ドラゴンボールGTin超(スーパー)   作:神Tuberザマス

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お気に入り登録、感想ありがとうございます。
正直GTは細かくは覚えていないのでアニメ見返しながらの投稿になります。それゆえペースが遅くなりますがご了承ください。


第三話:主役は私!パン宇宙に飛び立つin超

 ウーブとの修行を終えた悟空は、神殿にてピラフたちに特殊なドラゴンボールで小さくされてしまった。何でもそのボールは、願いをかなえてから1年以内に再びボールを揃えないと、使った星のそのものが破壊されてしまうという。

 だがそのドラゴンボールはこの第7宇宙中に飛び散ってしまうのでそろえるのは困難を極める。

 界王様からの話を聞いた悟空、悟飯、パン、ビーデルはすぐにブルマに連絡した。宇宙中に飛び散ったのなら宇宙船が必要であり、宇宙船をきちんと作れるのはブルマしかいない。そう悟飯が提案した。

 ブルマは暇つぶしで作っていた宇宙船があると言い、きちんと完成するには明日になるといった。渡りに船である。

 しかしまずはチチや悟天たちにこれを伝えるのが先だ。地球の危機だというのに隠すのは不味い。

 そう思ってみんなでパオズ山へと向かった。

 

 結論から言うと、悟天はあっさり受け入れて、彼女と電話し始めた。パンも悟天の方に何となくだがついていき、別室でテレビを見始める。一方、チチは泣きじゃくった。悟空への悲しみではなく、悟空への嫉妬で。

「うわぁぁぁん! ただでさえ地球人であるオラは早く老けちまうだに……きっとこれは悟空さのいやがらせだべ!」

「そんなことねぇぞチチ」

 ただチチからしたらショックでもある。勝手に5年前に家を飛び出して帰ってきたら小さくなっていたのだ。チチでなくとも――言葉はともかく――衝撃は大きいのは想像に難くない。

「取りあえずブルマさんには連絡しました。何でも明日には宇宙船が完成するそうです。ですからみんなでカプセルコーポレーションに向かいましょう」

「そうだな。とりあえず悟空さには宇宙に行ってもらわねぇと」

「いかなきゃだめか?」

 そんなのんきな発言に悟飯は頭を抱え、チチは大激怒する。

「あったりめぇだ!! 地球が無くなっちまうかもしんねぇんだぞ!!」

「で、でもよぉ無くなる寸前に地球のドラゴンボールで地球の皆を別の星に移動させればいいんじゃねえか?」

 たしかに妙案ではある。そうすれば宇宙に行かず、皆の命は救える。が、この場にいる人間は賛成はしなかった。

「それはあくまで最終手段ですね、お義父さん」

「そうだ。誰だって住み慣れたところから引っ越ししたくねぇはずだ」

「父さん。僕も故郷をなくしたくありません。だから……」

 悟飯は傍にいるビーデルを見て、その後悟空の瞳をまっすぐ見る。

「父さんと一緒に、行くつもりです」

 悟飯の言葉に一同は一瞬目を見開くも、すぐにチチは嬉しそうに叫んだ。

「そうかぁ! 悟飯が一緒なら安心だなぁ!」

 すると、今まで悟空たちと少し離れたところにいたパンが、チチの言葉を聞いてひょっこり現れた。そして悟飯の座るテーブルを両手で掴むとおねだりするように悟飯を呼ぶ。

「ねぇ、パパも行くの!? だったら、アタシもパパと行きたい!」

「だめだ! 悟空じいちゃんたちは何も遊びに行くんじゃねぇぞ?」

「そうよ、パン」

 しかしおばあちゃんにもお母さんにも止められる。パンは少しムッとしながらチチへと言い返す。

「でも私だって色々お手伝いできるもん!」

「だども宇宙にはおっそろしいバケモンがいるかもしれねぇぞ~?」

 チチは両手をぐっと挙げてから、だらんだらんぶら下げる動きをした。幽霊みたいな動きだ。パンはフンと鼻を鳴らしてくるっと背を向けて怖くないもんと言い放った。

 だがチチの言うことには説得力があり、それは悟空も悟飯も理解していた。何にも危険がないと思ってナメック星に行ったらフリーザに殺されかけたし、そもそもこの広い宇宙には、地球外にはとんでもない戦士がいたのを数々の戦いで痛いほど思い知っている。だからまだ経験の浅いパンを行かせるわけにはいかなかった。

「まっ、仕方ねぇな。おめぇまだちいせぇし」

「じいじ……いや、おじいちゃんより大きいわよ! いーだ!」

 パンが悟空へと身を乗り出すと、あっかんべーをした。

 

 

 その後悟飯達は、宇宙船を見にさっそくカプセルコーポレーションの開発部へと向かう。するとそこにはもう、宇宙船が日の光を浴びていた。

「でっけぇ~~! タコみてぇだな!」

 たしかに悟空の感想が一番簡潔にその宇宙船を表現している。高さは一番背の高い悟飯の5倍はありそうなレベルであり、宇宙船を支える細い足が何本もある。胴体に当たる部分は球体に近いものとなっており、黄色い半楕円型の装置が周囲についている。まるで生き物のような姿をしており、その秀逸なデザインに皆息を呑む。

 だがブルマは悟空を上からのぞくようにして顔をしかめる。

「そうでもないわよ。三人しか乗れないし。……それにしてもあんた、ほんとになつかしい姿になっちゃったわねぇ~」

「へへへっ」

 ブルマはぽんぽんと悟空の頭を叩きながら昔を思い出す。悟空と初めて出会ったときは、ちょうどこんな背の高さだった。あの頃とは、強さこそは天と地ほど変わったが、中身は変わっているか疑問ではある。

「……それで悟飯君から聞いたけどあまり時間の猶予はないわよね。悪いけど悟飯君、手伝いをしてくれるかしら?」

「はい、僕でよければ手伝います」

「ビーデルもシステムチェックとかお願いしていいかしら。動作確認をするだけだから、簡単よ」

「わかりました、ブルマさん」

 悟飯夫妻はブルマの手伝いをするべく、その場を離れていった。チチは応接間に通され、悟空は暇だからと言ってその場で修業をすることにした。

 パンはというと、悟飯やビーデルが一生懸命作業をしているのを見て、手伝わなくてはという意識が芽生えていた。だからパンは悟飯のところへと向かった。

「ねぇパパ。何か手伝えることはないかしら?」

「ありがとう。でもここはブルマさんと僕で十分だから大丈夫だよ。ママのところに行ってごらん?」

 そういってやんわりと断られてしまった。仕方なくビーデルを探しに行く。

 ビーデルはというと宇宙船の内部に入って、メンテナンスをしていた。パンは後ろから話しかける。

「ママ、パンお手伝いしてあげる!」

「ありがとう。でも大丈夫よ。軽い機能テストしているだけだから」

「大丈夫だってママ! 遠慮しないで~」

 そういってパンは近くにあるスイッチを押そうとする。しかしビーデルはぴしゃりと叱った。

「ダメッ! それは発射に関わる重要なスイッチよ! いたずらしちゃだめ!」

「いたずらじゃ……」

 怒られてしゅんとなるパンの肩に触れ、優しくなだめる。

「いい? お手伝いならパパのところに行きなさい?」

 それは、パンにとってさらに傷口をえぐる言葉だった。パンはそのまま押し黙ってビーデルのもとを去り、部屋を出た後、宇宙船の壁を蹴った。

 が、ゴンと大きく揺れるような音が響き、壁が少しへこんでしまった。さーっとパンの頭は冷え切り、慌てて何か隠せるものを探す。丁度良く手ごろなワゴンカートのようなものがあり、それで傷を隠した後、そそくさと宇宙船から出た。

 その後パンはそのままカプセルコーポレーションから出ていく。てくてくと歩き、おじいちゃんのサタンが経営している道場へといって憂さ晴らししようかと思い至った。

 とその矢先、パンにとってのストレスの種が声をかけてきた。

「おーい、パーン!」

 イラッとした感情が浮かび上がり、不機嫌そうに何?とこたえる。

「どこいくんだ?」

「どこでもいいでしょ」

 パンは背を向けて腕を組む。

「オラもついていこうかな、暇だし」

「ついてこないで」

 そう言い放つとパンは歩き始める。すると悟空はすねたように呟く。

「けち」

「けちでけっこう」

 パンはなおも歩き、悟空はそれを追う。パンはぎっと歯を軋らせくるっと振り向くと、大声で叫ぶ。

「ついてこないでって言ってるでしょ!」

 そういうとパンはふわっと空へと浮かぶと、宙へと飛んで消えていってしまった。悟空は両手を頭に組みながら消えていくパンを眺めていた。

 すると、急に悟空の体に何かが触れた感触がした。見下ろすと、見知らぬ男が悟空の小さな体を抱きしめているのが見えた。

「ん? なんだおめぇ」

 悟空の声に反応した男が、何が何だかわからない状況で見つめていた。

 

 

 悟空に抱き着いていた男は少し前、ある計画を立てていた。カプセルコーポレーションの子供を捕まえて人質にし、莫大な身代金を要求するという作戦だ。ひ弱な女の子を対象にし、ずっと見張りを続けていたが、そこにパンが現れた。男はパンを捕獲しようと飛び掛かったが、パンは運が良いのか悟空を避けるために舞空術で空を飛んで行ってしまった。躱されたような形になった男は勢い余ってそのまま悟空へと抱き着いてしまったというわけだ。

 だが男は考えた。この少年もカプセルコーポレーションの関係者であるかもしれないと。少年ならば誘拐しても力づくでねじ伏せられる。そう考え、悟空を連れていくことに決めた。

 だが、この後彼らは地獄を見ることを知らなかったのである。

 

 

 その頃パンはサタン道場にいた。ここには世界一の格闘家、ミスターサタンを慕う弟子たちが、己の鍛錬のために通う場所であり、日々汗を流して修行している。パンが道場に入ると一斉に弟子たちは動きを止め、一礼する。ミスターサタンの孫であり、5年前の天下一武道会に大男相手に楽々勝利を飾ったことから、10歳ながらも尊敬のまなざしで見ているようだ。その光景を見てパンは、いつも以上に嬉しく感じた。

 その後パンは組手をしたいとサタンに頼み、弟子とパンの戦いが始まった。

 結果はパンの勝利。50人はいる弟子全員と戦ってもパンは消耗一つせず倒しきってしまった。いくら世界チャンピオンの弟子とはいえ、サイヤ人との混血であるパンにはかなうはずもない。師匠であるサタンも仮病を使ってパンとの戦いを避けた。

 サタンは弟子がもう鍛錬できる状態に無いと判断し、道場をお開きにすると、パンを近くのファミリレーストランへと連れて行った。

「……そんなことがあったのか」

 サタンは少し気になっていた。何でパンが突然サタンのところを訪れたのか。パンは悟空がドラゴンボールで小さくなってしまったことも含めて、今日あったことをすべて話した。

「それでみんなパンちゃんを子ども扱いする?」

「そうなの」

 パンがテーブルに両腕を組んでおいて、不機嫌そうに語る。するとローラーブーツを履いて滑り込んできたウェイトレスが注文の品を届けてきた。サタンの前にはブラックコーヒー、パンの前に大きなフルーツパフェだった。ウェイトレスが頭を下げて去っていくと素早くサタンは取り替えた。注文が逆だったようである。

「というより、あれはもう赤ちゃん扱いね。ひどいでしょ、サタンおじいちゃん」

「そりゃあひどい」

「ほんとっ、失礼しちゃうわ!」

 そういうとパンはコーヒーカップを手に取り、飲もうとする。

「あぁ、パンちゃん。お砂糖は?」

「ブラックでいいの」

 そういってパンはずずっと啜るように飲む。直後べたつくような苦みが口中を駆けまわり思わず舌を出してうぇっとみっともない声を出す。

「全く、パンちゃんを子ども扱いするなんて、なんて奴等だ!」

「そーだそーだ!」

 サタンが自分の事のように怒ると、パンは腕を突き上げる。

「パンちゃんは赤ちゃんじゃないぞ!」

「そーだそーだ!」

「パンちゃんは……パンちゃんは……パンちゃんは!」

 力強くサタンが声を出すと――だだっと駆け出し、パンへと優しく抱き着く。

「かわいいかわいいサタンじいちゃんの天使じゃ~てんしてんして~んし」

 頬を摺り寄せられながら天使といわれたパンは途端に目つきを鋭くさせた。そして立ち上がってサタンを押し返し、もうと怒る。

「サタンじいちゃん! 天使じゃ赤ちゃんと変わらないじゃない!」

「あぁそうか……それはすまん」

 力なく項垂れる姿は、かつてある意味世界を救ったヒーローとは程遠い姿だった。

 パンは席に戻り、きっと前を睨みながらきっぱりと言い放った。

「よぉ~し、こうなったらみんなを見返してやる!」

 そういうとパンは再びブラックコーヒーを飲み、また苦みに悶えた。

 

 

 

 パンがどこかに行っている間、ブルマは宇宙船の調整を行っていた。半田鏝を片手に持ちながら汗一つ流さず作業に取り掛かる。

 だが、ブルマの胸ポケットから携帯が鳴り響いた。社外用の携帯であり、営業用として使っている。ブルマは少しイラつきながら手に取り、はい?と語気を上げる。

「カプセルコーポレーションのブルマさんだな?」

 少し声の低い男だった。知り合いにいたかなと思いつつ、そうよと答える。

「実は今あんたのところの隠し子を預かってんだ」

「隠し子? なにそれ、いないわよ?」

「とぼけてんじゃねえよ。調べはついてんだ」

 そんなことを言われてもいない者はいない。子どもはベジータとの間の、トランクスとブラだけだ。ヤムチャとも昔付き合っていたが、避妊はしていたので子供は産んでいない。

「いいか。今俺たちは悟空っていうお前の隠し子を預かっている。無事に返してほしければ50億ゼニー……ってうそだろ!? ま、待ってくれ――」

 突如電話は切れてしまった。ブルマはよくわからなさそうな表情をして携帯を眺めたのち、ポケットの中にしまった。

「どうしたんですか、ブルマさん?」

 ひとりでに電話していたブルマを気にして悟飯が声をかける。

「うん、何でも孫君がどっかに出かけちゃったみたいでさ」

 明らかに誘拐の言葉なのだが、ブルマはどこかへ行ってしまったといった。悟空が誘拐されるという状況がそもそもあり得ない。

「そうですか……しょうがないなお父さんは」

「全く、苦労してるわね悟飯君。さて、とりあえず休憩しましょう! お昼にしますかな」

 ブルマは立ち上がって伸びをすると応接間の方に行く。悟飯もビーデルも作業を中断してブルマの後をついていった。

「ブルマさん、お料理手伝います」

「あら、ありがとう。それじゃお願いするわね。……あら?」

 ブルマのポケットから振動が響く。今度は社内用の携帯だとわかるとブルマは手に取った。

「はい、もしもし?」

「ブルマ様、先ほど何やら宇宙船らしきものがお庭に現れたのですが……」

「……大体予想着くけど、何者?」

「ええっと、スーパーエリートと名乗っているようです」

「……はぁ、わかった。すぐいくわ」

 若干けだるそうに応えると電話を切る。

「ごめんビーデル。お呼び出しが掛かっちゃったから、チチさんに頼んで二人で作ってもらっていいかしら? ……あと一人分くらい追加になりそうだし」

「? はい、わかりました」

 ブルマは白衣に手を突っ込むとカプセルコーポレーションの庭へと向かう。するとそこには、奇妙なマークがついている小型の一人用の宇宙船が置いてあった。ハッチは既に開いており、操縦席には小型の宇宙人が座っていた。目は黄色一色、青い肌に白いジャケットを着ており、ブルマはその姿を見るたび呆れの感情を思い起こさせる。

「アンタ何しに来たのよ、ジャコ」

「何しに来ただと? スーパーエリートの貴重な時間を割いて地球に来たのだぞ、感謝されるべきじゃないのか?」

 ジャコと呼ばれた宇宙人は、ブルマの問いに尊大な態度をとる。

 彼はこの第7宇宙の平和を守るために活動している宇宙パトロール隊員の一人だ。自分ではスーパーエリートと名乗っており、それなりの地位についていると本人は言っているのだが、怪しいものである。

 ブルマとは長い付き合いであり、知り合った要因はブルマの姉のタイツである。好奇心旺盛で作家志望だったタイツは偶然ジャコと出会い、ジャコと生活を共にすることになった老人と3人で孤島に暮らすことになった。そんなある日ブルマとブリーフ博士、そしてブルマの母はタイツのいる孤島に向かって、そこで初めて会ったのだ。

 それからは割と長い付き合いをしており、彼の変わった外見にはもう慣れている。

「それにしてもブルマ。お前老けたな」

「余計なお世話よ! あんたこそチビのままじゃないの!!」

「何を言うか! 私は5年前より1cmは伸びたぞ!」

 そんなくだらない言い争いをブルマは溜息を吐くことで中断し、ジトっと彼を見る。

「アタシアンタと違って暇じゃないのよ。用がないならさっさと帰ってもらえるかしら?」

「ま、まってくれブルマ! お前に確認しなければならないことがあるんだ! それに私は暇じゃないぞ!」

 ジャコは両手を差し出してブルマを止める。なによとそっけなく返すと、グイッとブルマに迫った。

「おまえ、まさかとは思うがこの星で究極ドラゴンボールを使ってないだろうな?」

「究極ドラゴンボール……? なにそれ?」

 ブルマは首をかしげる。

「究極のドラゴンボールというのは、地球やナメック星にあるようなドラゴンボールと違い、とてつもなく強力なパワーを持ったボールだ。願いをかなえてから一年たつと、使った星が爆発するらしい」

 その説明を聞いたブルマは、サーっと体温が急激に冷えていくのを感じた。間違いなく、悟空を小さくしたボールだ。

「銀河パトロール隊員の報告でな、とある惑星で黒い星のドラゴンボールが置いてあった。それを解析したところ、究極ドラゴンボールであるとわかったんだ。そこでどこの星が使ったかを調査しろと頼まれてな」

「へ、へぇ……そうなんだ。あんたもたいへんね」

 まずい。ここで究極ドラゴンボールを使ったことがばれたらきっと地球が面倒くさいことになる。めちゃくちゃ怒られて、銀河パトロール隊員がぞろぞろと来ることだろう。

 何とか隠し通さなくてはと、ブルマは心に決めた。

「で、おまえたちは使っていないんだろうな?」

「あっ、あたりまえよ! そもそも存在を知らなかったのだから」

「本当か? 先ほど少し顔色が悪そうだったがな」

 ――なんでこいつは間抜けなのにこういうところは鋭いのよ!

 ブルマは心の中で悪態をつく。人間というのは都合が悪いときに限って鋭く突かれることがある。

「――まあでも知らなかったわけだし使うわけがないよな。疑ってすまなかった。ではほかの星を回るとする」

 ジャコはそういうと宇宙船に戻っていく。ブルマは取りあえず安堵し、思い切り詰めていた息を吐く。

「それではなブルマ。スーパーエリートは時間がないので、失礼する。さて帰ってアニメの続きを見なくてはな……」

 ジャコを乗せた宇宙船はすぐに浮遊し、そのあとエンジンを急点火させて、宇宙へと消えていった。

「次の星に行くんじゃなかったのかしら……」

 ひときわ風が吹き、やんだ後にブルマはぼそりと呟いた。

「――さて、ビーデルやチチさんたちを手伝わなくちゃね」

 そういうとブルマはキッチンへと向かった。

 

 

 食事を済ませたあともブルマ達は宇宙船製作に取り組んでいた。そして作業は夕方にも及び、皆真剣に地球のためにと行動していた。

 一方で、事の中心人物になった孫悟空はというと、かなりエンジョイした一日を送っていた。

 お金目的で誘拐した二人は悟空を懐柔すべく食事をおごったり遊園地につれていったりした。何も知らない悟空は遠慮なしに70人前程度の食事をとったり、遊園地で大の大人と一緒に絶叫マシンに乗ったりした。

 途中男達はカプセルコーポレーションに電話をし、身代金を要求するも、一人目の女は公衆電話で使ったテレフォンカードが途中で切れてしまい、中途半端に終わってしまった。二人目の、恐らく女の夫と思われる人間はきちんと最後まで用件を伝えることに成功したが、こう返事を返してきた。

「煮るなり焼くなり好きにしろ」

 夫、ベジータにしてみたら、悟空が誘拐されようとも何ら危険だと感じない。そもそもベジータは、身代金の要求の構図も意味もわからない。

 ただ、普通はこう返されては絶句ものである。そのまま電話が切られ、呆然と立ち尽くしたあと、相棒と悟空を車にのせた。

「しっかしおめぇたちいい奴だな!」

 悟空はすっかりいい奴だと信じ込んでいる。とても50才を越えた人間のいう台詞ではない。その台詞に男達は空返事で応じた。

「さてと、オラそろそろけぇるかな」

「えっ!? も、もう帰っちゃうの? 動物園にいこうよ!」

「んー、でもオラ明日早いんだ。わりぃな」

「じゃ、じゃあせめて電話だけさせて! 電話を探さなくっちゃな」

 この期に及んでまだ身代金の要求を行おうとする。もはや無駄だとはわかっていつつも、諦めるつもりはないようだ。

 だが、このあと悟空はとんでもないことを言い出した。

「そっか、じゃあオラこれから電話とってくる!」

「ああそう? いってらっしゃい」

 適当に返事をするが、よく考えたらおかしな台詞だ。携帯を持っているというのなら、貸すが普通だ。それなのに持ってくるってーー

「よっと」

 少年はフワッと浮かび上がり、サンルーフから外へと飛んでいってしまった。人間が、それも少年が空を飛んでいる。いよいよ体が震え始め、とんでもない奴に絡んでしまったのではという疑惑を持ち始めた。

「オーイ、電話持ってきたぞー」

 数分後、空から呼び掛ける声があった。見上げると電話ボックスを両手で軽々と持ち上げながら飛んでいる少年の姿があった。そのまま少年は電話ボックスをごみを捨てるような気軽さで地面へと落とした。

 そして嫌な疑惑は、確信へと変わった。

「うわあああーーば、バケモンだぁー!」

 男達は急いで車に乗り込んで、その場から逃走した。

「なんだよ、せっかく電話ボックス持ってきたのによ」

 悟空はそれを不思議そうに見つめて呟いた。

 

 

 

 

 そしてその夜、悟空達はカプセルコーポレーションで夜をすごし、そのまま朝を迎えた。

 朝になり世間が起き始め、カプセルコーポレーションにもたくさんの社員が出勤する。

 そしてカプセルコーポレーション社長であるトランクスもまた、例外ではない。眼鏡をかけ、緑色のスーツに身を包み、部下のお世辞を無視し、女性社員の憧れの目線に色目で答えようとするのを堪え、なんとか社長室へとたどり着く。そして膨大な報告書を見てげんなりとし、小さな窓からこっそり抜け出す。

 それがトランクス社長の日課だった。今日はどこにいこうかと、考え、舞空術で最上階からとんでいった矢先ーー

「よう。トランクス"社長"」

 同じく宙に浮いている男が目先にいた。ブルマの夫にして、トランクスの父親であるベジータである。髪を均等に切り揃え、額を目立たたせ、髭を生やしている。

 しかし普段は仕事に関しては一切無干渉であるはずなのだがどういうことだろうか。

「と、父さん……? なんでこんなところに?」

「仕事中に抜け出すとはいい度胸じゃないかトランクス。だがまあ今日はちょうどいいか」

 そういうと突如ベジータは一瞬でトランクスの背後に回り、スーツの襟をつかんでぐいっと勢い良く地上へと連れ寄せた。

「ちょ、ちょっと父さん!? いったい何を!?」

「貴様にいい話があるんだ。悟天を連れてきているからそこで一緒に話してやる」

 そういうとベジータはにやりと嗤った。嫌な予感がする。そうトランクスは感じた。

 そしてそれは、的中してしまった。

 

「な、なんで僕たちが宇宙にいかなきゃいけないんだよ!?」

「そ、そうですよ父さん!」

「腑抜けた貴様らを宇宙に送ればいい経験になるだろう。それにカカロットも一緒だからな」

「で、でも僕明日デートの約束をしてるんだよ!?」

「諦めるんだな」

 悟天の抗議を一瞬で切り捨て、二人を宇宙船のあるところまで引きずるベジータ。悟天は唖然としつつ、どうにかベジータを止める手を考える。

「お、俺はカプセルコーポレーションの社長ですよ!? その間会社はどうするんですか!?」

「サボっていたくせに良く言えたもんだな。それにそんなものブルマ一人で十分だ」

「し、しかしーー」

「貴様小さい頃未来の自分にいってたよな? もっと強くなるって。約束を果たせるぞ」

「っーーそ、それとこれとは話が違いますよ!」

 確かに10年前ほどに、未来の世界から成長した自分自身が現れて、彼が懸命に戦う姿に感動して強くなるとは言った。けれどだからといって宇宙に行く理由にはならない。

 だが、ベジータにはそんな理屈が通じるわけもなく、いっそう引きずる力を強くされてしまった。

「あ、ええっとベジータさん。か、母さんはきっと寂しいんじゃないかな? かわいい息子がいなくなっちゃうのって嫌だって思ーー」

「大賛成だったぞ」

 ニヤリと悪い笑みを浮かべながら悟天の台詞をバッサリ切り捨てた。実の母親に裏切られたショックと、最後の希望が潰えたことに悟天は絶望し、うなだれた。どうあっても自分は宇宙に行く運命であるようだ。

 宇宙船が見えてくると、ベジータは二人を投げ捨てた。ブルマとチチが二人の分の荷物をきちんと用意してあったのを見て二人はもう無駄な抵抗をせず悟空の隣にたった。

「はぁ……やっぱりいかなきゃダメなのかトランクスくん」

「しょうがないだろ……もう腹をくくるしかないぞ悟天」

「そうだね……ちょっと彼女に電話するよ。デート断んなくちゃ」

 そういうと悟天は携帯を取り出し彼女に電話する。悟空とトランクスは先に宇宙船へと入っていった。ブルマ達が一生懸命作った設備や内装を眺めながら悟空たちはコックピットへと向かった。

「ビーデルさん、そういえばパンはどこだい?」

「え、パンならブラちゃんと一緒だと思うけど……」

 そういってビーデルは、ブルマの娘のブラを見る。しかし彼女はパンではなく、ベジータと一緒にいた。パンは、この場にはいない。二人は目を見開いた。

「ま、まさか……」

 コックピットにたどり着いた悟空とトランクスは、悟天を待つべく、席へとつこうとする。

 しかしーーすでに先客はいた。

「んもう、遅いわよじいじ、トランクス!」

「えっ!?」

「ぱ、パンちゃん!?」

 なんと、操縦席には孫のパンが先に座っていた。満面の笑みを浮かべながら悟空達を出迎えているが、突然のことで悟空たちはなにも言えなかった。

 しかしトランクスはどうにか状況を飲み込み、パンに迫る。

「だ、ダメじゃないかパンちゃん! 早く降りるんだ!」

「いいからいいから! さて二人とも席について!」

 そういうとパンは操縦席の発進ボタンを勢い良く押した。途端、宇宙船が激しく揺れ始め、ぐらっと足元がふらつき始めた。エンジンが点火し、陸を離れようとしている。もはや、手遅れだった。トランクスと悟空は座席にしがみつき、地球から離れていくのを、窓から見つめるしかなかった。

「あ、僕なんだけどさ、ごめん! 明日行けなくなっちゃって……えっ、何? 宇宙船が煩くて聞こえない! あ、そう宇宙船だよ! だからーー」

 外で電話で手こずっている悟天は、中でとんでもないことが起こっていることを知らなかった。瞬間、エンジンの火が噴き広がり、その爆風は悟天を包み込んだ。悟天の体は軽々と飛ばされ、壁に叩きつけられる。身体中煙を浴びた悟天は唖然と宇宙へと旅立つ船を見送った。

「……ごめん、やっぱり今夜行けるっぽい」

 デートに行けるという嬉しさなどなく、ぽっかりと穴が開いたような気分だった。

 

 悟空とトランクスとパン。奇妙な面子での冒険が始まった。果たして、究極ドラゴンボールを揃え、地球を救うことができるのだろうか。

 

 

 一方その頃ーー銀河パトロール本部では新たに上がった問題について議論を交わしていた。

「銀河王。先にもあげた通り、惑星M2にて不穏な動きがあります。調査をすべきかと思われます」

 銀河パトロール隊員がかしづき、深刻な面持ちをする。タコのような外見をした銀河王も唸りながら指示を発した。 

「偵察カメラをとりあえず数十台、それと数名の隊員を送りましょう。とはいえ惑星M2は監視システムが他の惑星とは段違いかもしれません。細心の注意を払ってください」

「わかりました」

「頼みます。こういった本当に重要な任務はジャコではこなせません。銀河の平和を脅かす可能性もありますので最優先でお願いします」

 

 

 

 




・ジャコ
超や銀河パトロールジャコを見ていればわかるので省略。

・ベジータの台詞
悟空ブラック編でトランクスは未来の(別世界線ではあるが)自分にあっている。トランクスが未来に帰る際、子供の時のトランクスは強くなるといっている。

・悟天
設定では少しましになっているとは言ったけど、やっぱりましにはならないかもしれない。ごめんなさい。

あとGTのときとちがって宇宙全体を見渡せる存在が増えたので、奴の動きにもいち早く気づいてはいます。
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