「エヘン!・・・全員よく食べ、よく飲んだことじゃろうから、また二言、三言。新学期を迎えるにあたり、いくつかお知らせがある。一年生に注意しておくが、校内にある森に入ってはいけません。これは上級生にも、何人かの生徒たちに特に注意しておきます。管理人のフィルチさんから授業の合間に廊下で魔法を使わないようにという注意がありました」
パチュリーがデザートに呟いたら出て来たチョコレートパフェを食べていると、ダンブルドアがまた立ち上がって学校の注意事項を言い出した。
2つ目の注意は『魔法を使え』って暗に言ってるのかしらね?
「今学期は二週目にクィディッチの予選があります。寮のチームに参加したい人はマダム・フーチに連絡してください。最後ですが、とても痛い死に方をしたくない人は、今年いっぱい四階の右側の廊下に入ってはいけません」
ダンブルドアの最後の注意に生徒達はヒソヒソ話し始めた。パチュリーも原作を知らなかったら今すぐそこを壊せばいいのにと思うだろう。
ま、やっぱり『賢者の石』があるのよね。よし、明日の夜に貰いに行こう。
パチュリーがそう決めた頃、ダンブルドアの合図で生徒達が校歌を歌い出したのだが、パチュリーにはこの歌のセンスが全く分からず苦笑いしていた。
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「へぇ?なかなかいい部屋じゃない。1人部屋なんて運がいいわ」
あの校歌が終わってすぐパチュリー達はグリフィンドールの寮に向かった。途中ポルターガイストのピーブズに杖の束をばら撒かれると言うハプニングがあったが、無事ピンクの絹のドレスを着た太った婦人の肖像画に合言葉を唱えて開いた穴を潜り、寮に入って女子寮に入った。パチュリーが割り当てられた部屋は1人分のベッドだけでその上にヴワル大魔法図書館に繋がるトランクが置いてあった。その事を女性監督生に尋ねると、今年は人数が1人分だけ多かったらしい。
私は早速部屋に侵入者避けの魔法と扉自体に強めの認識阻害の魔法をかけた。これでもう扉は私以外は見る事は出来ない筈。私はそれを確認した後トランクを開いて小悪魔を部屋に招いた。・・・・のだけど、何故涙目になっているのよ?あ、ヤバ。
「ふぇぇぇ〜〜ん!パチュリー様〜!寂しかったですよ〜!!」
「あぁ〜悪かったわよあまり呼ばなくて。ほら泣かないの」
ついに泣き出して小悪魔はパチュリーに抱き付いた。パチュリーは呆れ顔になりながらも抱き付いてきた小悪魔の頭を撫でてやる。
流石に小悪魔は私に依存し過ぎよねぇ・・・まぁ、多分私から全く連絡しなくなって不安になったんでしょう。普通に数日間空ける事を言っておけばお留守番もしてくれるし。
「分かった、分かったわよ。次からは気を付けるから泣かないの、ね?」
「うぅ〜・・・はいぃ〜・・・・」
パチュリーはなんとか小悪魔を泣き止ませ、紅茶を一杯頼み、それを飲んでからベッドに入って眠りに就いた。
因みに小悪魔は朝起きたら私のベッドに入り込んでスゥスゥ寝息を立てていた。可愛らしかったからこっそり魔法で写真を撮っておいたわ。
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ホグワーツ魔法魔術学校と言う名ではあるが本当に魔法と魔術しか学ばないのではない。これはパチュリーも授業を受け始めて知った事ではあるが、思ったより学校らしい授業をしたりもする。しかし、ヴワル大魔法図書館の主であり、様々な知識を持っているパチュリーにとっては復習もいいところで色々な授業で点を取っている。4つの寮にはそれぞれ手に入る得点があり、行動や態度などを先生によって点を入れられたり、減点されたりする。そして今パチュリー達はマグゴナガル先生が行う変身術の授業に来ていた。
「変身術はホグワーツで学ぶ魔法の中で最も複雑で危険なものの1つです。いい加減な態度で私の授業を受ける生徒は出て行ってもらいますし、二度とクラスに入れません。初めから警告しておきます」
マグゴナガル先生は机を豚に変え、また元に戻した。生徒達は早くやりたいとウズウズしているがパチュリーはその生徒達の様子に呆れていた。確かに魔法らしい魔法に興奮するのはいいが、下手したら自分が豚になる可能性があるのを分かっているのだろうかと少し心配していた。そしてマグゴナガル先生が授業を始め、黒板に書いた物をノートに纏めた後、1人1つずつマッチ棒を渡されてそれを針に変えるよう指示を出したが、パチュリーだけはマッチ
「マグゴナガル先生、何故パチュリーにだけ難易度が高い事を指示なさるのですか?明らかに1年生が出来る物じゃありません」
「いいえ、おそらくですがミス・ノーレッジには可能でしょう。出来ますか?」
「えぇ、鳥ならなんでもよろしいのですよね?」
途端にクラスが騒めく。あちこちから「無茶だ!」とか「無理に決まってる!」とか言っている。中にはハリーと何時も一緒にいる・・・ロン・ウィーズリーだったか?も笑いながら無理無理とか言っている。
あの赤毛・・・私がドラコ達と仲がいいと知ってから妙に突っかかってくるのよね。この際少し驚かしてやるわ。
ボートから降りてからもドラコ達とパチュリーはかなり仲が良い。それがロンには気に食わないようで、昨日はいきなりパチュリーの事を「グリフィンドールの裏切り者」とか言う始末だった。パチュリーはそれを少し根に持っており、杖を振ってマッチ箱を叩いた。するとマッチ箱は勢い良く燃え上がり、3本足の美しい鴉に変身した。マグゴナガル先生は驚愕しながらもパチュリーに周囲に熱で陽炎を作っている鴉について尋ねる。
「ミ、ミス・ノーレッジ?アレはなんですか?私は長い間魔女をしていますがあんな鳥は見た事がありません」
「アレは八咫烏と呼ばれる日本の神話に登場する太陽の化身ともされている鴉です。まぁもっとも、変身術で作った偽物の為力はあまりありませんが」
「す、素晴らしいですよミス・ノーレッジ!!私としてはもう少し見ていたいですが熱で机が燃えるので元に戻して下さい。そして素晴らしい変身術にグリフィンドールに15点!!」
パチュリーは擦り寄ってくる八咫烏をマッチ箱に戻して杖を仕舞う。その様子にクラスの全員は驚愕しており笑っていたロンは顎が外れるんじゃないかと心配になるくらい驚いていた。
まぁ八咫烏のヒントは東方のお空だけど、ちょっとやり過ぎたかしら?
その後他の生徒達がマッチ棒を針に変える練習をしたが、1番近づけたのはハーマイオニーだけだった。その後もいくつかの授業で点を取って今日の授業は終わった。
★
その日の深夜2時頃・・・
パチュリーは真っ暗な廊下に立ち、木製の扉の前に立っていた。ここは四階の右側の扉。ホグワーツの先生達によって守られている『賢者の石』がある場所だった。今回パチュリーはそれを預かる為に自分に認識阻害の魔法や不可視の魔法を重ねがけしている。流石のダンブルドアも今のパチュリーは見つけられない。
「ここね?早速お邪魔するわ」
パチュリーは鍵のかかった扉を魔法で開け、中に入ってからかけ直す。中には3つの頭を持った巨大犬がいたが、パチュリーが睨み返すとビクリと震えてから大人しくなった。
「退きなさい。さもないと丸焼きにするわよ?」
それを聞いた瞬間巨大犬・・最早ケルベロスはすぐその場を離れ、地下への扉を見せる。パチュリーはケルベロスを撫でてから中に入った。しばらく穴を浮きながら降りていくと、『悪魔の罠』と呼ばれる植物が敷いてあった。外敵が近付くと巻き付く植物ではあるが、刺激しなければ問題ない。そのまま飛んで素通りして次の部屋を目指す。
これで第2関門突破。緩々の警備ね。私が結界を張った方が強いんじゃないかしら?
パチュリーがそんな風に考えながら飛んでいると開けた空間に鍵に羽が生えた物が飛び回る場所に出た。原作では箒に乗って扉の鍵と同じ物を捕まえていたが、パチュリーはそのまま扉に向かって簡単な鍵開けの魔法をかけた。すると扉はカチリという音と共に開いた。
「・・・・これやっぱり普通の扉じゃない。誰よこのトラップと呼べないもの作ったのは?」
パチュリーは扉に入り、念の為鍵でしか開かなくしてから鍵をかけ直した。次の部屋は巨大なチェス盤があり、勝たなければ先に進めない様になっていた。・・・・が、今回は相手が悪い。
「チェックメイト、私の勝ちね」
パチュリーは自分の陣地の駒を1つも取られる事無く完全勝利した。先に進める様になり、駒を元に戻してから扉を潜った。次の部屋には巨大なトロールが居たが、寝てたのでそのままスルー。次の部屋に入ると扉の前にそれぞれ紫と黒の炎が上がり、パチュリーは部屋に閉じ込められた。テーブルの上に7つの瓶がある。どれかが正解で他はハズレだろうとパチュリーは確信した。瓶の隣にある羊皮紙を読んでみる。謎解きの様だがご丁寧にヒントが4つも書いてある。
「これちゃんと賢者の石守る気で仕掛けたのよね?なんでヒントを書いてるのよ?・・はぁ」
パチュリーは指をパチンと鳴らし、自分の周りに防御魔法を張って炎を抜けた。部屋は侵入者が抜けた事により発動前の状態に戻った。
今更だがパチュリーは魔法に使う呪文はほとんどない。頭の中に数学の様に式や陣を描いて発動させている。呪文が必要な時はそれ相応の魔力を使う物だったりする。
「これが賢者の石ね?あっさり手に入っちゃったわね?」
パチュリーは机に置かれた賢者の石を手に取って眺める。こんな物でもヴォルデモートが復活するらしいのでパチュリーは賢者の石をポケットに仕舞い、違うポケットから出した羽根ペンに変身術をかけて賢者の石と瓜二つの偽物を作り机に置いた。後ちょっとした悪戯でヴォルデモートの配下の者がこれに触れて1時間後に爆発する様に時限式の爆裂魔法をかけた。
「賢者の石は手に入ったし、私も寮に戻りましょう。小悪魔が待ってるし」
パチュリーは空間転移の魔法を使って一瞬にして自分の部屋に戻った。普通、ホグワーツの敷地内では『姿現わし』や『姿くらまし』は出来ないが、パチュリーは
「こぁ、今帰ったわ。悪いけど紅茶を淹れてくれるかしら?」
「お帰りなさいませパチュリー様!少々お待ちを・・・それがパチュリー様が取りに行った賢者の石ですか?前見た物より力が弱いみたいですが?」
急に現れたパチュリーに驚く事無く小悪魔は紅茶を淹れながらパチュリーが取り出した賢者の石を見ながら言う。
「あぁ、前に見せた事あるわよね?私のスペルカード。・・・火水木金土符『賢者の石』」
パチュリーがスペルカードを発動させると、赤、黄、青、緑、紫の計五色の結晶がパチュリーの周りをクルクル漂っている。
「これは戦闘用に属性を持たせた賢者の石。ホグワーツにあったこれは一応賢者の石ではあるけれど完全な不老不死にならない欠陥品。私のこれなら上手く調合すると完全な不老不死の薬になるわ。飲まないけど」
「え?なんでですか?飲めば不老不死ですよね?」
「そうだけど・・・ありえない程不味いし苦いらしいわ。それこそショック死する程」
「確かに嫌ですね」
小悪魔は納得した表情でパチュリーに紅茶を渡す。パチュリーはそれを飲みながら持って来た賢者の石を眺め、自分のスペルを解除した。
正直不老の魔法で間に合ってるし、態々そんな最悪な死に方するより断然いいと私は思う。
「それでパチュリー様、その石どうするんですか?一応賢者の石と言っても欠陥品ですよね?」
「まぁこんな物でも今の魔法界では最先端技術だし、私の研究室に腐る程転がってる素材の賢者の石に加える訳にもいかないから保管するわ。こぁ、適当な箱はないかしら?」
パチュリーの研究室とはヴワル大魔法図書館にあった物だ。研究室には魔法や薬品の調合、研究に必要な機材や素材が全て揃っており、その中には賢者の石も棚の中にゴロゴロ入っている。図書館にある禁書の魔法書には材料に賢者の石を使う事はザラにある。勿論不老不死になれる完成品。
「箱ですか?ちょっと待って下さい。確かこの前買った茶葉の空箱が・・・あった!!これです!」
「ありがとうこぁ。・・・・・・うん、こんな物ね」
パチュリーは渡された木箱に持って来た賢者の石をポイッと放り込み、蓋をしてヴォルデモートも真っ青になるかも知れない強力な防御魔法、認識阻害魔法、不可視の魔法などを重ねがけしていく。小悪魔は只の木箱がどんどん核シェルター以上の守りを持つのを苦笑いしながら見ていた。既に小悪魔の目では視認出来なくなった賢者の石入りの木箱はパチュリーの机の上に無造作に置かれた。
「これで大丈夫ね?さぁ、さっさと寝て明日の授業に備えるわよ」
「うわぁ、エグい事しますねパチュリー様。こんなの誰が開けれるんですか?」
「私はホグワーツの先生方みたいに優しい魔法は使わないわ。じゃ、こぁお休みなさい。また明日ね」
パチュリーは小悪魔に挨拶をしてベッドに入り込んだ。小悪魔は普通に使われた高度な魔法に驚愕しながらも、流石はパチュリー様と尊敬の眼差しを送り、自分も寝る為に空のティーカップを片付け始めた。