勘違いヒーロー、誕生。 作:さらだ
side エルダー
弟に投げられ、海賊船に浸入したおれは転がりながら船内に入る。見つからないように隅を転がり、海賊たちの情報を探る。
すると、ハカセと呼ばれる金髪の男が怒っていた。
「ぼくたちはこの星に、遊びに来たんだっけ? 宇宙最大のお宝を見つけるためだって、いっつも言っているくせに!そのためには34のスーパー戦隊の大いなる力が必要だっていうのに、ぼくたちが手に入れたのは?そう、たったの3つ!」
お!さっそく重要な情報だな。ほくそ笑む。
が、その瞬間、ジョーというポニーテールの男が鋭い眼光で、こちらを振り向く。
ま、まさか、見つかった?背すじをまるめながら息を呑む。
ジョーは立ち上がり、ゆっくりとおれが隠れている方へ向かってくる。バックンバクッンと心臓が音をたてる。
が、ジョーがはじめたのは腕立て伏せ。「うっかりしていた。腕立てがノルマに10回足りなかった」と。なんだよ!脅かすんじゃねぇよ!!
「何でみんな、こう、マイペースなんだよ!」
そう怒るハカセを放置し、残りの4人は食事をはじめていた。
おれが言うのもなんだがホント、マイペースなやつらだ。
よし。さっき手にいれた情報を弟へ送る。
《やつら、ゴーカイジャーは大いなる力を探している》と。
side トオル
ハカセの鬱憤が爆発したのをスルーしてランチタイム。さすが海賊。ガッツリ系なメニュー。おい、ルカ。おれの皿にブロッコリーのせるな。ちゃんと自分で食え。
饅頭に手を伸ばしかけたルカ。マーベラスは大いなる力を探すため、ナビィにお宝ナビゲートさせようと言う。んじゃ、おれは昼寝するか。ん~と伸びをして、あくびがでた。
しかし肝心のナビィの姿が見あたらないようで。饅頭はお預けのまま、おれの昼寝もお預けでみんなでナビィを探すことになった。
はじまりはおれの何気ないひと言だった。ナビィを探すことになって、ただなんとなく「ナビィの電池ってどんくらい持つんだ?」と。あの鳥が生身の鳥じゃないことくらいわかる。あれは人工的につくられた鳥型ロボットだとおれは考えていた。それがまさか論争になるとは思わなかった。以下、M=マーベラス、H=ハカセ、A=アイム、J=ジョーと表記する。
H「え、ナビィって電池で動いてるの?」
A「違うのですか?」
M「おれは電池なんて換えたことねーぞ」
H「そういえば、ナビィってなんで動いてるんだろう」
M「おれが知るわけねーだろ」
H「今電池って言ったじゃん!」
A「電池で動いてるのですか?」
M「違うのか?」
H「ぼくは電池換えたことないよ」
A「ではナビィは何で動いてるのですか?」
H「知るわけないじゃん」
A「今電池っておっしゃいました」
M「電池で動いてるのか?」
H「違うの?」
A「わたくしは電池など換えたことありません」
M「じゃあナビィは何で動いてんだよ」
A「わたくしが知るわけございません」
M「今電池っつったろーが」
J「ナビィは電池で動いてるのか」
.........驚いた。ナビィの機動力について誰も知らなかったんだな。いや、それよりもたかが電池交換でこんな論争になるとは。お宝占いといい、ナビィの謎は深まるな、こりゃ。
ジョーが管制官のなかをみたり、マーベラスがレンジャーキーとやらの宝箱をみたり、ルカが饅頭をつまみ食いしたり.........それでもナビィはみつからなかった。
そんな中、ルカは、マーベラスがいつも「鳥」って言うから家出したんじゃないかと言い出した。たしかにアイツはナビィに対して雑な扱いしてたな。おれも「うんうん」とルカに加勢する。マーベラスは、「アイムがお茶をぶっかけたからじゃないのか」と話を振る。アイムはアイムで、ハカセが枕にしたからではないかと言う。.........ナビィ、おまえってばいつもそんなことされてたのか?今度労ってやろう。ハカセは「えぇ!ぼく!?」と狼狽えている。「で、でも!この前トオルが.........ブフォ!」おや、なんのことだハカセ。おれにはなんにも聞こえない。ハカセを含め全員からじっとりとした疑惑の視線が集中するが、気にしない。つい、勢いとノリで手が滑って、ボールを投げただけだ。ヤマシイコトナンテ、ナンモナイ。そっと目を反らした。そういえば、おれが投げたボール、赤くてゴツゴツしてたな。
「どうしたの、みんな?」
ルカは「ナビィがいなくなっちゃって」と答える。
「ホントに?」
ルカは「ねえ、ナビィ、ナビィどこにいるか知らない?」という。.........ん?なんか、いまおかしな点があった。ルカはナビィに、ナビィの居場所をきいているよな?
「知らない」と答える、鳥。
ん?
んん?
なぜか、麦わら帽子をかぶり、サングラスにアロハの格好。
「ちょっくら、ちょいと、日向ぼっこしてたんだ」と、ナビィ。
「そしたらさ、女子高生のかわいい子たちに囲まれて、やだ~かわいい~とか、もうオイラ、大人気。むぎゅ~なんて抱きしめられて、これも、これも、プレゼントされちゃって、キャハッハッハ」
リゾート気分を味わったらしいナビィ。おいおい。こっちはお前を探し回ってたっていうのに、コノヤロー。ちょっと1発殴らせろ。
というか、ナビィ、男の子だったのか。
反省として吊るされたまま、ナビィはレッツお宝ナビゲート。今日のはおまえがわるい。だからおれに助けを求めるな。反省しろ。
「空飛ぶ島で、運命の出会いがあるぞよ――こんなん出ましたけど」
side エルダー
この話を聞いていたおれは、思わず「そんなの、あるわけないだろう!」と、声を出してしまった。だが、もう遅い。やつらの企みをおれは知ったのだ。
「気づくのが遅かったな。オレはザンギャック一のスパイ、スニークブラザーズの兄、エルダーだ。おまえたちの目的は、すべて聞かせてもらった。これで――」
そう話していたが、ゆっくりと準備したジョーに、バッドで船外に打ち放たれ、.........。
って、オイィィィィ!!人の話は最後まで聞けェェェ!!!
降ってくるおれを何とか受け止めようとする、ヤンガーとゴーミンたち。
でも、案の定、目測を誤って、おれはコンクリートの上に。
なんでおれって、こんな目にあうんだ。.........
そこに、ゴーカイジャーと、トオルがやって来た。トオルの目的は不明だが、おれが掴んだ情報は伝わっているはずだ。
「盗み聞きとはいい趣味じゃねえか。
聞かれたからにゃ、ただで帰すわけにはいかねえな」
.........アイツらおれたちに容赦ねぇ。せめてひとりだけでも、とおれはひとりぼんやり傍観しているトオルに狙いを定めた。ヤツの目的は不明だが、こうして戦闘になっても我関せずいるあたり、あやしい。本当に海賊の一味なのか?悪名に恐れられているが実は大したことなかったりして.........。船内じゃ、潜入中のおれを投げ飛ばしてハカセとやらの口にピンポイントであてやがって。ぎっと歯を食い縛るとヤツは口角をあげた。いまのいままで何もしてないハズだったのに、気がついたらおれはゴフっと血を吐き出していた。
「.........何故」
おれがヤツの顔を見て、海賊たちに視線を向けた。おれの疑問を組んだらしいヤツは答えた。
「おれはアイツらと手を組んだだけだ。
.........だが、振り回されてるのはどっちなんだろなァ。なんて、死にいくお前に言っても無駄だったな」
あぁ。ヤツは通り名の通りだ。冷酷。外道。鬼畜。《死の外科医》。医者だというのにあっさりと簡単に生命を奪っていく。ヤツが恐れられる理由がわかった気がした。それを最後におれの目はゆっくりと閉じていった。