七曜の転生者と魔法学校   作:☆桜椛★

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ホグワーツ魔法魔術学校と組分け帽子の難題

 私がそろそろハーマイオニーによるハリー・ポッターの解説にうんざりしてきた頃、車内に響き渡る声が聞こえた。

 

 

『あと5分でホグワーツに到着します。荷物は別に学校に届けますので、車内に置いて行ってください』

 

「あっ!もう着いちゃったんだ。じゃあ話はこのくらいにし・・・・パチュリー!!!」

 

 

 それを聞いてハーマイオニーは話を切り上げ、私もやっと無駄に長く何度か同じ話を繰り返していた解説が終わったと思ったのも束の間。立ち上がったハーマイオニーが私を見て悲鳴に近い声を上げる。今度は何よ?

 

 

「はぁ・・・今度は何よ?ハーマイオニー?」

 

「『何よ?』じゃないわよ!なんで貴女制服に着替えてないのよ!?」

 

 

 確かに私の今の服装は原作のパチュリー・ノーレッジの服装だ。ホグワーツには決められた制服・・・と言うよりローブね。それがあって、既にハーマイオニーと今もカエルのこと引きずって泣いているネビルはその制服に着替えている。まぁ私は指を鳴らせば魔法で一瞬で着替えられるけど、出来なかったのは・・・・

 

 

「ハーマイオニーがハリー・ポッターとはなんたるかを解説し続けていて着替える暇もなかった」

 

「あっ!!?ご、ごめんなさい!私・・・」

 

 

 ハーマイオニーは私に本当に申し訳なさそうに謝ってくる。これで決まりね。彼女はある程度頭はいいけどどこか必ず抜けているわね。

 

 

「まったく、もういいわよ」

 

 

 私が読んでいた本を閉じて、予め作っておいた形だけの杖で自分の服を叩くと、帽子だけ残して後はホグワーツの制服になった。勿論この杖になんの力も無い。私が自分で魔法を発動してトランクの向こうにある制服と私の服を取り替えたのよ。

 パチュリーがこんなものかと自分の服装を確認し、ハーマイオニーに視線を向けると驚愕の表情で固まっていた。

 

 

「驚いたわ・・・貴女もの凄く高度な変身魔法が使えるのね」

 

「えぇ、まぁ・・もうそれでいいわ。さ、行きましょう。遅れるわよ?」

 

 

 正確には転移魔法の応用なんだけどと心の中で訂正するパチュリーの言葉でハーマイオニーはハッ!として既に停車している列車の通路に出て行き、パチュリーはコンパートメントの扉を閉め、誰もいないのを確認してから転移魔法で外の暗いプラットホームの柱の陰に転移した。柱の陰から出ると少し離れた場所に生徒達が集まっており、その更に向こうにランプを持った普通の人より背が高い大柄の男性が生徒達を纏めていた。パチュリーもバレないように生徒達に紛れ込んだ。

 

 

「イッチ年生!イッチ年生はこっち!ハリー、元気か?」

 

 

 そんな声を掛けながら生徒達を確認し、ホグワーツに向かう為に大柄の男性は足元に気を付けるように言ってからズンズン暗い道をランプで照らしながら進み、生徒達を誘導して行く。生徒達は慣れない道に足を取られたりしているが、私はバレない程度に宙に浮きながら着いて行った。しばらく進むと最前列の方から歓声が上がる。後方の私には何があったのか解らないが、その歓声の意味がすぐに分かった。道が開けるとそこは大きな湖のほとりで、その向こう岸にある高い山のてっぺんに壮大な城が見えた。アレがこれから私が入学するホグワーツ魔法魔術学校である。

 

 

「4人ずつボートに乗って!」

 

 

 大柄の男性は岸辺につながれた小船を指差しながら指示を出し、私もボートに乗り込んだ。少しの間誰も乗らなかったが、見知った3人が乗り込んで来て4人になった。

 

 

「あら?ドラコ達じゃない。貴方達のコンパートメント以来ね」

 

「やぁ。同乗してもいいよね?」

 

「えぇ、どうぞ?」

 

「みんな乗ったか?よーし、では、進めえ!」

 

 

 大柄の男性が号令を出すとボートがひとりでに動き出して湖を渡る。ほとんどの生徒達はホグワーツを眺めているが、一度見れればパチュリーはもう興味は失せ、魔法書の続きを読む。一応杖を振って光の魔法を発動し、光の玉を作り出した。

 

 

「あれ?もういいのかい?これから僕等が通う学校だよ?」

 

「私は学校や噂のハリー・ポッターよりも今はこの魔法書に興味あるわ」

 

「あぁ、列車の中でもウィーズリーと一緒にいたよ」

 

「ウィーズリー?誰よそれ」

 

「ハリー・ポッターといる赤毛の男さ。それよりなんの魔法書なんだい?」

 

「『変身魔法の極意』。今はトカゲをヒュドラに変える無詠唱魔法の利点と欠点、その改善に至るまでの記録」

 

 

 私の返答に凍りついたように固まってしまったマルフォイ達とそれに気付かず魔法書を読み続ける私の乗ったボートは、もうすぐ岸につこうとしていた。

 あ、あと何故かネビルのヒキガエルが私の隣で魔法書を覗きながら鳴いていたので捕まえてネビルに渡すともの凄く感謝されたわ。

 

 

 

 

 

 

 さて、ここでホグワーツの寮について少し説明するわ。ホグワーツには寮が全部で4つあって、それぞれ違った特徴があるわ。勇猛果敢な騎士道で、勇気あるものが住まうグリフィンドール。古く賢く意欲があれば機知と学びの友を得られるレイブンクロー。忍耐強く真実で苦労を苦労と思わぬハッフルパフ。どんな手段を使っても目的を遂げるスリザリン。そしてその寮は『組分け帽子』と呼ばれる帽子を被ることでその者に合った寮を決めて貰えるらしいわ。これはホグワーツに来る前に小悪魔が買って来た『ホグワーツ魔法魔術学校の全て』と言う1冊の本に書いてあったものよ。で、何故いきなり私がそんな事を説明しだしたかなんだけど・・・

 

 

「パチュリー、試験には何が出ると思う?やっぱり教科書に載ってあった呪文を羊皮紙に書いたりするのかしら?」

 

 

 ハーマイオニーが私の肩を掴んで何処でそんなデマを聞いたのかありもしない試験について質問して来たりブツブツ呪文を呟き続けているからよ。船を降りて城に入り、ホール脇の空き部屋に入ってからゴーストが来たりしたみたいだけど、ハーマイオニーに肩を掴まれるまで読書に夢中で気が付かなかったのよね。あ、あの大柄の男性はハグリッドと言う名で、私達をこの部屋に案内したのは手紙にあったマクゴナガル先生らしいわ。

 

 

「あのねぇ、初めて魔法について知って入学する子もいるし、そもそも魔法を学ぶ為に入学するのになんで魔法の試験があると思ったの?」

 

「え?だってみんな言ってるし・・・・」

 

「どうせイタズラ好きな上級生がホラ吹いたか噂で聞いたガセネタよ。本気にしないの。まぁ本当にあったとしても私からしたら変わらないけど」

 

 

 それもそうねと納得して頷くハーマイオニーに私は改めて何処か抜けている子だと再確認した。やれやれと頭を振るパチュリーはたまたま視界に赤毛の少年と眼鏡をかけた少年が一緒にいるのを見つけた。

 

 

「あら?貴方もしかしてウィーズリーじゃないかしら?」

 

「え?うん、そうだけど・・・なんで知ってるの?」

 

「ドラコ・マルフォイって子から聞いたのよ。赤毛の少年がハリー・ポッターと一緒に居るって。となると貴方が噂のハリー・ポッターね?私はパチュリー・ノーレッジよ」

 

「ゲッ!!マルフォイにか?おいおい、あいつと仲良くならない方がいいぜ?純血主義のボンボン坊ちゃんだからな」

 

(私としては貴方も大して変わらない様子だけどね?普通に話したら意外に話通じるわよ?)

 

 

 パチュリーは彼は彼で問題ありと思いながら隣に立って自分を興味深そうに見るハリー・ポッターを見る。

 

 

「(ふむふむ、確かに死の魔法を跳ね返した様な反応は微かにあるわね。しかし彼、なんとなく妙な違和感を感じるけど・・・気のせいかしら?)何かしら?私の顔に何か付いてるの?」

 

「い、いや。僕はハリー。隣の彼がロンだ」

 

「そう。それじゃあねハリー、ロン。あとハリー?あまり他の人をジロジロ見るのは失礼よ?」

 

 

 ハリーが慌てて謝ったちょうど同じ位に空き部屋の扉が開いてマグゴナガル先生が戻って来た。どうやら準備が整ったみたいね。

 

 

「さあ行きますよ。組分け儀式がまもなく始まります。さあ、一列になって。ついてきてください」

 

 

 マグゴナガル先生に言われた通りに一列に並んでパチュリー達はついて行き、一度玄関ホールに戻って二重扉を潜り、大広間に入った。そこには何千というローソクが浮かび、上級生が座る4つの長いテーブルを照らしていた。天井を見れば魔法によって空が見えるようにもなっていた。上座にも長いテーブルがあり、そこには先生方が座っていた。マグゴナガル先生は上座までパチュリー達を引率し、一列に並ばせる。そして4本足のスツールを置き、上につぎはぎのボロボロのとんがり帽子を置く。少しすると帽子はピクピク動き始め歌い出した。内容を纏めると自分を被れば寮を決めると言う事と、4つの寮についての説明だった。何人かの生徒達がホッと胸を撫で下ろして居るとマグゴナガル先生が長い羊皮紙の巻紙を手にしながら前に出た。

 

 

「ABC順に名前を呼ばれたら、帽子をかぶって椅子に座り、組分けを受けてください。アボット・ハンナ!」

 

 

 名を呼ばれた少女が前に出て帽子をかぶると、一瞬してから帽子が「ハッフルパフ!」と叫んだ。

 成る程、簡単にだけれど人の記憶を見て決めて居るのね?確かに1番有効ではあるけれど私には問題ね。転生してる事はバレたくないし。

パチュリーはすぐさま自分の転生に関する記憶と一応住居の事を魔法で覗かれぬようにした。その間にも次々と名前が呼ばれ、等々パチュリーの番が来た。

 

 

「ノーレッジ・パチュリー!」

 

「やっとね。少し待ちくたびれたわ」

 

 

 パチュリーはゆっくりと椅子に近づいて行くが、マグゴナガル先生に止められた。

 

 

「ミス・ノーレッジ?申し訳ありませんがその本は組分け中は私が預かります。よろしいですね?」

 

「あぁ、ごめんなさい。忘れていたわ。どうぞ・・・」

 

「はい確かに・・・・ッ!!?」

 

 

 パチュリーが差し出した魔法書を見てマグゴナガル先生が固まったようだが気にした様子もなくパチュリーは椅子に座り、組分け帽子をかぶった。すると帽子の方から小さな声が聞こえて来た。

 

 

「お前さん、何故ここに居る?お前さんはここに入る歳でも学力でもないだろう?」

 

(あ、そこのところどうするか忘れてたわ。まぁ入学通知が来たから入っただけよ。それで?私は何処になるのかしら?)

 

「むむむむ・・・今までにない程難しい。何事にも何者にも恐れを抱かない勇敢さもあれば魔法の研究の為ならば忍耐強く粘り続け苦労を苦労と思わず同時に目的の為にいかなる手段も用いる。そして何者よりも膨大な知識を持ってしても輝きを放つ探究心。どうしたものか・・・・お前さんは何処か入りたい寮はあるかね?」

 

(私としてはグリフィンドールに興味があるわ。これから1番面白くなりそうだもの)

 

「そうか。承知した。では・・・・グリフィンドール!!」

 

 

 組分け帽子がそう力強く叫ぶとグリフィンドールの席から歓声が上がった。私は立ち上がってから帽子を脱いで椅子に起き、魔法書を返してもらおうとマグゴナガル先生の方に視線を向けると預けた魔法書に釘付けになっているマグゴナガル先生が目に入った。

 

 

「あの・・・先生?組分け終わりましたけど?」

 

「ミ、ミス・ノーレッジ!こ、この魔法書は・・い、いったい何処で!?」

 

「へ?私の家にある本棚にありましたけど・・・それが何か?」

 

 

 私が何が何だか分からず首を傾げて居るとマグゴナガル先生が近づいて来た。

 

 

「ミス・ノーレッジ。出来たらでいいのですがこの魔法書をしばらく貸してはいただけませんか?」

 

「は?まぁ、いいですよ?なんならそのまま持っておいて下さい。1、2週間後ぐらいには返して下されば問題ありません」

 

「おぉ!感謝しますよ。ミス・ノーレッジ」

 

 

 私はそのままグリフィンドールのテーブルに向かい、マグゴナガル先生は魔法書を大事そうに自分の席に置き、組分けの続きを始めた。私が席に座って適当に挨拶を済ませ、しばらく組分けを眺めて居るとハリーの名前が呼ばれた。周囲からはハリーについてヒソヒソ話され、組分けを見守る。そして・・・

 

 

「グリフィンドール!」

 

 

 そう組分け帽子が叫ぶとグリフィンドールから盛大な歓声が上がる。何処か安心した様子のハリーは席に座るとあちこちから話しかけられていた。そしてもう少し組分け儀式は続き、最後の1人をスリザリンに入れたところで終了となった。マグゴナガル先生は羊皮紙を丸め帽子を片付ける。片付けが終わるとホグワーツ魔法魔術学校の校長、アルバス・ダンブルドアが立ち上がって両手を広げ、ニッコリと笑いながら話し出した。

 

 

「おめでとう!ホグワーツの新入生、おめでとう!歓迎会を始める前に、二言、三言、言わせていただきたい。では、行きますぞ。そーれ!わっしょい!こらしょい!どっこらしょい!以上!」

 

 

 パチュリーはズルッとアニメみたいに滑りながらもなんだあの爺さんと言う思いを込めたジト目をダンブルドアに送るが本人は変らずニッコリ笑って居る。

 まぁ魔力もそこそこあるし、使っている杖もなかなかの一品のようだから大丈夫だと思うけど・・・大丈夫なのかしらあれは?微妙に判断出来ないわ。

そんな風に考えながらもパチュリーは突然目の前に現れた料理に手を付けた。

 

 

「う〜ん、ダンブルドアはこの際どうでもいいとしてあのターバンをかぶった先生ね。確かあれにヴォルデモートが寄生してるんだったわね。それで『賢者の石』を狙っていると・・・ふふふ、じゃあ私が先に預かっておこうかしら?」

 

 

 パチュリーはニヤリと笑うもすぐに元の顔に戻り、食事を続けた。

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