CiRCLEのアルバイト生活 〜失いながら手にしたモノ〜   作:わらびもち二世

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後編はシリアス回です。


15. アイドルにも癒しは必要らしい。 後編

しばらくみんなで俺の演奏に合わせて歌っていた。

少し疲れてきたので休憩し始めたところだった。

 

「楽しい〜!やっぱり竜二くんの演奏は本当にるんってくる!」

「そうか?割と簡単な事してるだけなのにな」

コード抑えて弾いてるだけだからな。

 

「ねね!たまにはエレキギター弾いてよ!あの3年前の演奏でやった曲とか」

「それは私も聴きたいわね。動画でしかみた事ないから目の前で聴けるなら私も嬉しいわ」

日菜と千聖がそう答えるが。

 

「それは出来ないなー。それに来年ステージで弾く曲は新曲だし、まだ作りかけだ」

まだ頭の中で構想を練ってる途中だけどな。

 

「そうだったんだ!すっごく楽しみだね日菜ちゃん!」

彩が嬉しそうに日菜に言った。

「うん!すっごい楽しみ!」

 

すると麻弥が、

「にしても日菜さんがここまで絶賛するなんてよっぽどですよね」

「それだけリュウジさんの演奏が素晴らしかったんですね」

麻弥とイヴが言うように日菜はあまり人を褒めないタイプだからな。

 

「竜二くんは天才なんだ〜!ほんっとにすごいんだよ!」

まるで神でも崇めるかのような眼差しでそう言った。

 

「おいおい。俺が天才とか日菜に言われると恥ずかしいわ」

「日菜ちゃんは何でも出来るものね。確かに竜二くんのギターは素晴らしいけれどね」

実際千聖の言うように俺は日菜こそ本当の天才なんじゃないかと思っている。

 

「あたしもいつかGuitar spirit出てみたいな〜!」

「日菜なら頑張れば出れると思うぞ」

「ジブンも日菜さんならきっと出れると思いますよ」

「あたしは全然だよー!竜二くんみたいには全然なれないからな〜」

俺と麻弥の発言とは裏腹に日菜は珍しく消極的だった。

 

 

「日菜・・・?俺はお前の方がよっぽど天才だと思う」

俺なんかよりか日菜の方が才能に溢れてると俺は思う。

 

 

「あたしが竜二くんより?それはないよー。それに、竜二くんにはきっと、あたしには見えてない、聴こえてない音や物が見えてるんだと思う。それはね!本物の天才にしか感じとれないんだ」

日菜が珍しく少し真面目な顔をして俺に言った。

 

「何言ってんだよ。俺にはそんな物聴こえちゃいないぞ。考えすぎだって、日菜は俺を過信しすぎてる」

俺にしか聴こえない音?見えない物?そんなものあるわけがない。

 

 

「ううん。あのね?ヒーローっているでしょ?ヒーローはね。いつも誰かが困ってるとその人の元へ駆けつけるでしょ?何でそれが出来るかわかる?彩ちゃん」

 

「うーん、なんだろう?今まで考えた事もなかったよ」

「ジブンもわかりません」

彩と麻弥は少し考えていたがわからないみたいだ。

 

「ヒーローにはね?心の悲鳴が聞こえるんだよ」

「悲鳴ですか?」

日菜の言葉にイヴが不思議そうにしていた。

 

「うん。その人だけには聞こえるんだ。心の悲鳴が・・・だからね?気がつくと色々な人を救ってるんだ。

普通の人は感じとれないけど、その人だけにはわかるんだよ。

どんなに相手が心を深く閉ざしててもその人にはどうすれば相手を助けられるかわかってるんだ。だからいつのまにかその人の周りにはたくさんの人が集まるんだよね」

 

・・・・・・

 

「なるほど、日菜ちゃんはそれが竜二くんだと言いたいのね・・・」

千聖が少し頷きながら日菜に問いかける。

 

「うん」

 

 

「馬鹿な事言うな。俺にはそんな物聴こえちゃいないし、ヒーローでもない、お前は少し俺を誤解している」

そんな超能力じみたものは俺にはない。

いつのまにか人を救ってる?俺がか?

 

「誤解なんてしてないよ?あたしにはわかるんだ・・・」

日菜は真剣に俺の方を見て言った。

「日菜・・・!違う!俺は・・・そんなやつじゃない」

俺はそんな大した人間じゃない。天才でもなければヒーローでもない。

 

「違うよ?竜二くんこそが本物の天才だとあたしは思うな」

違う。お前こそが本物の天才なんだよ。

 

「違う!!今回のGuitar spiritだって俺は!!蘭たちに頼まれなければ出ようとさえ思わなかった・・・もし、俺にみんなの心がわかるならとっくにステージでギターを弾いてる!」

俺は自分の感情を抑えきれず大声を出していた。

 

すると日菜が少し寂しそうな顔をして、

「それだって、きっと理由があるんだよね?だって、竜二くんはギターが誰よりも好きだもん。3年前の映像を見れば誰でもわかるよ?でも今までステージには出なかった。

竜二くんはあたし達皆が期待している事を知っていて出なかったんだよ。その理由はあたしにはわからないけど、・・・・・・でも!ようやく決心したんだよね!?だからね?あたしはすっごい楽しみなんだ!」

 

・・・・・・・・・

 

「実は私も少しだけ感じてたのよね。竜二くんがなんで頑なに拒むのか、何か理由があるんだって、Afterglowのみんなよりは付き合いが短い私たちだけど、そのくらいはわかるわよ・・・」

千聖も少しだけ寂しそうな眼差しで俺に言った。

 

「理由なんてない!俺は!俺の意思でステージに立たなかったんだ!」

 

「竜二くん?私もさっきの話だけどね?すごくわかるなって思う。竜二くんはいつも気がつかない内に私達を助けてくれてる。でも本当は10分の1くらいしか気付けてないんだよね。だから本当はもっと力になれたらなって思うんだ」

彩が俺の事を心配そうに、だけどとても優しい笑顔で俺の手を握ってくれた。

 

「彩・・・」

 

「ジブンも彩さんと同じ気持ちです。理由を話してとは言いません。けどもし出来ることがあるなら頼ってください。どんなことでもいいんです」

 

「ヒーロー、いいえ!リュウジさんは本当にサムライのような立派な方だと思っています!なので、この先もしもリュウジさんに何かあれば私も全力で助けます。それがブシドーですから!」

お前らは俺がいつも助けられてることに気づいてないんだよ。

 

「だから違うんだ・・・お前らにはいつだって助けられてるよ。俺はRoselia、Afterglow、Poppin'Party、Pastel*Palettes、ハロー、ハッピーワールド、お前らに会えて本当に良かったと思ってる。CiRCLEに来て良かったと本当に思ってるんだ。いつも支えられてる。救われてるんだよ」

 

「私たちがですか?」

イヴが俺に聞き返してきた。

「ああ。きっと誰も自覚はないだろうけどな。でもそれでいいんだ。お前らにはそのままでいてほしいんだ」

「竜二くんがそう言うなら、私達も無理に聞いたりはしないわ。けれど、いつかは話してくれるんでしょう?」

千聖もとても優しい声で俺にそう言ってくれた。

 

「ああ。」

「約束だからね!竜二くん!それまでに私ももっとアイドルとして成長するからね!」

彩が空気を変えようとしてくれてるのか、元気に俺の手を握ったままそう言った。

「彩は出来れば今のままでいてくれるとな〜」

なので俺も冗談っぽく答えた。

 

すると日菜が、

「それはあたしも思うかな!」

「ええ?!なんで〜!」

「アヤさんは今のままでも素敵なアイドルですよ!」

「なんかイヴちゃんのフォローが辛いよ〜」

 

「ははは・・・!」

気がつくと皆で笑っていた。やっぱり彩はこう言う時は本当に頼りになる。

 

 

「その・・・今日はありがとうな?なんか色々気を遣わせちまってさ」

俺は素直な言葉を口にした。実際色々気を遣わせてたみたいだったからな。

「ふふっ・・・竜二くんがデレたわね」

「可愛い〜!」

千聖と日菜が俺に言ってくる。

 

「こら!茶化すな!せっかく素直にお礼を言ってるのに!」

「でもこれでまた少しだけ私たちとの距離が縮まったよね」

彩がそんな事を言った。

「そうですね!」

イヴも賛同している。

 

「あー!皆さん!時間見てください!そろそろ帰らないとまずいんじゃないですか!?」

麻弥が時計を見て驚いていた。

 

「本当じゃねーか!おいそろそろ帰るぞ!車を用意してくるからここで待っててくれ」

気がつくと時間は9時を回っていた。さすがに話しすぎたな。俺は急いで車を取りにいった。

 

 

 

「ねえみんな?私達は私達の出来ることで竜二くんを支えてあげようね」

竜二が部屋を出ていったのを確認した彩がそんな事を言った。

「そうですね!ジブンも今日で更に竜二さんの事を知れた気がします」

「ふふっ・・・彩ちゃんがリーダーっぽいこと言うのは珍しいわね」

「うんうん!でもカッコよかったよ!今の彩ちゃん!」

「えへへ、そうかな?でも本当に私も頑張らないと!」

「さすがアヤさん!私もリュウジさんを全力でサポートします!」

 

ガチャ!

「おーい!早く行くぞ〜!」

「は〜い!」

 

俺たちは事務所を後にした。

 




今回はシリアス回でした。
ようやくどのバンドも出せたので、色々と過去編書きつつ、日常パートを書いていこうと思います!
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