現実と立ち向かう人間。
現実でありながら、それはあまりにも長い、長い夢の様で。
最初に其処に降り立った時感じた寒々しさは、慣れない場所に来たせいか、それとも窓から見える吹雪のせいか、それとも来てはいけない場所だとカンで気づいていたか
どれかは分からないけど、とにかくあったまって休みたかった。
その後に起きた事は、あまりにも速く流れていった
目の前で消えそうになる命を、ただ伸ばされた手を握る事でしか救えない自分も
目の前で全てを壊された命を、ただ得体の知れぬ恐怖に足を竦ませて見ているしか無かった自分も
沢山の、沢山の命が目の前を過ぎていった。
その中には自分を殺そうとする命もあった、だけど、それは嫌だと、自分を救ってくれる人が居てくれた。
それでも救えない命はあって、それでも手から落ちる命はあって
それが余りにも辛かった、自分のせいではないと、自分一人で背負うモノではないと、何度も言い聞かせて走り続けた。
なのに、目の前で本当に本当に消えてしまった、朗らかで、誰よりも優しく、誰よりも強い彼が。
とても優しく、ずっと自分を支えながらも自らを確立しようとしていた淡い夢の様な彼女が。
それは余りにも余りにも、余りにも、辛すぎた。
それは夢のような、長い、長い現実
色々な事があった。
色々な人に出会えた。
色々な感情を覚えた。
自分の役目はそういうものだと理解し、色彩の無い部屋で毎日を過ごしていた現実とは違う。
余りにも夢のような景色。
確かに辛い事もあった、泣きたくなることもあった。
だけど、だけど
私と共に立ってくれる人が、私を見守ってくれる人が居たから。
私の夢はとても素晴らしい色彩に包まれてくれた。
だから.......ここで終わっても良いと、夢の終わりを告げる様に向かってくる光の前で身を焦がすのは、怖くてたまらなかったけど
夢を見守ってくれた人が、変わらぬ笑顔で前に進んでくれたから。
夢をくれた人が、ただ側に居てくれたから。
其処で、私の夢は終わる。それでよかった。
だけど、だけど
それで終わるのは。
それでこの
それでこの
嫌で仕方がないから
そんな子供じみた理由で
そんな平凡な願いで
自分は、手を伸ばす。
私は、もう一度目を覚ます。
そして、隣に居てくれる彼女と共に
そして、側に居てくれる人と共に
あまりにも平凡で、あまりも美しい色彩に彩られた現実が続いていく。
「だが、そんな鬱陶しい
「どちらも目覚める事無く、どちらも見る事無く燃え尽きていれば良かったと後悔するのは自分達なのだから」
眠る様に世界は凍り、生き残った者は夢を見続ける。
目の前にあるのは冷ややかで寒々しい現実だというのに、目を開けたくないとそれを拒絶する様に。