勘違いヒーロー、誕生。 作:さらだ
side トオル
さて、虎の子とやらを探すことになったわけだが。
【虎の子】っていうのは、虎がその子を非常にかわいがる様子から由来していて、大切にして手放さないものを指す。たとえば、秘蔵の金品とか財布とか。
つまり、moneyだよな。あれ、ザギン?それとも日本円?
考えれば考えるほどわからん。ルカには「アンタも探す!」と耳を引っ張られたが、どうやらおれはここまでのようだ。おれは、フッと息を吐き出し、ゴーカイガレオンのソファーで目を閉じた。これは俗に言うサボタージュ、つまりさぼりである。
side アイムとハカセ
モバイレーツの呼び出し音がなり、ナビィが「またザンギャックが出たよ!いま、マーベラスたちが戦ってる!」と、アイムとハカセに連絡した。ふたりはマスターにその旨を言った。
「んにゃ、おれの教えることはもうねェよ。」
「「え?」」
「修業なんてほんとはどこでもできるんだ。高みをめざし、学び、変わろうとする気持ち。それさえあればな」
「マスター。最後にひとつだけ。よろしければお名前を教えていただけませんか」
「おれ、ジャン。漢堂ジャン。虎の子だ」
「「虎の子......えぇぇぇぇ!!!」」
すると、ふたりの驚き様をみて弟子のひとりの少年が言った。
「知らなかったの?マスター・ジャンは虎に育てられた戦士、ゲキレンジャーのゲキレッドなんだよ」
「早く行け。仲間たちが待ってるぞ」
そう言ったジャンの顔にゲキレッドの面影がみえた。ハカセとアイムは一礼し、マーベラスたちのもとへ急いだ。
side トオル
どれくらいの間眠ったのだろう。突然、船内がガタガタうるさくなり目が覚めた。時計を見るとまだ一時間も経っていない。ふわぁ~あ。大きなあくびがでる。それにしてもよく揺れるなァ、オイ。こんな舵取りじゃ、船酔いするじゃないか。まったく、だれだよ。おれの眠りを妨げるやつは!
おれが窓の外を覗くと、ありえない大きさの怪人がいた。ふむ。アイツが諸悪の根源か。おれはジャンプキーを取り出した。
耳の部分から猛牛のように前へ突き出た鋭い角付き兜と巨大なマント。額には無数のしわがある。
身長210cm、体重145kg、バスト160cm、ウエスト115cm、ヒップ130cm、首周り65cm。この鍛えぬかれた超人的肉体。
いつ計測したかだって?おれは医者だから目測で、できるわけもなく、週刊少年ジャンプ特別編集『北斗の拳 SPECIAL』の「拳聖烈伝」のデータだ。
北斗の拳ときいたら、オマエハモウシンデイルでお馴染みのアノ主人公を思い浮かべるかもしれない。だが、おれはラオウのジャンプキーを取り出した。
どこぞのインスタント麺じゃない。拳王、ラオウ様だ。
驚くなかれ。ラオウは劇中では(演出の都合により)3~4mほどまで巨大化している事がしばしばある。
つまり、おれが言いたいのはこの目の前にいる巨体化した怪人を相手にするってことだ。
だいぶ見た目が変わった。正義の味方というより悪役に近いな、これ。
ヤツがおれの睡眠を邪魔したことにちがいない。おんどりゃァァァァ!!!!
side ゴーカイジャー
巨大化したザンギャックを倒す為にゴーカイガレオンを呼び出す。海賊合体により、ゴーカイオーに変型した。
ゴーカイジャーが苦戦を強いられていると、ひとりの乱入者があらわれた。
3mを超える巨人。耳の部分から猛牛のように前へ突き出た鋭い角付き兜と巨大なマント。額には無数のしわがある。
「.........新手か!?」とゴーカイオーが構える。
ハカセが「......あの姿、どこかで見たことあるような.........」と記憶を遡る。
それは、トオルと話していたときのこと。
「ジャンプを読むことでおれは敵と戦うときのことをシミュレーションしているんだ。おれの戦い方は特徴的でね、知らないと何もできなくなって格好の餌食になってしまうからな」
そう言ったトオルの横顔がかっこよかったのを覚えている。そのトオルの視線は、ジャンプのページに注がれていたが。たしか、そのページは、劇画のようなタッチの悪役が描かれていた。もっと思い出すと、その悪役キャラは、いまちょうどあらわれた乱入者にそっくりだった。
「思い出した!あれはたしか、《ラオウ》だ!だとすると、もしかして、トオルが戦っている......?」
ラオウに扮したトオルは、イメトレしたように敵に立ち向かっていた。その拳は轟音がなり、火花が飛び散っている。
「.........トオルばかりに負担させられない、おれたちも加勢する......!」と、ゴーカイブルーが舵を握る。
「あのサボり魔にはひと事いってやんないとね」と、ゴーカイイエローがニヤリと笑う。
ゴーカイピンクが「わたくしたちもトオルさんに続きましょう!」と言い、「お前ら、派手にいくぜ!」とゴーカイレッドが締める。
大きく全員が頷いたあと、ハカセが「ね!これ使ってみようよ」と、光るレンジャーキーをとり出した。
「え!いつの間にゲキレンジャーの鍵が?」と身を乗り出し驚くルカ。
「わたくしたち、虎の子さんに会ってきましたから」と、にこやかに説明するんアイム。
「よっしゃ!遠慮なく使わせて貰うぜ」というマーベラスの声で、各々レンジャーキーを回す。
トオルも止めにひとつ拳を突きつけた。加えて止めのゲキレンジャーの大いなる力により、勝利に終わった。