1992年。イギリスのとある森の中を歩く1人の少女がいた。髪は綺麗な赤色で、白いシャツに黒のベストとスカート。赤いネクタイを締め、手には食材の入った籠を持っていた。普通ならばただの可愛らしい少女が買い物をした帰りに見えるだろう。だが、彼女の背中と頭にに生えた蝙蝠のような羽と、悪魔の様な尖った尻尾が人間じゃない事を述べている。しかも、彼女は『様で』はない。歴とした『小悪魔』である。
「フンフンフ〜〜ン♪今日のおっ昼っはハ〜ンバ〜グ〜〜♪」
が、かなり陽気に鼻歌を歌いながら昼食から豪勢な料理を考えている。彼女は約50年程前にパチュリーによって召喚された。『魔力が無い!』と家を追い出された彼女ではあるが、パチュリーが調べた結果、魔力はちゃんとあることが分かり、パチュリーの教育により、今では簡単な魔法ならば使えるようになっていた。そんな小悪魔は今では愛しの我が家とも言えるパチュリーの住むヴワル大魔法図書館に向けて歩みを進めて居ると・・・・
「フンフン・・・・む?なんでしょうか?あの梟は?」
バサバサと図書館へ繋がる扉の上空をまるで迷子になったかの様に飛び回る1匹の梟を見つけた。口に手紙を咥えて居るのを見た小悪魔は自分の羽を使って宙を舞い、その梟を捕まえて手紙を観察した。
「『パチュリー・ノーレッジ殿へ』?なぜこんなものが?」
小悪魔は腕に梟を停めて手紙を見ながら難しい顔をしながら考えていたが、結局何も浮かばず、自分の
★
パチュリーside・・・
私はいつもの様にヴワル大魔法図書館の椅子に腰掛け、最近嵌まっている魔法書を読んでいる。『嵌まっている魔法書って何?』と言われるでしょうが、パチュリーになってから魔法書や研究が今で言う漫画やテレビゲームの様に感じる。今読んでいる魔法書も実に興味深いのよ。『錬金術を用いた第三永久機関の作製』、なぜこんな人類が何百年も追い求めて完成出来なかった存在の作り方が書かれた本がこの図書館にあるのか私が調べても全くの謎だったが、趣味が尽きることが無いのは有り難い。
「パチュリー様〜〜!ただいま買い物から戻りました〜〜!」
「あら、お帰りなさい。でもこぁ?ここは図書館よ?もう少し静かにしなさい」
「ア、アハハ・・・す、すみません。あ、後パチュリー様に手紙が来てましたよ?」
「手紙?・・・・あぁ、200年前位に扉に掛けた魔法が少し弱まってるわね。でもよく気付いたわね?どんな人間だったの?」
「いえ、人間じゃなくて梟です。ほら、この子です」
「・・・・・・梟が手紙を?」
私は梟を腕に乗せている小悪魔から梟が運んで来たと言う手紙を受け取り、読んでいた魔法書を机に置いて封を切った。
『ホグワーツ魔法魔術学校
校長:アルバス・ダンブルドア
マーリン勲章勲一等、大魔法使い、魔法戦士隊長、
最上級独立魔法使い、国際魔法使い連盟会員
親愛なるノーレッジ殿
このたびホグワーツ魔法魔術学校に入学を許可されましたこと、心よりお喜び申し上げます。教科書並びに必要な教材のリストを同封いたします。
新学期は9月1日に始まります。7月31日必着でふくろう便にてのお返事をお待ちしております。
敬具
副校長:ミネルバ・マグゴナガル』
封筒にはその様な手紙と一緒に教材が書かれているリストが入っていた。
そういえば私ハリー・ポッターの世界に来ていたんだったわね。ふくろう便って言うのは小悪魔に乗っている梟の事ね?手紙に返事を書いて咥えさせて飛ばせばいいのかしら?
「・・・・?なんで何十年も魔女をやっているパチュリー様にそんな手紙が?そもそもパチュリー様に学校で教わる事はありませんよね?」
小悪魔が羽をパタパタ動かしながら手紙の内容を読んで不思議そうな顔をする。私としてはそんな学校よりふくろう便とやらの方が気になるのよねぇ?
「多分扉に掛けた魔法が弱まって私の魔力が微量だけど外に漏れたのね。それを探知系の魔法か何かで感知して私にふくろう便を送った・・・・まぁこんなところかしらね?流石に年齢までは分からなかった様だけれど、今まで私の名前など聞いたことのないあちら側からしたら新しく入学させる義務があったんじゃない?」
「あぁ〜〜分かるような分からないような・・・パチュリー様はこのホグワーツと言う学校に行かれるんですか?」
「ま、もしかしたら私が知らない魔法があるかも知れないし。行ってみようかしらね?・・・あ、こぁ?貴女今日町に行った時妙な連中を見かけなかった?ローブ着た集団とか」
「あぁ〜そう言えばいましたねそんな連中。確か『生き残った』だの『ハリー・ポッター』だのと盛り上がってましたよ?」
「ビンゴね。こぁ、町に行って適当なトランクを2つ買って来て頂戴?あぁ、昼食の後でいいわ」
小悪魔は『分かりました〜♪』と小走りで奥にある調理場に向かい、私はペンと紙を取り出して返事を書いて梟に渡す。ここには窓が無い為私が外に出て飛ばしてあげたわ。問題は学校に必要な教材や教科書なのだけれど・・・・
「本当に私、ホグワーツで学ぶ事あるのかしら?」
その教科書全てが既に大図書館で読破した物だった。
★
「さて、駅に来たまではいいものの・・・9と4分の3番線ってどこよ?」
ホグワーツ魔法魔術学校の入学式の日、私は一応全ての準備を終え、手に革製のトランクを持って手紙にあった駅に来たのだけれど、9と4分の3番線って何よ?私の目がおかしくなかったら9番線の隣は10番線よ?
「あら?よく見たらこの柱魔法が掛かってるじゃない。成る程この柱を通るのね?全く、私だから魔法に気付けたけど、ホグワーツに初めて行く子だったらどうするのよ?確か・・マグルだったわね。その両親から生まれた子もいるでしょうに・・・」
私は手紙の説明の足りなさに溜め息をつきながらも柱を潜り抜けた。潜り抜けた先には紅色の蒸気機関車があり、ホグワーツに入学するであろう生徒達と見送りに来ている家族の姿があった。私の場合小悪魔が家族なんだけど、向こうに行っても毎日の様に会えるし、本人が悪魔の為今この場にいない。私が手に持っているこのトランクだけど、私がちょっとした空間魔法を掛けて小悪魔が居るヴワル大魔法図書館にある対のトランクと繋がっているのよ。これでいつでも帰れるし、教科書や教材を好きなように取り出せる。杖に関しては移動が面倒だったから自作したわ。ま、杖と言ってもそこら辺に生えていた木を削って芯に私の髪の毛を1本入れた実質只の木の枝に等しい物だけどね。
「・・・・って、私は誰に説明してるのよ?とりあえずさっさと乗りましょうか」
私は生徒達でごった返している入り口をなんとか抜けて客室に入り、空いていたコンパートメントの中に入った。そして誰にも見られぬように認識阻害の魔法と防音の魔法を掛けてトランクを開いた。
「こぁ?悪いけど一階の14番目の棚から適当に1冊魔法書を渡してくれないかしら?」
「分かりました!ちょっと待ってて下さい・・・・・・お待たせしました!こちらをどうぞ!」
トランクを開けると小悪魔の元気な声が聞こえてきて、1冊の魔法書をトランクを通して私に手渡してくれた。題名は『変身魔法の極意』、まだ読んだ事がない本ね?
私は小悪魔に礼を言ってからトランクを閉じ、掛けていた魔法を解除した。そのまま座席にもたれかかって魔法書を開き、読み始める。それからどれ程の時間が経ったのか、コンパートメントがノックされて顔を上げた時には既に列車は出発していた。私が「どうぞ」とノックに応えるとコンパートメントの扉が開いて少しボサボサだがある程度伸ばした茶髪の少女と、オドオドした様子の少年が顔を出した。
「ごめんなさい、相席いいかしら?どこも空いていなくて」
「えぇ、いいわよ。1人で使うには広過ぎるもの」
「そう!良かったわ!私はハーマイオニー・グレンジャーよ。貴女も今年から入学するのね?よろしく」
「ぼ・・・僕は・・ネビル。ネビル・ロングボトム」
「分かったわ。ハーマイオニーとネビルって呼ぶわね?私はパチュリー・・・パチュリー・ノーレッジよ。よろしくね2人共」
私はハーマイオニーとネビルに自己紹介をし、再び魔法書に目を向ける。ハーマイオニー・・・・確かハリー・ポッターの親友になる子だったかしら?私がそんな事を考えながら魔法書を読んでいると、突然ハーマイオニーの隣に座っていたネビルが悲鳴を上げた。
「あ、あれ?あれぇ?トレバー?僕のトレバーがいない!!」
「どうしたの?ネビル?」
話を聞けばネビルのペットであるヒキガエルのトレバーがまたいなくなったらしい。『また』と言う事は以前にも行方不明になった事があるのかしら?私がそんなくだらない事を考えているとハーマイオニーが立ち上がった。
「大変だわ!私達が一緒に探してあげる!手分けをして探しましょう!」
と言ったまではいいのだけれど、なんで私もヒキガエル捜索に参加する事になっているのよ?今いいところなのだけど・・・・って、もういないし
「はぁ・・・なんで勝手に決めてるのよあの子は?あの子、頭はそれなりに良さそうではあるけど、どこか抜けているところがありそうね。仕方ないわね、トレバーの居場所は?・・・・・・なんで最後尾の車両にいるのよ?かなり離れているわよ?ここ」
私は仕方なく探索魔法でトレバーの居場所を探って見たが、なんでか知らないがここからかなり離れた最後尾の車両にいた。私はトレバーを回収しに最後尾の車両に向かう為コンパートメントの外に出た。歩きにくかった為少しだけ浮きながら狭い通路を進んでいると、向かい側から金髪のヒョロリとした感じの少年と、その少年を守るSPの様に後ろに立つ大柄な少年2人が歩いて来た。
「おや?もしかして君もネビルのヒキガエルを探しに来たのかい?」
「『君も』って事はネビルとハーマイオニーには会ったのね?まぁ不本意ではあるけれどその通りよ?」
「へぇ?そうなのか。そうだ、なんなら僕達のコンパートメントでお菓子なんてどうだい?車内販売で買ったお菓子が沢山あるんだ」
「あー、読書に集中してて気付かなかったわ。そうねぇ・・・・お言葉に甘えて頂こうかしらね?」
ネビルには悪いけどお腹空いたし、トランクはコンパートメントに置いて来ちゃったものね。元々ハーマイオニーに半強制的に協力させられたようなものだったし。
「あぁ、いいとも。僕達のコンパートメントは1つ前の車両なんだ。そう言えば君はマグル生まれなのかい?」
「さぁね?私もう両親居ないから(まぁ正確にはマグル生まれになるけどこの体神様が作ったからなんとも言えないのよねぇ)」
「おっとこれは失礼・・・・ここが僕達のコンパートメントだ。さぁ入って入って」
私は彼等に案内されて1車両戻り、彼等のコンパートメントに入って席に座った。中には沢山のお菓子が乗ったテーブルがあり、いくつか既に開けているのか甘い香りが漂っている。
「そう言えば自己紹介がまだだったね?僕はドラコ・マルフォイ。僕の隣に座っているのがクラッブ。君の隣にいるのがゴイルだ」
「そう。私はパチュリー・・・パチュリー・ノーレッジよ」
「ノーレッジ・・・・
「さぁどうかしら?そう言う貴方達はどこだと思うの?」
「勿論!スリザリンに決まっている!」
ドラコは両手を腰に当てて胸を張りながら得意げに言う。うん、これ多分ハーマイオニーより話が通じるかもしれないわ。原作ではかなり傲慢な坊ちゃん的な感じだったけど話してみるとかなり意外。
「君はグレンジャーと友達なのかい?一緒にヒキガエルを探していた様だけど?」
「まだそこまでの仲じゃないわ。ヒキガエル探しも半強制的に指示を出されただけで言われてなかったらずっと読書をしていたわ」
「ならあんな穢れた血と友達にならない方がいい。君はマグル生まれかもしれないが、僕は純血の魔女だと思うよ?」
ふむ、コレね?純血主義って呼ばれる者は。コレが原因でハリー・ポッターと仲が悪くなるんだったわね?
私が適当に「そうね。考えておくわ」と答えてお菓子を食べているとコンパートメントの扉が開いてハーマイオニーが顔を出した。
「パチュリー!!なんでこんな所でこんな奴等とお菓子を食べているのよ!!ネビルのヒキガエル探しはどうしたの!?」
「私のカエルではないし、そもそも私が了承していないのに勝手にカエル探しのメンバーに入れて返事をする前にコンパートメントから居なくなったのはどこのどなただったかしら?」
「うっ!!?ご、ごめんなさい・・・・」
ハーマイオニーは何も反論出来ず素直に謝った。とは言っても私もカエル探しに参加させられていたのを忘れてたわ。私はそんなハーマイオニーに心の中で溜息を吐きながら席を立ちコンパートメントを出る。
「私はそろそろ行くわ。誘ってくれてありがとうねドラコ。・・・・・あぁ、ゴイル?そのビーンズ、デスソース味よ」
私がそう言い残して扉を閉めると中からゴイルのものらしき悲鳴が聞こえた。忠告は間に合わなかったようね。
「それで?ネビルのヒキガエルは見つけた?」
「残念ながらどこにもいなかったわ。でもあのハリー・ポッターに会えたから良かったわ!」
「ハリー・ポッターねぇ?知っているけど大して凄いとは思わないわね(だって私も死の魔法位無効化できるもの)」
私のその言葉が納得いかなかったのか、コンパートメントに戻ってからホグワーツに着くまでの間、私が魔法書を読んでいるのにも関わらずハーマイオニーはハリー・ポッターについてを私に説明し続けた。