勘違いヒーロー、誕生。   作:さらだ

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命あるところ正義の雄叫びあり!

百獣戦隊 ガオレンジャー!

 

牙 吠

 

 

 

side トオル

 

空島。果たしてこの地球上に存在するのか。ここは某海賊漫画のように海軍と海賊がドンパチしていない。海賊と宇宙帝国がドンパチしてる。かといって、摩訶不思議アドベンチャーでもなく、おれが生前住んでいた地球と特別かわりはない。オフィス街あるし、ジャンプあるし。

 

そんなところに空島はあるのかと言うと、なんとも言えない。例えるなら、子供が無邪気に遊園地のマスコットの着ぐるみの存在を受け入れているかのような。.........おれがその着ぐるみの中身を目撃してしまい、しばらくショックを隠せなかったことは前世の思い出だ。

まあ、彼らは海賊だ。夢みたっていいじゃないか、HAHAHA~

 

 

 

「なぁにが、夢みたっていいじゃないか、HAHAHA~よ!あんたもさがすの!!」

 

いて。頭を軽く叩かれて振り返ると、眉間にシワを寄せたルカがいた。ちょうどかれこれ地球を2、3周したところ。ルカの機嫌は急降下だ。

 

 

「さがすっていわれてもなァ。.........ところでお前らの宝探しってなんだ?」

 

 

前からナビィのお宝ナビゲートとか海賊の余興だとおもってたが、真剣に探している様子をみると少しばかり気になる。だって、考えてもみろ。いい年した海賊たちが、虎猫探し回ったり、警察署に出頭しに来たり.........。いや、彼らは根っからの宇宙人だからおれみたいなカルチャーショックを受けないのか?

 

 

「あれ?言ってなかった?馴染んでいるからてっきり知っているとばかり思ってた」

 

きょとんとした顔をしたルカはざっくりアバウトに説明してくれた。なんでも、地球に眠るという宇宙最大のお宝を求めて、キャプテン・マーベラス率いる海賊戦隊ゴーカイジャー(宇宙海賊)が地球にやって来たらしい。

 

ほぉ。宇宙最大のお宝、ねェ。なるほど。だから、あんなヘンテコなお告げにしたがって宝探ししてるわけだ。

 

「そ!だから大いなる力をみつけなきゃいけないわけ!」

 

黄色いレンジャーキーとやらを持ってルカがどや顔していた。ん?その鍵、おれが持ってるジャンプキーと似ている......?

 

「.........わかった。ぼんやり」

 

 

ゆるゆると返事をするとルカは疑わしげに「ほんとにわかってんの?」と言う。頭のなかで検索エンジンを起動させる。【ジャンプ 宇宙最大のお宝 検索】............んー、ヒットしない。【ひとつなぎの大秘宝】ならワンピースでドンピシャなのに。まさかおれの持ってるジャンプキーも、大いなる力とかあるのか?調べるっていっても故郷の星はぶっ飛んじまったし。はァ。こっちも八方塞がりだ。

 

 

しばらくすると、大きな雲を発見。空島らしく上陸することになったらしい。マジか。ほんとにあったよ、空島。モンブランのおっさんみてるかー!よし、なんかテンション上がってきた。黄金の鐘でも鳴らしたい!!

 

 

 

 

 

 

上陸したおれはひとりジャングルに探索にでた。「おれ、鐘鳴らしに行ってくる」と早々に宣言して、ジャングルへむかった。空島があるってことはここはもしかしたらワンピースの世界とリンクしているかもしれない。うしろでルカが「お金!?」とキラーンと目を輝かせていたが、残念そりゃ“カネ”違いだ。

 

善は急げ。羅針盤なんて渋滞のもとだ。自分の勘を頼りに進んでいく。途中、ザンギャックに遭遇した。誰かのバイオリズム乗っかって思い過ごせなかった。ので、ジャンプチェンジ!

 

おれの姿は斉藤さんになっていた。悪、即、斬の斉藤さん。そう、某明治剣客漫画の斉藤さんである。「ぺっぺっぺー」やらジャケット広げる「斉藤さんだぞ」じゃない。

 

深く腰を落とし刀の切っ先を相手に向け、その峰に軽く右手を添える。それから間合いを一瞬で詰めて突進、標的を貫く。 よし、片付いた。疲労回復アイテムはもちろん石田散薬だ。口のなかに薬の独特の苦味が充満している。口直しに何かほしい.........

 

 

ジャンプキーを解除し、手短にその辺のツルに手を伸ばす。ごほん。喉の調整も準備完了。いち、に、スゥ~と、息を吸って、アーアーア~~~!!

 

スタンっと着地を決めると、白衣の男がいた。あり?第一島人発見?

 

「おれは獣医だ」

 

奇遇だな、おれも医者の端くれだ。

 

 

なんやかんやで【獅子どうぶつ病院】を案内された。なぜに病院?看板には診療時間と駐車場ありの記載はあるが、休診日が一切記載されていないので、数人の獣医が交代制で診療を行うかなり大きな動物病院なのかもしれない。

 

なお、診療時間は

平日:AM 9:00~PM 12:00

PM 3:00~PM 8:00(土曜日はPM 7:00まで)

休・祝日:AM 9:00~PM 3:00と記載されている。

 

おれみたいな浮浪の医者じゃなくて、コイツちゃんと医者してる......!ま、まぶしい。おれのライフが削られていくッ!

 

客間に通され、改めて自己紹介された。ガオレンジャーのガオレッドだったらしい。なんか噛まれたら痛そうな名前の響きだな。

 

「.........へぇ。つまり同業者?」

「近いけど少なくともおれらは海賊じゃないな。」

「なんだよ、冒険者か?」

「そういう意味で《近い》ってわけじゃない。それに冒険者はおれらじゃない」

「ワケわかんねーよ、コノヤロー。」

「......そうだな、わかりやすく言うと、《正義の味方》あるいは《ヒーロー》.........君もそうだろ?」

 

おれに問いかけながら獣医はコーヒーを差し出す。

 

 

「“正義”か。.........そんなもんこの世にありはしねェ。おまえはおれを正義だと言ったが、そんなつもりは全くない。ただのおれの気まぐれだ。」

 

おれは差し出されたコーヒーを受けとり、ミルク、砂糖を入れた。砂糖は五杯。糖尿がなんだって?大丈夫だ、まだ検診に引っ掛かってない!

 

 

「その“気まぐれ”でこの地球が救われているんだ。感謝する。」

 

フーフーと冷ましながら、カップを口につける。口のなかにコーヒーの苦味が広がり、そのあとにミルクのまろやかな舌触りを楽しむ。

 

「そりゃ、買いかぶりだ。......たまたまキライなヤツに悪党が多いってだけだ」

 

 

うん。この甘さがたまらない。ところでおかわりもらえますかね?

 

「.........フッ。お前ら、ほんと口が悪いんだよ」

 

おれがきょとんとした顔をすると、獣医は笑いながらおれの後ろに視線を移す。あ、マーベラスたちだ。

 

「トオル。おまえどこほっつき歩いてんだ」

「ちょいと鐘鳴らしに」

 

問答無用で首根っこを引っ張られた。どうやら目当ての“大いなる力”は手に入れたようだ。「次のお宝探しにいくぞ」とずるずる引きづられる。ちょ、おれまだ鐘鳴らしてないのに!「知るか」辛辣すぎる!ぶつぶつ文句を言いつつ、周りを見渡すと、アイムが足を引きずっていた。

 

 

「アイム、どうしたんだ、その怪我」

「ちょっと転んでしまいまして......」

「お前どんくさいなァ。こっちこい。怪我みてやる。」

 

 

あんなに真面目に医者してるやつみたら、おれの良心が刺激される。包帯片手に手当てをしながらそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side とある獣医(ガオレッド)

 

 

最近巷で噂の宇宙海賊がとうとうここにたどり着いたようだ。数年前に起こったレジェンド大戦以降、おれはガオレンジャーの力を失った。そこに地球にやって来た新たなスーパー戦隊、海賊戦隊ゴーカイジャー。宇宙帝国ザンギャックに狙われている地球人が、宇宙海賊に守られるなんて、皮肉な話だ。それぞれのスーパー戦隊は大いなる力を彼らに渡して地球を守ろうとしている。だが、おれたち、ガオレンジャーは渡すべきではないと考えている。いや、そもそもガオライオンが彼らを認めるかどうか。

 

そんな宇宙海賊に嫌悪感を示していたが、ゴーカイピンクの言葉と市民を守って戦うゴーカイジャーの姿を見て考えを改めた。

 

 

「アイツら、口が悪いんだよ......」

 

アーアーア~~~!!

 

森の中から叫び声が聞こえる。遭難者か!?駆けつけると、体操選手のように着地をした男がいた。コイツ、何処かで見たことあるような.........。とりあえず、名乗る。

 

「おれは獣医だ」

 

「奇遇だな、おれも医者の端くれだ。」

 

ヘラリと笑った男を病院まで連れていくことにした。道中、思い出したが、この男、宇宙名医100選に選ばれていた。通りで見たことあると感じたわけだ。極悪非道の医者、死の外科医。だが、腕は確からしく、ぼったくりの請求書を何故かメロンといっしょに要求したり、心臓を抜き取られ脅されたり、嘘か真か伝説が多い男である。そんな男が何故地球にいるのか不思議でならない。加えて、他のスーパー戦隊からの情報によると、ゴーカイジャーの一味に加わったとか。

 

 

「.........へぇ。つまり同業者?」

「近いけど少なくともおれらは海賊じゃないな。」

「なんだよ、冒険者か?」

「そういう意味で《近い》ってわけじゃない。それに冒険者はおれらじゃない」

「ワケわかんねーよ、コノヤロー。」

「......そうだな、わかりやすく言うと、《正義の味方》あるいは《ヒーロー》.........君もそうだろ?」

 

話を聞くと、事情があるらしい。ゴーカイジャーの居候だという。

 

「“正義”か。.........そんなもんこの世にありはしねェ。おまえはおれを正義だと言ったが、そんなつもりは全くない。ただのおれの気まぐれだ。」

 

医者は差し出されたコーヒーを受けとり、ミルク、砂糖を入れていた。砂糖は五杯。おいおい入れすぎだ。

 

 

「その“気まぐれ”でこの地球が救われているんだ。感謝する。」

 

 

「そりゃ、買いかぶりだ。......たまたまキライなヤツに悪党が多いってだけだ」

 

 

 

 

 

口では居候だといいながらも、彼らをすぐにみつける。これは無自覚に仲間だと思っている。本人が気づいていないだけで。その証拠にゴーカイピンクの怪我に気付き、悪態をつきながらも心配している。ガオライオンも、“ゴーカイブラック”も海賊たちとうまくやっていけそうだな。

 

「.........フッ。お前ら、ほんと口が悪いんだよ」

 

 

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