ドラゴンボールGTin超(スーパー) 作:神Tuberザマス
究極ドラゴンボールを求めて地球から宇宙船が飛び立った悟空、トランクス、そしてパン。なんとも奇妙なメンバーとの旅が始まり、それから一週間がたった。
トランクスと悟空は最初パンを地球においていくことを考えていたが、次第にパンが宇宙船生活のすべてを仕切るようになっていき、もはや何も言えなくなってきた。
パンが掃除、悟空が食事を担当することになった日、とんでもない事態が起こった。突如宇宙船が激しく揺れたのだ。
「な、なんだっ!?」
一同は宇宙船内の窓を覗き、異常を確かめる。すると、エンジンの噴出口が、無限の宇宙へと散っていってしまった。
やばいと直感的に感じたトランクスは急いで操縦席に戻り、コントロールを試みる。しかし、上手くいかず揺れは収まりそうにない。操縦が不安定な以上、このまま運転するのはあまりに危険だと判断し、トランクスは残り二人に叫ぶ。
「パンちゃん、悟空さん! これから近くの星に不時着します! シートベルトをしてください!」
「ええっ!?」
「ま、まじかよ!? で、でぇじょうぶなんか!?」
「わかりません、でも成功させます!」
「わかんないのぉ!? やだよぉ、私まだ死にたくない!!」
トランクスはレバーを思いきり奥へと押し出し、着陸体勢へと入れる。どうにか惑星へと方向を変え、そのまま流星のごとく一直線に大気圏へと突入する。ガタガタと激しく揺れ、悟空とパンは座席にしがみついていた。トランクスは急いでエンジンを逆噴射させ、速度を落としていく。
やがて地面が見えてくる。どうにか船に負担のかからない場所を探し、そこめがけて鋭角に入り込む。宇宙船が地面に触れ、沈み込んだ瞬間、激しい抵抗で大きく揺れる。あとは摩擦抵抗に任せるのみ、瞳を閉じて無事を祈った。
しばらくたち、動きが止まる。三人は目を開けて、座席から立ち上がる。
「た、助かったみたいね……」
「あ、ああ……」
ほっとした一行は這い出るように、異星へと降り立った。
三人が初めて辿り着いた星の名前は、イメッガである。降り立った場所から少し歩くと都があり、商店がありとあらゆるところに立ち並んでいる。悟空たちは取り敢えずゼニーを、ガメッツという通貨に交換してもらいーー観光客が多いため設けられたそうだーーさっそく宇宙船を修理するためのパーツを探しに出掛ける。
だがーー商人たちは悟空達を見かけるや一気に押し掛けてきた。その後、イメッガ星人の洋服やアクセサリーを着せられ、無理矢理購入された。宇宙船の部品がほしいと言うと、またもやぐいぐい押し売られ、必要のないものを買わされた。本当にほしい部品は、買うことができなかった。
なんとか悟空たちは逃げ出して、近くのホテルへと駆け込む。そしてそこで一泊とることにし、部屋に入ると一行は一息ついた。その後商店街での愚痴を言い合いながらトランクスはベッドに横たわりながらテレビを見、悟空は冷蔵庫から食べ物を取り出して食べ、パンはシャワーを浴びた。
が、パンの一言で、状況はとんでもないことになっていたことに気づいた。シャワーのお湯が止まらず、しかもシャワーの下の、請求金額のメーターの数字が上がっているのである。
他にもトランクスのベッドやテレビ、そして冷蔵庫にも同じメーターがついている。全部合わせれば10万は軽く越える。冗談じゃないと思った一行は窓から部屋を飛び出していった。
結局一行はホテルから離れた、あまり栄えていない地区へと向かう。しかしそこで運が悪く雨が降ってしまった。宇宙船に戻るのに時間はかかるので、近くで雨宿りすることになった。
「はぁ……なんなんだこの星は。なんでもかんでもお金をとろうとするじゃないか」
「ほんとうよ! ありえないわ!」
「オラ腹へったぞ……」
「文句言わないの! はぁ……来るんじゃなかったわ、私のバカ」
「おめぇ自分で乗ったくせにな」
悟空は少し意地の悪い笑みを浮かべた。逸れにパンはムッとする。
「それも含めてバカだっていってるの。ていうか、おじいちゃんが小さくならなければこんなことにならなかったのよ!」
「おめぇそれいうのか?」
悟空も少しムッとして返す。普段悟空はこんなことでは怒らないのだが、お腹も空いているわ振り回されているわでストレスがたまっているのだろう。
「そうよ! 私が宇宙に来たのも、こんな星に不時着したのも、こうして雨に打たれているのもみんなぜーんぶじい……おじいちゃんのせいなのよ!」
「ま、まあまあパンちゃん。こうなっちゃったからには仕方ないよ。取り敢えず雨が止むまで待とう」
「はぁ……そうね。もう最悪」
そういってパンは壁へと寄りかかる。だが、その直後何かが割れる音がした。
「えっ?」
音がした途端、パンの体はそのまま後ろへと倒れる。尻餅をついて後ろを振り向くと、なんとパンと共に壁が倒れてしまっている。そして壁の向こうにいる、イメッガ星人の夫婦二人が呆けた顔でこちらを見ている。そこまで強く寄りかかったつもりはないのに、倒れてしまいパンはどうにか笑顔を浮かべとり繕った。
とりあえずその家にあるテープを拝借して壁を形だけでも修繕し、悟空たちは彼らの家にお邪魔した。
「なんと、外から来たんですか?」
「ええ、遠い地球という星からです」
「そうですか……大変だったでしょう?」
妻の方のイメッガ星人の言葉にパンはボロいテーブルを叩きながら叫ぶ。
「ほんっとよ! 来た直後に押し売りはされるしホテルもぼったくりだし最悪よ! 本当にイメッガ星人はどうかしてるわ!」
「こ、こらパンちゃん!」
パンの言葉をトランクスがとがめる。しかし目の前のイメッガ星人は手で制した。
「いいんです。ですが私たちも好きでこうしている訳じゃないんですよ」
「どういうことですか?」
「この星の首領がドン・キアーになってからここはとても住みにくい星になったんだ」
夫の方が辛そうに口を開く。
「ドン・キアーは俗にいう金の亡者で、高い税金を私たちに要求するんだ。生活するだけでも大変なのにな。他の星から来た人間も、宇宙船を取り上げて閉じ込めてそれを強要させているんだよ」
「そうか、だからあんな押し売りを……」
「そういうことなんです。だから、他所から来た方はいいカモなんです」
一行はひどい状況だと認識し少し俯く。
「そんなひでぇ奴ら、やっつけちまえばいいのによ」
悟空はさも簡単なことのように言う。パンはおじいちゃんと制するが妻の方はにっこりと悲しそうに笑う。
「そうしたいんだけどね……ドン・キアーにはレジックというとても強い用心棒がいてね。レジックさえいなければあんな奴倒せるのに……」
「そっか……オラ戦いたくなってみたぞ」
「よしなよ坊や。子どもが叶う相手じゃないよ」
悟空の素性を何も知らない夫は諫める。悟空が、オラ子どもじゃねぇと言い返そうとしたその時だった。
「――な、なんだ?」
途端、家中がぐらっと揺れる。何が起こったのかと確認しようと悟空たちは外に出ようとする。しかし、その必要はなかった。突如直した壁が外されたのだ。何をと思い振り向くとそこには数台のロボットがいた。
「本日をもって家のレンタルの期間は終了いたしました。継続してレンタルをなさる場合は追加の料金をお支払ください」
「……お金はありません」
「分かりました。では解体作業、始め!」
そういうと他のロボットたちは家をバラし始めた。
「な、なんでこいつら家を壊してんだ!?」
「家を借りていたんですが、お金が払えなくなってしまったからです」
「そんな……ひどい……」
そんななかトランクスはなにも言わなかった。こういったことは地球でもある。お金を支払わないということは契約違反であり、退去は当たり前。ビジネスを齧っている身としては仕方のないことだと割りきっている。
「いいんだよ。もうこうなるのは覚悟の上だったのだから」
そういうと、二人はもう家ではなくなった場所から去っていった。悟空たちは彼らを見送り、見えなくなったところで別の雨宿りの場所を探し、そこで夜を明かした。。
そのつぎの日の朝、悟空たちは取り敢えず宇宙船に戻ることを決め、都市から離れたところに向かう。宇宙船のなかで当分どうするかを考えることにしたほうがいいというトランクスの判断だ。
「あの人たち、大丈夫かな……」
パンが呟く。無論、先程家を追い出された夫婦である。
「どうだろうな。ただパンちゃん、この星にはこの星のルールってものがある。余所の人間があまり干渉すべきじゃない。ーーそれに、俺たちにはドラゴンボールを探して地球を救うという使命があるんだ。それを優先させよう」
トランクスは笑顔でそういうと、パンは憂鬱げだった表情を変え、元気よく返事をした。
「そうね、ドラゴンボールを探しましょう! もしかしたらこの星にあるかもしれないし!」
「うーん、そう都合よくいくかな……」
「ドラゴンレーダーで調べてみろよ」
「はいはい」
悟空に促され、トランクスはポーチからドラゴンレーダーを取り出す。ドラゴンレーダーとは、ブルマが開発した、ドラゴンボールを探し出す小型のメカである。時計のような形になっており、簡単に探し出せる。
上部にあるボタンを押せば起動し、縮小される。トランクスは親指で押そうとする。
「――ギルギルッッ!」
しかし、突如変な声が聞こえ、トランクスは驚いてレーダーを落としてしまう。落ちたレーダーの近くには、小さな丸いロボットらしきものがあった。
「え、えねるぎーほきゅう……エネルギーほきゅう……」
そう機械音声でいうと、ぱくっと口を開きーーなんとレーダーを飲み込んでしまった!
「いっ!?!?!?」
一行はぎょっとそれを見つめ、頭が真っ白になる。ドラゴンレーダーがなければ、ドラゴンボールを探し出すのは不可能である。すなわち旅の続行は不可能だ。
そうなってしまったら不味い、トランクスはすぐに返せと叫ぶ。
「返せ! それがないとドラゴンボールを探せないんだ!」
「エネルギー補給完了! エネルギー補給完了!」
「何がエネルギー補強よ!! レーダーを吐き出しなさい!」
煽っているように聞こえる機械音声にパンとトランクスは怒り心頭である。二人はそんな機械に勢いよく飛びかかっていく。しかし意外にもロボットはすばしっこく、振り回されていく。
「まてーー!!」
トランクスがばっと飛び付いていく。しかしロボットは横に避け、同じく反対方向から飛びかかったパンにぶつかってしまう。このままロボットは逃げ切ってしまう。そう思い二人は急いで後を追おうとする。
しかし、みるとロボットは悟空の足の下でじたばたと暴れていた。どうやら悟空が待ち伏せて捕まえておいてくれたらしい。トランクスはがばっと滑り込んで捕まえると吠える。
「さぁ、ドラゴンレーダーを吐き出せ!!」
そういってトランクスはがしゃがしゃと機械を揺らす。機械音声で悲鳴を上げるがトランクスには届かない。
しかし――一方でまたもやとんでもないことが怒っていた。地面がわずかに揺れているのにいち早く気づいたのは、悟空だった。
「なんだこの揺れ? ――あぁっ!?」
悟空が突然大声を上げ、二人は振り向く。
「どうしたのよおじいちゃん」
「宇宙船が持ってかれてっぞ」
「ええっ!?」
トランクスが機械を手に持ちながら悟空の下へと駆け寄る。悟空が指差す方向には、確かに宇宙船が見える。しかも、引きずられている。
「な、なんてこった……! 次から次へと!」
「早く取り返さないと!!」
悟空達はばっと飛び出し、宇宙船を追う。その際機械はパンの荷物袋に無理矢理押し込められることとなった。
「くそっ、かなり離れてて見失いそうだ……悟空さん、瞬間移動で追ってもらえますか!?」
「そうしてぇんだけどさ、奴らの気が小さすぎて拾えねぇんだ。スピードを上げりゃすぐに追いつくさ」
悟空の瞬間移動は、一般的なそれとは違う類である。瞬間移動、またはワープは場所を指定して移動するのだが、悟空のは、人間の気を指定して移動するのである。その対象の人間の気が大きければすぐに捉えられるが、小さすぎると見つけづらい。探している時間があればおってしまたほうが早いだろうと悟空は考えている。
悟空は気を解放してスピードを上げる。するとだんだんと宇宙船が見えてきた。宇宙船を運んでいる人数は10人ほど。これならば余裕で倒せるだろう。そう判断し、悟空はさらにスピードを上げて彼らを追い抜き、降り立って立ちふさがった。パンもトランクスも後に続く。
「おめぇたち、それオラたちのなんだ。けぇしてくれねぇか?」
「な、なんだこのガキ! だまれ、こいつは回収しろとドン・キアー様が御命令なさったのだ! 邪魔するなら撃つぞ!」
「邪魔するなって言いたいのはこっちよ! 人の物勝手に盗むなんてサイッテーよ!」
「うるせぇっ! やっちまえ!!」
兵士が叫ぶと、部下たちは銃を構え、悟空たちにぶっ放してきた。三人は前方へと飛び掛かり、銃撃を躱しながら接近した。
「な、なんだこいつら――ぐはぁっ!!」
銃相手では悟空たちの敵ではない。軽々と悟空たちは叩いて眠らせ、宇宙船を囲う兵士を全滅させた。
「まったく、あっけないわね」
「さっ、宇宙船を運んでしまおう」
悟空たち三人は宇宙船を持ち上げ、その場から離れた。今度は絶対に見つかりそうにないところにしようと決め、手ごろな岩場があったのでそこに隠した。
三人は取りあえず宇宙船の中で食事、入浴、そして少しの睡眠を済ませ、休息する。ろくに休めていなかっため、出る気が起きなかった。
しかし現実問題として宇宙船の修理がある。トランクスとパン、そして悟空は再び商店街へと行くことを決めた。今度こそ正しいパーツを買わなくてはいけないので、どんなに押し売りされても跳ね除けてやるという強い決意を抱きながら飛んでいった。
――しかし、悟空たちが商店街へ向かい、ようやくお目当ての部品を見つけて声をかけたその瞬間。
「ひっ!?」
そうイメッガ星人が悲鳴を短く上げると、シャッターが勢いよく閉まった。他の店もそれに連鎖するようにシャッターが一斉に閉まり、辺りは静かになってしまった。
「ど、どういうことだ?」
「オラ前にもこんなことあった気がするぞ」
悟空がブルマと旅をしていた時、とある村にて悟空たちが訪れた瞬間に家の中に引きこもってしまったことがあった。原因はブルマの耳に着けていたウサギの耳のアクセサリーであった――その村を支配していた、何でもニンジンに変えてしまう兎人参化に似ていたせい――が、今回の原因は何だろうかと悟空はあたりを見渡す。すると悟空はとあるポスターを見つけた。見るとそれは――悟空たちによく似た似顔絵だった。
「ん? なんだこれ?」
悟空の声に反応した二人もポスターを見る。瞬間、二人の顔は青ざめた。
「こ、これって……もしかして指名手配の!?」
「嘘でしょ? なんでよ!?」
「もしかして宇宙船を取り返したからなんじゃ……」
「と、取り返したからって元々は私たちの物なのに! それに何よこのポスター!! 気味悪過ぎよ!」
たしかに、悟空たちのイラストはかなり悪いやつのように書かれている。パンはナイフを、トランクスは銃を、悟空は……何も持っておらず、世の中を舐め腐ったような顔をしている。ある意味間違いではないかもしれないが。
そうこうしているうちに、サイレンが鳴り響く。気がついたら数十台のパトカーと銃を構えた兵士に囲まれた。
「くそっ、囲まれましたね……どうしますか悟空さん」
「しょうがねぇ、こいつら倒すしかねぇな」
そういうと悟空とトランクスは腰を落として構えた。
が――
「待っておじいちゃん! どうせなら捕まりましょうよ」
「つ、捕まるってパンちゃん!?」
「意味の分からないことで指名手配かかってるのよ私たち! だったら、そのドン・キアーに直談判してやろうっていうことよ!」
めちゃくちゃすぎる。トランクスはだらんと両腕をたらす。しかし一方で悪くない方法だと思った。自分たちの力なら拘束など解けるし、このおかしな惑星で宇宙船の部品を買わなきゃいけないのだから、指名手配等されてはたまったものではない。
「ねぇアンタたち、私たちを捕まえたいんでしょ!? だったらさっさと捕まえなさいよ!」
犯人の、強気すぎる自首に兵士たちは戸惑う。しかし、彼らは上司と、パンの指示に従い、悟空たちに手錠をかけ、パトカーへと乗せていった。
その後悟空たちは牢へと連れていかれる。そばには、兵士の上司と思われる男女二人がいた。屈強そうだが小柄の男と、細身の女が付いており、悟空たちを監視している。確かにまあまあ強い気を感じ、兵士のようにはいかないだろう。けれど、悟空たちの障害となりうるには、足りなかった。
三人は手錠を力づくで引きちぎり、拘束していた兵士を殴り倒す。驚いた上司二人は臨戦態勢へと入り、殴りかかるが、悟空たちは難なくそれを躱し、強烈なパンチやキックを顔面にお見舞いさせ、地面へと寝かせた。そのまま三人はだっと駆け出していく。目指すは、親玉の根城だ。
ドン・キアーの自室は驚くほどわかりやすかった。全ての部屋の中でも一番大きな二枚扉であったので、悟空たちは迷うことなくドアを押した。
「案外早かったのね。早くつれてくるのね」
きっと部下だと勘違いしているのだろう。ドン・キアーのその行動が滑稽で、パンは思い切り扉を蹴っ飛ばした。轟音が響き、部屋の奥で居座る男はびくっと震えていた。体躯は大きく、肌もなかなか綺麗であるが、その成りからは、金に対するあくなき探求と黒い心がにじみ出ている。
「ば、ばかな!? あいつらはどうしたのね!?」
「あいつらなら、寝てるぜ?」
トランクスの言葉にドン・キア―は机の上に装備されている監視システムを起動させた。牢屋の前の映像では、複数の兵士が伸びているのが見えた。それをみて、唇をかむ。
「私たちを指名手配にするってどういうことなのよ!」
「宇宙船を勝手に持ち出したからなの! この星では、宇宙船を持つことは禁止なの」
「うるさいわね! それにあんた、聞いたわよ! 悪いことばっかりしてるそうね!」
「ぐっ……余計なことを聞いたのね。それで、ぼくをどうしようっての?」
「――こうしてあげるわ!!」
パンはそういうと、ドン・キアー目がけて飛び掛かり、拳を振りかざす。が、ドン・キアーは手元にあるスイッチを押す。
すると、パンの体を光の筒が包み、パンは動きを止める。その瞬間、すさまじい電撃が彼女を襲った。
「うわあああああーーーっっ!!」
「パンちゃん!」
「パン!」
悟空とトランクスはパンを助けるべく駆けつけるが 光の筒に触れた瞬間、バチっと痛みを感じ、弾き飛ばされてしまう。その後部屋の壁の中から大量の銃器が、パンを囲むように現れる。いくらパンでもあれだけの銃による攻撃を受けたらただではすまない。悟空とトランクスは銃器を破壊すべく、気弾を放とうとした。
だがーー
「よせ。奴等はその程度の攻撃では倒せん」
渋い男の声が響き渡り、部屋の中の一同は振り向く。そこには、赤いフードを被った背の高い男がたっていた。悟空は彼を見た瞬間、少し警戒を強めた。この星で一番気が高い。恐らく彼が、ドン・キアーの用心棒なのだろう。
それを証拠に、ドン・キアーは彼を見た瞬間に安心しきったような顔をする。
「ああ、レジック先生! こいつらやっちゃってくださいよ!」
「俺に命令するなといったはずだ。俺は俺の意思で動く」
そうピシャリと告げると、悟空たちに歩み寄る。主人の命令は拒んだものの、あくまで悟空たちと戦うつもりらしい。
そう感じたトランクスはレジックに飛びかかり、彼の顔面めがけてパンチを繰り出す。しかし、彼は姿勢を屈めてそれをかわし、逆にトランクスの顔面にカウンターを浴びせた。
「がはっ!?」
トランクスの体は天井へと叩きつけられ、跳ね返るように地面に落ちていった。
修行していないとはいえ、ベジータの息子であるトランクスがこうも簡単にカウンターを浴びせられた。悟空もトランクスも、できると感じた。
「トランクス、後はオラに任せろ。パンを頼む」
そういうと悟空は彼へと歩み寄る。
「おめぇなかなかやるな。オラ孫悟空! おめぇは?」
悟空が名乗り上げると、彼はフードをとった。頭は骨の先端のような、小さなY字に似た形をしており、目は驚くほど鋭く、まっすぐである。何となくだが、第六宇宙の最強の殺し屋、ヒットににているかもしれないと感じた。
「俺はレジック。俺はたとえガキだろうと手加減はしない」
レジックがそう言い放つと、悟空たちは暫し睨み合う。が、緊張が限界へと達すると、互いに飛び出していった。
「たぁっ!」
「はぁっ!」
二人の拳が合わさり、衝撃が部屋を揺らす。その衝撃に身を任せるように一旦二人は距離を離す。その後レジックは片手からいくつものエネルギー弾を放った。それは悟空の背後の壁を破壊し、悟空も吹き飛ばされて宙へと浮いていた。レジックは追撃の手を緩めず、悟空の背後に瞬間的に回ると、無防備な背中を蹴りあげる。
が、悟空はそれをなんなく受け止め、足をつかんで投げ飛ばした。意趣返しにと、悟空も彼の背後に回るべく二本の指を額に当てる。レジックの気は大きく、容易に気をとらえられる。一瞬だけ集中力を極限にまであげ、レジックの気をとらえた。そのまま、彼の背後へーー
「あり?」
ーーいけなかった。視界は上下反転し、そのまま勢いよく落ちていく。なんとか落下を防ぐが、悟空の頭はすこし混乱していた。
「な、なんで瞬間移動できねぇんだ? よぉーし、もういっけぇだ!」
悟空はもう一度瞬間移動を試す。反撃しようと接近するレジックの気を捉え、集中して自身を消す。
だが、座標が変わることはなかった。その場で一瞬消えただけにすぎず、動きはない。気づいたら目の前にレジックが拳を振りかざしている。
「やべっーー」
防御する間もなく、悟空はなぐりとばされる。そのまま体は宮殿を貫通し、背中に衝撃が大きく伝わる。だが、これだけでは終わらせなかった。レジックは悟空の背後に瞬間的に回り、起動を往復させるように拳を振るった。そして、彼は両肩にある刺を引き抜いて気を込める。すると一気にそれが伸び始め、剣のような形になった。その後ばっと悟空を追い越して待ち伏せ、叩きつけるように剣を振った。
だが、それは叶わなかった。
「界王拳!!」
悟空の体が突如、赤いオーラに包まれた。そして反るような体勢だった悟空の体が急に立て直され、レジックの剣を受け止めている。レジックは悟空を押し潰そうと力を込める。しかし悟空はびくともせずそれを受け止めていた。それどころか逆に悟空は剣をへし折ってしまう。
「なにっ!?」
「はぁっ!!」
驚愕し、隙が生まれたところで、悟空は気を解放し、衝撃波を発した。レジックは抵抗する間もなく、それに吹き飛ばされてしまった。
「ぐっ!」
なんとか空中で宙返りをして留まったレジックは悟空に接近する。先程あの赤いオーラを出現させた瞬間から、あんな不利な体勢を立て直し、さらに強力な力をもって戦っていた。この少年、なかなかできる。レジックは警戒を強めた。
だが、レジックの目の前にいる少年は、赤いオーラを解いてしまった。
「なぜそれを解いた? 本気を出さなくていいのか?」
レジックの問いに、悟空はばつの悪そうな顔をする。
「わりぃな。こいつはあんまり使いすぎると体に負担がかかっちまうんだ」
「なるほどな……しかしお前はなかなかにすごい奴だ。さすがはサイヤ人といったところか」
「えっ? どうしてそれを?」
レジックはにやりと笑いながら悟空へと言う。
「異星人で黒髪で、それだけの戦闘能力を秘めているからな。最初に一目見たときからただ者じゃないとはわかってはいたが」
「なるほどな……おめぇもなかなかやるじゃねぇか」
「ふん、ありがたく受け取っておく。それより貴様、まだ本気じゃないな」
「へへっ、まあな」
悟空はにっと笑う。
「なら見せてみろ。お前の本気の力を」
「ああ、いいぜ」
そういうと悟空は脇を締め、気を溜める。肩甲骨の辺りをブルブルと震わせ、そこに気を集中させる。そして気の高まりが頂点に達した瞬間、解き放つ。
「はぁっ!!」
悟空が叫ぶその瞬間、髪がゆらっと陽炎のように揺蕩う。そして、気が上昇するのに合わせるように、髪が剣山のように立ち、たちまち金色へと変化した。悟空の全身には金色の炎を纏わせ、じっとレジックを一瞥する。
「ーーっなるほど……これは噂に聞く、スーパーサイヤ人という奴か?」
レジックはプレッシャーで押し潰されそうになりつつも悟空に問いながら笑う。
「まあな。おめぇよく知ってんな」
「用心棒という仕事のせいだ。余計なことはよく知っている。だが、さすがにここまでだとは思わなかったぞ」
「なんだよ、勝負やめちまうんか?」
悟空が挑発するように笑う。が、レジックはふっと鼻で笑うと構えた。
「そんなわけがないだろう。行くぞ、孫悟空!」
レジックが飛び出し、悟空へと攻撃を仕掛ける。しかし悟空はそれをかわし、反撃の一撃を腹に与える。一瞬だけレジックの動きが止まるが、負けじと殴り返す。しかし悟空はそれを的確に弾き、レジックに再び一撃を与える。もはやレジックには反撃も余地もなく悟空のラッシュが続いた。
「だりゃりゃりゃりゃ!」
その後悟空はレジックを思い切り蹴り、地面へと叩き落とす。だが、さすがにレジックも無抵抗ではない。どうにか体勢を整えて着地すると、悟空めがけてフルパワーのエネルギー波を放った。
「かーめー」
悟空はそれを見据え、両手で小さな空間をつくって右腰へと引く。
「はーめー……!」
小さな空間の中に気を生み出し、充填する。光が指の隙間から漏れ、エネルギーがさらに膨張する。
「波ぁーーーー!!」
エネルギーが最高潮へと達した瞬間に、悟空は両手を前に突き出し、放った。青いエネルギーが尾を引いて空間を裂き、レジックの放ったそれと激しくぶつかる。スパークのような衝撃が大気を揺らし、両者は顔をしかめる。
が、徐々に悟空のエネルギーがレジックのそれを押し出していく。レジックは必死にパワーを絞り出すが勢いは止まらない。むしろ、加速していく。
悟空は止めと言わんばかりに叫び、気をさらにあげた。青い濁流はすべてを飲み込み、直後爆炎が起こった。
撃ち合いを終えた悟空はレジックのもとへと降り立つ。レジックは、雇い主のそばで疲れたように地面に座っていた。
「ふっ、なんてガキだ。俺を遥かに上回るやつがいたとはな」
レジックは、呆れるように笑った。
「おめぇ修行したらもっと強くなっぞ」
「そうだといいがな。それはそうと、お前、あれは本気ではなかっただろ?」
「え、いやオラは……」
「いいんだ。貴様の攻撃は確かに痛かったが、本気だと感じさせるそれではなかった。きっとまだ力を隠しているんだろう?」
「……まあな。スーパーサイヤ人といってもいろいろあってな、スーパーサイヤ人2や3、それにゴッドなんてのもあるんだぜ」
「ゴッドか……全く、とんでもない奴だ。宇宙にはまだまだ俺よりも強い奴等がいるっていうわけか」
はっはと笑う彼には力はない。が、レジックはどうにか立ち上がり悟空を見据える。
「俺はこれから修行の旅に出る。自分をもっと磨いて、高みを目指すことにする」
「ああ、そんときはオラともういっぺんやってくれよな?」
「ふっ、次は勝つぞ」
そう言ってレジックは去ろうと悟空たちに背を向ける。が、ドン・キアーは黙って見送らなかった。
「ま、待ってレジック先生! あいつらをやっつけてちょうだい! お金ならたんまりとぐほぉーー!?」
最後まで言い終える前にレジックが蹴り飛ばす。
「クズ野郎が。お前の下についていた俺の時間を返してほしいぜ」
そういうとレジックは外へと飛び出していってしまった。悟空は笑顔で彼を見送り、その後部下に裏切られたあわれな独裁者を見下ろした。
「ちょっとあんた!」
光の筒の罠から脱したパン、そしてトランクスもドン・キアーへと迫る。ひっと上擦った悲鳴をあげたドン・キアーはパンたちに許しを乞うべく正座する。
「も、もうしわけありませんでした! な、なんでもしますから命だけはどうか……!」
「ん? 今なんでもするっていったわよね?」
「えっ? は、はい!」
そういうとパンは、意地悪な顔をした。
「じゃーあー」
その翌日、惑星イメッガには大幅な革命がなされた。最高責任者であったドン・キアーは解任のちに牢獄行きとなり、悪質な税システムは廃止された。さらに宇宙船の保持を自由とし、とりあげた宇宙船を返還した。悟空たちの指名手配もなくなり、ドン・キアーが最高責任者ではなかったころの平和なイメッガに戻ったようだ。
悟空たちはようやく宇宙船の部品を手に炒れ、それを使って修理した。これで宇宙へと飛び立てる、のだが。
「ひとつ問題が残ってたわね」
パンはそういうとバッグから機械を取り出した。そう、それがドラゴンレーダーを飲み込んでしまったのだ。
「こうなったら分解してでも取り出すわよ!」
「ギルギルー! 危険、危険!」
「パ、パンちゃん壊すのはダメだよ! 人工知能のあるロボットは人間と同じなんだよ」
「そうはいうけどドラゴンボールはどうするのよ!」
パンがそう叫んだ瞬間、機械はピクッと揺れた。そしてーー
「ロード完了、ロード完了!」
そういうや、パンが手元に持つ機械が変化した。表面の円の部分がしゅっとしまわれ、緑色の画面が現れた。
「これは……ドラゴンレーダーか!?」
「そ、そうかこのロボット、飲み込んだ機械の機能を吸収することができるんだ!」
「早速使ってみましょう!」
トランクスは機械の頭に当たる部分を押す。するとドラゴンレーダーが起動した。みると北の座標に点滅する光があった。
「となると北の惑星にあるんだな……早速いってみましょう!」
そういうと3人は機械と共に宇宙船に乗り込んだ。
思わぬ不時着先で新たな仲間を手に入れた一行は、ドラゴンボールを求め再び旅立ったのだった。
一方その頃、銀河パトロール本部ではーー
「惑星M2の調査はどうなっていますか?」
銀河王が緊張した面持ちで尋ねる。
「それが、隊員から連絡もつかず、監視カメラから送られてくる映像もなしです」
「まさか警備システムに引っ掛かったのでしょうか……これはますます危険でしょうね。引き続き調査を行ってください」
「はい、それと……惑星ルードに関しての動きですが……」
「ルードと言えば、ルード教ですね。新興宗教でありながら膨大な信者を獲得し、正直危なそうな雰囲気を醸し出していますが、何かありましたか?」
「はい、それが彼らは究極ドラゴンボールを求めているそうです。信者や部下たちをあちこちの惑星に派遣し、捜索させているようです」
「なんと……それがもし本当なのなら即刻止めなくてはなりませんね。派遣できるスタッフはいますか?」
「いえ……それがジャコしかいないんです。他の皆は他の星にいってしまっていて……」
「……人員不足も考えた方がいいですね。仕方ありません、ジャコに調査させましょう。仮に死んでも問題ないですしね」
「そうですね」
そういうと彼らは不安そうにジャコに連絡した。事情を聴いたジャコはというといつもの自画自賛を発揮しながらノリノリで惑星ルードへと向かっていった。
「大丈夫でしょうか……?」
「情報さえ得られたら文句なしです」
そう言いつつ、不安に思う銀河王であった。
・宇宙船の奪還
本編では宇宙船を持っていかれ、そこから悟空たちがドン・キアーの神殿に忍び込んで取り返しますが、冷静に考えて地球一周くらいを軽くこなせるような連中がみすみす見逃してしまうなんて考えられないし、思い切り飛ばしてしまえば取り返せます。
本編中では瞬間移動をしている間にいってしまったと言いますが、そこらの兵士の気なんて捉えるのに時間はかかりますので、それだったら悟空は追ってしまった方が早いと判断するでしょう。故にこういった展開にしました。
こちらの都合で申し訳ないですが、物語の筋事態は通しているとは思います。なにか質問などございましたら感想欄でお願いします。