勘違いヒーロー、誕生。   作:さらだ

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地球を護るは天使の使命

 

天装戦隊 ゴセイジャー

 

 

 

 

side トオル

 

ジャンプ作品とコラボしたTシャツを買うために出かけていた。ルフィのギアセカンドがプリントされたものを購入し、ニマニマと店を出て大通りを歩く。右に曲がると裏路地に入った。こういうところに知る人ぞ知る名店があるんだよなァ。好奇心が膨らみ、そのまま歩く。すると、テンプレのようにカツアゲされている現場に遭遇してしまった。いかにもチンピラという風貌の男に囲まれた、草食系男子のような青年がいる。いや、左耳に羽の形のピアスを付けている。 もしかしたら不良デビューに失敗した系かもしれない。

 

なんにせよ、こういうときは100当番するのが一番だ。だが、いかんせんおれはお尋ね者。そういうわけにはいかない。やれやれ。止めに行こうとしたら、青年が動いた。

 

フッと消えたかと思うと、チンピラの背後にまわり、首筋にトンと指をあてていた。そして困ったように笑っている。まるで、暗殺教室の潮田渚のような動きだ。

 

「あんまり、事を荒立てることはしたくないんだ。」

 

 

物腰がやわらかく、しかし内に秘める力は計り知れない。チンピラは腰が引けたようで、顔を青くさせながら走り去っていった。パッと視線が合う。

 

「…………もしかして、君、ゴーカイジャーの______」

 

___グゥゥ

 

タイミングがいいのか、わるいのか、おれの腹がなった。目をぱちくりさせた青年はクスリと笑い、「よかったらご飯たべていかない?」と言った。なんてイイヤツなんだ!「天使さまがいるッ!」と感謝すると、肩をギクリとさせ固まった。それからコホンと咳払いし、「ぼくはアラタだよ」と自己紹介された。

 

案内されると、いきなりテーブルにドンとどんぶりが置かれた。「はい、エリ丼よ」ポニーテールの女が期待した目でこちらをみる。おれはダラダラと顔から汗が流れる。もし下手なこと言ってみろ。一発ノックアウト、KOだ。ここはシミュレーションしてみるか。

 

【ざっくりした見ためからは想像もつかないすごくうまい味!!歯ごたえもなんかすごくいい歯ごたえだし、口いっぱいに広がるすごくいい香りがこれまたいい!!】

 

却下。アタマわるい食レポだとメシがまずくなるじゃねーか。

 

【この世のすべての食材に感謝をこめて!いただきます!!】

 

却下。釘パンチだとか、ガツガツと野性味あふれる料理じゃねーよ。

 

 

こうなったら、あまりの美味しさに感動したとかいって、ぬぐか?……却下だ。おれにはまだそんなリアクションは、できない。

 

考えてみるが、なかなかいいコメントが思い浮かばない。食レポってむずかしいなオイ。

 

「ところで、君はゴセイジャーのレンジャーキーを持っている?」

 

そっとアラタが声をひそめておれに言う。「持っていない」と正直に答える。

 

「じゃあ、誰が持っているのか知らない?」

 

今度はポニーテールの女が質問してきた。なんだか取調べを受けてるような気分だ。

 

「し……し、……しらねェ」

 

ピューと口笛を吹き、右手をあげてそう宣言すると、指をあらぬ方向へ曲げられた。

 

「ハイ、ウソね!」

 

肩口で髪を揃えた女がビシッとおれに指をさした。

 

そうだよな、いまの態度はうそだと言ってるようなモノだしな。レンジャーキー、ねェ?心当たりというか、聞きおぼえがあるというか、…………それ、もしかして、いや、もしかしなくても、カラフルな宇宙海賊だったりして……んなわけねェか。

 

黒いジャケットの男が「お前、ゴーカイジャーのゴーカイブラックなんだろ」と眉をつり上げてすごむ。

 

Oh……いま、ハッキリとゴーカイジャーって言った?言ったな?んなわけあったよ、オイ。世間ってやつはせまいな……(遠い目)あいつら何したんだよ。おれにとばっちりがきてんだけどォォォォォォ!!

 

 

青ジャケットが睨みながら「なんにせよ、返してもらおう」と言い、ポニーテールの女が「そうそう!ゴセイジャーのレンジャーキーは私たちの力なんだから」と、ぷんぷんさせている。

 

「教えてくれるかな?」

 

控えめな声でアラタに退路を絶たれた。いよいよ取調べみたいじゃなくてマジの取調べになってきたじゃねーか!

 

パッとステータス画面を表示させる。

 

たたかう

▼にげる

 

よし!コマンドを選択し、まわれ右だ!

 

 

 

▼トオルは逃げられない!

 

な、なにィィィィィ!?ぐるりとまわれ右をすると、おれはすでに取り囲まれていた。前にはアラタ、右に左に後ろに四方八方、取り囲まれている。唯一の入口もブルーの男がいる。

 

とどめにロボが「ゴーカイジャーのところへ案内してもらおう」と言い出し、おれは深くため息をついたのだった。

 

 

 

 

side アラタ(ゴセイレッド)

 

突如地球を襲ってきた‘ザンギャック’という新たな敵。おそらく史上最悪の敵だ。ぼくたちは苦戦を強いられていた。みんな、頑張ろう。もうすぐ会えるよ、一緒に戦っている先輩たちに…………!

 

だけど、ザンギャックの追随は止まらない。危ない!その瞬間、視界の端からロープがとんできた。アカレンジャーだ!それにジャッカー電撃隊のビッグバンも!

 

「33のスーパー戦隊がまもなく結集する。全員命を捨てる覚悟だ。やってくれるな、君たちも」

 

 

「やります!この星を、守るためなら!!」

 

 

そうしてぼくたち、ゴセイジャーを含めた歴代のスーパー戦隊が集結した。その数は100をこえ、34のスーパー戦隊が並ぶ。すごい。こんなにもいたなんて、圧巻される!これならザンギャックと戦える!!

 

「いくぞッ!」

 

アカレンジャーのかけ声で全員が走り出した。おのおのゴーミンと戦うけど、ザンギャックは空からもぼくたちを狙っている。

 

「いくぞみんな!スーパー戦隊の力を集めて地球を守るんだ!」

 

アカレンジャーの指示でぼくたちは身体中のエネルギーを放出させる。まばゆいオレンジの光があふれ、気がついたらぼくたちは倒れていた。

 

「………生きているのか?おれたち」

「ザンギャックはやっつけられたの?」

 

アグリとモネがふらふらの体を何とか支えながら起き上がった。

 

 

「あぁ。奴らの艦隊は全滅した。」

 

ぼくらの疑問に答えてくれたのは、共に戦ったボウケンレッドだった。

 

じゃあ、戦いは終わったんですね………!

 

「けど、もう二度とあの姿で戦うことはできない」

 

え…………戸惑いが駆け巡る。

 

「おれたちの戦う力はすっかりなくなっちまった」

 

そんな……どうして………

 

「力はすべてザンギャックの艦隊といっしょに宇宙へ散ってしまったの。」

 

みると、ぼくたちのカードが跡形もなく消えていた。

 

「もう変身できねェのか、おれたち」

「天装術も、使えない」

 

ハイドとエリが沈んだ様子でカードを持っていた手をみつめた。

 

全員目を伏せ、誰もが口を噛み締めた。変身できないことを悔しく思った。

 

でも、…………

 

「でも、よかったんですよね。これで………この星を守ることができたんだから」

 

 

地球を守ることが天使の使命だから___

 

 

 

数年後再び悪夢が訪れた。新たなザンギャック艦隊が地球を襲撃し始めた。ぼくは足早にバイト先のカフェから急いでいた。だけど、その途中でチンピラに絡まれてしまった。

 

「あんまり、事を荒立てることはしたくないんだ。」

 

軽くチンピラをいなし、辺りを見回すと白衣を来た男と目があった。しまった!一般人がいたみたい……いや、この人、何処かでみたような……あぁ!もしかして、君、ゴーカイジャーの___

 

___グゥゥ

 

 

彼のお腹が盛大になった。

 

彼は、ゴーカイジャーのトオルだ。あのレジェンド大戦の後、地球にやって来た新しいヒーロー戦隊。もしかしたら、彼ならゴセイジャーのレンジャーキーの居場所を知っているかも!

 

「ところで、君はゴセイジャーのレンジャーキーを持っている?」

 

そっと声をひそめてにきいてみた。彼は「持っていない」と答える。

 

「じゃあ、誰が持っているのか知らない?」

 

今度はエリが質問する。

 

「し……し、……しらねェ」

 

 

(((((ウソ下手ッ!!!!)))))

 

ピューと口笛を吹き、目線が泳いでいた。彼は右手をあげている。モネが指をあらぬ方向へ曲げた。穏便に話し合おうってさっき言ったじゃないか。アグリは「お前、ゴーカイジャーのゴーカイブラックなんだろ」と語気を強めながらトオルに凄んでいた。まったく、この兄妹は…………

 

ハイドも「なんにせよ、返してもらおう」と言い、エリが「そうそう!ゴセイジャーのレンジャーキーは私たちの力なんだから」と、トオルに訴えていた。

 

ぼくはぎゅっと拳を握りしめ、トオルを真っ直ぐみた。

 

いま、ぼくたちはゴセイジャーの力が必要なんだ。君たちが持っているレンジャーキーを返してほしいんだ。

 

だから、ゴーカイブラック、___

 

 

「教えてくれるかな?」

 

ゴセイナイトが「ゴーカイジャーのところへ案内してもらおう」と、ぼくたちみんなに落ち着かせるように、でもトオルを逃がさないように言った。

 

 

しばらくして、トオルは深くため息をついた。ぼくたちがじっと彼をみると、やがておもむろに口を開いた。

 

 

「いいか、おれはお前らのレンジャーキーを持っていない。これは本当だ。だが、心当たりはある。それをお前らに教える義理はねェな。おれは宇宙海賊に居候している身だ。ゴーカイブラックなんて名乗った覚えはねェよ。___おわかり?アラタくん」

 

 

「……へぇ。そっちがその気ならこっちだって、手加減しないでいいよね」

「モネ、待って!ぼくたちは喧嘩しに来たんじゃない」

 

拳をポキポキ鳴らすモネを宥める。

 

 

「そう慌てんなよ。何も頭ごなしにノーだなんて、誰も言ってねェだろ?」

 

 

ニヤリと嗤ったトオルはさっきまでのチャラけた雰囲気を消し、勿体ぶったようにぼくたちをみた。

 

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