七曜の転生者と魔法学校   作:☆桜椛★

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赤い瞳と面倒な事態

 かつて無い量の宿題を出されたイースター休暇が終わり、最後のクィディッチの試合でグリフィンドールが予知通り優勝してから暫く経ち、学年末試験が始まった。

 パチュリーは1年生の時と同じ様に、別室で他の生徒達とは違う内容の試験を受けた。他の生徒達はティーポットを陸亀に変えたり、ペアを組んで互いに『元気の出る呪文』を掛け合ったり、『混乱薬』を調合したりするなどの試験内容だった。

 しかしパチュリーの場合、黄金虫を文字盤を5つ付けた巨大な振り子時計にして正常に作動させたり、『元気の出る呪文』と『怒らせる呪文』と『悲しませる呪文』を同時に別々の人に掛けたり、制限時間内に『混乱薬』の調合に失敗して混乱している10人の生徒に『正気薬』を調合して飲ませるなどだった。当然パチュリーは全て完璧にこなして見せた。

 そして最後から2番目である『闇の魔術に対する防衛術』で行われた障害物競走の様な試験でルーピン先生の顔を驚愕に染めた後、残るは『占い学』で行われる水晶玉を使った占いの試験だけとなった。

 

 

「こんにちは、ミス・ノーレッジ。お待ちしておりましたわ。あたくし、貴女にはとても期待しておりますの。さぁ、この椅子にお座りになって」

 

「失礼します」

 

 

 相変わらず薄暗い塔教室の中で、トレローニー先生の指示に従って水晶玉が置かれたテーブルの前にある椅子に座った。パチュリーの向かい側に座ったトレローニー先生は、羊皮紙と羽根ペンを取り出した。

 

 

「他の先生方や校長先生に、貴女には特別難しい内容で試験を行うよう言われておりますの。ですので貴女にはこれから、この玉で自分の未来の光景を映して貰いますわ」

 

「自分の未来を・・・・?」

 

 

 パチュリーが聞き返すと、トレローニー先生はゆっくりと頷いた。

 

 

「ただ自分の未来を見るだけでは他の生徒達と試験内容はそう変わりませんわ。それでは貴女には簡単過ぎますわよね?ですので貴女にはあたくしが指定した日の未来(・・・・・・・・)をピンポイントで見ていただきますわ」

 

「・・・・成る程」

 

 

 占い術は本人の素質と才能が必要となる特殊なものだ。しかもその両方を持っていても、狙った日に起こる事を予知出来るまでかなりの修練が必要となる。普通ならたった数ヶ月授業で習った程度の生徒が出来る技ではない。

 

 

「それで、予知する未来の日付はいつですか?」

 

「運命があたくしに知らせたのは、貴女がホグワーツから帰った日の夜9時頃ですの」

 

「・・・・今なんと仰いました?運命が、知らせた?」

 

 

 パチュリーの聞き間違いでなければ、トレローニー先生が決めたのでは無く、運命(・・)がその日を決めたと言う風に聞こえた。トレローニー先生はパチュリーの目をじっと見詰めながら頷いた。

 

 

「えぇ、その通りですわ。運命があたくしに、貴女にその日を予知させろと知らせて来ましたの」

 

「つまりその日の夜9時頃に、私に何かが起こると?」

 

「そこまではあたくしにも分かりませんわ。何故か貴女の未来は、あたくしの『内なる眼』を持ってしても良く見えませんの。まるで深い霧で覆われた夜の様に・・・・」

 

「・・・・取り敢えず、その日時を見てみます」

 

 

 パチュリーは水晶玉を手元に寄せて覗き込んだ。普段なら直ぐに見えてくるのだが、何故かその日その時間帯だけはパチュリーからしてもぼやけて見えた。

 

 

(どう言う事?こんな事今まで無かったのに・・・・)

 

 

 暫く覗いていると、水晶玉の中に何かが見えて来た。よく見てみるとそれはパチュリーと羽と尻尾を隠した小悪魔の後ろ姿だった。どうやら霧の出ている夜の街を歩いている様だ。

 

 

(なんでこんな時間にこんな所を歩いてるのかしら?)

 

 

 首を傾げながら更に見続けていると、水晶玉の中の自分と小悪魔は首をキョロキョロと動かして周囲を見渡しているのが分かった。どうやら何かを探している様だ。

 

 

(でも、いったい何を・・・・・あら?)

 

 

 すると水晶玉の中の2人が突然足を止めた。探し物を見つけたのだろうかと思い様子を見ていると・・・・、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 水晶玉の中のパチュリーと小悪魔が、首から血を噴き出して倒れた。

 

 

・・・なっ!?

 

 

 予想外の光景にパチュリーは思わず声を上げて椅子から立ち上がった。水晶玉の中の2人はそのままピクリとも動かない。地面にどんどん血が広がって行く。

 

 

(何が起きたの!?いったい誰が!?どうやって!?)

 

 

 パチュリーは今までにない程動揺した。何が起きたのか全く見えなかったのだ。魔法や銃弾などの何かが飛んで来た様子は無い。近付く人影すら無かった。なのに水晶玉の中に映る自分達は突然血を吹き出して倒れてしまった。

 

 

(・・・・・ッ!!)

 

 

 すると水晶玉の中に新しい人影が映った。しかし何故かその姿がハッキリ映らない。まるで黒い靄が人の形をしている様で、かろうじて分かるのは、その人影が10歳前後の子供と同じ位の身長だと言う事だけだ。

 

 

(何者なの・・・・?)

 

 

 なんとか顔だけでも見れないかと水晶玉に意識を集中させる。角度を調整し、その人影の顔の正面辺りに合わせた。カタカタと水晶玉が揺れ始め、色は相変わらず黒いが、少しずつ顔の輪郭が見えて来た。もう少しで見れそうだと更に意識を集中させると、

 

 

 

 赤い瞳と目が合った。

 

 

ガシャン!!!!

 

「・・・・ッ!?」

 

「ヒィィィィッ!?」

 

 

 水晶玉が限界を迎えて粉々に砕け散った。トレローニー先生は悲鳴を上げて椅子から転げ落ち、パチュリーは険しい顔で水晶玉の破片を見た。

 

 

「ミ、ミス・ノーレッジ!お怪我はありませんこと!?」

 

「・・・はい、大丈夫です」

 

 

 慌てた様子で立ち上がったトレローニー先生がパチュリーに怪我が無い事を確認してホッと息を吐いた。

 

 

「今の水晶玉が映した未来の光景、トレローニー先生は見えましたか?」

 

「・・・・残念ながら、あたくしには何も見えませんでしたわ。ただ、黒い靄が見えるだけ・・・・」

 

「・・・そうですか」

 

「ミス・ノーレッジ。貴女はいったい・・・・・何を見たのですか?」

 

 

 トレローニー先生の問いに、パチュリーは答える事が出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 北の塔教室から談話室へ戻る間、パチュリーはずっと水晶玉が映した光景について考えていた。未来の私は何故夜の街を小悪魔と一緒に歩いていたのか?いったい何を探していたのか?何故急に足を止めたのか?何故急に血を噴き出して倒れたのか?十中八九あの黒い人影が原因だとして、どうやってあんな事が出来たのか?目的は何なのか?疑問が次から次へと浮かんで来る。

 

 

「・・・もう一度、今度は自前の水晶玉で同じ日の未来を見てみましょうか」

 

 

 トレローニー先生が用意した水晶玉は、自分が持つ水晶玉より質が悪い。なら自前の水晶玉を使えば、何か分かるのではないか?とパチュリーは考えた。

 

 

「あら、お帰りなさい・・・・どうしたの?顔色が悪いみたいだけれど?」

 

「何でもないわ。ありがとう。合言葉は、『トイナグン・リ・ワラフ。流れ星』」

 

「正解よ。体調には気を付けなさいね」

 

 

 合言葉を答えて開かれた肖像画の穴を潜って談話室に入った。談話室の中には誰も居なかった。そう言えばさっき他の生徒達が校庭の方へ向かっていたなとパチュリーは思い出した。どうやら待ち焦がれた自由を校庭で少しばかり楽しもうと思ったのだろう。

 さっさと部屋に戻って水晶玉を見てみようと女子寮の階段を登ろうとした時、再び肖像画が開いて、暗い顔をしたロンとハーマイオニーが談話室に入って来た。

 

 

「あ、パチュリー・・・・試験、終わったんだ」

 

「そうだけど・・・・どうしたの?随分と暗い顔だけど」

 

「・・・・これを見て」

 

 

 震える手でハーマイオニーが差し出した紙を見てみると、どうやらハグリッドからハリー達に宛てた手紙の様だ。激しく手が震えたらしく、ほとんどの字が判読出来なかった。

 

 

『控訴に敗れた。日没に処刑だ。おまえさんたちにできるこたぁなんにもねえんだから、来るなよ。おまえさんたちに見せたくねえ。』

 

「今日、バックビークの控訴裁判だったんだ・・・・・ほら、マルフォイの奴が腕を怪我しただろう?アレで裁判に掛けられてさ」

 

「あぁ、最近熱心に何かを調べてると思ってたけど、裁判の事について調べてたのね」

 

「ねぇ、パチュリー・・・何とかならないかしら?このままじゃバックビークが・・・・」

 

 

 ハーマイオニーが縋る様に聞いてくるが、パチュリーは首を横に振った。

 

 

「裁判で決まったならどうしようもないわよ。それに控訴してもダメだったとなると、この場合なら恐らく上の権力から圧力が掛かってるでしょうから、結果は変わらないでしょうね」

 

「そんな・・・・」

 

 

 ハーマイオニーとロンは今度こそ絶望した様子でヘナヘナと椅子に座り込んでしまった。するとまた肖像画が開いて、今度はハリーが息を弾ませながら入って来た。

 

 

「聞いて!トレローニー先生が、いましがた僕に言ったんだ!・・・・どうしたの?」

 

「コレ、読んでみなさい」

 

 

 パチュリーはハグリッドからの手紙をハリーに手渡した。ハリーは手紙に目を通して行くと、表情が段々暗くなって行った。

 

 

「行かなきゃ・・・・ハグリッドが1人で死刑執行人を待つなんて、そんな事させられないよ」

 

「でも、日没だ。絶対許可してもらえないだろうし・・・ハリー、特に君は・・・・」

 

「何?貴方また何かやらかしたの?」

 

 

 パチュリーがハリーの方を見ると、彼は気不味そうに視線を逸らした。今回は本当に何かやらかした様だ。

 

 

「はぁ・・・どうしても行くなら、私は何も見なかった事にしてあげるわ」

 

「・・・・因みに、手を貸してくれたりは──」

 

「あら、先生に報告してもいいのよ?」

 

「スミマセン・・・・」

 

 

 パチュリーは「じゃあ、頑張りなさい」とハリー達に言うと、女子寮への階段を登って、自分の部屋へ向かった。

 

 

「あ、お帰りなさいませ!パチュリー様!」

 

「ただいま・・・・あぁ、シリウスのご飯を作ってたのね」

 

 

 部屋に入ると、エプロンと三角巾を付けた小悪魔がトランクから出て来るところだった。どうやらシリウスの夕飯を作っていた様で、手には美味しそうな香りのするバスケットを持っていた。

 

 

「はい!今日は豚肉が安く手に入ったので、カツサンドにしてみました・・・・?パチュリー様?何かありましたか?顔色が良くないみたいですけど」

 

「・・・そんなに悪いかしら?」

 

 

 パチュリーが自分の顔を触りながら聞くと、小悪魔は心配そうな顔で「はい」と答えた。

 

 

「・・・・最後の『占い学』の試験でちょっとね」

 

「え?まさか・・・・・パ、パチュリー様が占い術で不合格を!?」

 

「違う。そうじゃない」

 

 

 試験自体はトレローニー先生から合格と言われていると伝えると、小悪魔はホッと安心した様子で息を吐いた。

 

 

「じゃあ、何が問題だったんですか?」

 

「試験内容で自分の未来を見る事になったんだけど、ちょっと気になる未来が見えちゃったのよ」

 

「・・・どんな未来だったんです?」

 

「・・・・・私と小悪魔が死ぬ未来」

 

 

 一瞬言うかどうか迷ったが、小悪魔にも関係がある事なので伝えた。小悪魔はサーッと顔を青くして、震える声で聞いて来た。

 

 

「そ、それは避けられない未来なんですか?」

 

「水晶玉の質が悪くて良く見れなくてね。後で自分の水晶玉でもう一度調べて見る予定よ」

 

「そう、ですか・・・・」

 

 

 暗い顔をして少し震えている小悪魔を見て、パチュリーは彼女を優しく抱きしめて、頭をポンポンと優しく叩いた。

 

 

「大丈夫よ。今回水晶玉で見た未来は対策すれば避けられる未来よ。貴女を傷付けたりなんてさせないから、安心しなさい」

 

 

 水晶玉で見る未来はほぼ100%起こる未来だが、避けられない運命ではない。例えば銃で撃たれる未来を見たなら、予め防弾チョッキを着て銃弾を防げると言った感じに、今から考えられる限りの対策を行えば、死ぬ未来は回避出来るのだ。

 

 

「パチュリー様・・・はい!私も頑張ります!」

 

「その意気よ。取り敢えずその未来はまだ先の事だから、今はその美味しそうなカツサンドを、彼の所へ一緒に持って行きましょうか」

 

「はい!分かりました!」

 

 

 パチュリーは小悪魔が元気になったのを確認すると、彼女と一緒に『叫び屋敷』へ空間魔法で転移した。

 

 

「シリウスさ〜ん!ご飯持って来ましたよ〜!」

 

 

 小悪魔がシリウスを呼ぶが、来る様子がない。いつもならバタバタと走って来るので、不思議に思いながら彼が良く使っている寝室へ向かった。

 

 

「・・・・留守みたいね」

 

「珍しいですね。いつもはご飯の時間には必ずここに戻ってるのに」

 

「まぁ、待っていればその内・・・あら?」

 

 

 ガタガタと下の階から大きな物音がした。シリウスが帰って来たのかと思ったが、ズリズリと何か重い物を引き摺る様な音と、段々大きくなって来るシリウスじゃない聞き覚えのある声を聞いて、パチュリーは慌てて小悪魔を空間魔法で部屋に転移させた。

 

 

「放せ!放せよ!やめろったら!この犬め!・・・・・って、パチュリー!?何でこんな所に!?」

 

 

 穴だらけの扉を壊す様な勢いで開けて入って来たのは、脚が折れた泥だらけのロンと犬に変身したシリウスだった。ロンはパチュリーが居るのに気付くと、信じられないものを見たとばかりに目を見開いた。

 

 

「それはこっちのセリフよ!!ちゃんと説明してくれるんでしょうね!?」

 

「パチュリー!来ていたのか!遂に見つけた!奴を見つけたんだ!」

 

 

 犬から人間の姿に戻ったシリウスは、興奮した様子で叫んだ。ロンは人間に戻ったシリウスを見て口をあんぐりと開けていた。取り敢えずパチュリーは杖を振ってロンの脚を治す。

 

 

「つまり、スキャバーズが見つかって、ロンを連れて来たって事は今彼と一緒に居るのね?」

 

「あぁ!ポケットの中に居る!間違いない!」

 

 

 シリウスに言われてロンの方を見ると、確かにポケットが膨らんでもぞもぞと動いていて、彼はその膨らみを隠す様に手で覆っていた。

 

 

「ま、まさかパチュリー・・・君は・・・・ッ!」

 

 

 ロンは青褪めた顔でパチュリーとシリウスを交互に見ながら震えている。そこでパチュリーはある事に気付いた。

 

 

「・・・ちょっと待って?ロンを犬の姿で連れて来たって事は・・・・?」

 

ロン!大丈夫!?犬はどこ!?

 

パチュリー!?なんで貴女がここに!?

 

 

 するとバッと扉が蹴り開けられ、杖を持った傷だらけのハリーとハーマイオニー、そして何故かクルックシャンクスが部屋に入って来た。

 

 

「ハリー!犬じゃない!罠だ!あいつが犬なんだ!あいつは『動物もどき(アニメーガス)』なんだ!」

 

 

 ロンがそう言うが早いか、シリウスはハリー達が入って来た扉を閉めた。彼はハリー達が振り返ると同時に、ロンから奪ったであろう杖で『武装解除の術』を使った。するとハリーとハーマイオニーの杖は2人の手から飛び出し、高々と宙を飛んでシリウスの手に収まった。

 

 

「君なら友を助けに来ると思った。君の父親もわたしのためにそうしたに違いない。君は勇敢だ。先生の助けを求めなかった。ありがたい・・・」

 

 

 

 「その方がずっと事は楽だ」とシリウスはハリーを懐かしむ様に見ながら言った。ハリーはシリウスを親の仇(まぁハリーからすれば正にそうなのだが・・・)を見る様に睨むと、今度はパチュリーの方を向いて叫んだ。

 

 

「何してるんだパチュリー!そいつがブラックだ!早く・・・・」

 

「ダメよハリー!」

 

 

 ハーマイオニーが思わず身を乗り出して叫んでいたハリーを掴んで引き戻した。

 

 

「ブラックを見て!逃亡犯でこの屋敷に隠れ住んでいたなら、もっと汚れててもおかしくないのに、服も髪も綺麗過ぎるわ!それにパチュリーは私達より先にこの屋敷に居た!パチュリーはブラックの共犯者なのよ!」

 

「そうか!パチュリーが共犯者なら、寮の合言葉だって簡単に手に入る!」

 

「だから何度もホグワーツに侵入出来たし、寮の中まで入って来れたんだな!この裏切り者め!」

 

 

 ハーマイオニーの名推理にハリーとロンは納得し、パチュリーを裏切り者だと判断して睨み付けた。パチュリーは『やっぱり面倒な事になった』と額に手を当てて、深い溜め息を吐いた。

 

 

「どうしてくれるのよ?完全に誤解しちゃったじゃない。何で食料を持って来る時間に連れて来たのよ?」

 

「それは・・・正直、すまないと思っている」

 

 

 シリウスをジトッと睨み付けると、彼は申し訳なさそうにしてパチュリーに謝った。

 

 

「さて、ハリー。大事な話をしよう。先に言っておくが、君を殺すつもりは無い。後ろの2人もだ」

 

ウソだ!お前は僕の父さんと母さんを殺した!

 

「・・・否定はしない。2人は私が殺したも同然だ。だが聞いてくれ。君は・・・いや、魔法界は私を凶悪な殺人犯だと言うが、それは大きな間違いなんだ」

 

お前は僕の両親をヴォルデモートに売った!それだけ知ればたくさんだ!!

 

 

 ハリーは止める2人の手を振り解き、シリウスに飛び掛かった。しかしパチュリーが一瞬で結界を張ってハリー達を閉じ込めたので、ハリーは結界にぶつかって2人の方へ倒れ込んだ。

 

 

「ぐっ・・・や、やっぱり!ブラックと繋がってたんだな!?」

 

「少しは落ち着きなさい。ちゃんと詳しく説明するから、先ずは彼の話を・・・・あら?」

 

 

 鼻を押さえて睨むハリーにシリウスの話を聞くよう言っていたパチュリーは、ふと下の階からくぐもった足音がするのに気付いた。続いてハーマイオニー、シリウス、ハリーとロンの順に気付き、ハーマイオニーが急に叫んだ。

 

 

ここよ!私達、上に居るわ!──シリウス・ブラックと共犯者が居る!───早く!!

 

 

 すると足音の主は気付いた様で、足音がバタバタと上がって来た。パチュリーとシリウスが警戒して扉の方を見ると、扉を勢い良く開けて、蒼白な顔で杖を持ったルーピン先生が飛び込んで来た。

 パチュリーはルーピン先生を無力化しようと杖を向けたが、何故かシリウスが手で制して来たので、杖を下ろした。ルーピン先生の目が結界に閉じ込められたハリー達をとらえ、それからシリウス、パチュリーへと移った。

 

 

先生!そいつがシリウス・ブラックです!パチュリーはそいつの共犯者で、裏切り者なんです!

 

 

 ロンがルーピン先生に叫んだ。ルーピン先生は杖をパチュリー達の方へ向けながらチラリとハリー達をもう一度見ると、シリウスの方を向いて、何か感情を押し殺して震えている様な、緊張した声を発した。

 

 

「・・・・シリウス、あいつはどこだ?」

 

 

 ハリー達はルーピン先生が何を言っているのか分からず、ルーピン先生を見つめた。シリウスはゆっくりとロンを・・・正確には彼の膨らんだポケットを指差した。

 

 

「しかし、それなら・・・・何故今まで正体を現さなかったんだ?もしかしたら───」

 

 

 ルーピン先生は真っ直ぐシリウスの目を見て、目を見開いた。どうやら開心術を使った様だ。

 

 

「───もしかしたら、あいつがそうだったのか・・・・もしかしたら、君はあいつと入れ替わりになったのか?・・・・わたしに何も言わずに?」

 

 

 落ち窪んだ眼差しでルーピンを見つめ続けながら、シリウスはゆっくりと頷いた。

 

 

「ルーピン先生?いったい何が───ッ!?」

 

 

 ルーピン先生が先程からシリウスに話し掛けてるだけに見えたハリーが大声で割って入ったが、漸く動いたルーピン先生の行動にハリーの問いは途切れた。

 ルーピン先生はゆっくりと構えていた杖を下ろすと、シリウスに歩み寄り、そして───、

 

 

「久しぶりだな。シリウス」

 

「あぁ、12年振りだな。リーマス」

 

 

 久しぶりに再会する兄弟の様に、シリウスを抱きしめたのだった。




もう少しで『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』が終わりそう。頑張らなくては・・・・・・。

*追伸
過去に書き間違えてる所があったので、書き直しました。朝起きたらせっかく上がって来ていた評価がまた下がってました・・・・・・ちょっと残念。
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