マートルも泣き出して地下牢から出て行った。すると今度はニックが人・・ではないな、霊混みを掻き分けるようにふわふわやって来た。

 

 

「楽しんでますか?」

 

「ピーブズが原因でマートルが泣き出しちゃったのを除けば楽しんでいるわ」

 

「やっぱりピーブズは何かやらかしましたか・・・・しかし、ずいぶん集まってくれました。めそめそ未亡人ははるばるケントからやって来ました。・・・・そろそろ私のスピーチの時間です。向こうに行ってオーケストラの準備をせねば・・・・」

 

 

 しかしニックが動く前にオーケストラは演奏をやめた。狩の角笛が鳴り響き、ゴースト達は興奮した様子で辺りを見渡す。ニックは苦々しげに「あぁ、始まった」と呟いた。パチュリー達は何が起きるのか分からなかったが、壁から12騎の馬と首無しの騎手のゴースト達が飛び出して来て、観衆は熱狂的な拍手を送った。ダンス・フロアの中央で停止し、先頭の顎鬚を生やした自分の首を小脇に抱えた大柄のゴーストが馬から降り、首を高く掲げながらニックの方に大股で歩いて来た。

 

 

 

「ニック!!元気かね?首はまだそこにぶら下がっておるのか?」

 

「ようこそパトリック。あぁ、紹介しよう。グリフィンドール寮生のパチュリー、ハリー、ミスター・ウィーズリー、ミス・グレンジャーだ」

 

「生きてる連中だ!!」

 

 

 ニックがパチュリー達を紹介し、パチュリー達の姿を見たパトリックと呼ばれるゴーストは大げさに驚き、頭に乗せていた首が転げ落ちた。観衆はそれを見て笑い転げ、ニックは「まことに愉快ですな」と答えながら苦々しげに見ている。床に落ちたパトリックの首はそのまま叫ぶように喋り出した。

 

 

「ニックの事は気にしたもうな!!我々がニックを狩クラブに入れない事をまだ気に病んでいる!!しかし、要するに・・・彼を見れば・・・」

 

「あ、あの!ニックはとても・・・恐ろしくて、それで・・・あの・・」

 

「ははん!?彼にそう言えと頼まれたな!?」

 

 

 ハリーがニックの意味ありげな目つきを見て慌てて切り出すが、それを遮るかのように叫ぶ。パチュリーは何故ハリーが慌てるのか分からず、直接ハリーに質問した。

 

 

「ハリー?なんで貴方が慌てるのよ?」

 

「じ、実は・・・・」

 

 

 ハリーはパチュリーに、ニックが首を切り落とされたゴーストのクラブである『首無し狩』に入りたかったらしいが、ニックの首がまだ少し繋がっている為入会出来なかったらしい。それで今回、ハリーがニックに借りを返す為に説得しようとしたらしい。パチュリーは「ふむ・・」と少し考え、ポケットから出した羽根ペンを変身術でナイフに変えて取り出した。

 

 

「つまりニック、貴方は首がまだ少し繋がっているのが原因でクラブに入れず、貴方自身も繋がっているのが嫌なのね?」

 

「え?えぇ。スッパリ落ちてくれればあんな痛みを感じず、辱めを受けずに済んだのです」

 

「成る程ね。じゃあ首を切り落とせば(・・・・・・・・)良い訳ね?」

 

「「「「「・・・は?」」」」」

 

 

 パチュリーの言葉に全員が意味が分からず変な声を出し、パチュリーはナイフでニックの首を繋いでいる筋と皮を文字通り切った。ニックは一瞬痛そうな声を上げたが、自分の首がスッパリ切れて体から離れているのを見て驚愕した。パチュリーがした事は至って簡単。ナイフを薄く覆う様に対ゴースト用の炎を纏わせて切っただけである。ニックは段々と嬉しさが湧き上がり、遂には自分の首をボールの様に投げて喜び、パトリックや騎手達も訳が分からなかったが、ニックに拍手を送り出した。ハリー達はパチュリーを人外を見る様な目で凝視し、パチュリーはナイフを羽根ペンに戻してポケットに仕舞った。

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